コールセンターにおけるトークスクリプトとは?
コールセンターにおけるトークスクリプトとは?
コールセンターにおけるトークスクリプトとは、顧客との会話内容に対しどう対応すべきかを記した「台本」のことです。
トークスクリプトがあると、経験年数やスキルに関係なく、応対品質の均一化を図ることができます。また、顧客との会話内容がある程度固定されているので、オペレーターの負担を大幅に軽減できるのもトークスクリプトのメリットです。
従来のトークスクリプトは紙ベースであることが多かったのですが、最近はPC上で確認できるようになってきています。コールセンターは、大きく分けてインバウンドとアウトバウンドの2種類があり、トークスクリプトの内容は大きく異なります。
- インバウンド:顧客からかかってきた電話に対応する
- アウトバウンド:オペレーターが顧客へと電話をかける
トークスクリプトの重要性
トークスクリプトの重要性
コールセンターにおいてトークスクリプトは非常に重要な役割を果たします。トークスクリプトとは、オペレーターが電話応対や顧客対応をする際に使用するテキストのガイドラインです。トークスクリプトは単なるテンプレートではなく、オペレーターが効果的に対話を行うための貴重なツールとなります。
トークスクリプトは一貫性と品質管理を確保するための重要な要素であり、オペレーターが同じメッセージや効果的な言葉遣いを使用することにより、顧客への対応が一貫性を持ち、統一されたブランドイメージを提供することができます。また、トークスクリプトを使用することで、新人オペレーターや経験の浅いオペレーターでも確実な対応ができるよう支援することができます。
さらに、トークスクリプトは効率性を向上させるためのツールとしても機能します。トークスクリプトには一連の流れやスクリプトが組み込まれており、オペレーターはそれに従って対話を進めることができます。このようなガイドを利用することで、対応時間が短縮され、効率的なコミュニケーションが行われるようになります。
トークスクリプトが与えるメリットと効果
トークスクリプトが与えるメリットと効果
トークスクリプトはコールセンターに多くのメリットと効果をもたらします。
まず、顧客体験の向上が挙げられます。トークスクリプトに組み込まれた適切なフレーズや言葉遣いにより、オペレーターは顧客に対して親切かつ専門的な対応を提供できます。正確で明確な情報提供や的確な問い合わせ受付は、顧客の満足度を高め、長期的な顧客関係の構築につながります。
さらに、トークスクリプトはトレーニングや教育の効果を高める役割も果たします。新人オペレーターや経験の浅いオペレーターにとって、トークスクリプトは教育的なリソースとして機能し、一貫性のあるトレーニングプログラムの実施が可能となります。さらに、トークスクリプトの改善やフィードバックを通じて、スキルや知識の向上を図ることができるでしょう。
また、トークスクリプトは品質管理とコンプライアンスの向上にも寄与します。特定の業界や規制においては、正確な情報提供や法的な要件を満たす必要があります。トークスクリプトを使用することで、このような要件を満たし、法的リスクを低減することができます。
トークスクリプトの役割と目的
トークスクリプトの役割と目的
トークスクリプトにはいくつかの役割と目的があります。
まず、トークスクリプトはオペレーターのガイドとしての役割を果たします。オペレーターはトークスクリプトに基づいて会話を進めることで、一貫性のある対応や特定の目的を達成することができます。トークスクリプトは対話の流れや必要な情報の提示にフォーカスし、オペレーターをサポートします。
さらに、トークスクリプトはコミュニケーションの効率化を図る目的も持っています。トークスクリプトには効果的なフレーズや応答パターンが組み込まれており、オペレーターはそれを活用することで、円滑なコミュニケーションを実現します。顧客の問題解決や要件の把握をスムーズに行うことができます。
さらに、トークスクリプトは組織のブランドイメージや価値観を伝える役割も担っています。トークスクリプトには統一された言葉遣いやトーンが反映されており、顧客に対して安心感や信頼性を与えることができます。ブランドの価値を伝えるためにも、トークスクリプトの作成は重要です。
トークスクリプトは効果的な対話の実現や業務効率化、ブランドイメージの向上など、多くの役割と目的を持っています。適切なトークスクリプトの作成と活用により、コールセンターの業務改善と顧客満足度の向上を実現できます。
コールセンターのトークスクリプトに必要な3つの要素
コールセンターのトークスクリプトに必要な3つの要素
コールセンターのトークスクリプトに必要な要素は、以下の3つです。
- 要素(1)オープニングトーク
- 要素(2)メイントーク
- 要素(3)クロージングトーク
それぞれ解説します。
要素(1)オープニングトーク
要素(1)オープニングトーク
オープニングトークとは、電話対応における始まりの部分を指します。
インバウンドであれば、「お電話ありがとうございます、〇〇株式会社のコールセンター担当△△です」といったトークから始めて、「本日はどのようなご用件でしょうか」と尋ねます。
商品やサービスにおけるクレームや不具合に関する内容には、こちらの落ち度を否定するのではなく、まずは顧客の気持ちに寄り添うことが大切です。その後、納得してもらえるような謝罪や回答を提示しましょう。
アウトバウンドであれば、「お忙しいところ恐れ入ります、〇〇株式会社の△△と申します」といったトークから始めます。
その後、「先日は、〇〇の商品をご購入いただきありがとうございました。本日は、〇〇のご案内でご連絡いたしました」といった流れでメイントークにつなげるとスムーズです。
ただし、アウトバウンドの電話に嫌悪感を示す人もいるので、なるべく端的かつ分かりやすい提案を意識しましょう。
またどちらにも共通することですが、声のトーンが低かったり、ボソボソと話したりしてしまうと、第一印象が悪くなる恐れがあります。そのため、ハキハキと明るく話すことを心がけましょう。
要素(2)メイントーク
要素(2)メイントーク
メイントークとは、本題の要件を指します。オープニングトーク同様にインバウンドとアウトバウンドによって対応方法は異なります。
インバウンドの場合には、顧客からの質問や要望などについて答えるケースが多いため、まずは顧客の話をしっかり聞くことが大切です。そのうえで、顧客に適した解決策を明確に伝えることがゴールとなります。
一方アウトバウンドの場合には、オペレーター側から顧客に対して電話をかけている状況なので、まずは現在の状況をヒアリングしたうえで、新たな商品やサービスを提案します。
最終的に商品やサービスの購入、もしくは次回へとつながるアポイントを獲得できれば、ゴールとなります。
要素(3)クロージングトーク
要素(3)クロージングトーク
クロージングトークとは、トークにおける締めの部分を指します。メイントークまでは順調に話が進んでいたとしても、クロージングトークがうまくできなければ、最終的に顧客満足度を低下させたり、商品やサービスの成約につなげられなかったりします。
そのため、最後まで細やかな気配りが求められます。インバウンドの場合には、「他に質問やご要望などはございませんでしょうか?」と聞き、なにもなければ「本日はご連絡いただきありがとうございました」と伝えます。
一方、アウトバウンドの場合には、アポイントが決まったのであれば、「◯月◯日の◯時でいかがでしょうか?」と日程を調整しましょう。
その後、「このたびはお忙しいなか、貴重なお時間を割いていただきありがとうございました」と伝えます。
どちらも最後まで謙虚な姿勢を一貫することが重要です。
コールセンターのトークスクリプトを作成する手順
コールセンターのトークスクリプトを作成する手順
コールセンターのトークスクリプトを作成する手順は、以下の5ステップです。
- 手順(1)必要な情報をまとめる
- 手順(2)予想されるパターンと対応策について考える
- 手順(3)骨組みを作成する
- 手順(4)骨組みに会話文を入れる
- 手順(5)トークスクリプト全体を整える
順番に解説します。
手順(1)必要な情報をまとめる
手順(1)必要な情報をまとめる
インバウンド・アウトバウンドに限らず、まずはコールセンターで扱う商品やサービスの特徴についてまとめましょう。
自社の商品やサービスについて詳しく知らないと、顧客の質問に答えられなかったり、セールスポイントを伝えられなかったりするからです。
特にアウトバウンドの場合は、自社の商品やサービスが他社と比較されることもあるので、魅力についてしっかり伝えられるよう、情報を整理しておきましょう。
手順(2)予想されるパターンと対応策について考える
手順(2)予想されるパターンと対応策について考える
必要な情報をまとめたら、次に予想されるパターンと対応策について考えます。インバウンドであれば、具体的にどのような質問がされるのかを予想しておきましょう。このとき、これまでの応対記録を確認してみるのがおすすめです。
一方、アウトバウンドであれば、営業電話と判断された瞬間にすぐに断られてしまうケースも多いので、切り返しトークについてしっかり考えましょう。
手順(3)骨組みを作成する
手順(3)骨組みを作成する
予想されるパターンと対応策に基づき、トークスクリプトの骨組みを立てていきます。一般的には、フローチャートを用います。
フローチャートとは、図形や矢印を用いて誰が見ても理解できるように作成した図のことです。
トークスクリプトに必要な3つの要素を軸にしながら、順番に作成していきましょう。
手順(4)骨組みに会話文を入れる
手順(4)骨組みに会話文を入れる
骨組みを作成したら、実際に会話文を入れていきます。経験が浅いオペレーターの場合、謙譲語や尊敬語を間違えてしまうケースも多いので、正しい敬語を用いて文章を書くことがポイントです。
誰が読んでも分かりやすいよう、難しい漢字は多用しないようにしましょう。
手順(5)トークスクリプト全体を整える
手順(5)トークスクリプト全体を整える
せっかくトークスクリプトを作成しても、見にくいとトークを探すのに時間がかかってしまい、本来の効果が半減する恐れがあります。
そのため、オペレーターが読みやすいようにトークスクリプト全体を整えていきます。
完成したら、実際に活用してみましょう。
コールセンターのトークスクリプトを作成する際のポイント
コールセンターのトークスクリプトを作成する際のポイント
コールセンターのトークスクリプトを作成する際には、以下に挙げる4つのポイントを意識しましょう。
- ポイント(1)ロールプレイングで内容をチェックする
- ポイント(2)経験豊富なオペレーターに協力してもらう
- ポイント(3)定期的にPDCAを回す ポイン
- (4)誰が見ても分かりやすいレイアウトを心がける
順番に解説します。
ポイント(1)ロールプレイングで内容をチェックする
ポイント(1)ロールプレイングで内容をチェックする
実際にトークスクリプトを作成したら、実際の現場で使用する前にロールプレイングで内容をチェックしましょう。
ロールプレイングを行うことで、不自然な点や改善すべき点が見えてくるはずです。もし見つかったら、改善して再度ロールプレイングを行いましょう。
ポイント(2)経験豊富なオペレーターに協力してもらう
ポイント(2)経験豊富なオペレーターに協力してもらう
トークスクリプトを作成する際には、必ず経験豊富なオペレーターに協力してもらいましょう。
なぜなら、経験が乏しいオペレーターがトークスクリプトを作成しても、精度が高いのか判断するのは困難だからです。
経験豊富なオペレーターが協力すれば完成度の高いトークスクリプトを作成でき、成約率や顧客満足度の向上を期待できます。
ミステリーコールを実施してみるのもおすすめです。ミステリーコールとは、調査員が顧客を装ってコールセンターに電話をかけ、オペレーターの応対品質をチェックすることを指します。
ミステリーコールを実施することで、現状の見直しが行えます。その結果、さらにクオリティの高いトークスクリプトを作成できるでしょう。
ポイント(3)定期的にPDCAを回す
ポイント(3)定期的にPDCAを回す
トークスクリプトは、「作成して終わり」ではありません。なぜなら、作成したトークスクリプトを実際に使用してみると、記載されていない内容の質問をされたり、メイントークの内容が顧客にあまり刺さらなかったりするなど、改善点が見えてくるからです。
さらにハイクオリティなトークスクリプトを作成するためにも、定期的にPDCAを回しましょう。
ポイント(4)誰が見ても分かりやすいレイアウトを心がける
ポイント(4)誰が見ても分かりやすいレイアウトを心がける
項目によってフォントが統一されていなかったり、矢印が多かったりすると、オペレーターは次にどのトークを読めばいいのかが分からなくなってしまいます。
その結果、オペレーターの応対品質が低下する恐れがあるため、誰が見ても分かりやすいレイアウトを心がけましょう。
コールセンターのトークスクリプトで使われるトーク例文
コールセンターのトークスクリプトで使われるトーク例文
コールセンターのトークスクリプトで使われるトーク例文を、インバウンドの場合とアウトバウンドの場合にそれぞれ分けて紹介します。
ぜひ、参考にしてみてください。
例文(1)インバウンドの場合
例文(1)インバウンドの場合
【オープニングトーク】
【オープニングトーク】
「お電話ありがとうございます、〇〇株式会社のコールセンター担当△△です。本日はどのようなご用件でしょうか。」
【メイントーク】
【メイントーク】
→商品・サービスについての問い合わせ
「現在の状況について、詳しくお聞かせください」
→商品が動かなくなった
「〇〇にある▢▢は正常に作動していますでしょうか?」
→作動していない
「かしこまりました。その場合には、××の不具合が考えられますので、一度お預かりさせていただきます。大変恐れ入りますが、今から伝える修理センターの住所にお送りいただけますでしょうか?」
【クロージングトーク】
【クロージングトーク】
「ご案内はこれで以上となりますが、他になにかご質問やご不明な点はございますか?」
→特にない
「かしこまりました、コールセンター担当△△が承りました。お電話ありがとうございました」
例文(2)アウトバウンドの場合
例文(2)アウトバウンドの場合
【オープニングトーク】
【オープニングトーク】
「お忙しいところ恐れ入ります、〇〇株式会社の△△と申します。××様のお宅でしょうか?」
→はい
「本日は、弊社の商品である△△のご案内でご連絡いたしました。⬜︎⬜︎についてお困りではありませんか?」
【メイントーク】
【メイントーク】
→困っている
「さようでございますか、詳しいお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
→詳しい状況説明
「ご説明いただきありがとうございます。☆☆でお困りの場合、弊社商品の△△はいかがでしょうか。弊社の商品は……(商品の説明)」
「ぜひ一度××様のお宅にお伺いして、詳しくご説明させてください。ご都合の良い日時をお教えいただけますでしょうか?」
→検討しておきます
「ありがとうございます。ちなみに、これまでのご説明で気になる点はございますか?」
→〇〇について心配な部分がある
「弊社の商品は他社の商品と比較すると〇〇ですので……(商品の説明)」
【クロージングトーク】
【クロージングトーク】
「本日は、貴重な時間をいただきありがとうございました。◯月◯日の◯時に伺わせていただきますので、当日は何卒よろしくお願いいたします。」
コールセンターにおけるオペレーターのクオリティを高めたいならパーソルビジネスプロセスデザイン
コールセンターにおけるオペレーターのクオリティを高めたいならパーソルビジネスプロセスデザイン
この記事では、コールセンターにおけるトークスクリプトの基礎知識や作成する手順、作成する際のポイントなどを解説しました。
コールセンターにおけるトークスクリプトは、応対品質のクオリティを均一化するためにも欠かせません。
トークスクリプトを作成する際には、ロールプレイングで内容をチェックしたり、経験豊富なオペレーターに協力してもらったりしましょう。
コールセンターにおけるオペレーターのクオリティを、今よりも高めたいのであれば、パーソルビジネスプロセスデザインにお任せください。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、「応対品質改善サービス」を提供しており、ミステリーコールを行います。
ミステリーコールを行うことで、現状を把握でき、改善策を見出せるはずです。また、「スタッフ/リーダー教育サービス」も提供しており、ヘルプデスク研修やスーパーバイザー向け研修など、さまざまな研修を開催しているので、オペレーターのレベルアップにつながるはずです。
まずはお気軽にお問い合わせください。