ワーケーションとは?
ワーケーションとは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語であり、観光地やリゾート地などで休暇を楽しみながら仕事をする新たな働き方のことです。
ワーケーションを導入することで、生産性の向上や人材の確保などの効果が期待できるようになるでしょう。詳しくは次項で解説します。
ワーケーションは以下の2つに分類できます。
・休暇型ワーケーション
・業務型ワーケーション
休暇型ワーケーションは、主に休暇をメインとしており、空き時間を活用して業務を行います。福利厚生の一環となっているケースも多く、有給休暇を利用して滞在期間を延ばす従業員も少なくありません。
業務型ワーケーションは、主に仕事をメインとしており、仕事の合間に観光地やリゾート地などで休暇を楽しみます。
業務型ワーケーションは、以下3つのタイプに分類されます。
・地域課題解決型:地域関係者と交流して、その地域が抱える課題の解決策を考えたり、実際に取り組んだりする
・合宿型:会議や研修・ワークショップなどを行うことによって、コミュニケーションの活性化や信頼関係の構築が期待できる
・サテライトオフィス型:サテライトオフィスやコワーキングスペースなどを利用して業務を行う
上記の他にも、休暇活用型や拠点移動型など、さまざまな種類のワーケーションがあります。自分たちに最適なワーケーションを行いましょう。
企業がワーケーションを導入するメリット
企業がワーケーションを導入するメリットは、主に4つあります。
メリット(1)生産性が向上する
メリット(2)人材の確保につながる
メリット(3)企業イメージの向上が期待できる
メリット(4)帰属意識が高まる
順番に解説します。
メリット(1)生産性が向上する
メリット(1)生産性が向上する
オフィスに出社して業務を行う場合、周囲の音で気が散ってしまい、集中できないという従業員は少なくありません。また、上司から雑用を任されることも多く、自分の業務に取り掛かるまで時間がかかる従業員も多いはずです。
一方、ワーケーションを導入すれば誰にも邪魔されることなく、リラックスした状態で業務が行えます。その結果、生産性の向上が期待できるでしょう。
メリット(2)人材の確保につながる
メリット(2)人材の確保につながる
最近では、はたらきやすい環境を求めている求職者も少なくありません。ビッグローブ株式会社が調査したアンケートによると、「あなたが働きたいと思う会社について」という質問に対して、「在宅勤務やリモートワークが可能な会社」「ワーケーションなど柔軟な働き方ができる会社」といった回答が上位にランクインしました。
※参照:ビッグローブ株式会社『学生が働きたい会社「リモートワーク可能」が最多!「給与高い」(5位)を働き方の自由度を求める回答が上回るBIGLOBEが「ニューノーマルの働き方に関する調査」第3弾を発表』
また、「これから就職・転職を考える際、会社選びの条件として在宅勤務やリモートワークができることは重要だと思うか」という質問に対しては、約7割以上が「重要」と回答しました。
そのため、ワーケーションを導入することは、人材確保にもつながるといえます。
メリット(3)企業イメージの向上が期待できる
メリット(3)企業イメージの向上が期待できる
従業員の日頃の疲れを労うという目的でワーケーションを導入している企業も少なくありません。そのため、ワーケーションを導入することで企業が従業員のことを大切にしているというアピールにつながります。
また、ワーケーションでの滞在期間を延ばすために有給休暇を取得する従業員が増えるので、「有給消化率の高い企業」と認知されるようになります。
その結果、企業イメージの向上が期待できるのです。
メリット(4)帰属意識が高まる
メリット(4)帰属意識が高まる
日々の業務が忙しいと、心身ともに疲弊している従業員も出てくるでしょう。ワーケーションを導入することで、従業員はプライベートの時間を確保できるようになり、日頃の疲れを癒やして気分をリフレッシュできます。
また、ワーケーションを通じて社内メンバーと関わる機会も増えるので、仕事に対するモチベーションが向上し、実施する前と比べて帰属意識が高まるはずです。
企業がワーケーションを導入するデメリット
企業がワーケーションを導入するデメリット
企業のワーケーション導入には、メリットだけではなくデメリットもあります。主なデメリットは以下の2つです。
デメリット(1)管理するのが難しい
デメリット(2)導入コストがかかる
1つずつ解説します。
デメリット(1)管理するのが難しい
デメリット(1)管理するのが難しい
ワーケーション中はオフィスではたらいているときと異なり、目視で従業員の勤務状況を確認できません。そのため、従業員一人ひとりを管理するのが難しいのがデメリットといえます。
デメリット(2)導入コストがかかる
デメリット(2)導入コストがかかる
当然ですが、ワーケーション中は宿泊費や交通費、コワーキングスペースの利用料などが発生します。それらの費用を会社ですべて負担する場合には、ある程度のコストが発生するでしょう。
また、滞在先で仕事ができるような環境を整える必要もあります。そのため、少しでも導入コストを抑えたいのであれば、補助金を積極的に活用しましょう。
ワーケーションを導入している企業の事例7選を紹介
ワーケーションを導入している企業の事例7選を紹介
ワーケーションを導入している企業の事例として、以下の7社を紹介します。
(1)ユニリーバ・ジャパン
パーソナルケアやホームケア・食品の製造および販売などを行っているユニリーバ・ジャパンでは、平日の5〜22時の間は働く場所や時間を自分たちで自由に決められる「WAA(ワー)」という働き方を導入しています。
WAAを導入したことで、ストレスの軽減やモチベーションの向上につながったとのことです。また、WAAという働き方が地方創生や地域活性化にも親和性が高いことに気づき、2019年7月からは8つの自治体と連携して、「地域 de WAA」というワーケーションを導入しました。
その結果、新たなアイデアの創出や人材の交流など、さまざまなメリットを実感できているそうです。
(2)株式会社野村総合研究所
IT・コンサル会社の株式会社野村総合研究所では、徳島県三好市にある古民家で15人前後が参加するキャンプを年3回ほど実施しています。
「三好キャンプ」と呼ばれており、業務におけるモチベーションの維持や新たな気づきを目的にしているとのことです。
実際に三好キャンプに参加した従業員は、実施する前と比較すると考え方や時間の使い方などが変わっていることから、ワーケーションの重要性を感じています。
(3)株式会社内田洋行
公共関連事業やオフィス関連事業などを行っている株式会社内田洋行では、2019年に台風の被害があった宮城県丸森町の復興再生に取り組んでいます。
そのなかでワーケーションの実証実験を行った結果、地域の理解が深まっただけでなく、従業員同士のコミュニケーションが活性化し、チームビルディングにつながりました。
今後も丸森町でリモートワークを行っていきたいとのことです。
(4)株式会社日本能率協会マネジメントセンター
人材育成支援事業や手帳・カレンダー事業などを行っている株式会社日本能率協会マネジメントセンターでは、「ラーニングワーケーション」を導入しています。
ラーニングワーケーションとは、特定の地域で体験できるプログラムのことです。2018年に和歌山県でワーケーションを行ったのをきっかけに、現在は都市と地域が往来できる越境学習「here there(ヒアゼア)」の開発に取り組んでいます。
人材の育成に役立てていることが、やりがいとなっているはずです。
※参照:国土交通省観光庁「株式会社日本能率協会マネジメントセンター」
(5)日本航空株式会社
日本の航空会社としても有名な日本航空株式会社では、有給休暇の取得率向上を目的として、2017年から休暇型ワーケーションを導入しています。
その結果、有給取得率と従業員のモチベーション向上につながりました。現在は2割以上の従業員がワーケーションを活用しています。ひとつの地域にこだわらず、さまざまな地域で実施しているとのことです。
(6)株式会社LIFULL
住宅・不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」を運営している株式会社LIFULLでは、宿泊機能が備わったコワーキング施設を全国で13拠点展開しています。
場所に縛られない自由な働き方や暮らし方の実現を目指した結果、就活生から注目を集めて人材の確保につながっています。
(7)日本マイクロソフト株式会社
ソフトウェアの開発や販売を行っている日本マイクロソフト株式会社では、「いつでもどこでも誰とでもコラボレーション」をコンセプトに業務を行っています。
ワーケーションや在宅勤務制度という概念はなく、業務に応じて働き方を柔軟に変えることで、企業競争力が高まると話しています。
ひとつの働き方に固執しないことが業務の効率化や働きやすさにつながっているとのことです。
ワーケーションを成功させるためのポイント
ワーケーションを成功させるためのポイント
ワーケーションを成功させたいのであれば、以下で紹介する4つのポイントを意識しましょう。
ポイント(1)就業規則を変更する
ポイント(2)新たなツールやシステムを導入する
ポイント(3)人事評価制度を見直す
ポイント(4)負担する費用について明確にする
1つずつ解説します。
ポイント(1)就業規則を変更する
ポイント(1)就業規則を変更する
従来の就業規則をワーケーションにそのまま反映してしまうと、リフレッシュ効果や非日常体験などを得られず、本来の効果があまり実感できない可能性もあります。
そのため、ワーケーションを導入するにあたって、就業規則の変更を検討しましょう。
ポイント(2)新たなツールやシステムを導入する
ポイント(2)新たなツールやシステムを導入する
ワーケーションでは、これまでのオフィスとはまったく異なる環境ではたらくことになるため、環境が整備されていないと生産性が低下する恐れもあります。
そのような事態を防ぐためにも、新たなツールやシステムの導入を検討しましょう。
ポイント(3)人事評価制度を見直す
ポイント(3)人事評価制度を見直す
ワーケーションは、出社時のように従業員のはたらいている姿を目視で確認できないので、従来の人事評価では正当な評価を下すのが困難です。
そのため、全員が納得できるような人事評価制度を導入できるよう見直しましょう。
ポイント(4)負担する費用について明確にする
ポイント(4)負担する費用について明確にする
ワーケーションを導入するにあたって、宿泊費や交通費、コワーキングスペースの利用料などがかかります。自社で全額負担することもあれば、一部の費用を従業員に負担してもらうケースも出てくるでしょう。費用負担をどうするかは、企業によってさまざまです。
負担する費用について曖昧な状態のままワーケーションを行ってしまうと、従業員から不信感を抱かれてしまうリスクがあります。
そのため、ワーケーションを行う前に負担する費用について必ず明確にしておきましょう。
ワーケーションのことならパーソルビジネスプロセスデザイン
本記事では、ワーケーションの基礎知識や導入することによるメリット・デメリット・実際の事例などについて解説しました。
ワーケーションは休暇型と業務型の2つに分かれており、導入することで生産性の向上や人材の確保・企業イメージの向上などが期待できます。
ワーケーションを実施している企業も多いので、本記事を参考に検討してみましょう。「ワーケーションを自分たちで実施できるか不安」「社員満足度を高めるための手段としてワーケーションを活用したい」ということであれば、パーソルビジネスプロセスデザインにお任せください。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、企業向けのワーケーションサービス『&Office』を提供しています。&Officeは企業向けのワーケーションサービスとなっており、その地ならではの体験を通じて、採用力やチームビルディング・エンゲージメントの向上が期待できます。
コワーキングスペースやネット環境も整っているので、業務にもスムーズに取り組むことが可能です。
プランニングから実施後のレポート作成までワンストップでサポートしますので、初めてワーケーションを行う場合でも安心です。
まずはお気軽にご相談ください。