コールセンターの悩みを解決し、プロフィットセンターへと転換!
コールセンターの悩みを解決し、プロフィットセンターへと転換!
企業にとって顧客との直接的な接点となるコールセンターは、カスタマーハラスメントなどによって生じるストレスが多い職場となっています。その結果、離職率の高さや採用難といった問題に悩まされている組織も少なくありません。今回は、このように複雑で深刻な課題を、豊富な経験と革新的なナレッジマネジメントの手法を駆使することで解決し、組織の自立と成長を支援しているスペシャリストにお話を伺いました。
ーー得意分野を教えてください。
吉田:私の部署の具体的な業務内容は、HDIという団体が提供するサポートサービスのフレームワークやトレーニングを活用した、社内外のコンタクトセンターやサービスデスクのオペレーション改善です。HDIは、元々ヘルプデスクインスティテュート、あるいはヘルプデスク協会と呼ばれていた業会団体で、サポートサービス業界のベストプラクティスの集大成となるノウハウを可視化して公開しています。
HDIのフレームワークは、単なる理論ではなく、実際の現場における実践に基づいた標準的なガイドラインやノウハウが集約されたものです。これに基づいて各企業の目標達成に直結するサービスを提供することで、いわゆるコンタクトセンターの運用効率を上げ、従業員満足が向上し、最終的に顧客満足度を向上させることが可能となります。これを元に「誰もが安心して利用できるコンタクトセンターやサービスデスクの実現」を目指して、これまでも多くの顧客企業様の課題解決や効率化を支援してきました。
また、「筋肉質な組織」を作ることを意識しており、社内の組織改善強化も行なっています。~削除~ 私自身、部署のマネジメントと並行して外販サービスにおけるコンサルテーション業務も担当し、直接、顧客企業様や弊社内の従業員に対するトレーニングも行なっています。
学生時代にはコールセンターでのアルバイトで、苦情対応などの難しいと思われるような業務を、~削除~ その後もクレジットカード会社の総合受付のオペレーターやスーパーバイザー、業務責任者などを経験してきました。その経験から、オペレーターの気持ちに寄り添ったトレーニングや、仕事に対して常に一直線、かつ真面目に取り組み推進するという性格から、お客様と共に真摯に問題解決にあたる伴走支援型のコンサルテーションが可能になっていると自負しています。相手が納得して理解したうえで行動できるようにするには、どのように伝えればよいかということが身についていますので、コンサルタントやインストラクターとしてお客様からも評価いただいております。
社員の満足度が企業の成長につながる
ーーどのような課題を持ったお客様が多いですか?
吉田:お客様の多くは、採用・育成・離職という人材管理の観点からの課題を抱えています。特に、コンタクトセンターは従業員の入れ替わりが激しい部署です。スムーズな引き継ぎや効率的なトレーニングが難しく、結果としてサービスの質が安定しないという悩みを抱えているケースが多いです。こうした課題に対応するために、私たちはナレッジマネジメントの手法を活用したオペレーション改善支援を行っています。
たとえば、採用難の理由の1つは、コールセンター経験5年以上とか何歳までといった採用要件の高さです。コールセンターの業務は通常、その場限りで情報が消費される無形のサービスですが、ナレッジマネジメントによって、個人の経験に基づくノウハウを誰もが利用できる形で蓄積することが可能となり、これを無形資産として残していけるようになります。このような改善の結果、経験の浅いオペレーターでも資産化された知識を活用できる仕組みが実現し、採用要件を下げられるのです。そして、蓄積されたデータをいわゆるAIの学習やいま注目されている生成AIにも利用すれば、さらなるサービスを創ることもできます。
また、最近ではカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラへの対応も多くの企業で課題となってきました。カスハラは、オペレーター個人が日々直面する問題のひとつであり、精神的な負担がかかるため離職の原因にもなりえるものです。私たちのサービスは、アプローチとしてはB2Bですが、常に当事者である個人にもフォーカスして、自ら身を守れるようなレクチャーやトレーニングを行なっています。このように、私たちは単に「課題を解決する」のでなく、「業務改善を通して社員の満足度を高め、企業の成長をサポートする」ことを目指しているのです。
さらに、コールセンター以外にも企業の課題は存在します。ある大手企業で5000名の営業担当者を支援しているバックオフィスチームは、担当者が業務関連の問題を自分で調べて解決できるようなソリューションを実装しているのですが、その元になる営業担当者向けのアンケートによるフィードバックが集まらないという問題を抱えていました。これに対して私たちが適切なアドバイスと技術支援を行い、コンテンツを作る伴走支援もしたところ、アンケートの回収率が10倍以上になり、コンテンツに対する評価も7割がポジティブなものでした。一般的には2割でも良いほうなので素晴らしい結果となり、クライアント企業からも感謝されています。
ーーお客様と向き合う際に心がけていることはありますか?
吉田:何よりも「自立・自走できる組織づくり」を目標にしています。最終的にはお客様が私たちの支援が離れても、自らの力で課題に対応できるようになることが理想だからです。そのため、私たちはただ解決策を提示するだけでなく、その組織に適した仕組みを導入したうえで、長期的な視点に立って運用していけるような支援を行なっています。たとえば、KCS(ナレッジ・センタード・サービス)というナレッジマネジメントの手法を活用し、コンタクトセンター内の知識を効率的に管理・活用する仕組みを構築することも、その一環です。
KCSは、マイクロソフトやヒューレット・パッカード、シスコ、オラクル、ノベルなどの名だたる企業が10年以上の歳月と50億円以上の投資を行なって開発された、世界で唯一のナレッジマネジメントにフォーカスした革新的な方法論ですが、その存在を知っていても、実際に使いこなせているのは私たち以外にないと考えています。このKCSによって短期間でのトレーニングと知識の標準化が可能となり、オペレーターのパフォーマンス向上や業務の安定化を実現できるのです。
もちろん、受託案件としてコールセンターそのものを弊社で受けることもありますし、コンサルテーションやトレーニングのみを行うこともありますが、そこは問題のどの部分を解決するべきかという優先度によって変わってきます。
人を基本にテクノロジーを提供していく
人を基本にテクノロジーを提供していく
ーーお客様に提供していきたい価値について教えてください
吉田:私たちが提供する価値の中核は、「持続可能な成長をサポートすること」です。現代のビジネス環境では、コンタクトセンターやサポートセンターが単なるコストセンターではなく、戦略的な役割を担うことが期待されています。私たちならば、ナレッジマネジメントやAIを活用したオペレーションの最適化により、それらの部署の生産性を飛躍的に向上させ、プロフィットセンターへと転換することが可能です。
最近では、コンタクトセンターのオペレーションにも技術的な革新が求められていますが、生成AIを活用した「AI DIG(オペレーター向けの業務支援システム)」というシステムを利用すると、オペレーターと顧客のやり取りをリアルタイムでテキスト化し、過去のナレッジを参照して最適な回答を提示することができます。このシステムにより、新人オペレーターでもベテランに近いパフォーマンスを発揮できるようになり、研修期間の短縮と効率的なオペレーションが可能になるのです。
ただし、テクノロジーは便利で生産性を上げてくれる反面、ともすれば人間の能力を貶めることになります。つまり、それがないと何もできない人間を作り上げてしまう危険性があるのです。そのため、基本的には人間に対してトレーニングを行い、業務内容をしっかり分かっていただいたうえで便利なテクノロジーを提供するという考え方になります。
ーー最近、この領域で注目しているトレンドや話題は何でしょうか?
吉田:やはり、カスタマーハラスメント対策ですね。3大ハラスメントといわれる、パワハラ、セクハラ、カスハラのうち、パワハラとセクハラは各企業や政府の取り組みもあって低減されているのに対して、カスハラは増加傾向にあるのです。しかし、結局のところ、カスハラも人がやっていることなので、コンタクトセンターだけに注目するのではなく、より広い視野からのアプローチが必要と捉えています。社会貢献性も高い分野だと思いますし、今、そのようなサービスをリリースしているところです。
ーー今後、自身の業務や役割を企業の課題解決にどう活かしていきたいですか?
ーー今後、自身の業務や役割を企業の課題解決にどう活かしていきたいですか?
吉田:私は、人で稼ぐビジネスのあり方を終わらせたいと考えています。つまり、課題解決の最初の段階では多くの人が関わりますが、それをテクノロジーが引き継いで、新たなソリューション(People、Process、Technology+Dataによる課題解決)を提供していきます。「AI DIG」のような生成AIの活用を推進しているのも、その一環です。そうすることで、顧客接点領域(代表例はコンタクトセンター)である組織は企業の戦略的資源として自立・自走できます。人による仕事は決してゼロにはなりませんが、AI活用の源泉なるという発想です。
また、これまで、さまざまなプロジェクトを見てきましたが、うまくいっていないものは、そもそも担当者の資質がそのプロジェクトに合っていなかったということがわかってきました。個人的に、資質のある人間の選び方を研究していて、産業・組織心理学会の会員になっているのも、そのためです。私たちのチームも、小さいながらメンバーの得意分野ごとに3つのグループに分けて、仕事に応じて資質に合うところにアサインするというやり方をしていますが、再現性のあるやり方で最適解の人材を選べるようにすることが自分のライフワークにもなっています。そうした知見を外部に対しても課題解決の一部として提供できるようになることが理想です。