見えない課題を可視化し継続的なGXを共創で実現
見えない課題を可視化し継続的なGXを共創で実現
地球温暖化を抑制し企業が持続可能なビジネスを行なっていくために、脱炭素化を含む環境負荷の低減を目指して経営や業務改革を行うGX(グリーントランスフォーメーション)は、今やどの企業にとっても避けて通れない関門となっています。そのために重要なのは、自力では把握し切れない課題を洗い出し、その解決に向けて継続的なサポートを提供できるパートナーの存在です。今回は、政府機関向けのコンサルティングも手がけた経験を持ち、パーソルビジネスプロセスデザインでは、より広い分野の企業や組織を対象に、俯瞰的な視野からGX課題の解決を行なっているスペシャリストにお話を伺いました。
ーー得意分野を教えてください。
清木:私の所属するGXソリューション部では、企業の脱炭素経営を支援することが主なミッションです。具体的には、CO2の排出量を算定し、削減計画を立て、それを実行支援するという一連のプロセスを担当しています。削減のロードマップを提示するだけでなく、お客様に寄り添って共に削減を実現していくところまでをカバーしている点が強みです。
私自身は、主に削減計画の立案や実行支援を得意としています。
この領域の問題解決においては、環境問題に対する広範な視点を持つことが重要だと考えており、CO2削減に限らず、化学物質の排出抑制や廃棄物のリサイクルといった他の環境課題にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
ーー環境分野のスペシャリストになろうと思ったきっかけは何でしたか?
清木:私が環境問題に関心を持ったのは、小学生のときでした。当時、オゾン層の破壊や地球温暖化、石油の枯渇などの問題が話題となり、「将来的に、私たちの生活はどうなってしまうのか?」という不安が、環境問題を解決したいという私の思いの発端でした。
大学では環境経済学を学びましたが、その頃はまだ環境問題がビジネス領域で重視されることもなく、環境問題を扱う仕事も少なかったため、とりあえず一般的な会社に入って実務経験を積むことにしました。パーソルビジネスプロセスデザインでは、ようやく自分が本来やりたかったことに近づけたという感じです。
仕事には大きく2種類あると思っていて、1つは、今ある生活をより楽しいものにしていくような、ワクワクするタイプのポジティブな仕事です。もう1つは、困っていることや人が抱える悩みを解決していくような、ネガティブなものをなくしていく仕事です。環境問題の解決は、元々そのような問題自体がなければ必要ない種類の仕事ともいえるのでワクワクするというよりは地味な仕事かもしれませんが、自分たちや子孫が末長く気持ち良く暮らしていくうえで少しでも貢献できるわけですから、それがはたらき甲斐にもなっています。
ーーどのような課題を持ったお客様が多いですか?
清木:多くのお客様は、環境負荷の問題に気づいてはいても、自社のCO2排出量の算定や削減に対して具体的な計画や実行方法が不明確であるという課題を抱えています。特に、排出量の正確な算定と、それに基づいた削減計画をどのように進めていくかが大きな悩みで、どこから手をつけて良いかがわからないという声も少なくありません。
また、社用車や営業車両のEVの移行や、CO2の排出量削減のための設備更新がコスト面で課題となるケースもよくあります。そういうお客様には、たとえば暫定的なハイブリッド車の導入や排出量を相殺するカーボンクレジットの購入など、長期的な視野からの改善策を提案しています。
短期的には解決できないからこそ伴走型支援が大切
短期的には解決できないからこそ伴走型支援が大切
ーーお客様と向き合う際に心がけていることはありますか?
清木:お客様とのコミュニケーションを継続的に行い、長期的な視点で支援を提供することを大切にしています。環境課題は短期的に解決できるものではなく、持続的な取り組みが求められるため、目先の改善だけでなく、企業にとって本当に意味のある長期的な解決策を提案することが欠かせないからです。
また、伴走型支援として、お客様と一緒に業務を進めるスタイルを取っており、計画立案から実行まで密接に連携しています。特に、環境負荷の問題に対して社内外の関係者の意識を変えるために重視していることは、粘り強いコミュニケーションです。経営陣と現場で意見が異なる場合もありますから、そのすり合わせも行なって、全社的に取り組んでいただけるようにしていきます。
ーーお客様に提供していきたい価値について教えてください。
清木:お客様に脱炭素削減の方針や計画を示すだけではなく、実行フェーズまで支援することが1つ。そして、計画時に想定していなかったことに直面することも多いため、方針を見直して適切な計画を立て直すといったPDCAサイクルを回していくことによって、実効性のある支援を提供することです。
また、これらの支援を通じて業務プロセスを構築し、その手順をマニュアル化するなど、お客様自身が自立して業務をできるようにすることも重視しています。とはいえGXの取り組みを新たに手掛ける組織も多いため、ある部分の業務をお客様が自立して行えるようになってからも、新たなフェーズでのご支援に移行するなど、結果的に長期にわたって継続的にサポートするケースも少なくありません。これも、ひとえにお客様にとって実効性のある取り組み支援をご評価いただいているからこそと考えております。
ESGの領域全体をカバーする強固な体制作りと後進の育成に邁進
ESGの領域全体をカバーする強固な体制作りと後進の育成に邁進
ーー今後、自身の業務や役割を企業の課題解決にどう活かしていきたいですか?
ーー今後、自身の業務や役割を企業の課題解決にどう活かしていきたいですか?
清木:今、多くの企業で、脱炭素のみならず、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連の支援が求められています。私たちは、そうした課題を総合的に解決するために、ESG領域全体をカバーできるサービスを提供していく予定です。そのようにして、企業が環境課題に直面した際に、広範な解決策を提供できるような体制を引き続き充実させていくことを目標にしています。
環境問題の施策でも、ある視点では環境にやさしくても、別の視点では負荷が大きいことも多々あるものです。たとえば原発はCO2を排出しないという視点ではクリーンですが、放射性廃棄物の処理が課題ですし、太陽光パネルも設置場所によっては森林破壊につながることもあります。そのように、特定の視点ばかりに注力するのではなく、物事を常に多面的に見続けられる環境コンサルティングが求められるようになるため、私たちも企業からの多様な要望に応えられる体制を整えていく所存です。
そして、私自身も含め、GXソリューション部全体として、環境分野の幅広い知見を学ぶよう推進していきたいですし、これらの知見を活用しつつお客様に真に必要な解を考え抜く、という訓練も部署全体で進めていこうとしています。