ヘルプデスク業務を可視化する方法とは?見える化のメリットや改善ポイントを解説

ヘルプデスク業務を可視化する方法とは?見える化のメリットや改善ポイントを解説

社会のデジタル化が進むにつれ、IT機器やアプリケーションは複雑化しています。それに伴い、疑問やトラブルを解決する必要性が生じ、ヘルプデスクへのニーズは高まっています。

社内外を問わず「ヘルプデスクへの問い合わせ数」が増加していくなかで、「業務状況が把握できず、効率的に管理できない」とお困りの企業担当者は多くいらっしゃるでしょう。そこで重要となるのが、ヘルプデスク業務の可視化です。

ヘルプデスク業務を可視化できれば、属人化や業務効率の悪化による顧客満足度の低下など、さまざまな問題へと発展するリスクを抑えられますので、早急な対応が必要です。

そこで本記事では、ヘルプデスクを可視化する方法やポイント、ヘルプデスク業務が可視化されないと生じてしまう課題などを具体的に解説します。さらに、ヘルプデスク業務が必要になる項目やメリットについても説明していきますので、ぜひ参考にしてください。

目次

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    ヘルプデスク業務が可視化されないと生じる課題

    それではまず、ヘルプデスク業務が可視化されないと生じる課題について、3点を挙げて解説します。

    課題(1)業務の属人化

    ヘルプデスクに限らず、管理者が部内の業務を可視化できなければ、属人化が生じやすくなってしまいます。業務が特定の担当者に集中している状態で突然の欠勤や退職があると、業務が回らなくなってしまうでしょう。

    ヘルプデスクは、取り扱う商材や業務内容によっては高度な専門知識が必要となるため、属人化が起こりやすい職種といえます。オペレーターによって応対品質のバラつきが生まれやすく、「知識のある担当者に代わってほしい」とユーザーに要望されることもあるのです。

    ノウハウや知識が共有されないような状況が続けば、ベテランオペレーターの負荷が高くなり、さらに属人化が進んでしまうでしょう。

    属人化が続くとヘルプデスク業務がブラックボックス化され、ベテランオペレーターに依存せざるを得ない状況になってしまいます。すると責任者はますます進捗状況を把握できなくなり、業務改善ができずミスやトラブルを引き起こしやすい悪循環な環境を生み出してしまうのです。

    課題(2)業務効率の悪化

    ヘルプデスク業務が可視化されていなければ、業務効率の悪化につながります。オペレーター同士でノウハウや知識などナレッジ共有が徹底されていなければ、回答に時間がかかってしまうからです。

    普段からIT知識が豊富なベテランオペレーターに頼っていては、そのオペレーターが席を外しただけでも業務が滞ってしまいます。

    また、想定回答集だけでなく、エスカレーションなど業務フローも可視化できていなければ、新人オペレーターに共有できません。誰に、なにを、どのようにエスカレーションすれば良いかが明確でなければ、対応が遅れトラブルにつながる恐れもあるでしょう。

    ヘルプデスクの業務効率化を推進するには、業務フローを含めたナレッジを可視化して共有し、誰でも同品質の対応ができるような体制を構築することが重要なのです。

    課題(3)応対品質の低下

    前述したようなベテランオペレーターへの属人化などが慢性化すると、応対品質が低下する恐れがあります。オペレーターによって知識やノウハウのバラつきが生まれ、質問によっては回答内容や対応スピードが異なってしまうからです。

    また、業務効率の悪化が続くと対応漏れや重複などのミスが発生し、お客様にストレスを与えることになり、顧客満足度が低下してしまうでしょう。最悪のケースでは、サービスからの離脱を招いてしまうかもしれません。

    このような事態を防止するためにも、ヘルプデスク業務を可視化して業務効率化を図ることが必要になります。

    ヘルプデスク業務で可視化が必要な項目

    それでは次に、ヘルプデスク業務で可視化が必要な項目について、3点を挙げて解説します。

    2-1. 質問への回答内容

    ユーザーからの質問と回答を記録し、オペレーターが履歴を検索できるよう整備する必要があります。

    その際には特に、履歴の検索性を高めることが重要でしょう。記録していても履歴が共有されなければ引き継ぎができず、担当者が不在の場合は対応できなくなってしまうからです。また、検索性を高めておけば、新規の問い合わせがあった場合でも迅速な対応ができるようになります。

    さらに、履歴だけでなく対応ノウハウの共有も忘れてはいけません。ノウハウを共有すれば、スムーズな対応ができ業務効率化を図れるのです。

    社内ヘルプデスクのネットワーク環境部門を担当しているのであれば、ネットワークやサーバー環境の仕組みを理解する必要があるでしょう。ローカル環境部門なら、アプリやパソコンの操作方法、メンテナンスなどについての理解が求められます。

    質問内容はもちろん、担当部門や商材ごとのノウハウも可視化して共有することが大切なのです。

    2-2. 進捗状況

    問い合わせごとの進捗状況を可視化することも重要です。進捗状況を明確に把握できれば、チーム内でタスクの分担や情報の共有を実施しやすくなります。

    一次回答が完了しているか、エスカレーションが発生しているか、それとも未対応なのか、といったステータスを管理することで対応漏れや二重対応を防止できるでしょう。

    また、「誰が」「いつ」「なんの質問に」「どのように」回答したのか、リアルタイムで進捗状況を一元管理できると効果的です。あとで同様のトラブルが発生したとしても、履歴を追える仕組みを整えておけばスムーズな対応が実現できるでしょう。

    2-3. 運用の流れ

    問い合わせを受けた後、「誰がどのように処理する必要があるか」といった運用フローも可視化する必要があります。

    顧客や従業員から電話・チャット・メールなどで問い合わせを受け、問題解決の方法を検索し、回答に至るまでの基本的な流れを可視化して共有しましょう。新人オペレーターもこうした運用の流れを理解していれば、スムーズに対応できるようになるはずです。

    特に、システムの障害対応など複雑化しやすいヘルプデスク業務を担当している場合、フローチャートを作成すると理解しやすくなります。障害発生の通知から原因解析の報告、そして復旧までの流れを最初に把握しておくと良いでしょう。

    ヘルプデスク業務を可視化する方法

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    それでは、ヘルプデスク業務はどのように可視化すれば良いのでしょうか。続いては、ヘルプデスク業務を可視化する方法について、3点を挙げて解説していきます。

    方法(1)可視化ツールを導入する

    ヘルプデスク業務の可視化ツールを導入すると、応対品質の向上や業務効率化を後押しすることができます。エクセルなどで問い合わせ情報や質問内容を蓄積している場合には、進捗状況の把握や集計に時間がかかってしまいますが、可視化ツールを活用することで効率化が実現します。

    可視化ツールとして、FAQシステムやナレッジ共有ツール、グループウェアなどがあります。それぞれの機能の概要については次のとおりです。

    ▼可視化ツールの特徴

    ツールの説明

    FAQシステム よくある問い合わせをまとめて社内外で共有することで、ユーザーに自己解決を促すことができる
    ナレッジ共有ツール 社員の知識やノウハウを蓄積できるツール。FAQや社内Wikiの作成に役立つ
    グループウェア 社内での情報共有を促進するITツール。タスク管理や進捗状況の確認などができる

    企業のニーズによってどのツールを導入すればいいかは異なりますが、どれを取り入れてもヘルプデスクへの問い合わせ数の減少が期待できるでしょう。

    また、新人オペレーターの教育やユーザーとの会話中に使用できれば、応対品質の向上につながるのもメリットといえます。

    方法(2)自動録音・文字起こしツールを導入する

    電話での問い合わせを自動録音し、文字起こしができるツールを導入すれば、応対内容を可視化できます。テキスト化した内容を履歴として記録したり、FAQシステムやマニュアルなどにナレッジ共有したりすれば、業務の効率化も実現します。

    知識やノウハウの共有はもちろん、ベテランオペレーターの言葉遣いや会話の運び方も可視化でき、他のオペレーターの応対品質が向上することも期待できるでしょう。

    方法(3)運用フロー図を作成する

    ヘルプデスク業務の運用フロー図を作成し、業務の流れを可視化します。運用フロー図を共有することで、すべてのオペレーターに共通認識が生まれ、同じ目線で仕事ができるようになる点がメリットでしょう。

    運用フロー図には、エスカレーションの方法や他の部署との連携、ユーザーへの連絡など、組織階層や処理手順を明示します。一次回答できなかった問い合わせは、誰にどのように報告し、どうやって回答まで至るのかが明確になるので、担当者の業務範囲が分かりやすくなります。

    新人オペレーターが一目で理解できるよう、できるだけシンプルな運用フロー図にすることがポイントです。丸や長方形、ひし形など「図形」と「矢印」を使い、視覚的に理解しやすいフロー図の作成を目指していきます。

    方法(4)マニュアルを整備する

    ヘルプデスク業務を可視化する方法として、業務のマニュアル化も重要です。マニュアルがなければ業務にバラつきが生じるほか、属人化が起こりやすくなってしまうからです。

    マニュアル作成後も更新を実施して常に最新状態に保つ必要があります。また、図表やイラストを加えることによって理解しやすくなるでしょう。

    単なる業務手順だけでなく、オペレーター個人が保有するノウハウやスキルをマニュアルに落とし込むことで、ほかのオペレーターのスキル向上にもつながります。

    ヘルプデスク業務を可視化するメリット

    ここまでヘルプデスク業務を可視化する方法について説明して来ましたが、続いてはヘルプデスク業務を可視化するメリットについて、担当者・責任者・顧客別に解説します。

    メリット(1)【担当者】属人化を解消しチームで助け合える

    ヘルプデスク業務が可視化されると、案件ごとの進捗状況を確認でき、チーム内の助け合いが生まれやすくなります。ひとりの担当者に業務が集中しているのを可視化できれば、他のメンバーが「忙しそうなので私が担当します」と、対応しやすくなるからです。

    また、急な休みや離席中でも業務を引き継ぎやすくなるので、「◯◯さんでなければ対応できない」という状況がなくなり、属人化を解消できる点も大きなメリットといえます。

    メリット(2)【責任者】コア業務へリソースを集中させることができる

    ヘルプデスク業務の可視化が行われると、責任者は高度な専門知識を持つ担当者をコア業務に集中させられるようになります。業務改善やナレッジ管理など、別の重要な業務に取り組む時間を捻出でき、問い合わせ数の減少や品質改善ができるでしょう。

    問い合わせ数が減ってオペレーターの対応が迅速化すると、残業時間を短縮する効果も期待できます。情報システム部門がヘルプデスク業務を兼任している企業では、新しいシステム案件施策の企画など、業務の強化にも取りかかれるでしょう。

    メリット(3)【顧客】ユーザーの満足度が向上する

    ヘルプデスク業務の可視化を進めると、顧客や社員、つまり“ユーザー”の満足度が高まる効果が期待できます。

    ナレッジを集約してFAQを公開することで、ユーザーは疑問やトラブルを自己解決でき、問い合わせする必要がなくなっていきます。

    さらに、ナレッジを常に更新してオペレーターも最新情報を閲覧できるようにすることで、担当者ごとの対応のバラつきがなくなり、応対品質が均一化されていきます。ユーザーはスムーズに回答を得られるようになり、満足度の向上が期待できるでしょう。

    ヘルプデスク業務を可視化する際の改善ポイント

    ヘルプデスク業務を可視化するメリットについて説明しましたが、ただ可視化するだけでは効果的ではありません。ここでは、ヘルプデスク業務を可視化する際の改善ポイントについて、3点を挙げて解説しましょう。

    改善ポイント(1)現在の業務負担を把握したうえで「改善目標」を立てる

    ヘルプデスクの責任者は、各オペレーターが抱えている件数や案件の内容、問い合わせの多いチャネルなど、現状を正確に把握したうえで「改善目標」を立てましょう。そうすることで、どの課題を優先的に解決すべきか分かるようになるのです。

    例えば、電話での問い合わせが特に多く「業務を圧迫する原因になっている」と分かった場合、問い合わせ数を減らすための対策である「ナレッジの可視化」が必要です。また、マルチチャネル化で案件を管理しきれず進捗状況が見えない点が課題であれば、一元管理して業務を可視化することが目標となるでしょう。

    以上のように、的確に業務改善をするには「なにを可視化すればいいか」と考えながら業務の棚卸をし、目標を立てていくことが重要です。

    改善ポイント(2)業務フローを見直す

    現在の業務フローを見直し、属人化や非効率な作業が発生していないか確認しましょう。「エスカレーションで特定の担当者に業務が集中する仕組みになっていないか」「回答まで時間がかかり過ぎていないか」など、状況を洗い出していくのです。

    遅延が発生しやすい箇所を特定できれば、エスカレーション先を分散させたり、回答の検索性を高めたりして、業務フローを改善します。そうすることで運用ルールが明確になり、業務効率化が実現するでしょう。

    改善ポイント(3)インシデントやナレッジを蓄積し一元管理する

    インシデントやナレッジを蓄積して可視化することは重要です。必要な人が必要な時にアクセスできる環境を構築すれば、同様のトラブルが起こった際にスムーズに対応できるようになります。

    特に、すべてのナレッジを一元管理することがポイントになります。チームやチャネルごとにバラバラに管理されていた情報を一箇所にまとめることで、過去の履歴や進捗状況を把握しやすくなるのです。

    ナレッジは会社の「知的資産」であると認識し、有効活用できるような環境を整えていきましょう。

    ヘルプデスクの業務可視化ならパーソルビジネスプロセスデザインへ

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    ヘルプデスクの業務可視化は、業務効率化や品質向上、さらには属人化の解消に効果的です。しかし、「どこから手をつけていいか分からない」「目の前の業務に追われて改善する時間が取れない」というお困りの声を聞くことがよくあります。

    私たちパーソルビジネスプロセスデザインは、ヘルプデスク業務のアウトソーシングサービスをご提供しています。本サービスは、ご要望に合わせて、オンサイトとオフサイトの両方でサービスをご利用いただけます。

    オンサイトヘルプデスクでは、お客様のオフィスに常在しヘルプデスク業務を支援し、電話やメール対応だけでなく、デスクサイドサポートにも対応可能です。オフサイトヘルプデスクをご利用いただくと、属人化の解消やノウハウの共有も促進されます。

    オンサイトでもオフサイトでも、ヘルプデスクの業務可視化をご検討の際には、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインにご相談ください。

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