タレントアクイジションとは
タレントアクイジション(Talent Acquisition)とは、才能(タレント)を持つ人材を獲得すること(アクイジション)に重きを置いた採用手法です。
タレントアクイジションでは、今欠けている人材を採用しようとするのではなく、「中長期的に会社を発展させていくために必要な人材」を確保することを目指します。しっかりと戦略を練って、自社で活躍する見込みのある候補者に能動的にアプローチをしていくことで、将来的に自社の成長に貢献し得る人材を確保できるという考えです。
1-1. 従来の採用活動との違い
1-1. 従来の採用活動との違い
タレントアクイジションと通常のリクルーティングの違いは、目指す成果や注力する施策の内容にあります。
リクルーティングは、採用計画や欠員募集など「社内募集を埋める」意味合いが強く、短期的な採用プロセスを指すものです。
一方、タレントアクイジションは、企業の目指すべき姿から考えた長期的なHR戦略であり、採用ターゲットの定義や採用ブランディング、潜在層へのアプローチを指します。
双方の活動内容には共通する部分もないわけではありません。
しかし、人員補充を目的とする通常のリクルーティングと、自社のビジョンの達成やブランドの強化を目的として質の高い人材の獲得を目指すタレントアクイジションには、目的に大きな違いがあるといえるでしょう。
タレントアクイジションが注目される背景
タレントアクイジションは、最近になって注目されるようになった手法です。
企業での導入が増加しつつある背景としては、以下の3つが考えられます。
- 人材獲得における競争が激化している
- 採用コストが増加している
- 新たな採用手法の登場により「待ち」ではなく「攻め」が必要になった
それぞれの詳細について解説します。
2-1. 人材獲得における競争が激化している
2-1. 人材獲得における競争が激化している
タレントアクイジションが注目される理由の1つとして、人材獲得競争の激化が挙げられるでしょう。市場に存在する人材の母数が減っているため、少数の人材の奪い合いが激しくなっているのです。
日本では年々人口構造が変化しており、人口は減少の一途を辿っています。厚生労働省の調査では、2070年には、2023年現在の約1億2,000万人から約9,000万人へと減少する見通しです。
人口減少と少子高齢化によって労働人口の減少も進んでおり、2022年の調査では労働人口が6,902万人と、前年調査よりも約5万人減少していることが判明しました。この流れは、この先も加速していくといわれています。
また、国内人材だけでなくグローバル人材の獲得も激化しています。グローバル人材は人件費が安い傾向にあるため人気が高く、獲得に各社がしのぎを削っている状況です。
つまり、国内人材だけでなく、グローバル人材の獲得をめぐる競争も厳しさを増しつつあるといえます。
人材の母数が少なく、人材獲得競争が激化しているため、従来の広告を大量に出稿したり、手当たり次第アプローチしたりする手法では、自社で活躍し得る人材を確保するのは難しくなってきました。
そこで、やみくもに数を追うのではなく、しっかりと戦略を練って、自社の採用候補となる人材にピンポイントでアプローチしていくタレントアクイジションが注目されているのです。
タレントアクイジションでは、市場に母数が少ない中でも質の高い人材を確保できます。
2-2. 採用コストが増加している
2-2. 採用コストが増加している
採用コストの増加も、タレントアクイジションが注目を集める要因の1つです。採用コストは、以下を背景に、増加傾向にあります。
- 採用活動が長期化している
- 入社後のミスマッチや転職の活発化などによる早期離職が増加している
- 自社に合った採用媒体を選べていない など
市場における求職者数の減少や人材獲得競争の激化を受けて、各社は不足している人材を確保することに苦戦しています。掲げた目標数を獲得できなければ、採用活動は長期的に実施する必要がありますが、それに際して人件費や広告費などのコストも嵩んでしまうでしょう。
入社後のミスマッチや転職の活発化などによる早期離職の増加も、採用コストの増大に影響を与えています。入社後にすぐに辞められてしまっては、採用に費やした費用が無駄になり、さらに新規で人材の獲得に励まなければなりません。結果として、人材1枠を確保するための採用コストは、「退職した人材のコスト+新規獲得した人材のコスト」となり、採用コストは増加するのです。
自社に合った採用媒体を選択できていなければ、採用活動は難航し、「多くのコストを費やしたものの十分な人材を得られなかった」といった問題を抱えやすくなります。
こうした種々の問題によって、採用コストを負担に感じる企業が増加しています。そのため、膨大な広告費をかけて人材を獲得する通常のリクルーティングから、的を絞った採用活動によって費用対効果の高い採用をおこなえるタレントアクイジションに注目が集まっているのです。
2-3. 新たな採用手法の登場により「待ち」ではなく「攻め」のアプローチが必要になった
2-3. 新たな採用手法の登場により「待ち」ではなく「攻め」のアプローチが必要になった
タレントアクイジションの導入が進んでいる背景には、採用トレンドの変化も挙げられるでしょう。近年では、従来のチラシやCMといった広告による求人だけでなく、ソーシャルメディアリクルーティング、ダイレクトソーシング、リファラル採用などの方法も、採用に活用されるようになりました。
こうした新しい採用手法には、求職者に能動的にアプローチするという共通点があります。各社がSNSなどでスカウトやオファーで積極的にアプローチするようになったことで、優秀な人材は自社の広告を見る前にすでに他社に採用されていた…といった問題も生じるようになりました。つまり、「待ち」のスタンスでは、優秀な人材を獲得するのが難しくなったのです。
しかし、タレントアクイジションであれば、さまざまな手法を用いて攻めのスタンスでアプローチをしていくため、優秀な人材を獲得する機会の損失も防ぎやすいです。採用トレンドの変化に対応した手法であることも、タレントアクイジションが注目されている背景といえます。
タレントアクイジションのメリット
それでは、タレントアクイジションのメリットについて3点を挙げて解説してみましょう。
メリット(1)優秀な人材を確保できる
メリット(1)優秀な人材を確保できる
タレントアクイジションは優秀な人材の獲得に焦点を当てているため、「求める人材」を確保できるのが大きなメリットです。
従来のリクルーティングのように、求人広告を出して可能な限り大きな母集団を形成しようとする採用方式とは異なり、タレントアクイジションは量よりも質を重視した採用方法です。
採用ブランディングやメディアへの露出によって、事業内容や今後のビジョンを発信することで、自社の基準に満たない人材はセルフスクリーニングされます。即戦力になるような優秀な人材のみが残り、求める高付加価値人材を採用しやすくなるのです。
メリット(2)新規事業の創出や事業拡大が期待できる
メリット(2)新規事業の創出や事業拡大が期待できる
タレントアクイジションの目的は、新規事業の創出や事業拡大など、企業の持続的な成長をサポートする優秀な人材を獲得することです。経営戦略に基づいた人事戦略を立て、狙いを定めて転職潜在層に働きかけることで、希望する人材を見つけやすくなります。
新規事業や事業拡大でどのようなスキルを有する人材が必要なのか、徹底的にターゲットを絞り込むことで目的が達成されやすくなるでしょう。
メリット(3)マッチング率が高い
メリット(3)マッチング率が高い
タレントアクイジションは、企業と人材のマッチング率が高い点もメリットです。
タレントアクイジションでは、採用ブランディングを強化し、メディアやSNSで発信を続けて転職潜在層を惹きつけ、タレントネットワークを構築します。潜在層は発信内容に触れていくうちに「教育」され、企業への関心が増していくのです。
発信内容に業務内容や企業カルチャー、社員のはたらく様子などを含めておけば、入社後のミスマッチが起こりにくくなります。転職潜在層へのアプローチは時間がかかりますが、一方で人材の定着率は高まるでしょう。
タレントアクイジションのデメリット
それでは逆に、デメリットは何でしょうか。続いては、タレントアクイジションのデメリットについて3点ほど解説していきます。
デメリット(1)工数が増え、人事担当者の負担が増加する
デメリット(1)工数が増え、人事担当者の負担が増加する
タレントアクイジションは効果的な採用手法ですが、採用ブランドの構築や入社後のサポートなど、従来の採用活動よりも工数は増加してしまいます。人事担当者の負担も重くなるため、リソース不足に悩んでいる企業はなかなか踏み出せないかもしれません。
また、採用の質を高める必要がある点も注意が必要です。タレントアクイジションは量よりも質を重視しており、経営方針に沿った人材を見つけて採用しなければなりません。さらに、ブランドを構築したうえで潜在層を育てる戦略については、マーケティングの知識も必要になってきます。
タレントアクイジションは急に始められる手法ではないうえ、場合によっては人事担当者の負担が増える可能性がある、という点がデメリットといえるでしょう。
デメリット(2)社内にノウハウがなく、過去の参考事例も少ない
デメリット(2)社内にノウハウがなく、過去の参考事例も少ない
タレントアクイジションは歴史の浅い採用手法で、社内にノウハウがなく、参考にできる事例が少ない点もデメリットです。
人事担当者は手探りで推進することになり、成功の道筋を見つけるまでにどうしても手間がかかります。ただ、ノウハウがないというのは他社も同様で、自社の成功パターンを見つけると優秀な人材を囲い込めますが、PDCAを回しながら時間をかけて模索する必要があるのです。
デメリット(3)短期での採用は難しい
デメリット(3)短期での採用は難しい
タレントアクイジションは短期での採用が難しい点もデメリットのひとつです。タレントアクイジションでは、転職市場には現れない潜在層に向けてアプローチするため、中長期的な戦略という位置づけなのです。
そのため、「欠員補充のためすぐ人材が欲しい」という場合には、これまでのリクルーティング手法に頼らざるを得ません。ですから、タレントアクイジションに限らず、人材が必要となるタイミングに応じて柔軟に採用手段を変えていくことが重要です。
タレントアクイジションを導入する流れ
タレントアクイジションを実施する際には、以下のステップを踏んで導入を進めていくと良いでしょう。
- 自社のポジションや強みを分析する
- どのような人材にアプローチするべきか決める
- 採用ブランドを構築する
- タレントを引き付けるアクションを実行する
タレントアクイジジョンで成果を出していくには、順序立てておこなっていくことが大切です。いきなりアプローチをしていく前に分析や人材要件の定義をすることで、ターゲットに適切な、的を射た採用活動をおこなえるようになります。
ステップ(1)自社のポジションや強みを分析する
ステップ(1)自社のポジションや強みを分析する
タレントアクイジションを実施する際には、まずは自社のポジションや強み、市況などを分析して、現状把握をおこないましょう。現状を把握することで、採用市場における自社の立ち位置や立ち回りが見えてくるようになります。自社や市況を客観的に捉えられれば、候補者にどのようにアプローチ・訴求をすれば、自社に関心を持ってもらえるようになるのかを明らかにできるでしょう。
SWOT分析やPEST分析など分析のフレームワークを用いることで、効率的に自社の状況を分析できます。
フレームワーク例 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
SWOT分析 | 自社を取り巻く環境を、以下4つの要素に分類して分析する Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威) | 例)小売店 強み:新店舗の立ち上げを計画中、年齢や社歴に左右されず成果で評価される 弱み:新しい企業のため、評価制度や体制が整っていない 機会:競合店舗が閉鎖し、新規のお客様が増えている 脅威:売り手市場で採用しにくい、周囲に競合他社の店舗が増えつつある |
PEST分析 | 自社が置かれている環境を、以下4つの要素に分類して分析する Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術) | 例)自動車業界 政治:2050年カーボンニュートラルに伴う電動化の推進が始まっている 経済:自動車業界が低迷する中でも軽自動車の需要は上昇している 社会:若者の車離れが加速しており、カーシェアリングサービスも拡大している 技術:自動運転や電気自動車の開発が進んでいる |
分析によって見つかった強みとなる部分は武器とし、弱みとなる部分はうまくカバーをして採用活動を進めていくことで、候補者から魅力的に映りやすくなります。
ステップ(2)どのような人材にアプローチするべきか決める
ステップ(2)どのような人材にアプローチするべきか決める
現状把握をしたあとには、達成したい経営戦略や事業戦略から逆算して、タレント人材獲得の採用計画を考えていきます。具体的には、中長期的な視点で捉えた際に、どの部署に、どのような人材が、何名必要なのか、などを検討していきましょう。
先述のとおり、タレントアクイジションでは、現在不足している人材の補充よりも、長く活躍していく優秀な人材を獲得することを目的としています。そのため、人員が不足している現場を軸に採用計画を考えるよりも、自社の中長期的な経営戦略を軸に必要な人材を検討することが重要です。
人事部だけではタレントアクイジションの採用計画を立てるのは難しいため、経営層とも積極的に連携を取っていくようにしましょう。
また、経営層を主体に推進をする場合には、現場とのギャップに注意が必要です。経営戦略だけに意識を向けてしまうと、現場の現状や課題に対して的外れな人材要件を考案してしまうリスクがあります。
タレントアクイジションを成功させるためには、経営戦略を立てる段階で、アンケートやヒアリング調査などで現場の状況を把握し、それを反映させておくことも欠かせません。
ステップ(3)採用ブランドを構築する
ステップ(3)採用ブランドを構築する
アプローチするべき人材が決まったら、その候補者から自社が魅力的に映るように、ブランドを構築していく必要があります。採用ターゲットの興味関心と一致するブランドイメージを構築できれば、応募につながりやすくなるはずです。
採用ブランドを構築する際には、以下のように多角的な施策を講じていきましょう。
- SNSなどを通じて自社のターゲットと交流を図り構築する
- SNSなどで情報発信をして、イメージを醸成する
- 社員のエンゲージメントや定着率を向上させる
- 企業の口コミサイトの点数を上げる
- 致命的な欠点を改善する
基本的には、良い点を伸ばしてアピールすることが大切です。
しかし、ハラスメントが横行している、不正行為があった、残業時間・休日出勤が多くワークライフバランスが悪すぎるなど、致命的な問題点を解消していくことも決して欠かせません。ネガティブな点を放置してしまうと、悪い口コミが流れた際に、時間をかけて構築したブランドを台無しにしてしまうリスクがあります。
なお、採用ブランドの構築には時間がかかるため、採用活動を進めながら同時並行でおこなっていくようにしましょう。
ステップ(4)タレントを引き付けるアクションを実行する
ステップ(4)タレントを引き付けるアクションを実行する
それでは続いて、タレントアクイジションの一環として活用できる方法について、4点を挙げて解説していきます。
①ダイレクトソーシング:人材情報のデータベース活用
①ダイレクトソーシング:人材情報のデータベース活用
ダイレクトソーシングとは、人材情報のデータベースを活用し、希望する条件の人材を探し出す手法です。転職潜在層にダイレクトメッセージを送信し、応募に同意してくれるようコミュニケーションを取っていきます。
人材情報のデータベースは、自社にこれまで応募のあった人材を登録しプールさせておいたり、外部のデータベースを契約したりして活用します。保有するスキルや資格、キャリアや年収など、条件を絞ってピンポイントで検索できますので、優秀な人材を獲得しやすくなるでしょう。
②ソーシャルリクルーティング:SNSの活用
②ソーシャルリクルーティング:SNSの活用
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを活用した採用手法です。LinkedInやFacebook、Twitterなどを通して人材を見つけ、求職者にダイレクトメッセージを送信します。SNSを使って継続した情報発信をすると、働き方やオフィスの雰囲気などリアルな情報を伝えられるようになります。
ソーシャルリクルーティングでは、採用したい人材が関心のありそうなコンテンツを発信することがポイントです。まずはターゲットや競合他社を分析し、ペルソナ設計やコンテンツ企画に着手しましょう。企業のブランディングを損なわず、統一感のあるコンテンツを発信していくことが重要です。
そのうえでSNSからスカウトすると、自社に向いている人材を採用しやすくなり、ミスマッチが減少するでしょう。
③インターナルモビリティ:人事異動制度の活用
③インターナルモビリティ:人事異動制度の活用
インターナルモビリティとは、企業内の人事異動制度のひとつです。「社内転職」とも呼ばれ、社員のスキルや経験、希望に応じて、企業内で人材配置を適正化します。
別の部署に異動するだけでなく、グループ会社の場合はグループ内の異動も含まれます。人材を適切に配置することで「人的資源を最大限に活かせる」として注目されている手法です。優秀な人材は、社外だけでなく社内からも獲得できることを忘れないでおきましょう。
④リファラル採用:社員による紹介
④リファラル採用:社員による紹介
リファラル採用は、社員が友人や知人を求職者として紹介する採用手法です。
自社について理解が深い社員から紹介されるので、企業風土に合った人材を獲得しやすいのが特徴です。また、転職サービスに登録していない潜在層を採用できますので、効率的にアプローチできる点もメリットといえます。
企業内にリファラル採用を浸透させるために、求職者を紹介した社員に対してインセンティブを提供する企業も多く見られます。求職者に声がけするハードルを低くするために「会食費用を支給する」というのも効果的でしょう。
タレントアクイジションを成功させるポイント
タレントアクイジションを成功させるためには、順序立てておこなうだけでなく、以下のポイントを意識して実施していくことも重要です。
- タレントアクイジション組織の基盤を固める
- 計画や戦略を細かく設定する
- リテンションにも注力する
専門性の求められるタレントアクイジションを既存の人員だけで実施するのは難しいため、外部委託を活用するなどして組織の基盤を固めていくことや、採用後の定着にも目を向けることが大切です。それぞれの詳細について解説します。
6-1. タレントアクイジション組織の基盤を固める
6-1. タレントアクイジション組織の基盤を固める
成功させる1つのポイントとして、タレントアクイジションの基盤をつくることが挙げられます。タレントアクイジションでは、通常の採用活動とは異なるプロセスを踏んでいく必要があるため、組織内に知見のある人間が欠かせません。
採用組織にタレントアクイジションを導入する基盤を生み出す手法としては、下記が挙げられるでしょう。
- 経験者を採用する
- 外部からアドバイスを受ける
- 人材を社内調達(育成)する
タレントアクイジションに関して専門性の高い人材を採用したり、クライアントへの支援実績が豊富な業者から支援を受けたりすることで、自社にノウハウやリソースがなくても効率的・効果的に進めていけます。
ただし、タレントアクイジションに通じた経験者の市場価値は高く、通常の人材よりも採用が難航しがちです。また、社内研修などを通じて育成していくのは、「期待通りの人材に育てられるのか」という側面において不確実性が高く、コストもかかります。そのため、高い専門性を持った業者に委託するのが最も賢明といえるでしょう。
6-2. 計画や戦略を細かく設定する
6-2. 計画や戦略を細かく設定する
タレントアクイジションを成功させる1つのポイントとして、経営戦略に紐づいた緻密な計画や戦略策定をすることも挙げられます。経営や事業のフェーズによって、企業に必要な人材やスキルは変化していくものです。十分に戦略や計画が練られていなければ、変化や外部要因に振り回され、的外れな採用活動をしてしまうリスクがあります。
また、一度しっかりと煮詰めた計画内容は放置せず、定期的に見直していくことも大切です。環境の変化によって必要な人材の要件が変われば、取るべき行動の変更も求められます。
6-3. リテンションにも注力する
6-3. リテンションにも注力する
タレントアクイジションのゴールは、ただ人材を確保することではなく、中長期的に自社で活躍できる人材を確保することです。そのため、採用して終わりではなく、採用後に人材を保持していくことも重要といえます。
採用した人材がしっかりと定着し、活躍していけるよう、オンボーディングや労働環境の改善などの施策も考えていくようにしましょう。オンボーディングとは、入社前後の社員に職場や業務に馴染んでもらえるようサポートする取り組みです。
●オンボーディング施策の一例
入社前 | 入社前研修 内定者インターン 内定者同士の交流 会社内報などの資料送付 課題図書や通信教育の提供 |
入社後 | OJT(付き添いで業務を教える方法) 業務に関する講義 企業理念・文化やルールを学ぶ研修 質問窓口、相談係の設置 業界についての理解を深める研修 |
オンボーディングを実施することで、「放置されていて、することがない」「居心地が悪く、職場にいたくない」といった理由からの早期離職を防げるようになります。また、業務支援を通じて、早い段階での即戦力化にも期待できるでしょう。
オンボーディングは新卒採用向けにおこなわれるイメージが強いかもしれませんが、中途採用においても重要です。中途採用でも、入社後の放置やカルチャーへの不一致により、業務に着手するのが遅延してしまうケースや、退職してしまうケースがあります。
まとめ
ターゲットを見極めて攻めの採用活動をおこなっていくことで、自社で長期的に活躍してもらえる人材を確保しやすくなります。
タレントアクイジションでは、アプローチ前の事前準備や、アプローチする対象の見極めが重要です。経営戦略に沿ってしっかりと採用計画を練り、適切なターゲットに的を絞ってアプローチをしていくようにしましょう。
それにより、パフォーマンスの向上や定着率の高い人材の確保に期待できます。
タレントアクイジションには高い専門性が求められるため、自社に十分なリソースがない場合には、外部委託をするのも1つの手です。外部の力も借りながら、タレントアクイジションを進めていきましょう。