ヘルプデスクの業務内容
ヘルプデスクには、社内・社外ヘルプデスクの2種類があります。それぞれの業務内容は、次のとおりです。
▼社内・社外ヘルプデスクの業務例
社内ヘルプデスク | システムや情報機器を使用する社員からの質問に回答したり、トラブル対応をしたりするのがメイン業務。部署間で連携しながら解決することが重要となる。OA機器のメンテナンス、アカウント管理、サーバー設置、OSのインストールなども含まれる。 | ||
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社内・社外ヘルプデスクにおける共通の目的は、迅速な問題解決による顧客・従業員満足度の向上です。ヘルプデスクの的確な対応でユーザーの利便性が高まり、顧客ロイヤリティの向上が期待できるでしょう。また、社内システムのトラブルを解決することで、被害の最小化に貢献することもできます。
社内ヘルプデスクの場合、従業員からの問い合わせに素早く、そして丁寧に対応することで重大なトラブルを回避し、従業員の生産性を向上させることが可能です。
社外ヘルプデスクでは、お客様の問い合わせから新商品やオプション機能の提案をすることで、顧客満足度の向上だけでなく、売上の創出につながるケースもあります。
以上のように、社内・社外ヘルプデスクは重要な役割を果たしていますので、ヘルプデスクの応対品質を常に高く保つことは重要課題だといえるでしょう。
ヘルプデスク業務における課題
ヘルプデスク業務における課題
ヘルプデスク業務にはさまざまな課題があり、改善が必要とされています。ここでは、よく起こりがちな4つの課題について解説します。
課題(1)1日の問い合わせ件数が多く業務負荷が高い
課題(1)1日の問い合わせ件数が多く業務負荷が高い
社内外を問わず、ヘルプデスク業務で最も問題視される課題として、1日の問い合わせ件数の多さが挙げられます。件数が多いと対応に忙殺され、担当者の業務負荷が高くなり生産性や品質の低下につながってしまいます。
問い合わせの中には「アプリケーションの操作方法を教えてほしい」「社用パソコンのアカウントを申請する手順が知りたい」など、多様な質問が寄せられます。マニュアルを読んだり部署の別担当者に聞いたりすれば分かる内容も含まれ、積み重なっていくと業務スピードを鈍化させてしまうことにもなるでしょう。
近年はデジタル化が進んで問い合わせ内容も複雑化しており、ヘルプデスクの対応範囲も拡大しています。多岐にわたる問い合わせに対応するためには、業務効率化が欠かせません。
応対品質の低下や担当者のモチベーション低下が起こる前に、早急な業務改善が必要でしょう。
課題(2)人材リソース不足に陥っている
課題(2)人材リソース不足に陥っている
ヘルプデスクは人材不足に陥りがちで、企業によっては総務や人事担当者、エンジニアがヘルプデスク業務を兼任していることも多くあります。
ヘルプデスクへのニーズは高まっていますが、利益を生み出さない間接部門であるがゆえリソースを割けず、ヘルプデスクの人員強化に踏み切れない企業も少なくありません。
しかし、人材不足のまま業務を遂行すると、属人化が起こりやすくなってしまいます。それは、日々の業務に追われ、ノウハウを共有する余裕がなくなってしまうことが大きな要因といえます。管理者は進捗状況の把握が難しくなり、ますます業務改善に取りかかりにくくなってしまうでしょう。
課題(3)すぐに問題が解決できず、顧客や従業員の満足度が低下する
課題(3)すぐに問題が解決できず、顧客や従業員の満足度が低下する
ヘルプデスク担当者は、問い合わせ内容をスムーズに解決することが求められています。しかし、前述したように人材不足で問い合わせ数が多い状況が続くと、迅速な対応は難しくなってしまいます。
その結果として、お客様や従業員を待たせることになり、満足度の低下につながることも課題のひとつといえるのです。
外部のお客様を待たせてしまうと不満がたまり、最悪のケースではサービスの離脱を引き起こす恐れがあります。また、社内からの問い合わせに迅速に対応できなければ、トラブルを解消できず、社内全体の業務効率が低下してしまうでしょう。
このような事態を防ぐためにも、ヘルプデスク業務の改善が必要なのです。
課題(4)知識のアップデートが追いつかない
課題(4)知識のアップデートが追いつかない
ヘルプデスク業務は現在、複雑化かつ多様化しています。担当者は知識を日々アップデートする必要があり、継続的な学習が求められています。
しかし、目の前の業務に追われながら知識を習得することは、容易ではありません。さらに、膨大な知識量が必要となる商材を担当している場合、すべてを記憶したうえで対応することは困難といえます。
そこで、ヘルプデスク業務の生産性を高めるために必要となるのが業務改善です。担当者が必要なナレッジ(知識)をすぐ見つけられるよう、FAQやマニュアルなどを継続してアップデートしていく必要があります。
業務改善を図る方法 ①問い合わせ数を減らす
ここからは、ヘルプデスクが業務改善をするのに効果的な方法をとりあげていきます。
まずは、「問い合わせ数を減らす」ということです。問い合わせ数を減らすには、ユーザーに自己解決を促すことが重要になります。
社内に蓄積されたノウハウを「FAQ」や「チャットボット」に落とし込み、ユーザーが必要な情報にアクセスしやすいよう導線を整えていきます。具体的に見てみましょう。
3-1. FAQを作成する
3-1. FAQを作成する
ヘルプデスクに蓄積された問い合わせ内容からFAQを作成し、お客様や従業員に公開していくとユーザー自身で疑問を解消しやすくなります。
FAQを作成する際には、問い合わせ頻度の高い質問を具体的に掲載することが重要です。たとえば、「◯◯(パーツ名)に不具合が生じている」という場合、ユーザーがパーツの名称を把握して的確な質問を寄せてくるケースはほとんどありません。
専門的な名前を使うのではなく、「赤いランプが点滅している」「小さな箱からピーピー音が聞こえる」など、ユーザーがよく使う表現で記述すると分かりやすくなるでしょう。
このように、表記方法を工夫して検索性を高めると、ユーザーは自己解決しやすくなります。その結果として、ヘルプデスクへの問い合わせ数の減少につながっていくでしょう。
3-2. チャットボットを導入する
3-2. チャットボットを導入する
チャットボットも、ユーザーの自己解決を促すことができるツールです。
企業サイトや社内システムに設置しておけば、ユーザーは24時間いつでも、どこからでもアクセスできます。ヘルプデスクがクローズする時間帯でも対応できますので、ユーザーは回答を待つ必要がありません。
チャットボットの特徴は、使えば使うほど回答精度を高められる点です。「解決できなかった」というフィードバックが多い質問を抽出でき、確実に回答までたどり着けるよう改善することができるのです。
また、問い合わせ履歴からユーザーがどのようなことに疑問を持ちやすいのかを分析することもできます。たとえば、「アプリを初期設定する方法」に関する問い合わせが多い場合、商品ページや配布マニュアルにその方法を書いておけば、利便性は高まるでしょう。
分かりやすい場所に解決方法が記載されていれば、そもそも問い合わせをする必要がなくなり、ヘルプデスクの業務改善につながるでしょう。
3-3. FAQやチャットボットの導線を整える
3-3. FAQやチャットボットの導線を整える
ユーザーにFAQやチャットボットを使用してもらうには、クリックしやすい場所に設置することが重要です。FAQやチャットボットを導入しても「まったく利用されていない」と課題を感じている企業も少なくないのです。
社内向けであれば徹底した周知を行い、「ヘルプデスクに電話で問い合わせする前に、FAQ/チャットボットを使用する」という意識づけを行いましょう。
社外のお客様に対しては、チャットボットを目立つ場所に設置し、キャラクターを使って親しみが湧くように促したりすると、利用率を高める効果もあります。
FAQやチャットボットを効果的に活用できれば、ヘルプデスクへの問い合わせ数を大幅に削減することも可能です。問い合わせ数が減ればヘルプデスク担当者の負荷が軽くなり、業務改善にもつながるでしょう。
業務改善を図る方法 ②業務を効率化する
業務改善を図る方法 ②業務を効率化する
次に、ヘルプデスク業務を効率化する方法について、3点を挙げて解説します。
4-1. 返信をテンプレート化する
4-1. 返信をテンプレート化する
よくあるお問い合わせへの回答をテンプレート化することで、業務効率化を促すことができます。電話対応であればトークスクリプトやFAQを準備し、回答を掲載しておきましょう。
メールやチャットへの返信であればテンプレート化した回答文を保存しておき、コピー&ペーストで送信すれば、メール文を作成する時間が省けます。
あらかじめテンプレート化した回答を用意しておけば、業務効率化だけでなく迅速な対応ができますのでユーザーの満足度向上にも貢献するでしょう。
4-2. 問い合わせ管理システムを導入する
4-2. 問い合わせ管理システムを導入する
問い合わせ管理システムとは、電話やメール、チャットボット、SNSなど複数のチャネルからの問い合わせ状況を一元管理できるツールです。
個々の案件が「どこまで対応されているか」をひとつの画面上で閲覧できますので、対応漏れや重複がなくなります。
ヘルプデスク業務は、エスカレーションや折り返し連絡が必要になるケースも少なくありません。管理システムがあれば、担当者が急な休みになっても引き継ぎをしやすくなり、迅速な対応が可能になります。
管理システムはヘルプデスクの業務効率化に役立つため、導入する企業も増えています。
4-3. ノウハウを蓄積しマニュアルを作成する
4-3. ノウハウを蓄積しマニュアルを作成する
ヘルプデスクの業務改善には、ノウハウを蓄積しマニュアルに反映させることが重要です。そのためにも、応対の様子を録音し、文字起こしをして「問い合わせ内容」や「回答」、「ユーザーの反応」などをテキスト化します。
過去の問い合わせを可視化して収集することで、ナレッジとして共有しやすくなるのがメリットです。ナレッジをマニュアルとして活用すると、新人オペレーターの教育やヘルプデスク業務の標準化も実現しやすくなるのです。
問い合わせ内容の傾向だけでなく、ベテランオペレーターの言葉遣いや話し方も共有できますので、応対品質の向上に役立つでしょう。
業務改善を図る方法 ③オペレーターのレベルアップ
業務改善を図る方法 ③オペレーターのレベルアップ
ヘルプデスクの業務改善には、オペレーターの育成やサポートも必要になります。ここでは、2つの方法を解説します。
5-1. 研修を強化する
ヘルプデスク担当者は知識のアップデートに追われるため、新人だけでなくベテランオペレーターにも研修を定期的に提供することが重要になります。研修を強化することでスムーズに対応できるようになり、業務改善につながります。
さらに、蓄積したナレッジを研修でも活用すると、オペレーターごとの対応のバラつきを抑えられることに繋がります。各オペレーターのスキルアップも図れるため、モチベーション向上も促せるでしょう。5-2. 面談を実施する
5-2. 面談を実施する
研修だけでなく、定期的な面談もモチベーションの向上に効果的です。面談では、オペレーターの現状把握に加え、パフォーマンス評価や目標設定を行います。
ヘルプデスク業務にはクレーム対応も含まれ、「仕事がつらい」と感じているオペレーターも多くいるでしょう。仕事への意欲が低くなってしまっては、応対品質が下がり、顧客満足度の低下にもつながります。
そこで明確な評価基準を設計し、面談ではオペレーターの成長を促すフィードバックをすると、業務改善や意欲向上を促せるでしょう。
業務改善を図る方法 ④アウトソーシングを活用する
業務改善を図る方法 ④アウトソーシングを活用する
ヘルプデスクで業務改善を図る手段として、アウトソーシングの活用も挙げられます。
アウトソーシングではプロの人材に依頼できますので、応対品質の改善が可能です。特に「採用しても教育する時間がなく、離職率が高い」という場合には、アウトソーシングを導入することで課題解決に期待が持てるでしょう。
さらに、ユーザー対応だけでなく、ナレッジを集約してもらったうえでマニュアルやFAQの更新も依頼すると、業務改善につなげられます。具体的にはユーザーの自己解決を支援でき、業務効率化や生産性の向上が期待できるでしょう。
以上のような理由から、社内外のヘルプデスク対応の部分でアウトソーシングを活用する企業は、増加傾向にあるようです。
ヘルプデスクの業務改善ならパーソルビジネスプロセスデザインへ
ヘルプデスクの業務改善ならパーソルビジネスプロセスデザインへ
ヘルプデスク業務を改善するには、オペレーターの採用や教育、ナレッジ集約によるユーザーの自己解決を促す導線作りが不可欠です。しかし、改善に向けた時間の捻出が難しく「自社では対応できない」という企業担当者の声を聞くことも少なくありません。
私たちパーソルビジネスプロセスデザインでは、ヘルプデスク業務のアウトソーシングサービスをご提供しています。ご要望に合わせて、オンサイトとオフサイトの両方でご利用いただける点が特徴のひとつに挙げられます。
また、ナレッジを管理しチャットボットの導入やFAQ作成の推進もサポートしていますので、「問い合わせ数が多い」という課題も根本から解決することができます。
「業務拡大でヘルプデスクの人的リソースを増やしたい」「問い合わせ窓口を一元化したい」といったお悩みがある場合には、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインにご相談ください。