特定健診・特定保健指導とはなにか?
特定健診とは、医療保険者が実施する「特定健康診査」のことで、一般的には「メタボ健診」と呼ばれています。特定保健指導とは、この健診結果から生活習慣の改善が必要と判断された方を対象に行われる保健指導のことです。
メタボリックシンドロームという言葉を聞いたことがあると思いますが、これは、生活習慣病の発症前の段階を指しています。実は、40代以上の男性では2人に1人、40代以上の女性では5人に1人がメタボリックシンドロームまたはその予備軍に該当すると言われています。
こうした状況に対し、若いうちから生活習慣病の発症、重症化のリスクが高い人に対して生活習慣の改善を促していけば、健康寿命の延伸が期待できるのです。そんな観点から、特定健診・特定保健指導が行われるようになりました。
特定健診・特定保健指導の基本的な流れ
特定健診・特定保健指導の基本的な流れとしては、まず特定健診を受診して腹囲や体重、血糖値、血圧、脂質などを検査します。そこで基準値内であった場合には「特段対応なし」となり、指導を受ける必要はありません。
ただ、病気の判定まではいかないけれども正常値よりも高い項目があり、生活習慣の改善が必要であると判断された場合には、特定保健指導の対象となります。特定保健指導では、食生活や運動習慣の見直しといった生活習慣の改善支援が行われます。
また、健診結果に問題があり、精密検査や病気の治療等が必要であると判断された場合には、当然ながら医療機関への受診が必要になります。
特定保健指導を受けることによる効果は?
特定保健指導を受けることで得られるメリットは多く存在しますが、特に大きなメリットとしては「メタボ・肥満の改善が期待できること」が挙げられます。
2008年に国立循環器病研究センターは、特定健診を受診してメタボリックシンドロームと診断された約2,000万人を対象に調査を行いました。その結果、特定保健指導を受診した人たちは、受診しなかった人たちに比べ、3年後に再度メタボリックシンドロームと診断される割合が31%も減少したといいます。
国家レベルの政策である特定健診・特定保健指導が個人の生活習慣改善に大きなメリットがあることがお分かりいただけると思います。
特定健診・特定保健指導を受けないとどうなるのか?
特定健診・特定保健指導は法律で定められた制度であり、医療保険事業を運営する医療保険者は実施が義務づけられています。もし実施率が低い場合には、ペナルティーとして保険者が国に納める後期高齢者支援金が加算されてしまうのです。
また、加入者自身が特定健診を受診しなければ、当然ながら「生活習慣病予防のチャンス」を失うことになり、生活習慣病の発生リスクを高めてしまいます。そもそも特定健診は40歳から74歳までが対象となりますので、20代や30代の時よりさらに健康に気を配る必要性があります。その中でも特定保健指導の対象者になるということは、年齢以外の要因でも生活習慣病の発症リスクがあるということです。特定健診で保健指導の対象となった方はしっかりと指導を受けるようにしましょう。
特定健診・特定保健指導を受けないと企業側のリスクは?
社員のパフォーマンス向上や業務の生産性向上を目指すのであれば、社員の心と体の健康が欠かせません。今の時代、「社員の健康」を経営的な課題ととらえ、対策に取り組むことが企業には求められています。
企業に実施義務があるのは労働安全衛生法で定められた「健康診断」であり、特定健診の実施義務はありません。ただ、企業と医療保険者の連携すること(コラボヘルス)には、健康課題の特定や健康施策の共有などにおいて効率的に行えるというメリットがあります。
また、社員が特定保健指導を受けることにより、生活習慣の改善に取り組むメリットを実感できれば、自分自身の健康に対する意識も向上していくでしょう。そのような形で社内全体の健康意識が向上していけば、長期的には、緊急入院や長期療養などで社内の戦力が著しく低下するといったリスクを回避することができます。
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特定健診・特定保健指導が企業にとって非常に重要なものであることがお分かりいただけたでしょうか。
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