健康診断で必要になる事務作業は「非常に煩雑」
健康診断は社内だけでなく外部機関とのやり取りまで発生し、事務作業が非常に煩雑となる傾向にあります。ここでは、健康診断の業務について「担当者が関わる関係者ごとの業務」を解説していきます。
「どのような関係者」に「どのような業務」をしなければならないのか、ご確認ください。
1-1. 【従業員】健診の案内や結果確認
社内の従業員に対しては、健康診断の案内や結果を通知する必要があります。
健康診断の案内をするには、まず従業員の勤務地からアクセスできる医療機関を検索します。そして従業員に健診日時を確認した後で予約をする必要がありますが、医療機関の場所も日時も従業員ごとに異なりますので、スケジュール管理が煩雑です。
さらに、キャンセルや日時変更業務が発生した場合には、調整に手間がかかります。会社の規模が大きいほど、連絡漏れなども発生しやすいでしょう。
また、従業員のなかには「健康診断を受けるかどうかは個人の自由」「仕事が忙しくて受ける時間がない」と考え、受診しない人もいます。しかし、健康診断の実施は『労働安全衛生法』で義務付けられているため、放置することはできません。健康診断の対象となっているにもかかわらず受診しなければ、罰金が科されてしまいます。
つまり、担当者には健康診断の準備や事務的な手続きだけでなく、“従業員へのフォロー業務”も課されているのです。
1-2. 【医療機関】健診の契約やオプションの調整
健康診断を実施する医療機関に対して、事務担当者は「健診の契約」や「メニューの確約」「検査オプションの調整」「受診者数の確認」や「単価交渉」までする必要があります。さらに、健診で必要となる「送付物の確認」や、「医療機関から発行された請求書の処理業務」も行わなければいけません。
請求書の処理業務では、受診が完了した医療機関に料金を支払う必要があります。ただ、従業員が複数の医療機関を利用している場合には、それぞれに支払いが発生するため業務が煩雑になってしまうものです。料金周りについてはトラブルにつながる可能性が高いので、十分注意する必要があるでしょう。
1-3. 【労基署】提出書類の作成
常時50人以上の労働者がいる場合、労働基準監督署へ健康診断結果を報告する義務が法律で定められています。提出期限については明記されていませんが、「遅延なく」報告するよう求められています。
報告書を作成するにあたっては、健診結果の集計や書類作成が必要です。しかし、従業員がそれぞれ違う医療機関で受診している場合、健診結果の単位や評価基準、並び順や名称が異なっている可能性があります。そうなると、記載するルールを統一したうえで報告書を作成しなければならないため、加工に手間がかかってしまいます。
健診結果の内容を把握しながらまとめる作業は、事務担当者にとって非常に負担の大きい作業だといえるでしょう。
1-4. 【産業医】健診結果の確認依頼や意見聴取
健康診断の結果が届いたら、産業医が内容を確認して必要であれば意見聴取や事後措置を行うケースもあります。健康診断で異常があると診断された場合、医師から意見をもらう必要があるからです。そしてその際には、「資料の準備」や「従業員との日程調整」「産業医との日程調整」などの業務が発生します。
また、事後措置で保健師や管理栄養士といった専門家の指導が必要となった場合、さらに日程調整を行わなければいけません。複数の関係者がいますので、担当者はスケジュール管理に追われてしまうでしょう。
健康診断の事務作業をアウトソーシングするメリット
ここまで、健康診断の事務作業がどれだけ煩雑で負担が大きいかという点についてお伝えしてきましたが、担当者の業務を効率化して負担を減らすには、『アウトソーシング』が効果的だと言えます。
では、アウトソーシングを利用することで具体的にどのようなメリットがあるのか、5点を挙げながら解説していきましょう。
メリット(1)事務担当者の業務負担を軽減できる
健康診断の事務業務をワンストップで外部委託すれば、事務担当者は煩雑な業務から解放されます。複数の人員が必要であった場合でも、事務作業にかかる工数を減らせるため、社内体制を整備しやすくなるでしょう。
事務作業の負担が軽減された担当者は、空いた時間を利用してコア業務に専念できるようになります。自社の人的リソースをより重要な業務に集中させることにより、従業員満足度や企業の競争力の向上につながるでしょう。
メリット(2)受診率が高まる
健康診断の煩雑な事務作業に追われながら「健康診断を未受診のまま放置している従業員に対して、フォローまで手が回らない」と考えている担当者の方もいらっしゃるでしょう。そういった煩雑な業務をアウトソーシングすることができれば、従業員の健康意識を高める業務に取り組みやすくなるはずです。
「健康診断で病気を早期発見する重要性」や、「未受診のままだと罰則が発生する点」などを対象者にしっかりと説明するなどのフォローを行うことで、受診率の向上も期待できるでしょう。
メリット(3)人件費を削減しながら専門性を確保できる
アウトソーシングを導入すると、社内で新たなスタッフを採用する必要がなくなります。外部の専門的な知識や経験を社内業務に活かせますので、新たに採用するよりもコストを抑えることができるでしょう。
もちろん、導入時には初期費用などがかかりますが、中長期的に見るとコストパフォーマンスに優れていると言えます。
メリット(4)労働安全衛生法の義務を遵守できる
前述したように、健康診断の実施は『労働安全衛生法』で次のように定められています。
“(健康診断)
第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。”
※引用:『労働安全衛生法』(昭和四十七年 法律 第五十七号)
さらに、同法120条では、「第66条に違反した場合は“50万円以下の罰金に処する”」とも記載されています。繰り返しとなりますが、企業にとって健康診断の実施は『義務』であり、義務を果たせなければ罰則が発生してしまいます。
しかし、人的リソースが不足している場合、義務だと理解していても実行が難しいケースもあるでしょう。そこで、煩雑な事務作業をアウトソーシングしてプロに任せることで、法令遵守を徹底することができるというわけです。
メリット(5)健康経営に取り組みやすくなる
健康経営とは、「従業員の健康増進に投資することは企業の成長につながる」という考えのもとに実施される経営手法です。
健康診断の受診は、健康経営を推進するうえでは欠かせません。健康経営の実践において重要視されている『健康経営優良法人』として認定されるには、「従業員の健康診断の実施(受診率100%)」がひとつの要件として求められているからです。
※参考:「健康経営の推進について」経済産業省ヘルスケア産業課
『健康経営優良法人』として認定されると、社会的評価を受けやすくなり企業の価値が高まることにつながるはずです。
今後、企業を長く存続させるには「従業員の健康への配慮」は必須であり、社内のリソースを集中させていく必要があるでしょう。そこで、アウトソーシングを導入して事務作業を委託することにより、健康経営を推進しやすくなる、というメリットがあるのです。
健康診断のアウトソーシングが必要となるケース
次に、どのようなケースで健康診断のアウトソーシングが必要となるのか、2つのケースを挙げながら解説していきます。
ケース(1)事業拡大で対象者が増加した
まずは、事業拡大によって拠点と雇用者が増え、契約する医療機関や健康診断が必要となる対象者が増加したケースです。
担当者としては、拠点から近い医療機関を検索し、健康診断の実施を契約しなければいけません。しかし、本社から離れている場合、土地勘がわからず適切な医療機関を見つけづらいものです。
無事に契約が終わって健康診断を実施できたとしても、拠点の担当責任者が管理しているため、本社から進捗状況を確認できない可能性があります。そして、そのまま状況を放置していると「未受診率」が高くなってしまい、監督責任を問われる恐れも出てくるのです。
このようなケースの場合、医療機関のネットワークを広く持つアウトソーシング事業者に依頼すると効果的です。適切な医療機関との面倒な手続きや調整を代行してもらえるだけでなく、健診業務を一括依頼することで進捗状況を把握しやすくもなるでしょう。
ケース(2)人事の業務負荷が大きく受診率が向上しない
健康診断を実施する際に、対応する人事担当者の業務量が多く、「受診率を高めるための施策」まで手が回らない、というケースも数多く見受けられます。
日程調整や書類の準備、健診結果のデータ加工といった目の前の業務に追われ、「本当に取り組むべき仕事に取りかかれない」という状況です。健康診断の対象者数が多いと、その状況はより顕著になるでしょう。
このような場合もアウトソーシングが非常に効果的です。煩雑な業務を丸ごと委託すると、健診業務の運営がスムーズになり担当者は業務から解放されます。空いたリソースで、受診率を高めるための施策に注力すると、健康経営をより推進できるようになるはずです。
健康診断のアウトソーシング業者の選び方
次に、健康診断のアウトソーシング事業者の選び方を2点解説します。
4-1. 要望に応じて業務内容をカスタマイズできるか
自社のニーズに合わせて業務内容を柔軟にカスタマイズしてもらえるかどうか、確認が必要です。特に、次の2つの業務は煩雑であるため、対応してもらえる範囲かどうかを必ず確認しましょう。
- 医療機関への支払い業務
- 労基署へ提出するデータの統一フォーマット化
前述したように、複数の医療機関への支払いには手間がかかります。さらに、医療機関ごとで健診結果のフォーマットが異なるので、加工が必要です。外部委託する際は、これらの業務を実施してくれるかなど、対応の柔軟さをしっかり確認しましょう。
4-2. 提携している医療機関数が多いか
アウトソーシング業者に医療機関のネットワークがどれだけあるかも確認しましょう。
そもそも、アウトソーシング事業者が提携している医療機関からしか、健康診断の施設を選ぶことができません。提携している医療機関が多ければ、従業員の選択肢も増えることになるわけです。
医療機関数が多ければ、「自宅から近い」「オフィスから近い」など、都合の良い場所を選択できるようになるため、満足度や受診率の向上が期待できるでしょう。
健康診断のアウトソーシングならパーソルビジネスプロセスデザインへ
健康診断の事務業務をアウトソーシングすることで、担当者の負担は軽減され、健康経営の推進など“コア業務”に注力できるようになります。医療機関への支払い業務や労基署への報告書の加工作業といった、煩雑な業務を委託できるかどうかが、アウトソーシング業者を選ぶ際の重要なポイントです。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、医療機関との契約や日程調整、健診結果のデータ化といった健康診断の実施に必要な事務作業を代行します。また、全国4,000もの医療機関と提携していますので、従業員の皆様にとってご都合の良い受診場所をお選びいただけるのが特徴のひとつです。
さらに、システムでは従業員の予約状況や受診状況を可視化でき、適切なフォローを実現できます。また、当社が医療機関から請求書を受領して立て替え支払いを行いますので、お客様は当社からの一括請求に対応いただくのみで完了します。
煩雑な事務作業から解放されますので、担当者はより重要な業務に時間をあてていただくことが可能です。お客様のご要望に応じてサービスもカスタマイズ可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。