石間優仁香

石間 優仁香

YUNIKA ISHIMA

ワークスデザイン事業本部 BPO統括部 ヘルスケアソリューション部

臨床心理士の資格を持ち、プロダクトKATAruruの運用や企画等様々なヘルスケアサービスに携わってきました。KATAruruのオンラインカウンセリングを担当する一方で、退職のホンネサービスの企画・運用構築にも従事し、組織課題の発見に貢献。さらに、管理職向けヘルスリテラシー研修のカリキュラムを企画・構築し、LGBTQ相談のチャットカウンセリングおよびLGBTQ講座の企画も手掛けています。これらの経験を通じて、クライアントと組織の成長をサポートする専門知識を提供しています。

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経歴・専門領域

■経歴
パーソルワークスデザイン(現パーソルビジネスプロセスデザイン)へ入社後
・KATAruru心理師として、認知行動療法を使った相談業務を実施
・特定保健指導マインドアップコースで動機付け面接を使った相談支援業務
■専門領域
・臨床心理学
・カウンセリング(心理相談)
・ヘルスケア企画

実績

・KATAruru(アバターを使ったオンラインカウンセリング)の運用、心理師としてカウンセリング実施
・退職のホンネ(退職者向けインタビューから組織課題を見つける)サービスの企画・運用構築
・管理職向けヘルスリテラシー研修のカリキュラムの企画構築
・LGBTQ相談でのチャットカウンセリングを実施
・LGBTQ講座(性の多様性に関する基礎知識)の企画

保有資格・受賞

■保有資格
・臨床心理士
・公認心理師

従業員に寄り添い本音を引き出す職場改革のためのカウンセリング

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ストレスの多い現代社会。組織の中で、人知れぬ悩みを抱えて、知らず知らずのうちに心身のバランスを崩してしまう人も少なくありません。また、コミュニケーションをとっているつもりでも、どこかに見落としがあり、それが原因で優秀な人材が退職してしまうケースもあります。このような、個人や組織が抱える悩みを事前に把握して対処できれば、職場はより明るく働きやすい場所へと変わっていくはずです。今回は、パーソルビジネスプロセスデザインが提供するアバターを使った従業員のカウンセリングサービス「KATAruru」や、退職者の意見を働き方や職場の改革に役立てる「退職のホンネ」などの企画・運営に携わり、キャリアやメンタルヘルスに関わるさまざまな課題を解決してきたスペシャリストにお話を伺いました。

――得意分野を教えてください。

石間私の得意分野は、心理師として相談者が抱える悩みに耳を傾けることです。カウンセリングでは、日常的な会話とは異なり、相手の心の奥にある感情や思いを引き出し、その中に潜む本質的な課題を理解することが求められます。これは、友人や同僚との雑談では得られない特別な対話の時間です。私は、その対話を通して相談者が新たな気づきを得たり、感情を整理できるようにサポートすることにやりがいを感じています。

また、パーソルは社員の副業を認めているので、精神科のクリニックでも勤務し、カウンセリングを行なっています。異なる職場での経験が現在の仕事にも大いに役立つと考えたからです。というのは、クリニックでは、患者さんのメンタルヘルスケアに取り組む中で、症状の改善や社会復帰をサポートしており、これは、職場の人間関係やキャリアに関連する悩みを中心に扱うことが多い企業でのカウンセリングとは異なります。しかし、こうした両方の経験があるからこそ、相談者の抱える課題を多角的な視点から理解し、対応することができるのです。その意味では、組織内での人間関係や働き方に関する具体的なアドバイスを提供しつつ、心理ケアも行えることが、私の強みだといえるでしょう。


――どのような課題を持ったお客様が多いですか?

石間:私たちが提供している「KATAruru」は企業や自治体の従業員を対象にしたB2E(Business to Employee)のサービスです。そのため、相談内容は仕事上の悩みやストレス、そしてキャリアに関する不安が多い傾向にあります。特に、転職したての方や、産休から復帰した直後の方、あるいは管理職になられたばかりで、新しい役割に戸惑いを感じているような方からの相談が増えている印象です。こうした方々は、環境の変化によって、これまでとは異なるストレスや不安を抱えやすく、それが仕事のパフォーマンスやメンタルヘルスに影響を与えてしまうことが多々あります。

また、「KATAruru」と並行して私が企画・立案した「退職のホンネ」というサービスは、退職者から会社や組織を辞めるに至った本音を引き出して分析することで、企業側に今後の改善を行ううえで役立てていただくというものです。こちらでは、心理師の「聴く」スキルを使って丁寧に退職理由や在籍中に抱えていた不満や希望などを率直に語ってもらうことで、本音を引き出していきます。その結果、依頼された企業の担当者の方からは、人づてに聞いていた退職理由とはまったく違っていたという反応が得られることも少なくありません。


企業には、従業員に働きやすい環境を実現できているか、また、退職者が辞めた要因はどこにあるのかを知りたいということが課題としてあり、このような取り組みを通じて従業員の悩みや要望を理解することが、その解決につながるのです。

心理師の経験とアバターを融合して相談者の問題解決を後押し

――お客様と向き合う際に心がけていることはありますか?

石間私が最も心がけているのは、相談者に寄り添い、語りを丁寧に聴くことです。実は、高校時代に友人の一人がうつ状態になって、その変わりように大変ショックを受けました。それがきっかけで、人間の心のあり方に興味を持つようになり、心理学を勉強して、それを仕事に活かしていきたいと思うようになったのです。心理カウンセリングでは、相談者が抱える問題の表面的な部分だけでなく、その裏に隠れている感情や真の課題にアプローチする必要があります。そのため、まずは相談者の話を丁寧に聞き、その背景や文脈をしっかりと理解して、信頼関係を築くことが何よりも重要です。

「KATAruru」も「退職のホンネ」も視覚的に見える部分でアバターを使うことで、生身の人間同士が対面で話すよりも心理的なハードルを下げて、すぐに本題に入れるメリットがあります。しかし、視覚的にはお互いアバターでも、背後には相談者自身と、心理師がいるため、お互いの声のトーンや心理師からの声掛けで相談しやすい環境を作っています。また、心理師はアバターゆえに非言語情報が通常の対面やオンラインよりも少なくなってしまうため、語りを丁寧に聴き、その時々の感情をくみ取ったり、言語化を手伝うことで気づきを促しています。


さらに、相談者が納得し、自分自身で次のステップを踏み出せるようなカウンセリングのあり方も大切にしています。特に、企業で働く従業員の方々の悩みを一緒に整理し、前向きに解決策を見つけていくプロセスが重要です。心理師としての役割は、相談者の思考や感情をサポートするだけでなく、彼らが自分で問題を解決できるように背中を押すことだと考えています。


――お客様に提供していきたい価値について教えてください。

石間私が提供したいのは、企業の従業員の皆さんが心身ともに健全な状態で、自分らしく生き生きと働けるようになるためのサポートです。特に、メンタルヘルスに関しては、問題が深刻になる前に予防的なケアを行うことが非常に大切だと感じています。問題が大きくなってからではなく、ちょっとした違和感や悩みを感じた時点で気軽に相談できる環境が整っていることで、長期的に健康を保ちやすくなるのです。

「KATAruru」では、アバターを通じたカウンセリングによって、通常の対面カウンセリングよりも敷居が低く、より多くの従業員が気軽に相談できるという利点があります。このようにして、企業内でのメンタルヘルス対策を進め、従業員の健康と生産性を向上させることが、私たちの提供する価値です。また、「退職のホンネ」では、退職者が率直に意見を述べられる環境を作ることで、企業側では見えていなかった問題をしっかりと把握し、改善策を講じることができるという点で、大きな価値を提供していると思います。

よりリアルに迅速に、企業と従業員の双方に価値あるサービスを提供

――今後、自身の業務や役割を企業の課題解決にどう活かしていきたいですか?

石間アバターを利用したカウンセリングは他にはない「KATAruru」の強みで、継続して契約更新してくださるお客様も多いですし、「退職のホンネ」も競合するサービスはありませんから、今後は、これらのサービスをさらに発展させ、より多くの企業や人々に利用していただけるようにしたいと考えています。


KATAruruは、現在も相談利用者から高い満足度の評価をいただいていますが、その理由としては、ひとえに臨床心理士と公認心理師のW資格を持つ心理師のみが対応していることが大きいでしょう。相談にあたる担当者は、私も含めて心理師としての訓練を積んでいる方ばかりであり、アバターという非言語情報が少なくなってしまう相談環境の中でも語りを丁寧に聴くことができるからです。加えて、人同士の面談とは違い、すぐに本題に入ることができるアバターのメリットを活かして相談対応ができるのは心理師のカウンセリングスキルが高いからだといえます。


そして、これからもカウンセリングスキル自体を向上し続けていくことと並んで、システム面ではアバターの精度を向上させ、相談者がよりリアルに感じられるような体験を提供できるようにすることが目標です。また、カウンセリングだけでなく、気軽にチャットで相談できる機能の追加など、相談のチャンネルを増やすことで、より多様なニーズに対応できるようにしたいと思っています。


さらに、「退職のホンネ」については、退職理由の聞き取りから分析、そして、企業側がそのフィードバックを得られるまでの時間をなるべく短くできるように、システム化を進めていきたいです。現在は匿名性を保つ意味で、一定の退職者の声を集めてからでないとフィードバックが難しい状況ですが、今後は少人数の退職者でも速やかに意見を集約して、企業が早急に対応できる仕組みを構築することが目標です


他にも、退職理由から得られたデータを元に、在籍中の社員のエンゲージメントの比較や、採用情報、タレントマネジメント等、様々なデータと組み合わせたアプトプットや、組織課題に対してのコンサルでの介入などもできるようサービスの拡充を考えています。一つでも企業が求めているニーズに応えられるようなサービスの実現をしていきたいと願っており、これからも企画や運営に力を入れ、企業と従業員の双方にとって価値のあるサービスを提供していく予定です。