「ノンボイス化」とは何なのか
カスタマーサポートの手段はいくつもあります。
例えば、電話、SMS、メール、チャットサポート、チャットボット、問い合わせフォーム、各種SNS、などが挙げられるでしょう。
ノンボイス化というのは、そういったカスタマーサポートのチャネルのなかでも音声を使わないコミュニケーション手段を指します。先ほど挙げたなかでは、SMS、メール、チャットサポート、チャットボット、問い合わせフォーム、各種SNSなどは「ノンボイス」と呼ばれる手段にあたります。
コミュニケーション手段を大きく分けると、従来型の『音声コミュニケーションである電話』と、『音声を使わないコミュニケーション手段である電話以外』の2つになりますが、「電話以外のコミュニケーション手段=ノンボイス」と理解しておけば、大きな間違いはないでしょう。
つまり『ノンボイス化』とは、従来型の音声コミュニケーションである電話から発展し、電話以外の音声を使わないコミュニケーション手段を活用していくこと、となります。
コールセンターがノンボイス化する背景
それでは、コールセンターがノンボイス化する背景について2つの視点で見てみましょう。2つの視点とは、「顧客側からの視点」と「企業側からの視点」です。
顧客側からの視点(1)社会のデジタル化
現代は、スマートフォンやタブレットが広く普及し、消費生活の基盤を作っています。こういった「社会のデジタル化」がノンボイス化している背景の一つと言えます。
総務省の情報通信白書(令和3年版)によると、2020年のモバイル端末全体の世帯保有率は96.8%と、ほぼ100%といえます。そのなかでもスマートフォンの保有率は86.8%と非常に高い数字となっており、10人に9人はスマートフォンを保有しているというレベルです。
このようなデジタルデバイスの高い普及率に伴って、従来型の電話コミュニケーション以外のコミュニケーション手段が増えたことが、ノンボイス化の進んだ大きな背景の一つなのです。
※参考:総務省「令和3年版情報通信白書」
顧客側からの視点(2)デジタル化に伴う消費行動の変化
デジタル化が進むことにより、消費行動も変化していきました。電話による通話で“ヒューマンコミュニケーション”をするよりも、文字情報で知りたいことだけ端的に効率的に知ることのできる“テキストコミュニケーション”が一般化してきたのです。
それにともない、音声を介さない問い合わせ対応を好む顧客は多くなってきました。消費者の需要や好みがノンボイス化しているということも、ノンボイス化が進んだ背景の一つといえるでしょう。
企業側からの視点(1)顧客からの問い合わせ数の増加と労働人口の減少
少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少をたどっています。2025年には1995年よりも約1600万人も減少すると言われていますが、一方で65歳以上の非生産人口は約1800万人も増加しています。
「企業へ電話問い合わせを行う人の40%以上が高齢者である」というデータもありますから、問い合わせを行う人口の増加は今後さらに加速すると言えるでしょう。
問い合わせに対応するスタッフ人数は減少するなかで、企業はますますの“生産性向上”を求められていきます。これが、企業側目線でノンボイス化が進んでいる理由の一つです。
企業側からの視点(2)顧客からの問い合わせへ高い満足度で対応するため
1つ目で説明した社会構造の変化に対する企業対応は、端的に言えば『コスト削減』と呼ばれる内容です。ただ、ポジティブな言い方をすると、社会構造の変化に合わせて、顧客からの対応すべてに高い満足度で応えていくための企業行動とも言えます。顧客の指向性の変化に合わせて複数のチャネルを用意し、顧客対応を進化させているからです。
企業活動は「顧客満足度」によって支えられますので、社会構造や顧客指向への変化に合わせてコールセンターが変化していくことも必然と言えるでしょう。このような変化も、企業側目線でノンボイス化が進む理由の一つとして挙げられます。
ノンボイス化することのメリット
背景についてご理解いただきましたが、続いては『ノンボイス化することのメリット』について、同じく「顧客側」と「企業側」でそれぞれ見ていきましょう。
顧客側のメリット
顧客側のメリットとしては、『自分のタイミングで問題解決のための行動が起こせること』が挙げられます。
電話対応は、その先に人がいる以上、24時間365日好きなタイミングで、待ち時間なくストレスフリーで問い合わせをすることは不可能です。しかし、ノンボイス化されていれば、自分の好きな時間・好きなタイミングで問題解決のための行動を起こすことができるのです。これは顧客側として大きなメリットと言えるでしょう。
企業側のメリット
企業側のメリットとしては、先ほども挙げましたが端的に言って『コスト削減』です。
従来型のコールセンターによる電話対応での一番の課題は、コストです。他の業界と比較すると、従業員の定着率は相対的に低く、離職と採用を高い頻度で繰り返しているのが現状といえるでしょう。
オペレーターは、時に厳しい顧客対応を迫られ、疲弊することが多くあります。そして、そのオペレーターのフォローや勤怠管理などマネジメントの工数も大きくなっているでしょう。そのようにコストの高い業界において、ノンボイス化によるコスト削減効果は大きなメリットの一つになります。
ただ、コストが高いからと提供サービスの品質を低下させてしまうのは本末転倒です。ノンボイス化することが顧客の指向性にもあっているという前提で、企業と顧客がWin-Winになっている状態こそが、企業側にとっても大きなメリットになるのです。
ノンボイス化することのデメリット
それでは逆に、ノンボイス化することのデメリットについても「顧客側」と「企業側」の視点で見てみましょう。
顧客側のデメリット
顧客側のデメリットとしては、『明確に言語化できない要望や感情を伝えづらいこと』です。
お客様は、自身の要望や感情を、どんな時でも明確に伝えることができるわけではありません。もやもやとした感情が存在する時や、気持ちが高ぶって論理的には話せない時など、様々なシーンが存在します。
そういった自身の内面の言語化が難しいシーンにおいて、ノンボイスでのコミュニケーションは逆効果になってしまうこともあります。これはデメリットの一つと言えるでしょう。
企業側のデメリット
企業側のデメリットは顧客側のデメリットと表裏一体の内容になりますが、『顧客の複雑な要望・個別性の高い要望に、顧客の求めるスピードで対応できないこと』が挙げられます。
顧客サポートにおいては、時に論理的な対応や迅速な対応だけではなく、感情を汲み取ってその感情に寄り添う対応も必要になります。スピード解決するだけでなく、時間をかけた対応が望ましいこともあるのです。
そのような、非合理であることが最適な解決策であるというシーンの場合、電話による有人オペレーションのほうが圧倒的に有利です。『顧客の複雑な要望・個別性の高い要望』に対しては、ノンボイスでは難しいのです。これは、企業側のデメリットの一つと言えるでしょう。
ノンボイス化するうえでのチャネルや、検討ポイント
以上のようなデメリットも踏まえたうえで『ノンボイス化』をしていく場合には、どのようなチャネルを選択し、何をポイントに検討すれば良いでしょうか。
当たり前の話になってしまいますが、コールセンターの品質管理にとって必要なポイントや、顧客が求めているサービス内容やレベルは、業界はもちろん会社ごとにも異なります。そのため、『その業界で求められているものは何なのか』『自社にとって必要なものは何なのか』を問い続けることが重要になります。
ノンボイス化のチャネル数を増やすことが正解のケースもあれば、逆に不正解のケースもあります。また、ノンボイス化チャネルを一つに絞ることが正解のケースもあれば、逆に不正解のケースも存在します。
さらに、顧客の属性(年齢・性別・職業・嗜好性)にあわせてチャネルを変えることが正解のケースもあれば、顧客の利用シーン(商品の利用方法など単純質問・企業や商品へのご意見/ご要望)にあわせてチャネルを変えることが正解のケースもあるのです。
ですから、自社の現状と課題、そして自社の顧客特性を整理して、どの場面でどのノンボイスチャネルを利用することが有効なのかを考えるということが、ノンボイス化を進めるうえで最も大切なことになるのです。
ノンボイス化するうえでのチャネル実装ならパーソルビジネスプロセスデザインへ
ノンボイス化のメリットやデメリット、注意点について説明してきました。ノンボイス化も含め、もしコールセンターのアウトソーシングをご検討であれば、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインへお任せください。
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ノンボイス化のチャネルを外部委託していただくことで問い合わせ対応の時間を減少させ、改善活動や商品管理など本業に集中できる環境を整えることができます。また、日々の問い合わせ傾向から公開FAQを作成・公開してユーザーの自己解決率を上昇させることで、顧客満足度の向上を実現しています。
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