コーピングとは?意味や実践方法、社内に導入する方法をわかりやすく解説

コーピングとは?意味や実践方法、社内に導入する方法をわかりやすく解説

コーピングとはメンタルヘルス用語のひとつで、ストレス軽減のために行動することを指します。ビジネスパーソンがコーピングを身につけると、モチベーション低下を防いで離職防止につながる効果があるとして、多くの企業から注目されています。

しかし、人事担当者のなかには「コーピングを社内で実践する方法がわからない」という方や、「これからコーピングについて詳しく知りたい」という方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、コーピングの意味や種類、実践方法などの基礎知識から、企業で実践する効果的な方法まで詳しく解説します。自社に最適な「コーピングの取り入れ方」が理解できるようになりますので、ぜひ参考にしてください。

目次

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    コーピングとは

    コーピングとは、ストレスを軽減するために行動を起こすことです。ストレスの要因を特定し、どのように対処すればストレスを軽減または解消できるかを考え、対処します。


    コーピング(coping)という英単語には、「(問題に)対処する」という意味があります。ですから、ビジネスパーソンがコーピングを理解することで、ストレスへの対処法が身につき、モチベーションアップや生産性の向上につながるのです。企業にとっては従業員の離職防止策となるため、近年、コーピングへの関心は高まっています。


    コーピングは、もともとラザルスという心理学者が提唱した学術用語ですが、今ではメンタルヘルス用語として一般的に使用されるようになりました。ラザルスが提唱した「ストレス理論」については、後ほど「ストレス認知に関わるラザルスの『ストレス理論』」の項で詳しく解説していきます。

    1-1. 適応機制(防衛機制)との違い

    ストレス対応のひとつとして「適応機制(防衛機制)」があります。コーピングとの違いは、適応機制は「本能的な心の防衛本能」である、という点です。


    コーピングは意識的にストレスを軽減しようとしますが、一方で適応機制では、無意識下で自分をストレスや辛い状況から守ろうとします。無意識下で行なわれる適応機制をコントロールするのは難しいものですが、コーピングは訓練すれば身につけることができます。

    そのため、ストレスに対処する能力を高めるには、コーピングについて学ぶことが有効なのです。

    1-2. コーピングが注目されている理由

    近年、コーピングに注目が集まっている背景には、ストレスを感じながら働いている従業員が多くいるという状況があります。

    厚生労働省が報告した「職場におけるメンタルヘルス対策の状況」によると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合」は、半数以上であることがわかりました。

    また、令和2年のデータを見ると、54.2%の労働者が仕事や職業生活でストレスを抱えていることが分かります。

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    ※引用:厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の状況

    従業員が職場や仕事にストレスを強く感じると、精神が不安定になり、体調も悪化して、休職や離職につながるリスクがあります。そこで、従業員のメンタルヘルスケアの一環として、コーピングの導入を検討する企業が増加しているのです。

    コーピングで対処する「ストレッサー」

    ストレスになる外部からの刺激のことを「ストレッサー」といいます。コーピングでは、この「ストレッサー」に対処していきます。

    仕事におけるストレッサーの例としては、次のようなものが考えられます。

    ・仕事の量

    ・仕事の責任

    ・対人関係(セクハラやパワハラを含む)

    ・満員電車

    ・仕事での失敗

    ・雇用の不安定さ など

    これらのストレッサーがあると、「ストレス反応」が起こります。ストレス反応とは、刺激に反応する緊張や反応のことです。精神や肉体、行動に何らかの反応として現れてきます。

    コーピングでは、ストレッサーに対処することで、ストレス反応の軽減や排除を目指していきます。

    次の項では、ストレッサーについてもう少し詳しく見ていきましょう。

    ストレッサーの種類

    先ほど、仕事におけるストレッサーの例をいくつか挙げましたが、そもそもストレッサーにはどのような種類があるのでしょうか。

    厚生労働省の「e-ヘルスネット」によれば、ストレッサーは以下の3種類に分類されています。

    物理的・化学的ストレッサー

    暑さ、寒さ、有害物質など

    生理的ストレッサー

    病気、飢え、睡眠不足など

    心理的・社会的ストレッサー

    職場や家庭における不安、緊張、恐怖、怒りなど


    この中でも特に、近年では職場や家庭での「心理的・社会的ストレッサー」が大きいといわれています。

    ※参照:厚生労働省「e-ヘルスネット

    3-1. ストレスコーピングとは

    ストレッサーに対する自分の反応に対して適切に対処することを、ストレスコーピングといいます。具体的には、以下の流れを自分自身でしっかりと認識することが重要になります。

    ストレッサーによる外部刺激→認知→ストレス反応(精神・肉体・行動)

    自分に起こったストレス反応を放置していると、ストレスが蓄積して心身へ悪影響がおよんでいきます。モチベーションが下がったり、体調不良が起こったりして、目の前の業務にも取り組みにくくなってしまうでしょう。


    はじめのうちは耐えられる程度かもしれませんが、ストレス反応を無視し続けると、症状が慢性的になり、自分が「無理をしている」ということにも気づきにくくなります。その結果、うつ病など深刻な精神疾患や病気を引き起こし、長期間の療養やメンタルケアが必要となってしまうのです。

    精神疾患による早期離職者が増加してしまうことは、企業の人事担当者として業務の生産性だけでなく、企業の評判も落としてしまいかねません。ですから、従業員がストレスコーピングを実践できるような環境整備が必要なのです。

    3-2. ストレス認知に関わるラザルスの「ストレス理論」

    先ほども少し触れましたが、心理学者であるラザルスは、ストレス認知に関わる「ストレス理論」を提唱しました。ラザルスの研究によれば、ストレス認知には「一次的認知評価」と「二次的認知評価」の2段階があるといいます。

    認知評価表

    一次的認知評価 ・ストレッサーを「ストレス」と認知する段階
    ・刺激によって「自分には関係ない」と判断されれば、「ストレス」と認知されない
    ・刺激が「自分にとって有害=ストレス」と認知されると、次の段階へ進む
    二次的認知評価 ・ストレスの「対処法を知っている」または「対処法が実現可能か」判断する
    ・どちらかが叶わなければ、ストレスが高まる
    ・両方の条件がそろえばストレスコーピングができ、ストレスが和らぐ

    ストレス反応が起こった場合には、現実的なストレス対処法(コーピング)を知っておくことが重要です。さまざまな種類のストレスがありますので、複数のコーピングを準備しておきましょう。

    具体的な実践法については、「コーピングの種類」の項で解説します。

    3-3. デイリーハッスル(日常での苛立ち)との関係性

    日常の些細な苛立ちのことを「デイリーハッスル」といいます。このデイリーハッスルが積み重なることで、大きなストレスへと発展してしまうのです。


    具体的なデイリーハッスルとしては、以下の例が挙げられます。

    ・満員電車での通勤

    ・同僚の態度

    ・仕事のケアレスミス など

    「会社の倒産」や「パワハラ」などの分かりやすいストレスではなくとも、小さな苛立ちもストレスとなり得るため、日頃から放置しないように注意しなければなりません。

    コーピングの種類

    では、いよいよコーピングについて詳しく見ていきましょう。コーピングには大きく分けて3種類あります。それぞれ解説していきます。

    (1)「問題焦点型」

    「問題焦点型」のコーピングでは、ストレスの原因を根本的に取り除くことを目指します。このコーピングがうまく働けば、ストレッサーから完全に解放される点がメリットといえるでしょう。

    「問題焦点型」のコーピングには、以下の2種類があります。

    コーピングの例

    種類 意味 コーピングの例
    問題焦点型 ストレッサーを遠ざけ、抜け出す ・職場の人間関係に疲れたので、転職する
    ・職場の苦手な人から、できるだけ距離を置く
    社会的探索支援型 ストレッサー遭遇時に、周囲に相談する ・業務量が多いので、上司に相談する
    ・仕事の悩み事について、先輩にアドバイスを求める

    コーピングの例として転職を挙げていますが、ここには注意が必要です。職場への不満を根本的に解決するために転職しようとしても、うまくいかなければ逆にストレスが増える恐れがあるからです。

    また、転職による大きな環境の変化も、ストレスのひとつです。そのため、「社会的探索支援型」コーピングで、周りに相談して状況を変えられないか検討することからはじめると良いでしょう。

    (2)「情動焦点型」

    「情動焦点型」のコーピングでは、感情にアプローチしてストレスに対処します。このコーピングが効果的に働くと、ストレッサーへの「認知」が変わる点が特徴です。

    「情動焦点型」のコーピングには、以下の2種類があります。

    コーピングの例

    種類 意味 コーピングの例
    情動焦点型 ストレッサーによって生まれた感情を人に話す ・失注して落ち込んだ気持ちを、上司に話して整理する
    ・クライアントから叱責された出来事を、同僚に話してスッキリする
    認知的再評価型 ストレッサーへの認知を意図的に変える ・役職がついて責任を感じるのではなく「期待されている」と捉え直す
    ・仕事で英語を使うのが辛いと感じるのではなく「スキルアップ」と捉える

    「情動焦点型」コーピングは、自分自身の感じ方や考え方を変えることにフォーカスしているので、根本的な解決にならない場合があります。

    普段のメンタルケアは「情動焦点型」を使いつつ、ストレスが大きく慢性的であれば、前述した「問題焦点型」を検討していくと良いでしょう。

    (3)「ストレス解消型」

    「ストレス解消型」のコーピングとは、その名の通りストレスを発散する方法です。「ストレス対策が必要」といわれて多くの人がイメージするのが、こちらの「ストレス解消型」コーピングでしょう。

    「ストレス解消型」のコーピングには、以下の2種類があります。

    コーピングの例

    種類 意味 コーピングの例
    気晴らし型 趣味や運動、買い物など好きなことをして気分転換を行う ・有給を取って、2泊3日の旅行をする
    ・ボーナスが入ったので、ショッピングを楽しむ
    リラクゼーション型 マッサージやアロマセラピーなどのリラクゼーションを受ける ・休日にホテルのエステを受けに行く
    ・お寺の禅体験に参加する

    「ストレス解消型」コーピングは、休日だけでなく日常の出勤前後にも取り入れやすいのが特徴です。うまく活用すると、ガス抜きをしながら仕事に集中できるようになります。

    コーピングの効果的な実践方法

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    コーピングを効果的に実践するには、改善しながら取り組んでいくことが必要です。ここでは、ストレス解消法のリストアップから改善までの実践の流れを4つのステップに分けて解説します。

    STEP1:ストレス解消法をリストアップする

    まずは自分が感じやすいストレスについて考え、それぞれに対して解消法をリストアップしましょう。

    できる限りのストレスをあらかじめ認識しておくことで、対処法もそれだけ多く把握できます。そうなると、実際にストレスが起こったときに素早く対処できるだけでなく「辛いけど対処法を知っている」という安心感にもつながる点は大きなメリットでしょう。

    例えば、「仕事で取引先に対してストレスを感じたら、公園のベンチに座る時間を作る」といった些細なことでも構いません。また、「うつに似た症状が出たら、早めに心理カウンセラーに相談する」というのも対処法のひとつです。

    前述の「コーピングの種類」の項を参考に、幅広いアプローチ法を考えておくと良いでしょう。


    STEP2
    :ストレスをモニタリングする

    続いて、仕事に取り組むなかで、感情や肉体、行動にストレス反応を自覚したら、どのような反応だったかを観察していきます。「朝、会社に行きたくなかった」「すぐお腹をこわしてしまう」など、ストレス反応の内容や程度をモニタリングするのです。

    ストレスが発生すると、悲しみや怒り、苛立ちなどネガティブな感情に支配されがちですが、客観的な視点が必要になります。自分の心身の反応を冷静に観察すると、どのような対処法が必要なのか理解できるようになりますので、嫌な感情に飲みこまれてしまわないよう注意しましょう。


    STEP3
    :ストレスコーピングの実践

    ストレスの正体や心身の反応を把握できたら、ストレスコーピングを実践します。ストレスを根本的に排除すべきか、それとも気晴らしやリラクゼーションが必要かを考え、行動していくのです。

    誰かに相談して気持ちを整理するとか、映画を見て涙を流すだけでもストレス発散になる場合があります。どのような方法が最適なのか、実践しながら確かめていくことが重要です。


    STEP4
    :ストレスが改善されたかをチェック

    ストレスコーピングを実践した後は、ストレス解消につながったかをチェックします。どの実践方法でどれくらいストレスが緩和されたかを確認することで、効果的な対処法を見つけやすくなるでしょう。

    もしもストレスを感じ続けているならば、別の方法を試していきます。例えば、リラクゼーションで仕事のストレス解消ができなければ、職場の同僚や上司に相談する方法に切り替えていく、などです。

    計画して実践するだけでなく、ストレスが緩和されたかをチェックすることで、コーピングスキルを高めていくことができるはずです。

    コーピングを社内で実践する方法

    ここまで、コーピングの基礎知識を解説してきました。では、コーピングを社内で実践するにはどうしたら良いのでしょうか。


    コーピングを社内で実践するには、コーピングを取り入れた1on1ミーティングやメンタルヘルス研修の提供などが必要です。ここからは、コーピングを社内で実践する方法を具体的に挙げながら、それぞれの詳細について解説しましょう。

    方法(1)1on1ミーティングの実施

    上司と部下による1対1のミーティングで、上司がコーピングを取り入れながら部下の話を聞くことにより、社内でコーピングを実践することができます。


    1on1では上司が部下へ一方的に評価やアドバイスをするのではなく、部下の悩みに寄り添いながら話を聞くことが重要です。部下の話をさえぎらずに傾聴すると、悩みを打ち明けてもらいやすくなります。そして、傾聴を続けると部下は自分の気持ちを整理できるだけでなく、場合によっては話している途中に自分で答えを見つけることもあるのです。

    また、「話を聞いてもらえた」「否定されなかった」と部下に肯定感や安心感が生まれると、ストレスの軽減やモチベーションアップにもつながるでしょう。

    方法(2)メンタルヘルス研修を提供

    メンタルヘルス研修の一環としてコーピングスキルを学ぶ機会を提供することで、従業員が自らケアできるようになります。また、継続的にコーピング研修を実施することで、スキルも身につきやすくなるでしょう。


    コーピングスキルを獲得しストレス対処できる従業員が増えると、離職率の低下が期待できますので、「安心して働ける環境」を整備しやすくなるはずです。

    方法(3)カウンセリングの提供

    「コーピングが反映されているカウンセリング」を従業員が受けられると、さらに効果的です。心理士などの“専門家”に話を聞いてもらうことで、新たな気づきやストレス解消につながりやすくなるはずです。

    従業員によっては、職場の人間関係についての悩みは同僚や上司に相談しにくいこともありますし、プライベートで相談できる相手がいないケースもあるでしょう。また、心療内科を予約して通うことに抵抗を感じる人も少なくありません。


    そこで「カウンセリングが受けられる」という体制があると、従業員のストレス管理をサポートすることが可能になります。コーピングを理解している心理士が対応することで、的確なストレス解消ができるでしょう。

    コーピングを取り入れて従業員のメンタルヘルスを守ろう

    コーピングとは、ストレッサーと呼ばれる外部刺激や自分のストレス反応を認識し、ストレスを軽減または排除するために対処することです。社内にコーピングを取り入れることで、従業員のモチベーションが高まり離職率の低下につながるなど、多くのメリットがあることは説明してきた通りです。

    コーピングを社内で実践する方法としては、心理士など専門家によるカウンセリングの提供が効果的です。ストレスを抱えている従業員は些細なことで傷つきやすい傾向にあり、専門知識のあるカウンセラーからの対応が必要になるのです。


    しかし、「カウンセリング体制を整えたけれど、利用されない」「そもそも導入が難しい」という悩みを抱える人事担当者も少なくないでしょう。

    そのような担当者様のために私たちパーソルビジネスプロセスデザインでは、誰もが気軽にメンタルヘルス支援を受けられる「KATAruru(かたるる)」を提供しています。KATAruruは、ストレスを抱えた従業員と心理士が、アバターを介して会話できるサービスです。

    プライバシーが保護された環境で話せるため、従業員のカウンセリングへの心理ハードルを低くする効果があります。実際、「なんでも気軽に話せる」「時間と場所を選ばずに利用できる」と導入企業様からもお声をいただいています。

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