カジュアル面談とは?
カジュアル面談とは、選考が始まる前に求職者とカジュアルに話して、お互いの理解を深める機会のことです。
一般的な面接は、面接官が求職者に対して質問し、それに回答するといった形式で進められます。一方のカジュアル面談は、知りたい内容についてお互いが質問していくのが特徴です。
では、なぜカジュアル面談が注目されるようになったのでしょうか?その背景には、少子高齢化による労働人口の減少が挙げられます。
少子高齢化によって労働人口が減少し、近年は競合他社間での採用活動が激化しているような状況です。これにより、転職を考えていたり就職を控えていたりする顕在層だけでなく、潜在層にもアプローチする必要性が出てきました。
しかし、潜在層に対してアプローチを行っていきなり面接を受けてもらうのは、非常にハードルが高いといえます。カジュアル面談は、まずは自社に対して興味関心を持ってもらい、少しでもそのハードルを下げるため実施する企業が増えてきたのです。
カジュアル面談を実施する2つのメリット
カジュアル面談を実施するメリットは、以下の2つです。
- メリット(1)自社に対して興味関心を持ってもらえる
- メリット(2)ミスマッチを未然に防げる
順番に解説します。
メリット(1)自社に対して興味関心を持ってもらえる
メリット(1)自社に対して興味関心を持ってもらえる
カジュアル面談は実際の選考とは異なるので、転職を本格的に考えている顕在層だけでなく、そこまで深く転職を考えていない潜在層にまで、幅広くアプローチできます。
その結果、自社に対して興味関心を持ってもらえるようになり、将来的に求職者として応募してくれる可能性が高くなります。
メリット(2)ミスマッチを未然に防げる
メリット(2)ミスマッチを未然に防げる
一般的な面接は、面接官が求職者に対して一方的に質問して、それに回答するといったスタイルが主流です。
そのため、お互いがお互いのことをあまり理解できないまま選考に通過してしまい、入社してからミスマッチが起きることも珍しくありません。
一方、カジュアル面談の場合は選考の合否とは無関係であるため、過度に緊張することがなく、お互いが自然体の状態で知りたい内容について質問できます。その結果、双方の理解が深まり、ミスマッチを未然に防ぐことが期待できるのです。
採用面接に進んだ際も、すでに求職者の本音を知っていることで、効果的な質問をなげかけるなど、自社の求める人材要件なのか見極めるポイントが明確になるでしょう。
求職者にとっても、企業の内面を知ることで、入社してから「自分に合わない」と早期退職することがなくなります。カジュアル面談の実施は、採用活動における採用効率向上や離職率改善にもつながっているのです。
カジュアル面談の前に準備する3つのポイント
カジュアル面談を実施する前に準備すべきポイントは、以下の3つです。
- ポイント(1)面接担当者を選定する
- ポイント(2)アジェンダを決めておく
- ポイント(3)質問する内容を考えておく
それぞれ解説します。
ポイント(1)面接担当者を選定する
ポイント(1)面接担当者を選定する
カジュアル面談を実施する前に、必ず面接担当者を選定しておきましょう。なお、人事担当者にカジュアル面接を任せると、どうしても採用重視の面談になってしまうリスクが高いため、注意が必要です。
なるべく自社のことや、業務内容について熟知している社員を面接担当者に選定するようにしましょう。
ポイント(2)アジェンダを決めておく
ポイント(2)アジェンダを決めておく
カジュアル面談は通常の面接とは違って、お互いがリラックスした状態で話す場です。しかし、話す内容について事前に決めておかないと、雑談だけで終了してしまうリスクがあります。
その結果、双方にとって時間の無駄となり機会損失となる恐れがあるため、今後の選考につながるような有意義な時間を過ごしたいのであれば、ある程度のアジェンダを決めておきましょう。
ポイント(3)質問する内容を考えておく
ポイント(3)質問する内容を考えておく
カジュアル面談で重要なのは、限られた時間内でお互いのことを深く理解することです。そのためには、質問する内容をしっかりと考えて、精査する必要があります。
カジュアル面談で質問する内容については、次項で詳しく解説します。
カジュアル面談で活用できる質問例
カジュアル面談で活用できる質問例を、以下に挙げる5つのパターンに分けて紹介します。
- 質問例(1)兼ね備えているスキルについての質問例
- 質問例(2)これまでの経験についての質問例
- 質問例(3)今後のキャリアについての質問例
- 質問例(4)現在の仕事についての質問例
- 質問例(5)自社についての質問例
質問例(1)兼ね備えているスキルについての質問例
質問例(1)兼ね備えているスキルについての質問例
兼ね備えているスキルについて知りたい場合の質問例は、以下の通りです。
- 前職で〇〇についての業務を行った経験があるようですが、具体的に教えていただけますか?
- 〇〇を希望する場合、△△の資格が必要となるのですが、お持ちですか?
- 〇〇についてご存じですか?
質問例(2)これまでの経験についての質問例
質問例(2)これまでの経験についての質問例
これまでの経験について知りたい場合の質問例は、以下の通りです。
- 前職での仕事内容について、簡単に教えていただけますか?
- 〇〇の経験はありますか?
- 前職の〇〇は、何年ほど携わられたのですか?
質問例(3)今後のキャリアについての質問例
質問例(3)今後のキャリアについての質問例
今後のキャリアについて知りたい場合の質問例は、以下の通りです。
- 抽象的でも構いませんので、今後のキャリアプランについて考えていますか?
- 今後はどのようなキャリアビジョンを描いていきたいと考えていますか?
- 今後のキャリア形成において、重要視しているポイントはありますか?
質問例(4)現在の仕事についての質問例
質問例(4)現在の仕事についての質問例
現在の仕事について知りたい場合の質問例は、以下の通りです。
- 現在の仕事で、大変なことや苦労していることについて教えてください。
- 転職しようと思ったきっかけはなんですか?
- 現在の仕事内容について、簡単に教えてください。
質問例(5)自社についての質問例
質問例(5)自社についての質問例
自社について知りたい場合の質問例は、以下の通りです。
- 当社について、聞いておきたいことはありますか?
- 当社を志望する場合、懸念点や不安な点などはございますか?
- ここまでお話しさせていただいたうえで、当社に興味関心が湧いたか本音で構いませんので教えてください。
カジュアル面談における3つの実施方法
カジュアル面談における実施方法は、以下の3つです。
- 実施方法(1)対面
- 実施方法(2)オンライン
- 実施方法(3)電話
順番に解説します。
実施方法(1)対面
実施方法(1)対面
まず挙げられるのが対面での面談です。これまでは新型コロナウイルス感染症の影響もあり、対面での実施を控えていた企業が多かった傾向にあります。しかし、コロナウイルスの蔓延が少しずつ収束してきたこともあり、対面での面談を実施する企業も増えてきました。
対面でカジュアル面談を実施する最大のメリットとして、コミュニケーションのしやすさが挙げられます。オンラインや電話の場合、お互いの表情が分かりにくかったり、見えなかったりするので、変な間が空いてしまい気まずい雰囲気になることも少なくありません。
一方、対面であればお互いが表情をしっかりと把握しながらコミュニケーションを図れるため、会話が弾みやすいでしょう。
ただし、対面の場合は指定した場所に来てもらう必要があるので、求職者が負担を感じてしまう懸念があります。また、遠方に住んでいるという理由で、カジュアル面談に参加できないという求職者も一定数いるはずです。そうした場合にはオンラインに切り替えるなど、臨機応変な対応をしましょう。
実施方法(2)オンライン
実施方法(2)オンライン
2つ目の方法はオンラインです。オンラインでカジュアル面談を実施するメリットとして、日程調整のしやすさが挙げられます。
オンラインでのカジュアル面談は、対面と違って会場をセッティングしたり会場に移動したりする必要がなく、好きな場所で実施することが可能です。隙間時間に実施できるため、1人でも多くの求職者とカジュアル面談が行えるようになります。
また、求職者の負担も少ないため、カジュアル面談のエントリー率向上に期待ができます。
ただし、オンラインでの面談は画面越しでの実施となるため、対面よりもお互いの雰囲気や表情が伝わりにくく、コミュニケーションが取りづらいのがデメリットです。さらに、通信状況が悪いと画面が途中でフリーズしたり、音声が途切れたりする恐れもあるため、万全な準備が求められます。
実施方法(3)電話
実施方法(3)電話
3つ目の方法は電話での面談です。電話でカジュアル面談を実施するメリットとして、オンラインのように画面越しで面談ができるような状況でなくても、実施できる点です。
また、通信状況に左右される心配もないので、スムーズなコミュニケーションが図れるのもメリットといえます。
しかし、電話でのカジュアル面談は視覚的情報がなにもないため、いくらコミュニケーションを図っても、情報が伝わりにくいというリスクがあります。そのため、可能であれば対面もしくはオンラインでの実施がおすすめです。
カジュアル面談の進め方
カジュアル面談は、以下に挙げる6つのステップで進めていきます。
- 自己紹介を行う
- 選考の合否とは無関係であることを伝える
- 現在の状況やニーズについて確認する
- ニーズに合わせて企業の概要を伝える
- 質疑応答する
- 今後の選考に進むかどうか意思確認する
順番に見ていきましょう。
進め方(1)自己紹介を行う
進め方(1)自己紹介を行う
まずは、お互いに自己紹介を行うことから始めましょう。この段階で求職者の緊張がほぐれないと、その後も緊張したままカジュアル面談を進めることになります。そのため、しっかりアイスブレイクを行うことが大切です。
自己紹介では、名前や所属している部署に加えて、現在の趣味や特技なども盛り込んでみましょう。
進め方(2)選考の合否とは無関係であることを伝える
進め方(2)選考の合否とは無関係であることを伝える
自己紹介を行ったら、今回のカジュアル面談が選考の合否とは無関係であることを伝えましょう。なぜなら、「カジュアル面談といっても、実際は選考と関係しているのではないか」と不安に感じる人もいるはずだからです。
その結果、相手の本心を確かめられない恐れがあるので、面接官はそのような不安を払拭してあげることが大切です。
進め方(3)現在の状況やニーズについて確認する
進め方(3)現在の状況やニーズについて確認する
選考の合否とは無関係であることを伝えたら、現在の状況やニーズについて確認します。なぜなら、カジュアル面談に参加する人は、転職や就職を真剣に考えている人もいれば、そこまで深く考えていない人もいるからです。
そのため、カジュアル面談に参加してくれた理由や熱量・転職や就職活動における軸などについて質問してみましょう。
進め方(4)ニーズに合わせて企業の概要を伝える
進め方(4)ニーズに合わせて企業の概要を伝える
現在の状況を確認したら、ニーズに合わせて企業の概要を伝えます。例えば、転職や就職活動の軸として働き方や給与面を重視しているのであれば、テレワークの有無やインセンティブ制度などを重点的に説明してあげましょう。
回答に対する反応を伺いながら、臨機応変に進めることが大切です。
進め方(5)質疑応答する
進め方(5)質疑応答する
企業の概要まで伝えたら、質疑応答の時間を設けます。本当は聞きたい質問があっても、遠慮している人もいるはずです。
そのような場合には、「仕事以外のことでも大丈夫ですので、なんでも聞いてくださいね」といった感じで一言添えてあげると、質問のハードルも自然と下がります。
進め方(6)今後の選考に進むかどうか意思確認する
進め方(6)今後の選考に進むかどうか意思確認する
最後に、今後の選考に進むかどうかの意思確認をします。今後の選考に進みたいという意志があれば、そのまま選考案内を行いましょう。
選考に進むか迷っている場合には、具体的にどのような部分が迷っているのかをしっかりヒアリングし、フォローしましょう。
効果的なカジュアル面談を実施するコツ
効果的なカジュアル面談を実施したいのであれば、以下で紹介する4つのコツを意識しましょう。
- コツ(1)会話のバランスを考える
- コツ(2)自社の課題や弱みも正直に伝える
- コツ(3)緊張しないような環境作りを心がける
- コツ(4)今後の選考案内は当日中に行う
それぞれ解説します。
コツ(1)会話のバランスを考える
コツ(1)会話のバランスを考える
どちらかが一方的に話してしまうと、お互いのことを理解できずに終わってしまうリスクがあります。
カジュアル面談では、相互理解を深めることが大事なため、担当者は会話のバランスを考えながら進めることを意識しましょう。
コツ(2)自社の課題や弱みも正直に伝える
コツ(2)自社の課題や弱みも正直に伝える
自社の強みや魅力だけを話してしまうと、入社した際に大きなギャップが生じてしまい、早期離職につながるケースも珍しくありません。
また、「なにか隠しているのではないか」と怪しまれるリスクもあるため、自社の強みや魅力だけでなく、課題や弱みも正直に伝えましょう。
コツ(3)緊張しないような環境作りを心がける
コツ(3)緊張しないような環境作りを心がける
会議室のような、あまりにも静かな場所でカジュアル面談を実施してしまうと、求職者が緊張してしまうかもしれません。効果的なカジュアル面談を実施したいのであれば、緊張しないような環境作りを心がけることが大切です。
そのため、カフェのように静かすぎない場所で実施したり、カジュアルな服装を意識したりしましょう。
コツ(4)今後の選考案内は当日中に行う
コツ(4)今後の選考案内は当日中に行う
カジュアル面談の最後に「今後の選考に進みたい」という意思確認が取れたら、なるべく当日中に選考案内を行いましょう。当日中であれば、自社への興味関心が高い状態にあるため、エントリー参加率の向上につながります。
逆に数日経過してから選考案内を行ってしまうと、参加率が大きく低下する恐れがあるため、注意が必要です。
カジュアル面談でよくある失敗パターン
カジュアル面談でよくある失敗パターンとして、以下の3つが挙げられます。
- 失敗パターン(1)採用面接と同じような質問をしてしまう
- 失敗パターン(2)今後の選考案内をせずに終了してしまう
- 失敗パターン(3)合否連絡をしてしまう
順番に解説します。
失敗パターン(1)採用面接と同じような質問をしてしまう
失敗パターン(1)採用面接と同じような質問をしてしまう
カジュアル面談は、お互いの理解を深めるための機会であり、選考の合否とは無関係です。
それにもかかわらず、「志望動機」や「自社に入社した場合に成し遂げたいこと」など、採用面接と同じような質問をしてしまうと、求職者は「やっぱり選考と関係があるのではないか」と不安な気持ちになり、自然体でいられなくなります。
その結果、お互いのことを理解できないまま終了してしまうリスクが高くなるので、採用面接と同じような質問は控えるようにしましょう。
失敗パターン(2)今後の選考案内をせずに終了してしまう
失敗パターン(2)今後の選考案内をせずに終了してしまう
せっかくカジュアル面談を実施したのにもかかわらず、今後の選考案内をせずに終了してしまうと、たとえ自社に対して興味があったとしても、一気に志望度が下がり採用につながらないリスクがあります。
こうしたリスクを防ぐためには、カジュアル面談の最後には今後の選考に進むかどうかの意思確認を必ず行い、今後の選考に進みたいという意思があれば、そのまま選考案内をしましょう。
失敗パターン(3)合否連絡をしてしまう
失敗パターン(3)合否連絡をしてしまう
カジュアル面談は、お互いの理解を深めるための機会であり、選考の合否とは無関係であるため、実施後に合否連絡をしてしまうのは不適切な対応です。
たとえ合格であることを伝えたとしても、求職者は不信感を抱いてしまい、その後の選考を辞退するリスクが高くなります。そのため、合否連絡はしないようにしましょう。
効果的な採用面接を実施するならパーソルビジネスプロセスデザイン
この記事では、カジュアル面談を実施するメリットやカジュアル面談で活用できる質問例、実施方法などについて解説しました。
カジュアル面談は、お互いの理解を深めるための重要な機会です。実施することで自社に対して興味関心を持ってもらえるようになったり、ミスマッチを未然に防げたりするなどのメリットに期待ができます。
しかし、よくある失敗パターンとして、採用面接と同じような質問をしてしまったり、今後の選考案内をせずに終了してしまったりするといったケースも見受けられるので、カジュアル面談が成功するか不安に感じる担当者もいるはずです。
そのような不安を抱えている場合には、パーソルビジネスプロセスデザインにお任せください。パーソルビジネスプロセスデザインでは、「採用面接官トレーニング」を提供しています。
学習とトレーニングを組み合わせた最適な研修プログラムとなっておりますので、受講することで面接官のスキルアップにつながり、カジュアル面談の成功期待度が一段と高まるはずです。
以下のように2つのプランを用意しておりますので、自社に最適なプランを選んでみてください。
●ライト版:面接における基礎知識の習得を目的として、コンテンツを作成したプラン
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