SPOCとは何か
SPOCとはSingle Point of Contactの略称で、問い合わせ窓口を単一化することで問い合わせを集約することを指します。主にサービスマネジメントの中で用いられる言葉であり、ヘルプデスクの窓口を一か所に集め、問い合わせを集約することを指します。
SPOC化された窓口は、従業員からの問い合わせを広く受け付けることから「サービスデスク」といった表現で説明されることがあります。
ヘルプデスクとサービスデスクは混同されがちであるため、以下のように区別して覚えましょう。
- ヘルプデスク:ITにまつわるトラブルシューティングの問い合わせを受ける
- サービスデスク:社内・サービスについて全般的に問い合わせを受ける
SPOC化する3つのメリット
問い合わせ窓口をSPOC化することは、複数のメリットがあります。本項では、SPOC化のメリットを3つご紹介いたします。
メリット(1)どこに問い合わせるかが明確になる
SPOC化されていない窓口では、問い合わせした従業員が窓口をたらい回されることがあります。例えば、以下のようなケースがあるでしょう。
<引っ越しに伴う住所情報の変更について確認したいケース>
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従業員:ホームページに記載されていた問い合わせ窓口Aへ電話
窓口A:「こちらの窓口では個人にかかる従業員情報の対応をしていません。窓口Bに問い合わせてください」
窓口B:「個別での回答はできないため、人事担当に直接連絡してください」
人事担当:「現在の登録情報照会が必要なので、後ほど書類を郵送します」
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このような場合には、従業員は窓口をたらい回しにされてしまうため問題解決までのリードタイムが伸びてしまいます。問題解決までに時間がかかると、従業員は生産性が下がり、窓口に不満を抱くようになります。改善されないと、最悪の場合には会社への信頼度が低下することにもつながりかねません。
SPOC化されている窓口であれば、以下のような運用が可能となります。
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従業員:社内イントラ記載されていた問い合わせ窓口Aへ電話
窓口A:窓口が直接人事担当に連絡。
要件をヒアリングして照会依頼をかけ、書類の郵送まで対応。
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SPOC化されている場合には、従業員は1つの窓口に連絡するだけでスムーズに回答が得られます。
スムーズに回答が得られると、従業員は問い合わせに関する工数が削減でき、本来の業務に集中することができます。そうすることで、生産性の向上や従業員満足度の向上が期待できるでしょう。
メリット(2)各部署も本来の業務に集中できる
1つ目のメリットで「従業員が本来の業務に集中できる」とありましたが、もちろん問い合わせを受ける担当部署側にも同様のメリットがあります。
SPOC化されていない窓口では、問題(インシデント)が発生すると担当部署が調査のうえ、原因を究明し、解決後に記録します。問題発生中には従業員へ電話やメールでの応対も求められるため、目の前の業務が中断される原因にもなります。
SPOC化がなされていれば、問い合わせは窓口に集約され、取りまとめてもらえるため担当部署は電話やメールでのやり取りを行う必要が無くなります。すると、本来の業務に集中することができるようになりますので、生産性の向上へとつながるでしょう。
メリット(3)1つの窓口で問題解決ができるようになる
SPOC化されている窓口では、問い合わせを集中的に受けるため、長期的にナレッジを蓄積することで幅広い回答ができるようになります。
窓口を開設したての時にはナレッジが蓄積されていないため、回答の多くは担当部署へとエスカレーションすることになるでしょう。ただし、一度受けた問い合わせを記録してナレッジ化することで、同じ問い合わせが来た際には担当部署へのエスカレーションが不要となり、即時に回答ができるようになるのです。
長期的にナレッジを蓄積することで一次解決率も向上し、問題解決までのリードタイム短縮を実現することができます。
SPOC化への課題
ここまでSPOC化のメリットについてご紹介しましたが、SPOC化を実現するまでにはいくつかの課題が存在します。本項では、SPOC化への課題についてご紹介します。
ナレッジを蓄積するまでに時間がかかる
前述した通り、SPOC化は“問い合わせを幅広く受けることができる”といった強みがありますが、一方でナレッジが窓口に蓄積され、十分な回答ができるまでには時間がかかります。
ですから、ナレッジの蓄積についてはチーム内でルールを決めておかなければなりません。
チームメンバーが各自で勝手にナレッジを作成してしまうと、ナレッジの品質にばらつきが生じてしまい、有益なナレッジが蓄積されにくくなってしまいます。
ナレッジの継続的な整備が必要
ナレッジを公開している場合には整備を継続的に行わなければなりません。窓口の開設期間が長いほど、取り扱う情報は膨大なものとなります。整備を怠ってしまうと、
- どこにナレッジが共有されているのかわからない
- 古い情報が残り続けており、最新の解決策がナレッジ化されていない
など、誤った情報を案内することになり、従業員の満足度が低下してしまいかねません。
公開したナレッジは、継続的な整備が必要といえるでしょう。
SPOC化への課題を解決する方法
SPOC化を実現するための課題について、いくつかお伝えしてきました。本項では、SPOC化への課題を解決して導入へ進めるための方法についてご紹介します。1つずつ見ていきましょう。
解決法(1)ナレッジマネジメントを行う
『ナレッジマネジメント』を行うことで、ナレッジの蓄積並びに管理負担を大きく軽減することができます。
ナレッジマネジメントとは、社員が個々に所有しているスキルを組織内で共有・融合させることによって、新たな変革を促進して生産性を高めるためのマネジメント手法です。
ナレッジマネジメントは、社員一人ひとりが業務に従事する中で蓄積してきたスキルである「暗黙知」を、文章や音声など明確な形で表現する「形式知」に変換していくことが重要とされています。
ナレッジマネジメントを行う方法としては専用のシステムを導入することが効果的でしょう。システムによってナレッジの整備や管理が手軽に行えるようになり、従業員に回答するまでのリードタイムが短縮できるようになります。問い合わせ量が多いサービスデスクにとって、ナレッジマネジメントはオペレーターの負担を減らすための有効な施策といえるはずです。
ナレッジマネジメントについては、以下のコラムでも解説しておりますのであわせてご覧くださいませ。
ナレッジマネジメントの意味や手法、注意点について解説
解決法(2)ツールを導入する
解決法(2)ツールを導入する
SPOC化を支援するためのツール導入も効果的な施策となります。以下のようなツールはSPOC化に効果的であるといえるでしょう。
≪インシデント管理ツール≫
SPOC化することにより窓口で取り扱う問い合わせは増えるため、インシデントを記録してカテゴリ化し、管理できるような「インシデント管理ツール」はオペレーターの処理負担を減らす手助けとなります。
リアルタイムでインシデント対応状況を一覧表示できるものや、問い合わせ内容の集計・分析を行えるものなど機能は多岐にわたります。導入する目的を明確にして、SPOC化による負担の削減に活用しましょう。
≪マルチチャネルツール≫
SPOC化によって問い合わせ量が増えた場合には、チャネルを増やすことでオペレーターの負担を軽減できる可能性があります。
例えば、問い合わせを自動化する「チャットボット」や「ビジュアルIVR」であれば、オペレーターの負担を軽減しながらも、あらゆるチャネルからナレッジを収集できるため、ナレッジを蓄積させる後押しとなります。
その他にも、従業員自身で問い合わせを解決できるように導く「FAQ」の設置は問い合わせ量の削減につながります。あらゆる問い合わせをFAQにまとめ、SPOC化された窓口で管理することで従業員はFAQに訪れるだけで幅広い問題が解決できるようになるのです。
以上のように、ツールの導入はSPOC化を実現する強力な後押しとなります。ツールの値段は、目的に沿った機能だけであれば比較的安価に導入できるものが多くあります。窓口の目的にあわせて選定しましょう。
SPOC化のご相談はパーソルビジネスプロセスデザインへ
もし御社で「窓口のSPOC化を行いたい」とお考えでしたら、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインにご相談ください。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、社内の窓口をSPOC化して問い合わせを一元化できる「サービスデスク」のアウトソーシングサービスを提供しております。従業員から管理部門へのお問い合わせ窓口を「サービスデスク」へと一元化し、従業員はお問い合わせ先に迷うことがありません。また、常に正確で最新に保たれたナレッジを活用し、お問い合わせに対して回答します。
各部門の担当者様には、これまで受けたことのないお問い合わせ(ナレッジがないお問い合わせ)のみエスカレーションします。エスカレーションしたお問い合わせの回答もナレッジとして蓄積しますので、2回目以降はサービスデスクで回答可能となります。それにより、従業員からのお問い合わせ対応に要する時間が減り、本来の業務へ専念することが可能になります。
「SPOC化して従業員側の負担を減らしたい」「ナレッジを集約してセルフサポートを実現したい」などお考えの方におすすめのサービスとなっております。
詳細につきましては、下記の「サービスデスク」のページをご確認のうえ、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。