面接官の主な役割
面接官の主な役割として、以下の3つが挙げられます。
- 役割(1)自社の魅力を求職者に伝える
- 役割(2)自社にマッチしているかを見極める
- 役割(3)企業のブランディングを保つ
順番に解説します。
役割(1)自社の魅力を求職者に伝える
役割(1)自社の魅力を求職者に伝える
面接では、求職者と面接官がお互い「選ぶ立場」「選ばれる立場」にいます。そのため、たとえ面接官が求職者を採用したいと思っていても、求職者に入社する意思がなければ、内定を辞退されてしまうでしょう。
特に最近は、少子高齢化による労働人口の減少が深刻な問題となっていることもあり、採用活動が激化してきています。
内定を出しても辞退される可能性が高くなってきているので、1人でも多くの人材を確保するためにも、自社の魅力を求職者に伝えるのが面接官の役割といえるでしょう。
役割(2)自社にマッチしているかを見極める
役割(2)自社にマッチしているかを見極める
採用活動によって新たな人材を確保できたとしても、ミスマッチが起きれば早期離職となります。
その結果、また一から採用活動を再開しなければいけなくなるため、余計な時間やコストがかかってしまいます。そうならないようにするためにも、自社にマッチしている人材であるかどうかを判断するのも、面接官の役割です。
役割(3)企業のブランディングを保つ
役割(3)企業のブランディングを保つ
求職者にとって面接官は、入社する前に一番接触する機会が多い人物です。そのため、「企業の顔」となることも少なくありません。
つまり、求職者が自社に対してどのような印象を抱くかは、面接官次第といっても過言ではないのです。たとえ不採用にしたとしても、面接官が求職者に対して真摯な態度で接すれば、「良い企業だった」と思われるでしょう。
逆に、不適切な発言を連発したり横柄な態度を取ったりすると、SNSで拡散され企業の価値を下げてしまうリスクがあります。そのような事態を防いで、企業のブランディングを保つのも、面接官の役割といえます。
面接官に求められる4つの心得
面接官には、以下のような4つの心得が求められます。
- 心得(1)企業の代表であることを自覚する
- 心得(2)お互いが選び・選ばれる立場にあることを忘れない
- 心得(3)話しやすい雰囲気づくりを心がける
- 心得(4)先入観だけで決めつけない
それぞれ解説します。
心得(1)企業の代表であることを自覚する
心得(1)企業の代表であることを自覚する
面接官は求職者にとって、就職活動や転職活動で出会う数少ない「企業のなかの人」です。企業の顔となることが多いため、面接中に不適切な発言を連発したり、横柄な態度を取ったりしてしまうと、自社に対する印象が悪くなり、内定を出しても辞退されるリスクが高くなります。
なお、リクナビが実施したアンケートによると、「新卒の就職活動で圧迫面接を経験したことがある」と答えた求職者は、約64%にも上ることが判明しました。
たとえ面接官側に悪意がなかったとしても、質問に対する回答を深堀りしたり聞き返したりしただけで、求職者からは圧迫面接だと思われてしまうことも少なくありません。
そうした様子をSNSに書き込まれてしまうと、企業のイメージダウンにつながる恐れもあります。そのため、面接官は企業の代表であることを自覚したうえで、面接に臨むことが大切です。
心得(2)お互いが選び・選ばれる立場にあることを忘れない
心得(2)お互いが選び・選ばれる立場にあることを忘れない
従来は、「企業が求職者を選ぶ」といった風潮がありました。しかし現在は売り手市場ということもあり、求職者が企業を選ぶ時代となってきています。
そのため、たとえ企業が採用したいと思っていても、求職者に対する態度が悪かったり口調が高圧的だったりすると、内定を出しても辞退されてしまうリスクが高くなっています。
お互いが選ぶ立場にあると同時に、選ばれる立場にあることを忘れないようにしましょう。
心得(3)話しやすい雰囲気づくりを心がける
心得(3)話しやすい雰囲気づくりを心がける
面接官が自社にマッチしている人材であるかどうかを見極めるためには、求職者本来の姿を引き出す必要があります。
しかし、緊張してしまい、本来の力を発揮できないという求職者も少なくありません。その結果、面接官も求職者が自社にマッチしている人材であるかどうかを見極めるのが非常に困難となってしまうので、話しやすい雰囲気づくりを心がけることが大切です。
アイスブレイクはもちろん、笑顔で明るい表情を心がけたり、適度に相槌を打ったりすることなどを意識しましょう。
心得(4)先入観だけで決めつけない
心得(4)先入観だけで決めつけない
面接官として、ある程度の経験を積むと、先入観だけでどのような人材なのかを判断してしまうことも少なくありません。
その結果、自社が求めるような人材とは異なる人材を採用してしまい、ミスマッチとなるリスクもあります。
そのような事態を防ぐためにも、先入観だけで決めつけるのではなく、面接でコミュニケーションを取っていきながら、どのような人材なのかを正確に判断しましょう。
基本的な面接の進め方
基本的な面接の進め方は、以下の4ステップです。
- 自己紹介を行う
- 履歴書の内容に基づいて質問する
- 求職者からの質問を募る
- 事務連絡を行う
順番に解説します。
進め方(1)自己紹介を行う
進め方(1)自己紹介を行う
まずは面接官から自己紹介を行います。名前や所属している部署・担当中の業務などを簡単に伝えましょう。
ただ、多くの求職者は緊張しているはずなので、「今日は一段と寒くなりましたね。体調は崩していませんか?」といったアイスブレイクで、緊張をほぐすことを忘れないようにしましょう。
進め方(2)履歴書の内容に基づいて質問する
進め方(2)履歴書の内容に基づいて質問する
自己紹介を行ったら、履歴書の内容に基づいて質問していきます。どうしても面接は一問一答形式になりがちですが、お互いが選ぶ立場にあり、選ばれる立場にもあります。
そのため、積極的にコミュニケーションを図ることを意識しましょう。聞き忘れがないよう、質問内容は事前に整理しておくのがおすすめです。
進め方(3)求職者からの質問を募る
進め方(3)求職者からの質問を募る
質問が終わったら、求職者から面接官に対する質問を募ります。質問の内容は、求職者が不安に感じていたり、気になっていたりする部分が多くなります。
そのため、スケジュールとの兼ね合いもあると思いますが、質問されたらできるだけ、一つひとつ丁寧に回答することを意識しましょう。どうしてもその場で回答するのが難しい場合には、「後日メールで返答させていただきます」といった旨を伝えましょう。
進め方(4)事務連絡を行う
進め方(4)事務連絡を行う
求職者からの質問も終わったら、最後に事務連絡を行います。具体的な内容は、以下の通りです。
- 面接結果の通知日
- 面接結果の通知方法
- 次回の選考について など
以上が、基本的な面接の進め方となります。
面接官が心得ておきたい2つのポイント
面接官が心得ておきたいポイントは、以下の2つです。
- ポイント(1)失礼な態度を取らない
- ポイント(2)タブーな質問は避ける
それぞれ解説します。
ポイント(1)失礼な態度を取らない
ポイント(1)失礼な態度を取らない
面接はお互いが選ぶ立場にあり、選ばれる立場にもあります。そのため、以下のような失礼な態度は取らないように気をつけましょう。
- 面接の開始時間に遅れる
- 求職者の話に対して、相槌を打たずあくびをしてしまう
- 腕や脚を組んだ状態で話を聞く
- 求職者の話に耳を傾けず、途中で遮る
- 求職者の目を見て話さない
- 求職者の話に対してリアクションを取らない
- 圧迫面接のような威圧的な態度を取る
- 求職者からの質問に対して曖昧に回答する
ポイント(2)タブーな質問は避ける
ポイント(2)タブーな質問は避ける
求職者について詳しく知りたかったとしても、面接にはタブーな質問というのが存在するため、注意が必要です。
タブーな質問とは、「本人に責任のない事項」と「本来自由であるべき事項」に分かれており、主な内容は以下の通りです。
【本人に責任のない事項の把握】
- 本籍や出生地に関すること
- 家族に関すること(職業や続柄・収入など)
- 住宅状況に関すること(間取りや部屋数・住宅の種類など)
- 生活環境や家庭環境などに関すること
【本来自由であるべき事項の把握】
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観や生活信条などに関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合や学生運動などの社会運動に関すること
- 購読新聞や雑誌などに関すること
タブーな質問によって、罰則が科せられたり、企業としての価値が下がったりするため、十分に気をつけましょう。タブーな質問についてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
※関連記事:「面接官によるタブーな質問12選!心がけるポイントやコツを解説!」
オンライン面接時の注意点
最近は対面ではなく、オンラインでの面接を実施する企業も増えてきています。オンライン面接時の注意点として、以下の3つが挙げられます。
- 注意点(1)万全な事前準備を心がける
- 注意点(2)対面時よりもリアクションを大きくする
- 注意点(3)通信環境に気をつける
順番に解説します。
注意点(1)万全な事前準備を心がける
注意点(1)万全な事前準備を心がける
オンライン面接を実施する際は、Web会議ツールを用意したり通信環境を整えたりする必要があります。
どれかひとつでも準備を怠ると、面接当日に問題やトラブルが起きるリスクが高くなるため、万全な事前準備を心がけましょう。オンライン面接を実施するにあたって準備しておくべき項目は、以下の通りです。
- 通信環境は安定しているか
- Web会議ツールは準備されているか
- イヤホンやマイクなどは正常に作動しているか
- 雑音が入らないような場所を用意できているか
- 求職者に面接当日のURLを共有しているか
注意点(2)対面時よりもリアクションを大きくする
注意点(2)対面時よりもリアクションを大きくする
オンライン面接は画面越しでの実施となるので、対面での面接と違ってお互いに表情が読み取りづらい傾向にあります。
そのため、普段通りのリアクションをすると、求職者から反応が薄いと感じられてしまうケースも珍しくありません。
その結果、「自分に興味がないのだろうか」といった勘違いを求職者にさせてしまい、不安な気持ちにさせる恐れがあるため、対面時よりも意識的にリアクションを大きくすることを意識しましょう。リアクションの他に、身振り手振りを加えてみるのもおすすめです。
注意点(3)通信環境に気をつける
注意点(3)通信環境に気をつける
オンライン面接を実施するにあたって、通信環境が悪いと面接途中で画面がフリーズしたり、音声が途切れたりしてしまい、面接がスムーズに進まなくなるリスクがあります。
そのような事態を防ぐためにも、実施する前に通信環境が安定しているかどうかを必ずチェックしておきましょう。
たとえ面接官側の通信環境が安定していても、求職者側の通信環境が安定していない場合もあるため、面接開始時に「音声は聞き取りにくくないですか?」といった、声がけを行うのがおすすめです。
実施している最中に、通信環境が急に悪くなることもあるため、万が一に備えて対応マニュアルを作成しておくと、面接官は安心して面接に臨めるはずです。
面接官のスキルアップならパーソルビジネスプロセスデザイン
面接官のスキルアップならパーソルビジネスプロセスデザイン
この記事では、面接官に求められる心得や役割・心得ておきたいポイントなどについて解説しました。
面接官は自社の魅力を求職者に伝えたり、自社にマッチしているかを見極めたりするなどの役割があります。
そのため、面接官は企業の代表であることを自覚したり、話しやすい雰囲気づくりを心がけたりするといった、心得が必要です。成果に期待ができる面接を実施したいのであれば、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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