ストレスチェックの集団分析とは|結果の見方と活用方法を解説!

ストレスチェックの集団分析とは|結果の見方と活用方法を解説

2015年の労働安全衛生法改正に伴い、常時50人以上の労働者を雇用する事業場を対象にストレスチェックの実施が義務化されました。また、ストレスチェックの“集団分析”は組織の健康状態を可視化し、職場環境の改善に取り組むためにも重要です。

本記事では、集団分析の流れ・結果の活用方法や注意点を解説しています。集団分析の結果をうまく活用できていないなどお悩みの際はぜひご覧いただき、メンタルヘルス不調の未然防止に取り組んでみてください。

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    ストレスチェックの集団分析とは

    「ストレスチェックの集団分析」とは、集団ごとの集計・分析をストレスチェックの実施者である医師等が行うことを指します。

    部署や職種、職位・職階など業務実態に合った集団を分析することで、組織の構造的なストレス状況を把握でき、業務量、人員、勤務形態の調整など、職場環境の改善に活用することができます。

    集団分析の実施方法は、使用する調査票(ストレスチェックの項目)により異なりますが、
    厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を使用し「仕事のストレス判定図」をもとに分析を行うことがメジャーな手法です。

    2025年3月現在、ストレスチェックの集団分析は努力義務とされていますが、令和4年11月から令和5年10月までの期間に実施された厚生労働省の調査によると、ストレスチェックの集団分析を実施した事業所の割合は約70%、そのうち集団分析の結果を活用したと回答した事業所は約80%となっています。

    徐々に集団分析の結果を活用する動きは浸透していると言えますが、従業員自身でストレス要因を取り除くことは非常に難しいため、結果の見方と活用方法を適切に理解し、職場環境の改善に取り組むことが重要です。

    集団分析の役割

    そもそもストレスチェック制度は「メンタルヘルス不調の未然防止」を目的としており、実施したから終わりというわけにはいきません。2025年3月現在、集団分析は努力義務ですが、ストレスチェック結果を分析することで以下のメリットがあることから重要な役割といえます。


    • 組織内のストレス要因を特定し可視化する
    • 職場環境の改善を行う際の指針になる

    部署や職種など関連性の高い集団のストレスチェック結果を分析することで、ストレス要因の傾向を可視化し課題の特定に繋がります。また、個人単位では見過ごされがちな構造的な課題を明確にすることで、優先的に改善に着手すべきポイントを整理しやすくなります。


    例えば、部署Aのメンバーに高ストレスの傾向がみられた場合には、当該部署の業務配分の見直しや人員体制の再構築を行うなど、環境改善の指針となるでしょう。

    なお、集団分析の結果から積極的に職場環境の改善に取り組むことでメンタルヘルス不調のリスクを低減するだけでなく、自社への安心と信頼を醸成することにもつながり、従業員エンゲージメント(ES)向上の役割も期待されます。

    集団分析の実施手順

    一般的にストレスチェックの集団分析は次の手順で実施されます。

    1. ストレスチェック結果の集計
    2. 分析対象となる集団の選定
    3. 集団分析の実施
    4. 課題の特定と改善

    一つずつ解説します。

    ステップ(1)ストレスチェック結果の集計

    始めに、ストレスチェックの回答データを集計します。

    個人情報保護の観点から、データの取り扱いには注意が必要になるため、個人が特定できないよう匿名化やアクセス制限を設けましょう。情報漏洩のリスクを最小限にするための対策を講じることが重要です。

    なお、ストレスチェックを単なる義務として実施している場合や回答率が低い場合には、正確な分析が行えないため従業員にストレスチェックの目的を丁寧に説明し、能動的な参加を促しましょう。

    ステップ(2)分析対象となる集団の選定

    次に、分析対象となる集団を選定します。

    個人が特定されないよう原則として10名以上での実施が必要となりますが、10名を下回る場合には複数部署を合算して分析を実施することも可能です。
    この際、個人の特定につながらない方法でない限りは、集計・分析の対象となる全ての労働者の同意がなければ企業側に集計・分析の結果が開示されない点に留意しておきましょう。

    基本的な集団の分け方は、以下が挙げられます。

    • 部署
    • 職種や職位
    • 勤続年数
    • 年齢
    • プロジェクト(チーム) など

    対象の集団については企業側で調整することができますので、「職種ごとの固有のストレス要因を明確にする場合には職種別に分析する」など目的を決め集団を選定しましょう。

    ステップ(3)集団分析の実施

    続いて、医師などストレスチェックの実施者が集団ごとの分析を行い、チェック項目の平均値や高ストレス者の割合を算出します。

    厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」または簡易化した調査票を使用する場合は、「仕事のストレス判定図」を用いて実施されます。

    この「仕事のストレス判定図」では、「仕事の量的負担」「仕事のコントロール」「上司の支援」「同僚の支援」の4つの尺度の得点を計算し、集団の平均値と標準集団(全国平均)を比較することで、集団におけるストレスレベルや健康リスクを判定することができます。

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    ※出展:厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」より引用

    ステップ(4)課題の特定と改善

    最後に実施者から提供された集団分析の結果をもとに組織課題を洗い出し、職場環境の改善に取り組みましょう。

    「部署Bは、業務量の項目が平均値よりも高い」、「C職のメンバーに対する周囲のサポートが少ない」といった集団ごとの課題とその要因が可視化できるはずです。アンケートの実施やヒアリングを行い従業員の意見も取り入れながら、ストレス要因の解消に向けた根本的な取り組みが必要となります。

    例えば、「業務量が多い部署には、業務配分の見直しや人員配置の調整を検討する」、「サポートが少ない職種があれば、チームビルディング研修を行う」など組織の課題に即した対策を講じることが重要です。

    集団分析結果の見方と活用方法

    ストレスチェックの分析結果は職場環境の改善を行う上で重要なデータとなりますが、適切に評価し活用しなければストレス要因の根本的な改善は難しいでしょう。

    ここでは、集団分析結果の見方・評価方法とその活用方法を解説します。

    4-1. 集団分析結果の見方と評価方法

    集団分析の方法は、ストレスチェックの際に使用する調査票により異なりますが、厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」を用いる場合には、「仕事のストレス判定図」による分析がメジャーです。

    「仕事のストレス判定図」は次の2つの図からなります。

    • 量ーコントロール判定図
    • 職場の支援判定図
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    ※出展:厚生労働省「職場結果「仕事のストレス判定図」について」より引用

    まず、従業員のストレスチェック結果を、「仕事の量的負担/仕事のコントロール/上司の支援/同僚の支援」の4つの指標で数値化し、分析対象の集団ごとの平均値を算出します。その数値をそれぞれの判定図にプロットして、標準集団(全国平均)と比較します。

    さらに、現在の職場におけるストレス要因が、どの程度従業員の健康に影響を与えるかを図る指標として“総合健康リスク”を算出(「量-コントロール判定図の値」×「職場の支援判定図」/ 100)することができます。

    職場の健康リスク評価

    職場名 営業部(業務内容:営業戦略の策定、商談)
    対象者数 男性:10名 女性:5名
    尺度 全国平均 平均点数(前回比) 健康リスク(全国平均=100とした場合) 総合健康リスク
    量的負担 8.7 8.5(+1.6 量―コントロール判定図
    108(-6)
    総合健康リスク
    121(+27
    コントロール 7.9 6.4(+2.1)
    上司の支援 7.5 6.0(-2.8 職場の支援判定図
    112(+38
    同僚の支援 8.1 8.8(-0.9

    上記の例では、ストレスチェックの結果から平均点数(前回比)を算出しており、赤字は前回より悪化、黒字は前回より良化していることを示しています(「仕事のコントロール」のみ前回比で改善されている状態)。また、健康リスクの列をみるとコントロール(自由度)が良化していることから「量―コントロール判定図」は改善しているが「職場の支援判定図」は悪化しており、ストレスレベルが高くなっていることが読み取れます。

    結果的に総合健康リスクが 121となっており、職場のストレスを起因とする心理的ストレス反応、疾病休業、医師受診率等のリスクが 1.2 倍になることが推定される状態という見方が可能です。

    この総合健康リスクが150を超えている場合には、該当集団の中で健康問題が顕在化している可能性が高いため早急な改善が必要となります。また120を超えている場合でも、問題が顕在化する前に潜在的なストレス要因を早期発見し職場環境の改善に取り組むべきといえるでしょう。

    4-2. 職場環境改善のフレームワーク

    集団分析の結果をもとに職場環境の改善へ取り組む際は、以下のフレームワークを参考にしてみてください。なお、単に職場・組織の問題を指摘するのではなく、「どうするとより良くなるのか」を検討することが大切です。

    ●環境改善に向けた体制づくり

    職場改善の改善を効果的に行うためには、事前の体制構築や方針を明確にしておくことが重要となります。改善主体に応じて「経営者主導型」、「管理職主導型」、「専門職主導型」、「従業員参加型」の4つに分類されますが、いずれの場合でも産業医など産業保健スタッフと管理職・管理監督者間での連携を取ることが求められるでしょう。

    ●職場環境の評価

    ストレスチェックで使用した調査票をもとに、組織のストレス要因など職場環境の評価を行います。「職業性ストレス簡易調査票」を使用した場合は前述した「仕事のストレス判定図」を、それ以外の独自の調査票を使用した場合は経年比較など、事業場に適した方法で評価しましょう。

    ●改善計画の立案

    次に評価結果に基づき、安全衛生委員会・各部署の管理監督者が環境改善を計画します。必要に応じて、産業医や事業場外の専門家の支援を受けることも効果的です。

    計画立案時のポイントは以下が挙げられます。


    • 事業所内外の優良事例を事前に収集する
    • 主体的に参加できるよう、従業員の意見を聞き施策に反映する
    • 心身の負担に関する職場環境や労働条件など幅広く着目し施策を検討する

    実効性のある改善計画を立案するために、改善の内容だけでなく、そのタイミングやスケジュールを明確にしておくことが重要です。限られたリソースの中で実施できるよう考慮しておきましょう。適宜、健康経営に特化したコンサルティングなど外部からの支援を受けることも有効です。

    ●改善施策の実施

    立案した計画を実行に移します。継続的に改善が進むよう、「計画に則り実行できているか」、「実施上の問題は起きていないか」など進捗共有を定期的に行いましょう。部署ごとに中間報告や3カ月・半年ごとなど期間を定め報告してもらうことも効果的です。

    ●施策の評価と計画の見直し

    一定の期間で、改善施策の効果を評価しましょう。

    計画通りに施策が実行できたかを活動記録や関係者へのヒアリングで判断するパフォーマンス評価、施策の目的としていた指標が改善したかどうかで判断するアウトカム評価のいずれかの評価方法が一般的です。

    計画から逸脱している場合や参考指標が目標値から乖離している場合には、計画を見直します。反対に数値の改善がみられた事例などは好事例として全社へ共有しながら、PDCAサイクルを回しましょう。

    集団分析結果を活用する際の注意点

    ストレスチェック結果を正しく読み取り理解することで組織の健康状態を把握し、メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)に取り組むことができますが、効果的に活用するためには以下の点に留意しておく必要があります。

    • 総合健康リスクと高ストレス者を把握する
    • 職場環境の改善を見据えた集団の設定が重要
    • 分析結果の適切な開示と保管

    一つずつ解説します。

    5-1. 総合健康リスクと高ストレス者を把握する

    集団分析の結果をもとに「総合健康リスク」と「高ストレス者」を特定しそれに応じて対策を行うことが必要となります。

    総合健康リスクは「仕事のストレス判定図」から算出し、職場のストレス要因が従業員の健康に与える影響度合いを評価します。リスクが高くなっている集団に関しては、メンタルヘルス不調が顕在化している可能性も高いため、対策が必要になります。

    また、平均値を下回る場合でも問題がないというわけではありません。仕事のストレス判定図で用いる4つの指標(
    仕事の量的負担/仕事のコントロール/上司の支援/同僚の支援)以外にも“仕事のやりがい”や“業務の将来性”など仕事上のストレス要因は多岐に渡る点に留意しておきましょう。

    ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定をされた従業員に対しては、産業医・心理カウンセラーなどによる面談を実施する必要があります。高ストレス者個人に対するケアだけでなく、該当者が所属する組織内のストレス要因を見つけ、根本的な解消に向けた取り組みを実施しましょう。

    高ストレス者の判定基準や対策については以下のコラムでも解説していますので、ご参考ください。


    5-2. 職場環境の改善を見据えた集団の設定が重要

    集団分析は医師などの実施者により実施されますが、分析対象の集団の選定は企業側で行うことができるため職場環境の改善を見据えた集団選定が重要になります。

    個人が特定されないように最低でも10名以上での分析が基本となりますが、職場環境を改善していくために必要となる情報が取得できるよう、部署や職種、職位・職階等、業務実態にあった分析単位での選定を心掛けましょう。

    併せて過去の分析結果から経年比較をすることで、ある程度組織の課題を予測した集団選定を行うことが可能です。重点的に改善をしたい集団や影響を与えたい集団を考慮して選定することで、最適な職場環境の改善につなげることができます。

    5-3. 分析結果の適切な開示と保管

    集団分析の実施者から連携された結果について、開示方法やその範囲をあらかじめ実施規程に定めることが必要です。その上で、各職場に分析結果の説明を行う場合には、管理監督者に対する批評や批判と受け取られることがないように注意しましょう。

    また、集団分析結果は職場の強みを伸ばすためのヒントにもなりますので、組織課題に対する指摘だけでなく、良い点について従業員へフィードバックをすることも効果的です。

    なお、ストレスチェックの結果と同様に集団分析結果についても、5年間保存しておきましょう。前述の通り経年変化をみて職場環境のストレス状況の推移の分析やより最適な集団の選定などに活用することができるためです。

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    ここまで、ストレスチェックの集団分析について解説してきました。

    ストレスチェック結果を単に分析するのではなく、目的を定めて集団を選定し職場環境の改善に活用することで、従業員のメンタルヘルス不調の未然防止やエンゲージメントの向上にも繋がります。
    今回解説した集団分析結果の活用方法と注意点をご参考いただき、自社のストレスチェック実施時に是非お役立てください。

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