​​自治体BPOの導入事例や市場規模を紹介|メリットや業務内容も解説​

​​自治体BPOの導入事例や市場規模を紹介|メリットや業務内容も解説​

職員の高齢化や国の方針による定数削減の影響で、職員の業務負担が増加していると悩んでいる自治体も少なくありません。

自治体業務にBPOを導入すると、窓口対応などの定型的な業務を外部へ委託できるため、「コア業務」に集中できます。

本記事では、自治体業務にBPOを導入するメリットや実際に導入した自治体の事例を紹介します。

自治体BPOを導入して、地域住民が生活しやすい自治体の運営環境を整えましょう。


目次

    もっと見る▼

    自治体の業務はBPOできる?

    自治体の業務はBPOできる?

    結論として自治体の業務にBPOを導入できます。

    BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、業務プロセスを一括して外部の会社に委託することです。

    自治体は、住民サービス提供や行政業務などの膨大なタスクに対応する必要があります。しかし、限られた人員や予算で実施するのは困難です。

    BPOを活用すると特定業務を外部へ委託できるため、本来のコア業務に集中ができ、自治体全体の業務効率向上につながります。


    行政BPO・地域BPOとの違い

    BPOの中には、自治体BPOと似た内容の「行政BPO」や「地域BPO」などがあります。

    行政BPOとは、行政の仕事を委託するBPOサービスのことで、自治体だけでなく中央省庁も含まれるため、自治体BPOよりも広義な意味合いで使われます。

    地域BPOは、地方自治体や行政だけでなく、地域の全体の市民活動や民間も含めたBPOサービスです。自治体や行政よりも大きな枠組みでの業務を請け負います。


    アウトソーシングとBPOの違い

    アウトソーシングとBPOは、どちらも業務を外部へ委託する手法ですが「目的」と「委託する範囲」に違いがあります。

    アウトソーシングの場合、作業フローの一部を外部に委託することで、コスト削減や業務負担の軽減が可能です。

    BPOは単なる業務委託だけでなく、業務プロセス全体の改善や効率化を目指す包括的な外部委託が可能です。

    たとえば、コロナワクチン接種会場の運営を総括して委託する場合などが挙げられます。


    BPOの市場規模

    BPOの市場規模

    株式会社矢野経済研究所(※1) によると、2023年度に利用されたBPOサービス全体(IT系BPOと非IT系BPOの合算値)の市場規模は、4兆8,849億2,000万円と推計されています。

    BPOの市場規模は年々拡大傾向にあり、2025年度には5兆2,849億5,000万円になると予測されています。

    拡大傾向にある要因として、官公庁・自治体による外注の増加が挙げられるでしょう。

    とくに、総務・庶務をはじめとした総務事務センターや、さらに拡大した行政事務センターのニーズが高まっています。

    自治体の業務負担が増加する一方で、職員数の減少や予算制約が続いているため、課題を解決するためにBPOの活用が進んでいます。

    ※1 出典:株式会社矢野経済研究所 「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2024年)」(2024年11月19日発表)注:事業者売上高ベース


    自治体向けBPOに依頼できる業務の内容

    自治体向けBPOに依頼できる業務の内容

    ここでは、自治体向けBPOに依頼できる業務内容を紹介していきます。

    BPOサービスによって業務範囲は変化するため、今回はパーソルビジネスプロセスデザインが対応している業務を選定しております。

    • 住基・戸籍関連業務
    • 介護業務
    • マイナンバー関連業務
    • 国民健康保険・後期高齢者医療保険制度・国民年金業務
    • 子ども・子育て業務
    • 通報一次コールセンター業務

    住基・戸籍関連業務

    住基・戸籍関連業務をBPOへ委託すると、書類の発行や交付などのノンコア作業を減らせます。

    具体的には以下の項目での対応が可能です。

    • 証明書の発行・交付・手数料収受
    • 転入・転出の手続きなど住民異動関連業務
    • 出生・婚姻・死亡届の受付や審査・入力など戸籍関連業務
    • 館内総合案内
    • 集計・統計業務
    • コールセンター業務

    介護業務

    介護業務にてBPOを導入すると、申請の手続きや発行を代行してもらえるため、職員の業務を減らせます。

    具体的には、以下の項目での対応が可能です。

    • 要介護認定の新規申請・更新手続き
    • 要介護認定資格の再交付・送付先変更・納付証明発行
    • 死亡手続き
    • 要介護者への給付関連(居宅介護予防サービス計画届/負担限度額認定/高額介護サービス/福祉用具購入費)など

    マイナンバー関連業務

    BPOでは、マイナンバーカードの窓口業務や出張イベントの企画から運営などの業務も委託範囲に含まれています。

    具体的には、以下の項目での対応が可能です。

    • 役所やマイナンバーカードセンターにおける窓口業務・コールセンター業務・バックヤード業務
    • 出張申請の会場手配や広告物作成・手配などの実施企画~当日運営
    • マイナポータル登録やマイナポイント申込などの窓口での利活用支援・関連制度の問い合わせ対応
    • 広報活動(ホームページ開設・広報物の企画・作成・手配)

    国民健康保険・後期高齢者医療保険制度・国民年金業務

    国民健康保険・後期高齢者医療保険制度・国民年金業務などの保険年金関係の業務も、BPOで対応可能です。

    具体的には、以下の項目で活用できます。

    • 国民健康保険の資格賦課・給付・収納業務
    • 後期高齢者医療保険制度の資格関連業務・給付・収納・問い合わせ対応
    • 国民年金の第一号保険者資格取得・喪失にかかる手続き・種別変更・住所変更

    子ども・子育て業務

    子ども・子育て業務をBPOへ委託すると、支給事務や負担額の確認や管理に使っていた工数を減らせます。

    • 支給事務(児童手当・児童育成手当・児童扶養手当・特別児童扶養手当)
    • 子ども子育て支援制度1号支給認定・一部認定子ども園幼稚園等の入所申込手続き・2,3号認定支給認定
    • 保育園への入園事務・利用者負担額の確認・管理

    通報一次コールセンター業務

    市民からの通報問い合わせの受付窓口(道路の陥没・公園遊具等の破損・食中毒の疑いに関する連絡など)もBPOでの一括管理が可能です。

    市民から通報を受けた場合、進行中の業務を止めて対応する必要があるため、当然予定していたスケジュールから遅延してしまいます。

    BPOの窓口で一括管理すると、毎回電話対応を実施する必要がなくなるのはもちろん、通報の内容も要約してもらえるため、スムーズに仕事が進みます。

    \たった3分で完了!/

    公共BPOサービスの資料を請求する

    自治体の業務にBPOを導入する3つのメリット

    自治体の業務にBPOを導入する3つのメリット

    ここからは、自治体の業務にBPOを導入する3つのメリットを紹介します。

    • 自治体職員の業務負担軽減につながる
    • 業務の属人化を解消できる
    • 時代のニーズに合わせた対応ができる

    自治体職員の業務負担軽減につながる

    BPO導入すると、人手不足で増えていたノンコア業務を外部に委託できるため、職員の業務負担軽減につながるでしょう。

    厚生労働省 によると、平成6年に328万人ほどいた地方自治体の職員は、令和4年時点で280万人まで減少しています。

    一部の原因として考えられている理由は、以下の通りです。

    • 少子高齢化による働き手の減少
    • 公務員応募者の減少
    • 若年層の離職率増加

    こうした中、自治体は少数の職員で住民サービスの提供や行政手続きの対応を行う必要があり、一人当たりの業務量が増えています。

    そこで、自治体業務のノウハウがあるBPOを活用すると、窓口対応やバックオフィス業務など定型的な業務を外部へ委託できるため、業務負担が減らせるでしょう。

    また、ノンコア業務を委託することで職員のリソースが増え、コア業務への注力が可能となります。


    業務の属人化を解消できる

    BPOを活用すると、業務の効率アップだけでなく属人化解消にも期待できます。

    自治体での属人化とは、特定の職員が長期間にわたって業務を担当した結果、他の従業員に業務の情報が共有されていない状態を指します。業務プロセスが担当者ごとに分散・固有化しがちです。

    業務の属人化を放置しつづけると、担当者が突然休職や退職する際に、業務が円滑に進まなくなるリスクがあります。

    BPOで外部に委託すると、仮に担当者が不在となっても滞りなく業務が進行するため、属人化リスクを解消できるでしょう。


    時代のニーズに合わせた対応ができる

    BPOでは、DXなど時代のニーズに合わせた対応が可能です。

    2018年には経済産業省が「 産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX) 」を施策として発表しており、行政サービスにもデジタル化やDXによる効率化が求められます。

    BPOを活用すると、ITの最新技術や専門知識を取り入れて業務プロセスの最適化が行われるので、デジタル化の移行もスムーズに進むでしょう。

    たとえば、オンライン手続きの拡充や、データ管理のデジタル化など、BPO業者が自治体ニーズに合わせた形で提案してくれます。


    自治体向けBPOの3つの導入事例を紹介

    自治体向けBPOの3つの導入事例を紹介

    ここでは、自治体向けBPOでパーソルビジネスプロセスデザインが実施した3つの導入事例を紹介していきます。

    • 神戸市:10万円の特別定額給付金をスピード給付
    • 大阪市福祉局:問題解決に向けた円滑な業務を実現
    • 神奈川県:独自の就労支援モデル

    神戸市:10万円の特別定額給付金をスピード給付

    2020年4月20日、新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策として、1人につき10万円を支給する『特別定額給付金』が閣議決定されました。

    150万人以上の人口を持つ神戸市は「給付金を待ち望んでいる方が大勢存在する」と考え、6月中に90%の市民へ給付する目標を掲げました。

    ただ、神戸市職員の全体業務量からして新たに体制を考える余裕がないと考え、パーソルテンプスタッフ(現パーソルビジネスプロセスデザイン)にお声がけいただいた経緯があります。

    ご支援させていただいた結果、給付率は5月末に約80%、7月8日には99%となり、79日目にしてほぼ振り込みが完了となりました。人口100万人以上を抱える都市の中でも圧倒的に早いスピードだったそうです。

    神戸市からは「パーソルテンプスタッフ(現パーソルビジネスプロセスデザイン)さんがバックボーンとして、社内にさまざまなノウハウを持っていることが大きかったですね。」と、評価していただきました。

    事例の詳細: “10万円の特別定額給付金”を79日間で99%の世帯にスピード給付できた、神戸市の裏側


    大阪市福祉局:問題解決に向けた円滑な業務を実現

    大阪市は2021年度の時点で『要介護認定者』の人数が18万人存在し、全国トップの人数でした。

    要介護の認定には公的な手続きが必要なため、2012年に『要介護認定』に関連する業務を集約した『大阪市認定事務センター』を開設しました。

    大阪市認定事務センターでは、要介護認定する際の申請書類を郵送で受け付けています。

    郵送での受付業務を公募型プロポーザル方式で委託する業者を探しており、2015年パーソルテンプスタッフ(現パーソルビジネスプロセスデザイン)が受託しました。

    提案を繰り返しながら円滑に業務を進めた結果、現在では業務分担が明確になり、センターの安定した運営が実現しています。

    事例の詳細: 大量の申請、繁閑の差、電話がつながらない…。問題解決に向けて試行錯誤を重ねて『円滑な業務』を実現。


    神奈川県:独自の就労支援モデル

    2020年度、神奈川県は就職氷河期世代に向けた就職面接イベント「神奈川正社員就職フェア」を開催しました。

    実際に開催したところ「企業ブースよりも相談ブースを希望する人が多い」など、来場者の行動が消極的だったと判明します。

    そこで神奈川県は、就職氷河期世代は就活に必要なノウハウを持っていないと推測し、就職氷河期世代を就職支援する『かながわジョブテラス』を企画しました。

    しかし、稼働にあたり実習や研修などのノウハウやリソースが足りないことに気付いた神奈川県は、就労支援の実績が豊富との理由から、株式会社学情とパーソルテンプスタッフ(現パーソルビジネスプロセスデザイン)への依頼を決めたそうです。

    結果、多くの就職者が希望する企業から内定を貰えるなどの効果を発揮し、参加者からの満足度も高い企画が実現しました。

    事例の詳細: 就職氷河期世代の「良さ」と「強み」を引きだした『独自の就労支援モデル』


    自治体の業務にBPOを導入する際の注意点

    自治体の業務にBPOを導入する際の注意点

    メリットや事例を確認して導入を検討している方は、自治体の業務にBPOを導入する前に2つの注意点も確認しておきましょう。

    • BPOの導入目的を明確にする
    • 現状の課題を把握しておく

    BPOの導入目的を明確にする

    BPOの導入を検討する時は、目的を明確にしましょう。自治体の課題や委託したい業務内容に応じてサービスの条件を調整し、業者を選定する必要があるからです。

    業務の効率化、コスト削減、住民サービスの質の向上、人材不足の解消など、自治体ごとに抱える課題や目指す目的は異なります。

    たとえば、住基や戸籍関連の業務を委託する場合、セキュリティ対策が十分なサービスを選ぶ必要があります。

    BPO導入の具体的な目的を明確に設定して、最大限の費用対効果を発揮しましょう。


    現状の課題を把握しておく

    導入目的と合わせて、現在直面している課題も正確に把握しましょう。「どの業務が人手不足で停滞しているのか」「属人化が進んでいる業務は何か」など、現状の問題点を洗い出さないと、直面している課題解決につながらないからです。

    導入前に課題を把握しておくと、BPO業者と認識に齟齬のない打ち合わせが実現するため、業務改善に効果的な施策を実行できます。

    たとえば、コロナワクチン接種の出張が必要な時に、ノウハウや人数も足りていない事実を事前に把握していた場合、BPOの導入により滞りなく会場運営と人材増員が進みます。


    自治体向けのBPO業者を選ぶポイント

    自治体向けのBPO業者を選ぶポイント

    最後に、自治体向けのBPO業者を選ぶ2つのポイントを紹介します。

    • 自治体業務の実績はあるか
    • セキュリティ体制は万全か

    自治体業務の実績はあるか

    BPOサービスを選択する際は、自治体業務の実績がある業者を選びましょう。

    BPOのサービスによっては民間の業者に関するノウハウがあっても、自治体に関する経験がなく、対応できない場合があるからです。

    自治体業務では民間企業と異なる法律や規制、行政手続きに準じた特有のプロセスが必要です。

    自治体の業務に対してノウハウが豊富に存在する場合は、仕事をスムーズに進めてもらえたり、経験から改善点を提案してもらえたりします。

    実績のあるBPO業者は業務の流れを熟知しているため、住民対応やデジタル化推進など自治体のニーズへ迅速に応えられるでしょう。


    セキュリティ体制は万全か

    導入しようと考えているBPOサービスのセキュリティ体制が万全か確認しましょう。

    自治体は住基や戸籍などの個人情報や機密性の高いデータを扱っています。セキュリティが万全ではないBPOサービスを利用してしまうと、情報が漏洩して国・自治体の信用が落ちてしまうからです。

    セキュリティ面で信頼できるBPO業者は、ISO27001などの国際規格に準拠した情報セキュリティ認証を取得しており、外部からの不正アクセスや情報漏洩を防ぐためのシステムを導入しています。

    基本的に公式ホームページに記載されているため、委託する前に確認しておきましょう。


    自治体BPOならパーソルビジネスプロセスデザインにお任せください

    自治体BPOならパーソルビジネスプロセスデザインにお任せください

    自治体のBPOサービスを利用すると、ノウハウを持った専門の人材が業務を支援するため、人員不足の解消や業務改善などが見込めます。

    職員のノンコア業務を委託すると工数を削減できるため、コア業務に集中ができます。

    自治体業務の中で人員不足に困っている、また業務改善を考えている方は、BPOの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

    自治体向けのBPOを検討されている方には、パーソルビジネスプロセスデザインがおすすめです。

    自治体への豊富な支援実績やノウハウをもとに、各自治体にあった課題解決を提供いたします。

    お困りごとやご相談がある方は、ぜひお問い合わせください。


    このページをシェアする

    • Xシェアボタン
    • Facebookシェアボタン
    • Linkedinシェアボタン