オムニチャネルとは
そもそもオムニチャネルの『オムニ』というのは、ラテン語の「あらゆるもの」を意味します。また、『チャネル』は「経路」や「集客するための媒体」を指します。
つまり『オムニチャネル』とは、「オンライン・オフラインを問わず、あらゆるメディアを活用して顧客と接点を作りアプローチする方法」を意味しているのです。
オムニチャネルに含まれるメディアや接点
オムニチャネルでは、さまざまなチャネルを同時に使用していきます。
代表的なチャネルとしては、以下のものが挙げられます。
【 オムニチャネルに含まれるメディアや接点 】
- 実店舗
- カタログやチラシ
- テレアポ
- コールセンター
- ECサイト
- メールマガジン
- SNS
- アプリ
- FAQ
- チャットボット
これらは、いずれも普段生活していれば目に触れるものばかりです。このように、オムニチャネルは「身近な媒体」から集客することで、商品やサービスを利用する接点を作り出しています。
オムニチャネルが注目されるようになった背景
オムニチャネルが注目されるようになった背景として、スマートフォンとSNSの普及が挙げられます。
昨今、パソコンがなくてもインターネットに接続できる人は増加し、それに伴って購買行動も多様化してきました。さらにSNSも普及し、誰もが情報を発信できるようになったため、「クチコミ」も増加しています。この「クチコミ」は、さらに購買行動に影響を与えるものになったのです。
このように、スマートフォンとSNSの影響によって、企業としては多様化する顧客の購買行動に合わせて戦略を立てていくことが求められてきました。そこで、複数のチャネルを連動させて顧客が好きなタイミングで商品やサービスに触れる体制づくりが必要になっていったのです。
また、チャネルが増えることにくわえてIT化も進んだことで、「顧客情報」を正確に把握できるようになっていきました。これも、オムニチャネル化が進んだ要因のひとつといえます。ひとつのチャネルから得たデータを他のチャネルでも共有・活用することで、より顧客ニーズに寄り添えるようになったのです。
以上のことから、オムニチャネルが注目されてきた背景として「情報の取り扱い方の変化」が深く関係しているといえるでしょう。
オムニチャネルに類似する用語と、その意味
オムニチャネルには、名称や意味が類似する用語がいくつかあります。ここでは、オムニチャネルに類似する用語とその意味について、また「オムニチャネルとの違い」もあわせて解説していきます。
マルチチャネル
まずは「マルチチャネル」です。
マルチチャネルは、「顧客が求める情報や商品を提供する複数のチャネル」を指します。オムニチャネルとほぼ同じのように思えますが、マルチチャネルは各チャネルが独立しており、店舗やECサイトはそれぞれ別の部門として利益を目指します。さらにマルチチャネルは、チャネル同士の連携を前提としていないのが特徴といえるでしょう。
一方でオムニチャネルは、複数のチャネルが連携しているものです。「ECサイトで商品購入手続きを済ませ、実店舗で商品を受け取る」など、複数の販売経路を連携させ、従来よりも便利にサービスを利用することができる仕組みとなっています。
このように、オムニチャネルとマルチチャネルの違いについては、チャネル同士の連携によって判断することができます。
クロスチャネル
続いて「クロスチャネル」ですが、これはマルチチャネルより一歩進んだチャネルといえます。
マルチチャネルでは顧客との接点が独立していたわけですが、クロスチャネルは「“複数ある接点での顧客に関する情報”を一元化した状態」を指します。
そしてオムニチャネルは、クロスチャネルよりさらに一歩進んでいるといえるでしょう。顧客との接点すべてで統一感を持って運営されており、顧客がどのチャネルを使ったとしても一貫したサービスが提供されるようになっています。
O2O
「O2O」(オーツ―オー)は、「Online to Offline」を略した言葉で、「オンラインまたはオフラインから、もう片方へと顧客を誘導するマーケティング手法」の意味です。
SNSなどのオンラインコンテンツにおいて実店舗用のクーポンを配っている企業をよく見かけますが、この手法がまさにO2Oに該当します。O2Oはオンラインまたはオフラインへ誘導するのに対し、オムニチャネルはオンライン・オフラインの垣根をなくした販売戦略ですので、O2Oのような「誘導」がありません。
O2Oとオムニチャネルの違いは、オンライン・オフラインへの誘導の有無で判断できるでしょう。
オムニチャネル化のメリット
次に、オムニチャネル化のメリットについて解説していきます。オムニチャネル化を進めることで、以下のようなメリットを享受できるでしょう。
顧客満足度の向上
顧客満足度の向上
オムニチャネルでは、実店舗とオンラインショップなどをつなぐことで、従来よりも柔軟な顧客対応が可能になります。
顧客のニーズに合わせた対応ができるようになるため、顧客満足度の向上につながっていくはずです。
マーケティングの一貫性
マーケティングの一貫性
複数のチャネルで同じ商品を紹介・販売していくと、商品の購入やサービス利用の際に販売経路を気にする必要がありません。オムニチャネル化による“マーケティングの一貫性”は、顧客が気軽に商品やサービスを利用しやすい環境を用意することができます。
顧客分析力の向上
顧客分析力の向上
オムニチャネル化はチャネル同士が連携しているため、ひとつのチャネルから得たデータをすべてのチャネルに共有できます。顧客データの収集先が多くなる分、より正確な分析が可能になり、新しい形のアプローチやマーケティング活動にもつなげられるでしょう。オムニチャネル化は、企業にとっても「新しい取り組み」をするのに役立つ手段といえます。
機会損失の減少
機会損失の減少
顧客情報が手に入って正確な分析ができるようになれば、顧客一人ひとりに適切なアプローチができるようになっていきます。その結果として、顧客がサービスを利用する前に離脱してしまうのを防ぐことにもつながります。
オムニチャネル化を進めていく流れ
オムニチャネル化のメリットを見てきましたが、では、どのような流れで導入していけばよいのでしょうか。
続いては、オムニチャネル化を進めていく流れについて解説していきます。
ロードマップの策定
まずは、『ロードマップ』を策定します。
ロードマップとは、「いつ・どこで・だれが・なにを・どのように行動するのか」などをまとめたものです。
ロードマップを策定する際は、できるだけ具体的な行動が分かるようにしましょう。そうしてロードマップを策定することで、オムニチャネル化の全体の流れや、「最終的に自社がどのような成果を得るのか」を意識できるようになっていきます。
この後の工程を計画的に進めるためにも、しっかりと作りこんでおきましょう。
カスタマージャーニーの策定
ロードマップが完成したら、次は『カスタマージャーニー』を策定しましょう。
カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスを検討し、購入に至るまでの流れを可視化したものです。
自社の顧客について「ペルソナ」と呼ばれる具体的な顧客像を設定し、そのペルソナ顧客がどのような経緯で商品やサービスを利用するのかを具体的かつ明確にしていきます。自社とペルソナ顧客の関係性にあわせ、「最適なアプローチをするにはどうしたらいいか」「どんな方法が有効か」を考えながら用意していきましょう。
オムニチャネルの認識共有とシステムの統合
カスタマージャーニーが用意できたら、次はオムニチャネルの認識共有とシステムの統合に取りかかっていきます。
まず、オムニチャネルに対する認識を共有するところから進めましょう。オムニチャネル化する各チャネルの位置づけや役割分担などを関係各位と共有しておきます。その共有が完了したら、システム統合に移っていきます。
オムニチャネル化を進めるには、顧客や在庫の情報を一元化し、どのチャネルからでもすぐに閲覧・管理ができるようにしておかなくてはなりません。各チャネルを管理するシステムを統合し、各チャネルがシームレスに必要な情報にアクセスできる環境を整えていきましょう。これらの作業が終わったら、オムニチャネルを実際に運用していくことになります。
PDCAを回す
オムニチャネル化は、ただ体制を整えて運用していればよいものではありません。実際に運用ながら成果を出していくには、オムニチャネル化を計画して運用しながらも、改善点を見つけて修正していく必要があります。つまり、一般的によく使われる「PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回していく」ということです。
オムニチャネル化をしたあとでも定期的に戦略を見直し、継続的に顧客ニーズに対応できるようメンテナンスを行っていきましょう。
オムニチャネル化を進めるうえで重要なポイント
先ほども説明したように、オムニチャネル化というのは、手順に沿って進めればよい仕組みができるというものではありません。成功させるためのポイントをしっかりと押さえたうえで進めていく必要があります。
ここでは、オムニチャネル化を進めるうえで押さえておくべき重要なポイントについて解説していきます。
ブランドイメージは統一させる
オムニチャネル化ではすべてのチャネルをシームレスに連携させるため、各チャネルのブランドイメージを統一させることがポイントになります。
ブランドイメージがチャネルごとにバラバラだと、顧客は違和感を持ってしまい商品やサービスを利用しなくなる恐れもあります。これではオムニチャネル化したことが逆効果になってしまいます。オムニチャネル化する際には、全チャネルのブランドイメージを洗い出したうえで統一させるようにしましょう。
全体的に取り組む
オムニチャネル化を進める際は、各チャネルで“部分的”に取り組むのではなく、同じ目標を目指せるよう意識を合わせて“全体的”に取り組んでいくことも重要です。
従来のようにチャネルごとの運用となると、それぞれのチャネルの担当者や部署で管理するため、目標もバラバラだったりします。そうなると、そのままオムニチャネル化して連携したとしても、スムーズな運用にはつながらず結果も出なくなってしまうのです。
オムニチャネルはチャネル同士で顧客を奪い合うのではなく、相乗効果で全体的に売り上げ向上を目指すべきものです。もちろん各チャネルは自分たちの役割を把握し、それぞれを活かせる戦略を考える必要があります。ただ、そのためには全チャネル共通でわかりやすい目標を掲げることが重要なポイントになってきます。
オムニチャネル化の取り組みで最初に「ロードマップを作る」とありましたが、それはまさに全体的な取り組みを進めやすくするためでもあるのです。
ツールを有効活用する
オムニチャネル化に伴って、様々なデータを管理・収集・分析する必要がありますが、そのためには誰もがシームレスにデータを利用できる体制が必要になってきます。そういった体制を整えるためにも、ツールを活用していくことがポイントになってきます。
オムニチャネル化を進める際には、基幹システムである『CRM』や、顧客対応に役立つ『FAQ』、『チャットボット』などのツールが非常に効果的になります。さらに、それぞれのシステムやツールが連携できるようになっていれば、オムニチャネル化を効果的に進められることでしょう。
また、導入の際と同様にツールやシステムも定期的な改善が必要になってきます。導入したツールは定期的に確認し、顧客ニーズに合わせながら改善していくことも忘れないようにしましょう。
オムニチャネル化でFAQを導入するならパーソルビジネスプロセスデザインへ
オムニチャネル化に伴って、顧客対応に役立つ『FAQ』は非常に効果的であるとお伝えしました。
もし御社で効果的な『FAQ』を導入したいとお考えでしたら、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインにご相談ください。
顧客との接点であるコンタクトセンターでFAQは効果的ですが、そのFAQを運用する手法として『KCS』というものがあります。これは、ナレッジを活用して問い合わせを減少させ、顧客の満足度が上昇するのはもちろん、対応するコンタクトセンターの運用も効率的になっていくものです。
パーソルビジネスプロセスデザインではこのKCSを取り入れ、2018年10月に国内初の認定(KCSアワード)を取得するなど、国内におけるKCSの先進活用企業として業界をリードしています。
KCSについての研修から、導入・運用サポート、KCSアワード認定取得支援まで、お客さまのニーズに合わせたサービスをご提供いたします。また、弊社のサポートセンターでは、実際にKCS運用を行っています。実際に運用しているからこそ、より現場に即した豊富な知見を提供することができています。
詳細につきましては、下記の「KCSのコンサルテーションサービス」のページをご確認のうえ、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。