コールセンターの応対品質とは
コールセンターの応対品質とは、オペレーターがお客様に対してどれくらいのレベルで対応できているかを表す指標です。応対品質が高ければ顧客満足度の向上につながるので、企業は応対品質の改善に取り組む必要があります。
コールセンターにおける応対品質の評価項目例として、次の点が挙げられます。
- オペレーターの商品に関する知識やスキルは十分である
- お客様の待ち時間はほとんどなかった
- お客様はオペレーターの対応に満足していた
- お客様はオペレーターに対し、話しづらそうだった
以上のような評価項目を具体的に設定し、オペレーターの応対品質を評価します。評価後は、問題点を抽出してフィードバックを実施し、改善に努めていくことが重要です。
応対品質の評価や管理を行う担当者はQA(Quality Administrator)と呼ばれています。QAは、顧客満足度を向上させるために通話内容をモニタリングし、管理や教育を提供する役割を担います。
具体的には、オペレーターの対応をリアルタイムで聴いたり、通話本数や成約本数を確認したりすることが業務の一環となっています。
コールセンターで応対品質が重要視される理由
次に、コールセンターで応対品質が重要視される理由として3点を挙げて解説します。
理由(1)顧客満足度が向上する
コールセンターの応対品質が向上すれば、顧客からのクレームは減り、顧客満足度が向上します。コールセンターは「ブランドの顔」とも言える存在であり、顧客満足度に直接的な影響を与えるものです。
顧客の問い合わせ内容にオペレーターが十分な知識で答えられなければ、トラブルは解消せず不満が残ってしまいます。また、言葉遣いやマナーが悪ければ、不快感を与えてしまうことにもなるでしょう。その結果、顧客が自社サービスの継続利用から離脱してしまうリスクがあります。
応対品質を向上させることで、不満は減少し商品やサービスの継続利用も期待できるというわけです。
理由(2)企業ブランドのイメージアップにつながる
顧客満足度が向上すれば、企業ブランドのイメージアップにつながります。「オペレーターの気遣いが素晴らしかった」「トラブルをすぐに解決してもらえた」など、電話での体験が感動的なものであれば、顧客に好印象を与えられるからです。
一方で、オペレーターの声が小さく聞きづらかったり、冷たい態度を取られたりすると、商品の離脱率が高まってしまうリスクがあります。リピーターを増やして安定的に事業を成長させるためにも、オペレーターの応対品質の改善は欠かせません。
理由(3)業務改善につながる
応対品質を評価すれば、コールセンターの課題抽出ができるので業務改善につながります。
例えば、「電話をたらい回しにされる」という課題があれば、お客様の電話内容に応じてあらかじめ担当オペレーターに分配するシステムを導入することで、改善につながるでしょう。また、オペレーターの通話時間を確認し、平均より長くかかるオペレーターに対して話し方やシステム操作の研修を提供すれば、時間短縮にもつながるはずです。
通話内容のモニタリングと応対品質の改善を繰り返すことで、より良いコールセンター作りが実現できるのです。
コールセンターで応対品質を評価する方法
では、具体的にコールセンターで応対品質を評価する方法として、以下の3点について解説していきます。
- モニタリングスコア
- ミステリーコール
- アンケート調査
モニタリングスコア
モニタリングスコアは「非対面コミュニケーション齟齬」とも言われますが、言葉遣いや声の印象などをスコア化して評価するものです。
対面で人とコミュニケーションを取る際、私たちは言葉以外に顔の表情やジェスチャーなどを使っています。しかし、コールセンターではこのような非言語コミュニケーションが使えません。
オペレーターの声のトーンや大きさ、言葉遣い、相槌、お客様の気持ちへの配慮がコールセンターの印象を左右します。モニタリングでこのような点を評価し改善点を見つけ出せば、コールセンターの応対品質を高めることができるでしょう。
ミステリーコール
ミステリーコールは、調査員があたかも“お客様”のように電話をかけ、オペレーターの応対品質をチェックするものです。オペレーターが普段どのような対応をしているかを確認でき、お客様視点で評価できるのがメリットと言えます。
外部の調査会社に依頼してミステリーコールを実施すれば、客観的な評価が得られることになります。そこで出た改善点などをオペレーターに伝えれば、応対品質の向上が期待できるでしょう。
アンケート調査
お客様にアンケートフォームを送付して回答してもらうことで、直接評価を受けられるという方法もあります。電子メールや郵便、ショートメールなどを利用してアンケートフォームを送信し、アンケートの回答を促します。すべての顧客からの回答は難しいかもしれませんが、少数でも実際の声を把握する手段としては最適です。
オペレーターとの会話終了後、なるべく時間を空けずにアンケート調査を送り、質問数を少なく設定するなど工夫をすれば、回答率も高まるでしょう。
コールセンターで応対品質を向上させる方法
続いては、コールセンターで応対品質を向上させる方法として5つを取りあげながら解説します。
方法(1)評価項目を具体的に設定する
具体的な評価項目を設定することで、オペレーターの実力を公平に評価しやすくなります。さらに、オペレーター間のスキルが均一化されやすくなり、コールセンターとしても応対品質を高められるでしょう。
評価項目を設定する際は、採点やフィードバックを行いやすく、誰でも理解しやすいポイントに絞ることが大切です。特に、コールセンターでは「正確性」や「迅速性」、「満足度」や「関係性」が重要になりますので、それぞれ評価項目を設定すると良いでしょう。
具体的な評価項目の例については記事の最後でもお伝えしていますので、そちらも参考にしてください。
方法(2)オペレーター研修を提供する
オペレーター研修も応対レベルを高めるためには重要です。
新人オペレーターに対する研修はもちろんのこと、ベテランオペレーターにも研修を実施しましょう。定期的にトレーニングを受けることで、スキルや対応方法のばらつきを防ぎ、全体の品質は向上していくはずです。
方法(3)応対品質管理者をトレーニングする
オペレーターだけでなく、オペレーターを評価する管理者もトレーニングを受けることが重要です。管理者として、会社からなにを期待されているか理解しなければなりません。また、オペレーターの評価や教育管理を効果的に実施する方法について、しっかりと学ぶ必要もあるでしょう。
例えば、オペレーターに適切な指示を出せるような話し方を学んだり、目標設定やコスト管理の仕方を教わったりする研修が挙げられます。また、コールセンターを運営するうえでのリスクマネジメントを知る必要もあるはずです。
管理者も研修を受けることで、目標を立てながらオペレーターと対峙できるようになり、全体の品質向上が期待できるのです。
方法(4)定期的にモニタリングを実施する
オペレーターに対するモニタリングは、定期的に実施する必要があります。1年に1度だけでは品質が下がるリスクがありますので、定期的なフィードバックが必要です。
できれば1ヶ月に1回、最低でも数ヶ月に1回はモニタリングをして、課題を抽出し改善策を講じるようにしましょう。特にコールセンターは人材の出入りが多い傾向にありますので、品質は常に変わります。ですから、改善されたとしても短いスパンでモニタリングを続け、品質を保てるよう心がけましょう。
方法(5)社内でフィードバック体制を整備する
モニタリングや顧客へのアンケート調査で課題や改善点が抽出されたら、誰がオペレーターへフィードバックするかを決めておきましょう。オペレーター経験者をフィードバックや教育の担当者にすることで、より的確な指摘ができるはずです。
目標に達しておらず評価が低いオペレーターに対しては、厳しい意見を伝える必要があるかもしれません。しかし、ネガティブな点だけを伝えていてはモチベーションが下がってしまいます。前回と比べて良くなった点などもあわせて伝え、オペレーターの意欲を高めるようにしましょう。
コールセンターにおける応対品質の評価項目例
コールセンターにおける応対品質の評価項目を、「正確性」「迅速性」「満足度」「関係性」を例に挙げながら解説します。
「正確性」
正確性とは、正しい商品知識や情報を提供できているか、という視点です。正確性が欠けていれば、お客様の問題が解決されず不満が残ってしまう恐れがあります。ですから、評価の際は“問題を解決しきれたのか”という点もあわせてチェックする必要があります。
<評価項目例>
- オペレーターの知識とスキルは不十分で、適切な回答ができなかった
- お客様の課題は解決できず、お客様が話すことをあきらめた
- オペレーターはお客様が気づいていない課題も解決できた
- オペレーターはお客様の要望にすべて対応した。
「迅速性」
迅速性では、お客様と会話をスタートして対応が完了するまでにかかった時間を評価します。具体的には、通話時間や保留時間、転送の回数などです。
オペレーターの説明が分かりにくくお客様が何度も聞き直すようであれば、必然的に通話時間が長くなります。ですから、“オペレーターの説明が理解しやすいか”という点もこの項目で評価します。
<評価項目例>
- お客様は何度も転送されなかった
- オペレーターの保留時間は適切だった
- オペレーターの説明は分かりやすかった
- お客様はオペレーターの説明を聞き返すことはなかった
「満足度」
お客様から満足を表現するような感情がどれだけ見られたか、という点を評価します。例えば、「ありがとう」というお客様からの声のなかに喜びが感じられたり、「解決して良かった」と安堵の声が聞けたりするような場合です。つまり、お客様の気持ちが込められた感情表現の有無が評価ポイントになります。
一方で、不満などが見られるとマイナス評価となるので、改善が必要です。
<評価項目例>
- お客様から不満の声があった
- お客様はオペレーターの対応に満足していなかったが、納得はしていた
- お客様は喜び、感謝の言葉を伝えた
- オペレーターの対応は、お客様の期待に応えた。
「関係性」
関係性では、お客様と良好な関係を構築できたかという点を評価します。具体的には、「話しかけやすい声のトーンだったか」「お客様に寄り添って共感しながら会話ができたか」などが挙げられます。
明るいトーンで共感しながら話すとお客様も悩み事を伝えやすくなりますので、これも重要な評価項目と言えるでしょう。
<評価項目例>
- オペレーターの第一声が暗く、お客様が話しづらそうだった
- オペレーターの対応は事務的な口調だった
- オペレーターがお客様に共感しておらず、お客様が不快感を持った
- オペレーターはお客様に共感と謝辞を丁寧に伝えた。
コールセンターの応対品質を上げるならパーソルビジネスプロセスデザインへ
コールセンターの応対品質を改善するには、ミステリーコールやモニタリング、アンケート調査を実施する方法があります。また、オペレーターの対応レベルを評価すれば、課題を把握でき改善策を講じやすくなります。
そこでぜひご利用いただきたいのが、パーソルビジネスプロセスデザインの「応対品質改善サービス」です。ミステリーコールやモニタリングを実施し、現在の品質を可視化します。さらに、ご要望に応じてオペレーターへの面談や教育までお任せいただけます。
評価基準として、サポート業界で国際的に認知された『HDI国際スタンダード』で使われる標準指標を用いて評価するのが特徴となっています。オペレーターの公正な評価をしながら、カスタマーサービスに共通の指標を用いた評価が実現できます。
社内事情に左右されず、コールセンターの品質を顧客目線で評価して改善することをご検討の場合には、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインにご相談くださいませ。