パート・アルバイトへの健康診断は義務?実施が必要になる条件や効率的に行う方法を解説

パート・アルバイトへの健康診断は義務?実施が必要になる条件や効率的に行う方法を解説

パートやアルバイトは、いまや企業にとって重要な労働力です。
多くの企業でパートやアルバイトを雇用していることと思いますが、パートやアルバイトを雇用するにあたり「正社員と同じように、健康診断の実施が必要なのか?」と疑問に思っている担当者もいらっしゃるでしょう。

パートやアルバイトについては、条件を満たす場合は健康診断の実施が法律で義務化されています。そこで本記事では、パートやアルバイトでも健康診断の実施が義務付けられる条件についてご紹介していきます。

さらに、パートやアルバイトに健康診断を実施するメリットやデメリット、健康診断の管理業務を効率化する方法についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

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    条件によってはパート・アルバイトでも健康診断の実施義務の対象となる

    労働安全衛生法では、パートやアルバイトが「常時使用する労働者」に当てはまる場合、1年に1度の「一般健康診断」が企業に義務付けられています。厚生労働省の資料によりますと、一般健康診断を実施すべき「常時使用する労働者」とは、次の2点です。

    1. 無期契約または1年以上の契約期間で勤務している
    2. 正社員の1週間の所定労働時間数の4分の3以上勤務している

    つまり、パートやアルバイトに一般健康診断が必要かどうかは、「契約期間」と「1週間の所定労働時間」を確認する必要がある、ということです。

    また、契約期間は同じ条件でも、1週間の所定労働時間数が2分の1以上4分の3未満の場合、一般健康診断の実施は「望ましい」とされています。つまり法令上の規定はなく、企業の判断に委ねられているのです。

    しかし、条件を満たさないパートやアルバイト労働者に対しても、福利厚生として健康診断を実施する企業は多い傾向にあるといえます。厚生労働省が平成26年に実施した「パートタイム労働者等の健康管理事業」に関する調査では、健康診断の実施が「望ましい」とされるパートタイム労働者における受診率は、72.1%であったことがわかりました。

    このことから、企業のパートやアルバイトに対する健康管理への意識が高まっている、とうかがい知れます。

    条件を満たしたパート・アルバイトに実施する必要がある健康診断

    厚生労働省が制定した『労働安全衛生規則』によると、企業は条件を満たしたパートやアルバイトに対して、雇入れ時の健康診断と定期健康診断のふたつを実施する義務がある、と明記されています。

    “(雇入時の健康診断)
    第四十三条  事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。”

    “(定期健康診断)
    第四十四条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。”

    ※参考:「労働安全衛生規則 第一編 第六章 健康の保持増進のための措置」(第四十二条の二-第六十一条の二)

    雇入れ時の健康診断と定期健康診断のふたつは、条件を満たしたパートやアルバイトに対しては必ず実施するようにしましょう。

    条件を満たさないパート・アルバイトにも健康診断の実施が必要となるケース

    健康診断を実施する条件を満たさないとしても、パートやアルバイト労働者に実施が必要となるケースは、次の2点です。

    1. 有害業務に従事している
    2. 特定業務に従事している

    それぞれ説明しましょう。

    3-1. 有害業務に従事している

    “有害業務”とは、労働者の健康に有害な影響を与えるリスクがある業務です。具体的には、鉛や放射線業務、特定の化学物質を取り扱う業務などが含まれます。

    パートやアルバイトなど雇用形態にかかわらず、これらの職務に常時従事している従業員がいる場合、『特殊健康診断』を実施しなければなりません。特殊健康診断の頻度は業務内容によって異なりますので、自社の業務に応じて確認が必要になるでしょう。

    ※参考:「特殊健康診断」厚生労働省

    3-2. 特定業務に従事している

    “特定業務”もまた、健康に有害な影響を与えうる業務を指します。具体的には、高熱や寒冷業務、粉じん業務、深夜業などが含まれます。

    特定業務に常に従事するパートやアルバイト労働者がいる場合、「配置換え」と「半年に1度」のタイミングで、企業は定期健康診断の実施が必要になります。

    パート・アルバイトの健康診断にかかるコスト負担

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    続いて、パートやアルバイトの健康診断にかかる受診料や、受診中の時給について解説します。

    4-1. 健康診断の受診料

    健康診断の受診料を企業または従業員のどちらが負担するかについて、法律で明確に定められているわけではありません。しかし、厚生労働省による通達には、企業に健康診断の実施義務があることから、企業が負担すべきと記載されています。

    ※参考:「労働安全衛生法および同法施行令の施行について」厚生労働省

    ※なお、『健康診断の受診料』についての詳細につきましては、こちらのコラムに記載していますので、ぜひご覧ください。
    【健康診断】会社の負担はどこまで?対象範囲や費用を知ろう

    4-2. 健康診断中の時給

    健康診断中、パートやアルバイトに時給を支払うかどうかについては、法律に明記はありません。しかし、上記と同様の厚生労働省による通達では、「受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」と記載されています。

    通常は、時給を支払うかどうかについては労使協議により決定できると考えられます。しかし、企業は従業員の健康管理を促進する立場にありますので、企業は受診中も時給を支払うべきといえるでしょう。実際、勤務中に健康診断を実施し、受診中も時給を支払っている会社が多いようです。

    パート・アルバイトに健康診断を実施する3つのメリット

    次に、パートやアルバイト労働者に健康診断を実施するメリットとして、3点を挙げて解説していきましょう。

    メリット(1)健康経営を推進できる

    パートやアルバイトを含め全従業員に健康診断を実施することで、企業は『健康経営』の推進ができます。健康経営とは、従業員の健康管理に向けた取り組みを、戦略的に実践するための経営手法です。超高齢化社会を迎えた日本では、生涯現役社会の構築を目指し、企業は健康経営を実施して従業員の健康に投資することが求められています。

    企業が健康経営を実施するうえで重要な制度として、2016年から「健康経営優良法人認定制度」が開始されました。企業はこの「健康経営優良法人」に認定されることで、従業員の健康増進を図っていることを社会に示すことができます。

    この「健康経営優良法人」に認定されるには、さまざまな要件をクリアしなければなりません。そのうちのひとつに、「従業員の健康診断の実施(受診率100%)」があるのです。

    メリット(2)従業員の健康推進をサポートできる

    パートやアルバイトに健康診断を実施することで、従業員の健康増進をサポートすることができます。健康診断によって病気が発覚した場合でも、早期に病院を受診することで病状の悪化を防止できるケースもあるでしょう。

    また、従業員自身の健康管理が行き届いていれば長期的に勤務してもらいやすくなりますので、労働力の確保にもつながります。長期で雇用できれば、新たな採用コストを削減できるだけでなく労働生産性の向上も期待できるでしょう。

    メリット(3)採用の強化につながる

    「パートやアルバイトにも企業負担で健康診断を実施している」と求人広告に記載することで、採用活動で有利に働くことがあります。さらに、「健康経営優良法人」として認定されれば、働きやすい企業として社会的にも認知されるでしょう。

    このような福利厚生や“従業員の健康管理への意識の高さ”をアピールすることで、パートやアルバイトの採用強化につながり、採用コストの削減にも大きく寄与するはずです。

    パート・アルバイトに健康診断を実施する際のデメリット

    続いて、パートやアルバイトに健康診断を実施する際のデメリットとして、3点を挙げながら解説していきましょう。

    デメリット(1)管理する手間が増える

    パートやアルバイトにも健康診断を実施すると、管理すべき書類や手間が増え、担当者の負担が増大します。受診の案内や医療機関の手配、キャンセル対応など、健康診断の実施には煩雑な事務作業が含まれるからです。

    パートやアルバイトのなかには、条件を満たしていて受診する義務があるにもかかわらず、健康診断への関心が低い人もいるかもしれません。その場合、健康診断のリマインドや日程調整、受診したかどうかの確認など、さらに作業が増える可能性があるでしょう。

    デメリット(2)受診費用の負担が増加する

    健康診断の受診率を高めようとすると、コスト負担が増加する恐れがあります。健康診断にかかる費用は地域や受診機関によって異なりますが、1人につき5,000〜15,000円です。

    「健康診断の実施が望ましい」とされる条件のパートやアルバイトも含めて実施すると、コスト負担が大きくなるデメリットがあるでしょう。

    デメリット(3)受診拒否された場合トラブルになるリスクがある

    前述したように、パートやアルバイトのなかには健康診断の必要性を認識しておらず、関心の低い人もいるかもしれません。しかし、受診が義務付けられている従業員が健康診断を拒否すると、「義務違反」となりトラブルに発展するリスクがあります。

    トラブルになる前に、パートやアルバイトに対しても事前にしっかりと説明し、受診拒否の理由をヒアリングしましょう。場合によっては、社労士へ相談して対策を立てる必要が出てくるかもしれません。

    パート・アルバイトの健康診断の管理業務を効率化する方法

    パートやアルバイトの健康診断に必要な「管理業務」は、どうしても非効率になりがちです。そこで、管理業務を効率化する方法を2点ほど挙げて、詳しく解説していきます。

    効率化する方法(1)業務をペーパーレス化する

    健康診断の結果を紙で管理する場合、データと比べて管理に手間が大きくかかります。診断結果の原本をコピーして従業員に配布したり、保管用コピーをファイリングしたりするなど、業務が煩雑になるでしょう。

    その点、ペーパーレス化を実現して紙からデータに移行すると、管理業務が大幅に効率化されます。担当者の業務負担が減りますので、健康診断業務のペーパーレス化は欠かせません。

    効率化する方法(2)外部に委託する

    健康診断の煩雑な管理業務を外部委託することで、担当者の業務負担は大幅に軽減されて効率化につながります。

    外部委託できる業務例として、「複数の医療機関との契約」「日程やコース内容の調整」「予約管理や受診状況の確認」などがあります。さらに、「医療機関が発行した請求書処理」や「立替支払い」まで委託できれば、社内では委託先への一括支払いだけで済み、経理業務にも大きなメリットがあるといえます。

    パートやアルバイトまで健康診断を実施すると管理業務は増大しますので、担当者がコア業務に専念できるよう外部委託サービスを活用すると効果的でしょう。

    健康診断の支援ならパーソルビジネスプロセスデザインへ

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    超高齢化社会で人材不足が問題視されるなか、労働力を確保するために企業はパートやアルバイトの健康管理を推進し、健康診断を実施することが重要です。健康診断が義務化されていないパートやアルバイトに対しても実施することで、従業員のモチベーションは高まっていくことでしょう。

    しかし、健康診断業務は煩雑で、受診者数が増えるほど担当者の負担は増大します。そこで企業は、健康診断業務の外部委託やペーパーレス化を導入するなど、対策が必要になります。

    わたしたちパーソルビジネスプロセスデザインは、健康診断の実施に伴う業務を代行する「健康診断支援サービス」や、健康診断のデータ化を支援する「Health Data Bank」を提供しています。「健康診断実施支援サービス」では、全国4,000もの医療機関と連携し、健康診断を実施。医療機関との契約や調整、受診の可視化も行います。

    「Health Data Bank」では、医療機関によって形式が異なる健康診断のデータを統一管理し、集計や分析まで実施します。データベースをもとに労働基準監督署や健康保険組合へ報告できるので、業務効率化が可能です。

    健康診断に関する業務効率化をご検討の際には、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインにお気軽にお問い合わせください。

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