有人チャットとは
有人チャットとは、オペレーターが顧客とチャットで直接コミュニケーションを取るものです。
有人チャットではユーザーの悩みに迅速に回答できるため、企業のカスタマーサポートや銀行、社内ヘルプデスクなどで幅広く活用されています。
FAQ(よくある質問)や自動対応型のチャットボットでは解決しきれない質問でも、有人チャットならオペレーターが対応することで解決を目指すことができます。
さらに、有人チャットへの問い合わせが多い質問を抽出してFAQに反映させていけば、顧客は何度も有人チャットを使用する必要がなくなります。そのような改善をくり返すことで、顧客満足度も向上していくでしょう。
1-1. 有人チャットの種類
1-1. 有人チャットの種類
有人チャットには主に、プロアクティブチャットとリアクティブチャットの2種類があります。
プロアクティブチャットとリアクティブチャットの特徴は、以下の通りです。
チャット分類 | 内容の一例 |
---|---|
プロアクティブチャット | ・Webサイトに滞在中のユーザーに対し、オペレーターからアプローチする ・ユーザーが疑問を感じているタイミングでアプローチでき、資料ダウンロードなどコンバージョンにつなげやすい |
リアクティブチャット | ・ユーザーが有人チャットに問い合わせをする ・ユーザーが自分のタイミングで問い合わせをするため、オペレーターはユーザーの動きを監視する必要がない |
プロアクティブチャットでは、話し掛けなければ離脱していたかもしれないユーザーを取り込める点がメリットです。
Webサイトの滞在時間やECサイトのカート利用をモニタリングし、有人チャットから話し掛けることで販売をサポートできます。購買意欲を高められるので、売上増加やリピーターの獲得に効果的です。
リアクティブチャットでは、Webサイトなどに固定で設置された有人チャットへユーザー自らが問い合わせをします。そのため、オペレーターはユーザーの動きを監視して話し掛ける必要がなく、別の業務に集中できる点がメリットです。
1-2. チャットボットとの違い
1-2. チャットボットとの違い
有人チャットとよく併用して使用されるのが、チャットボットです。チャットボットには、「AI型チャットボット」と「シナリオ型チャットボット」があり、それぞれの特徴は次の通りです。
種類 | 説明 |
---|---|
AI型チャットボット | AIが学習したデータをベースに、ユーザーの質問を認識し自然な日本語で回答する |
シナリオ型チャットボット | 返答シナリオを設計し、問い合わせに対して回答の選択肢を提示する |
チャットボットはどちらも人が対応するわけではないので、24時間いつでもユーザーに対応することができます。また、チャットボットで対応しきれなかった質問については、有人チャットへ誘導する導線を設けておくことで、解決率も高まるでしょう。
また、チャットボットと有人チャットを併用すると、補完し合いながら顧客をサポートできる点も大きな特徴といえます。
有人チャットを導入するメリット
有人チャットを導入するメリット
それでは続いて、有人チャットを導入するメリットについて4点を挙げて解説します。
メリット(1)顧客のニーズに沿った回答ができる
メリット(1)顧客のニーズに沿った回答ができる
有人チャットを導入すると、顧客のニーズに沿った回答ができる点が大きなメリットです。
チャットボットはシステムが自動返答するため、複雑な質問には答えられません。また、そもそもシナリオが設定されていなければ対応することができません。その点、有人チャットはオペレーターが対応しますので、顧客の要望を丁寧にヒアリングして解決まで導くことができます。
また、チャットボットの「シナリオ型」を使用する場合、顧客は自由にテキストを入力することができません。しかし、有人チャットなら伝えたい内容をテキストで送信できますので、自由度が高い点もメリットといえるでしょう。
そのため、利便性が高く解決率の高い有人チャットを導入することで、顧客満足度の向上が期待できるはずです。
メリット(2)問い合わせ対応を効率化できる
メリット(2)問い合わせ対応を効率化できる
有人チャットは、電話応対と比較して問い合わせ対応を効率化できます。
電話応対では、顧客の話に耳を傾けながら質問や回答を検索しなければなりません。検索中に顧客が話しかけてくるケースも多く、効率的な対応が難しい点が課題といえます。
しかし、有人チャットであれば、テキストベースで対応しますので電話応対と比べて検索性が高まります。チャット画面とは別で検索サイトを立ち上げれば、回答も見つけやすいでしょう。
さらに、よくある質問に対しては回答のテンプレートを用意しておくことで生産性も高まります。顧客としても待たされる時間が少なくなり、満足度の向上につながる点もメリットといえるでしょう。
メリット(3)画像データも送信できる
メリット(3)画像データも送信できる
有人チャットではテキストをベースに顧客と対話しますが、必要に応じて画像データの送信も可能です。商品の色や形などは画像でイメージを掴んでもらうほうが、言葉で説明するよりも効果的なこともあるでしょう。
また、顧客にとって必要なURLもチャットで送信できますので、迅速な問題解決につなげやすくなります。
画像やURLを共有することで、お互いの認識を一致させやすくなり、業務が効率的になるでしょう。
メリット(4)電話が苦手な顧客と会話ができる
メリット(4)電話が苦手な顧客と会話ができる
顧客のなかには電話でオペレーターと話すのが苦手な人もいます。そのような人でも、有人チャットなら問い合わせがしやすくなりますので、より広い層へ顧客対応ができる点もメリットです。
近年、SNSやメッセージアプリの利用が広がり、電話をかけることへ抵抗感を持つ人が多くなっています。そのため、問い合わせ先に電話番号しか書いていなければ、連絡することをためらって商品やサービスから離脱してしまう恐れがあるのです。
有人チャットであれば電話が苦手な顧客でも使いやすいので、これまでよりも多くの顧客と接点を持ちやすくなるでしょう。
有人チャットの導入手順
次に、有人チャットの導入手順について4つのステップに分けて解説していきます。
STEP(1)課題を抽出する
STEP(1)課題を抽出する
まずは社内で課題の抽出からはじめます。たとえば、次のような課題が想定されます。
・電話やメールでの問い合わせ数を削減したい
・コールセンターの業務効率化を図りたい
・「電話がつながりにくい」というクレームをなくしたい
・チャットボットと併用したい
・FAQをもっと効果的に活用したい
・電話オペレーターの負担を減らしたい
・顧客満足度を向上させたい
このような課題を特定したら、課題に応じて有人チャットの設置場所や他のチャネルとの導線を検討します。
自社で課題や方向性をある程度決めておくことで、サービスの選定や導入をスムーズに実施しやすくなります。
STEP(2)チャットサービスを選定する
STEP(2)チャットサービスを選定する
次に、自社の課題を解決するような有人チャットサービスを選定します。
オペレーターの応対品質や機能、顧客の操作・管理画面、導入・運用コストを比較し、自社ニーズに沿ったサービスを選びましょう。
STEP(3)導線を作成する
STEP(3)導線を作成する
すでに電話やメール、チャットボットやFAQなどで問い合わせ対応をしている場合は、有人チャットとどのように組み合わせて活用するかを考え、導線を作成します。
まずはFAQやチャットボットの利用を顧客に促し、解決できなければ有人チャットへ誘導する導線を整えます。必要に応じて、電話で返答する導線も組み込むと良いでしょう。
導線が決まったら、有人チャットの対応方法を検討します。オペレーターの呼び出し方や話の進め方、挨拶の仕方などを決めておくとスムーズに運用を開始できます。
STEP(4)運用を開始する
STEP(4)運用を開始する
実装後にテストを行い、問題がなければ運用を開始します。
運用中は、オペレーターがどのような対応をしているか「モニタリング」することも重要です。また、特定のオペレーターに業務が集中しないよう、稼働を均一にする必要もあるでしょう。
有人チャットの応対品質を向上させるポイント
それでは次に、有人チャットの応対品質を向上させるポイントについて、3点を挙げて解説します。
ポイント(1)チャットならではのKPIを設定する
ポイント(1)チャットならではのKPIを設定する
それまで電話応対を実施していた場合には、「放棄呼」や「平均応答速度」などがKPIとして設定されているでしょう。
しかし、同じKPIをチャットにそのまま適用することは難しいため、チャットならではのKPIを設定するべきです。具体的には、次のようなKPIが挙げられます。
・有人チャットの対応件数
・チャットボットからの流入件数
・FAQからの流入件数
・問い合わせの中断件数
・同時接続数
このようなKPIを決め、必要に応じて品質改善につなげます。
ポイント(2)短文テキストでの伝え方を工夫する
ポイント(2)短文テキストでの伝え方を工夫する
有人チャットでは、テキストを使って顧客とコミュニケーションを取っていきます。その点はメールでの対応と同じですが、チャット画面はメールよりも小さい点に注意しなければなりません。
大量のテキストを送信してしまうと、読みにくくなってしまいます。なるべく短文に編集し、わかりやすい文章を作成しましょう。
一方、短文にするために端的な文章表現を使ってしまうと、親しみやすさは低下してしまいます。有人チャットの中断件数を減らすためにも、短文でホスピタリティのある対応を目指すことが重要になるのです。
ポイント(3)PDCAを回す
ポイント(3)PDCAを回す
有人チャット導入後、改善に向けてPDCAを回すことが重要です。しかし、「チャットの応対品質を向上させたいが、どうすればいいか分からない」という悩みを抱える担当者は多くいらっしゃいます。
前述したように、チャットは画面が小さく、効果的なコミュニケーションの方法が他のツールと異なります。また、電話などと比べて利用されている期間も短いので、改善のためのノウハウや評価方法が定まっていません。
そこで、専門的なノウハウを有する企業などからの“外部評価”を求める声が高まっています。次項では、有人チャットの品質を外部評価する効果的なサービスについて、詳しくご紹介します。
有人チャット自動品質評価システム「AQchat」
有人チャット自動品質評価システム「AQchat」
私たちパーソルビジネスプロセスデザインでは、有人チャットの応対品質を自動評価する「AQChat」を提供しています。ここでは、本サービスの特徴や導入メリットなどを解説します。
5-1. サービスの特徴
5-1. サービスの特徴
AQchatは、有人チャットの応対品質を自動評価し、モニタリングレポートを作成するツールです。公平性の高い評価ができるため、オペレーターに対して効果的なフィードバックを提供することができます。
組織単位や個人単位の双方でレポートを出力し、改善点を抽出しやすいのも特徴です。さらに、有人チャット特有のKPIである「応答時間」も含めて自動評価できます。
さらに、パーソルビジネスプロセスデザインは国際的なスタンダードである『HDI』の三つ星サポートに基づいた評価指標を用いていますので、質の高い評価が可能です。
※HDIとは
1989年に設立された世界最大のサポートサービス業界のメンバーシップ団体で、サポート業界で唯一の国際的に認知されたサポート標準である「HDI国際スタンダード」を運営管理しています。
https://www.hdi-japan.com/
5-2. 導入するメリット
5-2. 導入するメリット
AQchatは自動評価ができますので、「人手不足のため十分なモニタリングができない」といった課題を解決できます。また、デジタルでの対応となりますので、人的リソースも補うことができるでしょう。
さらに、自動評価だけでなく手動評価を加えることも可能です。顧客からのアンケート結果がある場合は手動で追記でき、総合的に評価できるようになります。
そのようにして、客観的な評価で応対品質を改善できますので、顧客満足度の向上につながる点もメリットといえます。
有人チャットはPDCAを回して品質を改善していくべき
有人チャットは顧客の疑問をテキストでオペレーターが解決できるため、顧客満足度の向上に貢献します。しかし、有人チャットは導入するだけではなく導入した後に品質改善に向けてPDCAを回していくことが重要です。
先ほどもご紹介しましたが、私たちパーソルビジネスプロセスデザインでは有人チャットの品質を自動評価できる「AQchat」をご提供しています。品質改善に向けて客観的な評価が必要な場合には、お気軽にパーソルビジネスプロセスデザインへお問い合わせください。