電話応対での品質向上、3つの必要性
そもそもコールセンターで応対品質が重要視される理由について、3点を挙げて解説しましょう。
理由(1)顧客満足度が向上する
理由(1)顧客満足度が向上する
当然の話ですが、コールセンターの応対品質が向上すれば、顧客からのクレームは減り、顧客満足度は向上します。コールセンターは「企業の顔」ともいえる存在であり、顧客満足度に直接的な影響を与えるものなのです。
顧客の問い合わせ内容にオペレーターが十分な知識で答えられなければ、疑問は解消せずに不満が残ってしまいます。また、言葉遣いやマナーが悪ければ不快感を与えてしまうことにもなるでしょう。その結果として、顧客が自社サービスの継続利用から離脱してしまうリスクがあるわけです。
ですから、応対品質を向上させることによって不満は減少し、商品やサービスの継続利用も期待できる、ということになります。
理由(2)企業ブランドのイメージアップにつながる
理由(2)企業ブランドのイメージアップにつながる
電話応対によって顧客満足度が向上すれば、企業ブランドのイメージアップにつながります。
「オペレーターの気遣いが素晴らしかった」「トラブルをすぐに解決してもらえた」など、電話での体験が感動的なものであれば、顧客に好印象を与えられるのです。
一方で、オペレーターの声が小さく聞きづらかったり、冷たい態度を取られたりすると、企業ブランドのイメージが下がるだけでなく、商品やサービスからの離脱率が高まってしまうリスクがあります。
リピーターを増やして安定的に事業を成長させるためにも、オペレーターの応対品質の改善は欠かせないのです。
理由(3)業務改善につながる
理由(3)業務改善につながる
応対品質を評価すればコールセンターの課題抽出ができますので、業務改善にもつながります。
分かりやすい例でいえば、「電話をたらい回しにされる」という課題があった場合、お客様の電話内容に応じてあらかじめ担当オペレーターに分配するシステムを導入することで、改善につながるでしょう。
他にも、オペレーターの通話時間を確認して、平均より長くかかっているオペレーターに対して「話し方」や「システム操作」の研修を提供すれば、時間短縮にもつながるはずです。
通話内容のモニタリングと応対品質の改善を繰り返すことで、より良いコールセンター作りは実現できるのです。
コールセンターのオペレーターが抱える応対の課題とは
コールセンターのオペレーターが抱える応対の課題とは
ここまで応対品質を改善するメリットについて説明してきましたが、そもそも多くのコールセンターでは大なり小なり応対に関する課題を抱えています。
応対品質を向上させるためには、個々のオペレーターが抱えている悩みや課題を把握し、克服していく必要があります。オペレーターが抱える悩みや課題としては、以下のような事象が一例として挙げられます。
- 正しい言葉遣いが使いこなせていない
- 傾聴ができておらず、お客様の要望を正確につかみきれない
- お客様からの苦言や要望をクレームに発展させてしまう
これらの内容は各課題に応じた研修を実施することで改善が見込めます。ですから、コールセンターでは積極的に研修を行って、応対品質の向上に努めるようにしましょう。
コールセンターにおける応対品質を向上させる研修のポイント
それでは、コールセンターにおいて応対品質を向上させるための研修について、大きなポイントを2つ挙げて見ていきましょう。
ポイント(1)充実した新人オペレーター“導入研修”の重要性
ポイント(1)充実した新人オペレーター“導入研修”の重要性
コールセンターにおいて応対品質の維持向上を図るうえで重要な研修の1つが、新人オペレーターへの導入研修です。現在でも新人の欠勤率や離職率の高さに苦しんでいるコールセンターは数多く、これらの問題改善は企業にとって喫緊の課題となっています。
入社時の導入研修を充実した手厚いものにして新人オペレーターの精神的・心理的な負荷を取り除くことが、安心して長く働ける環境づくりに大切なことです。そうして新人の定着率が向上することは、コールセンターの品質向上において非常に重要なポイントとなるのです。
ポイント(2)品質評価に合わせた“応用研修”の実施
ポイント(2)品質評価に合わせた“応用研修”の実施
既存のオペレーターに向けた応用研修を実施する場合、必ずフィードバックと連動した内容の研修を受講させることが重要です。課題や修正点が把握できたとしても、自身の課題と異なる研修内容では学びに対するモチベーションが高まりませんし、知識定着度も上がりません。
例えば研修カリキュラムを分割して1回の研修時間を短くするなど、適切な研修を適切なタイミングで行えるような運用方法をコールセンターは日々考えていきましょう。
コールセンターでの主な研修内容<新人向け>
前述した通り、コールセンターとしての応対品質向上には新人オペレーター導入研修の充実が不可欠です。まずは新人向けの研修内容がどういったものであるべきなのか、推奨される内容について詳しく見ていきましょう。
4-1. 企業理念、コールセンター目標の共有
4-1. 企業理念、コールセンター目標の共有
コールセンターはさまざまな年齢層や雇用形態の違いなど多様な人々が集まる職場であり、メンバーを1つのチームにまとめ上げるのは管理者や責任者にとって気苦労の多い仕事の1つといえます。
チームの結束力を高める手段はいろいろありますが、企業理念やビジョンの共有を行うことが意外にも有効な手段となります。コールセンターとして成すべきことや進むべき方向を指し示すことは、組織への帰属意識を芽生えさせるきっかけの1つとなるのです。
「“会社の顔”としてどのように立ち振る舞うべきか」
「今後対応していく仕事が会社にどのような影響を与えるのか」
このような視点が少しでもオペレーターの中に生まれるだけで、その後の意識やアクションは大きく変わります。簡易的な説明で済ませるなどして今まで力を入れていなかった研修担当の方は、企業理念やビジョンについてもしっかりと説明できるようにしましょう。
4-2. 基本的な応対技術と反復練習
4-2. 基本的な応対技術と反復練習
ビジネスマナーや言葉遣いに加えて、お客様の言葉を始めとした「電話口から聞こえてくる内容」だけで相手の意図や心理状態を察する必要があるなど、コールセンターには特有の応対技術が必要です。
もともとコールセンターでは問い合わせの多い内容をパターン化した応対手順やフローチャート化したトークスクリプトを作成しています。ただ、話法を学ぶ各種座学に加えてトークスクリプトの反復練習を行うことで、より効果的に応対技術を定着させることが可能となるのです。
4-3. 商材理解
4-3. 商材理解
どれだけ応対品質が優れていたとしても、お客様へ誤った情報を案内してしまっては元も子もありません。
コールセンターでは、お客様への案内用に最適化させた資料やコールスクリプトなどの業務ツールが充実していますが、より素早く正確な情報をお客様に提供するためにも、案内する商材やサービス知識の学習は必須であるといえます。
4-4. 実践研修(OJT)
4-4. 実践研修(OJT)
初期研修の課程が修了したら、続いてOJT( On the job Training)と呼ばれる実践研修に進みます。
コールセンターでの応対内容は多岐にわたり、研修だけではカバーしきれない部分も多くあります。そのため、先輩オペレーターやSVなどの現場責任者がトレーナーとなり、すぐ近くでモニタリングしながら新人オペレーターがお客様対応を行っていきます。
一般的には対応が1件終了するごとにフィードバックを行って、より実践的な知識や応対スキルの定着を目指します。このようなOJTをどの程度実施するかは該当オペレーターの習熟度にもよりますが、トレーナーや責任者からの合格が出ると、晴れてオペレーターとして独り立ちとなります。
コールセンターでの主な研修内容<ベテラン向け>
では続いて、ベテラン向けの研修について内容を見ていきましょう。
5-1. クレーム応対スキル
5-1. クレーム応対スキル
コールセンターにはクレームがつきものです。ベテラン向けの研修では、クレームが発生する仕組みから、クレーム解決までの基本的な手順に始まり、応対の際の心構えや実用的な謝罪方法、クロージングの方法まで、さまざまな角度から“クレーム”を掘り下げて研修を行います。
クレーム対応は序盤のやり取りが早期解決の非常に重要なポイントになりますので、ある程度の経験を積んだオペレーターにはなるべく受講させるように、管理者が優先して調整すべき研修の1つといえます。
5-2. SVスキル
5-2. SVスキル
多くのコールセンターでは、チームをまとめる責任者としてSV(スーパーバイザー)と呼ばれる役職が設置されています。経験を積み、チームを任せられる立場になったオペレーターに向けた研修がSVスキル研修です。
この研修では直接的な応対スキルではなく、オペレーターへの指導、助言の際の心がけや目標設置の重要性やその方法論など、メンターとしての“あり方”に重きを置いた研修となっている場合が一般的には多いでしょう。
研修を行ううえで注意すべきポイント
では、研修を行ううえで注意すべきポイントについて解説してみましょう。
ポイント(1)時間管理はきっちりと行う
ポイント(1)時間管理はきっちりと行う
小規模から中規模のコールセンターにありがちな話ですが、応対品質に関わる専門部署が設置されていない場合、SVをはじめとした現場責任者が研修も担当することになるのが一般的です。ただ、SVクラスの現場責任者は通常業務で手一杯の状況がほとんどであり、研修も形式的でおざなりな内容となってしまうケースが散見されます。
せっかく時間と労力を割くのですから、研修を行う場合は「14時から16時まで」というようにしっかりと時間を区切り、責任者の都合で短縮させることなく集中して実施するように心がけましょう。
ポイント(2)定期的な研修実施に向けた環境づくり
ポイント(2)定期的な研修実施に向けた環境づくり
前述した通り、どれだけ丁寧な応対スキルを身につけていたとしても、サービスや商材に対する専門知識が足りていなければ、顧客満足度は著しく下がってしまいます。そのため、研修を定期的に実施できる「環境の整備」が求められます。
企業によっては商材の詳細が公にされていないこともあるため、コールセンター外で商材知識を得ることは難しい場合がありますが、オペレーターの自助努力だけでは限界があります。また研修で得た知識の定着には、「何度も繰り返し実践するための時間」も必要となります。
研修で現場を離れている間、他のメンバーに負荷がかかってしまうことも考えられますが、個々のスキルを上げることは中長期的に見ればコールセンターにとって非常に有益です。できる限り研修に関する時間をスケジュール化して、定期的な研修実施に向けた環境の整備を心がけましょう。
ポイント(3)新人研修ではスパルタになりすぎない
ポイント(3)新人研修ではスパルタになりすぎない
経験の浅い新人オペレーターが他のオペレーターと同じように電話応対を行うというのは、先輩トレーナーのサポートがあったとしても精神的ストレスが高くなるものです。
仮に新人オペレーターが間違った案内を行ってしまったり、次の言葉が続かないなど応対に不備があったりしても、先輩オペレーターやトレーナーは突き放すことや厳しい口調で指導するということは絶対に避けなければなりません。過度にストレスを抱いた状態は知識定着の障害にしかなりませんし、早期退職につながる恐れも出てしまいます。
応対がスムーズにいかない場合は、メモを使って正しい返答に誘導をしてあげるとか、難しい場合は一旦保留にさせて次に話すべき内容を説明してあげるなど、電話業務に対する苦手意識を与えることのないような指導が求められます。
また、電話応対が終了したあとは時間をかけてフィードバックを行うなど、じっくりと教育するように心がけましょう。知識や技術の定着には時間と回数を重ねることが重要なのです。
ポイント(4)応用研修はフィードバックの直後が望ましい
ポイント(4)応用研修はフィードバックの直後が望ましい
現場責任者や管理者の方は、品質評価のフィードバックを行った後に期間をあけず応用研修まで実施できるよう、コールセンターの環境づくりを推進していきましょう。
フィードバックを受けた直後は課題点が明確になっており、目標に対する意識も高まっているのですが、日数が経てば経つほど目標の意識や意義というものは薄れてきてしまいがちです。オペレーターのモチベーションが高まっている間に、できればその日のうちに研修を実施することで、無駄のない有益な研修となっていくはずです。
フィードバックと連動させた効果的な研修を行えるように、管理者の方はスケジュール調整を行いましょう。
コールセンターの応対品質向上研修ならパーソルビジネスプロセスデザインへ
コールセンターの応対品質向上研修ならパーソルビジネスプロセスデザインへ
コールセンター研修は、ただ行えば良いというものではありません。
目的を明確にして、コールセンターで働くオペレーターのスキルや対応力を補えるような内容・方法を選択していく必要があります。
研修を実施する際には、コールセンターで働くオペレーターのスキルレベルをしっかりと把握し、何が足りないのかを明確にしたうえで内容を検討していきましょう。
また、コールセンター研修を効果的にするには、研修におけるポイントを押さえておかなくてはなりません。「モチベーションを保つための工夫や心構え」や「スキルの均一化」「オペレーターの役割の明確化」などは、必ず盛りこむようにしましょう。
私たちパーソルビジネスプロセスデザインでは、コールセンターの研修をはじめとした教育サービスや応対品質を改善するサービスを展開しています。
「ヘルプデスクやコールセンターが正常に機能していない」
「応対品質を向上したいが、どんな研修をすればいいのかわからない」
といった課題をお持ちのお客様へ、解決のお手伝いをしています。
コールセンター研修や応対品質に関するお悩みがある場合には、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインへご相談くださいませ。