健康経営とは?
健康経営は、企業が従業員の健康を経営資源として捉え、健康維持・促進に向けた取り組みを戦略的に実践することです。
ここでは、健康経営とは何か?や健康経営優良法人制度について詳しく解説します。
1-1. 健康経営とは?
健康経営とは、企業が従業員の健康管理を積極的におこない、従業員の健康を経営の重要な要素とする考え方です。
従業員の健康増進を通じて、企業の生産性向上やコスト削減を目指します。
具体的には、健康診断の実施、ストレスチェック、運動プログラムの導入などが挙げられます。
健康経営に取り組むことで、企業は従業員のモチベーション向上や離職率の低下など、さまざまなメリットを得ることができます。
さらに、健康経営は企業のイメージ向上にもつながります。
2023年に就活生や転職者を対象に実施されたアンケートでは、約6割が「健康経営に取り組んでいることが就職先の決め手になる」と回答しており、企業選びのポイントとなっていることがわかります。
1-2. 健康経営優良法人とは?
健康経営優良法人とは、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する認定制度で、特に優良な健康経営を実践している企業や団体を表彰するものです。
この制度は、大規模法人部門と中小規模法人部門とに分かれており、特に優れた取り組みをおこなう企業は「ホワイト500(大規模法人部門)」や「ブライト500(中小規模法人部門)」に認定されます。
1-3. ホワイト500・ブライト500とは?
ホワイト500とは、健康経営優良法人の大規模法人部門の中でも特に優れた取り組みをおこなっている上位500法人に与えられる認定です。
この認定を受けるためには、従業員の健康増進への取り組みだけでなく、データに基づいた健康管理の実施や従業員の健康意識向上を図るための教育・啓発活動など、包括的な取り組みが求められます。
ホワイト500に認定されることで、企業は社会的信用の向上や優秀な人材の確保につながるといったメリットを享受できます。
ブライト500には、中小規模法人部門の中で優れた取り組みをおこなっている上位500法人が認定されます。
認定基準はホワイト500と似ていますが、中小企業は規模が小さいため大企業とは異なるアプローチが求められます。
ブライト500に認定されることで、企業は地域社会や取引先からの信頼を得ることができるといったメリットがあるでしょう。
このように、ホワイト500とブライト500は、従業員の健康を重視し健康経営を推進する企業にとって重要な認定といえます。
健康経営の取り組み手順
健康経営の具体的な取り組み手順について詳しく説明していきます。
2-1. 健康経営の目的を設定し実施を表明する
まず、健康経営の目的を明確に設定し、社内外に実施を表明します。
ここでは、経営層が健康経営の重要性を認識し、全社的に取り組む姿勢を示すことが大切です。
健康経営の目的は、企業のミッションやビジョンに関連づけて具体的な目標を掲げると理解してもらいやすいでしょう。
社内への取り組み表明としては、健康経営の目的や基本的な取り組み内容を社員に周知することが必要です。
全社的な理解を促進するための説明会や研修を実施することで、社員に健康経営の意義を理解してもらい、積極的に参加できる環境を整えます。
基本的な取り組み内容については、例えば健康診断の重要性やストレスチェックの目的、運動プログラムの内容などを具体的に説明するといいでしょう。
社外への取り組み表明としては、「健康経営宣言」をおこないます。
健康経営宣言とは、企業全体で社員の健康維持・促進に取り組むことを社内外に向けて宣言するものです。
宣言内容を自社のホームページやCSR報告書、株主総会資料などに掲載し公開していきます。
2-2. 実施体制を整える
健康経営を効果的に推進するためには、取り組み体制を整えることが重要です。
具体的には、健康経営を担当する部署やチームを設置し、役割を明確にしていきます。
ここでも経営層の協力は必要です。
経営者を健康づくり責任者に任命し、積極的に発信してもらうことで、社員の健康経営に対する意識とモチベーションを向上させます。
また、推進担当者の健康に関する知見が十分でないことも考えられますので、産業医のサポートも重要です。
取り組み体制を整えることで、健康経営の推進が組織的かつ計画的におこなわれるようになります。
定期的なミーティングを開催し、進捗状況を確認・報告することや、健康経営に関する情報を共有していくことも重要です。
2-3. 課題を分析する
次に、従業員の健康状態を把握し、健康課題を分析していきます。
健康診断やストレスチェックの結果を活用し、自社の従業員の健康課題を洗い出しましょう。
課題を分析・明確化することで、自社の従業員の傾向や優先して取り組むべき課題が明らかになるはずです。
例えば、「会社全体の健康診断の受診率が低い」「特定の組織・部署の長時間労働が目立つ」といった傾向が見えてくるでしょう。
2-4. 施策を計画・実行する
課題の分析結果をもとに、具体的な施策を計画し実行します。
例えば、健康に関するセミナーの開催、気軽に参加できる運動プログラムの導入、健康相談窓口の利用などです。
施策の計画では、従業員のニーズや健康状態に合わせた内容とすることが重要です。
例えば、健康に関するセミナーでは、専門家による講演や実践的なワークショップを取り入れられると、従業員が自らの健康管理に積極的に取り組む意識を持ってもらえるでしょう。
また、運動プログラムでは、従業員の体力や運動経験に応じたプログラムを提供することで参加意欲を高めることができそうです。
2-5. 施策の効果測定・改善をおこなう
各施策の実施後は、アンケートなどで社員からの意見やフィードバックをもらうようにしましょう。
また、定期的に効果検証をおこない、必要に応じて見直しや改善をしていきます。
PDCAサイクルを構築し、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクルを繰り返すことで、健康経営の質を高めていきます。
ホワイト500認定への道のり(当社の事例)
当社は2024年に健康経営優良法人(大規模法人部門)のホワイト500に認定されました。
同年の吸収合併により返納となりましたが、ここからは、健康経営に取り組むきっかけから実際にどのような取り組みをおこない認定に至ったのか、担当者へのインタビューをご紹介します。
健康経営に取り組むきっかけ
―――まず、健康経営に取り組むことになったきっかけを教えてください。
担当者:
取り組みを始めたのは2021年でした。
当時の会社のミッションが「ワクワクワークのあふれる社会へ」だったのですが、心身が健康でないとワクワク働くことも難しいと考え、健康経営を通して従業員がいきいきと働いている状態を目指すべく、人事部のメンバーが健康経営推進事務局となり取り組みがスタートしました。
『テスト対策』だった健康経営
―――まずはどのような取り組みをされたのでしょうか?
担当者:
まず、従業員の健康状態を把握・分析することから始め、その結果をもとに方針を策定し、体制を整備していきました。
特に体制に関しては、最初から経営層を巻き込むことができました。
他社の健康経営推進担当者からは「経営者の協力が得られず困っている」という話をよく聞いていましたし、『健康経営』というキーワード自体、ここ数年で普及し始めたものなので、こういった取り組みは優先度が低いという企業もまだまだあるのが現状だと思います。
そのような中で、経営層の理解と協力を得られたのは大きかったですね。
―――順調にスタートできたのですね。
担当者:
はい、最初は順調でした。
ただ、その後セミナー開催や健康アプリの導入などの施策をおこないましたが、参加者が思うように集まらなかったり、効果が見えなかったりと、思うような結果が得られないことが多かったです。
原因は、事務局が人事部中心で、健康管理に関する専門知識がなかったことや、普段の人事業務と並行して取り組んでいたので片手間になってしまい、従業員の健康に関する課題に向き合えず、施策が表面的になっていたことでした。
そんな状況でしたので、1年目と2年目は、健康経営優良法人には認定されたものの、ホワイト500の認定は取得できませんでした。
また、全従業員を対象としたアンケートでは約60%が「健康経営をよく知らない」と回答し、健診結果やメンタルヘルス不調者数に変化が見られず、従業員が健康になっていないと感じました。
何かを変えなくてはいけないと感じました。
―――それは苦い経験でしたね…。そこからどのように変わっていくのでしょうか?
担当者:
まずはそれまでの2年間を振り返りました。
そして、“従業員の健康のため”の取り組みが、いつの間にか“認定取得のため”の取り組みになっていたことに気がつきました。
認定取得に必要な調査票をとにかく埋めることが目的になってしまい、まるで『テスト対策』のような健康経営だったと感じたのです。
見るべきは調査票ではなく従業員だ、認定取得のためではなく本当に従業員のためになる取り組みを進めようと考え直しました。
健康経営を成功させた取り組み
―――3年目はどのような取り組みをしたのか教えてください。
担当者:
本当に従業員のためになる取り組みは何かを考え始めるとさまざまな施策のアイデアが浮かびました。
取り組み(1)従業員の巻き込み
まずは体制を見直しました。
ひとつでも多くの施策を立案・実行したいと考えていたものの、それまでの体制では知見や人手が不足していたので、社内で有志を募り、エバンジェリストとして活動してくれるメンバーを集めることにしました。
また、当社にはヘルスケア事業があり専門的な知識や資格を保有するメンバーがいましたので、その方々にも協力をお願いし、3名だった事務局は50名以上の大所帯となりました。
メンバーには施策のアイデア出しやプロモーション活動に協力してもらいました。
また、経営層だけでなく管理職にも積極的に参加してもらうことで取り組みを浸透させていきました。
取り組み(2)セルフケアの推進
次に、セルフケアに関する施策をおこないました。
ストレスや体調不調の要因はさまざまで、その対処法も人それぞれです。
それなら、従業員に自分で対処できる力をつけてもらい、あらゆる状況に対応できる心と身体を手に入れてもらおうと考えました。
【知る】【把握する】【対処する】という3つのステップを軸に、例えばメンタルケアであれば、メンタルセルフケア研修でストレス対処法を知り、健康管理システムで自分の状況を把握し、意識を高めて自ら健康経営施策に参加し対処する、といった流れです。
この施策はインパクトがあり、結果として高ストレス者の割合が大きく改善することとなりました。
取り組み(3)オリジナルイベントの開催
当社らしいイベントもたくさん開催しました。
健康運動指導士がつくったオリジナル体操を発信したり、朝活に参加して朝食を配るイベントなど、従業員が楽しみながら参加できる取り組みをおこないました。
私たち事務局も各拠点に足を運び、チラシやノベルティを配布しながら直接的なコミュニケーションを意識していました。
ホワイト500に認定
―――従業員の健康と本気で向き合ったからこそ、ホワイト500の認定も取得できたのですね。
担当者:
さまざまな取り組みを通して、従業員の意識や行動が変わっていきました。
以前のアンケートでは従業員の半数以上が「健康経営をよく知らない」と回答していましたが、3年目は約80%が「知っている」という結果に。
また、健康経営の取り組みに参加した従業員のうち約80%が「仕事に良い影響があった」と回答しました。
また、前述のように高ストレス者の割合も大きく改善し、結果的にホワイト500認定されました。
認定取得はもちろん嬉しかったですが、何よりも従業員の健康に貢献できたこと、数値としてそれが証明されたことは大きな成果だったといえます。
健康経営コンサルティングならパーソルビジネスプロセスデザインへ
健康経営の基本的な内容から、ホワイト500を取得した当社の具体的な取り組みについてご紹介しました。
「健康経営に取り組みたいが、何から始めていいかわからない」「知見がない、人手が不足している」とお困りの担当者さまも多いでしょう。
当社では、健康経営を実現するためのコンサルティング支援を提供しています。
専門チームが現状整理から実行支援までトータルサポートします。
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