カスタマーサポートとコールセンターの違い
カスタマーサポートセンターとコールセンターは、同じ意味で使われていることが少なくありません。しかし、厳密には異なります。
カスタマーサポートは「顧客もしくは見込み客が製品やサービスの利用や検討で困ったときに、問い合わせをする窓口」の業務がメインです。このような受電の業務は、コールセンターでは“インバウンド”と呼ばれています。そしてコールセンターは、インバウンド以外に営業活動や市場調査といった“アウトバウンド”の業務も担います。
コールセンターという名称は、電話によるコミュニケーションが主体だった時代から使われていました。インターネットが普及してメールやチャットが活用されるようになると、総合的なコミュニケーションチャネルで顧客と接点を作る“コンタクトセンター”という呼び名で差別化する企業が登場しました。
電話の応答に関していえば、カスタマーサポートは基本的に顧客からの電話を受けるだけです。新規顧客開拓のために営業の電話をかける業務は含まれません。電話を使わずにメールやチャットの対応だけ提供しているカスタマーサポートもあります。
つまり、コールセンターあるいはコンタクトセンターの機能のひとつがカスタマーサポートだといえるのです。
カスタマーサポートはなぜ重要か?
カスタマーサポートは「クレーム処理の部門」と考えられていることも多いのですが、企業にとって重要な役割を果たしています。
商品やサービスに対する顧客の疑問や不安を解消することによって、企業の信頼性は高まります。信頼性が高まると継続的に購入するリピーターが増加し、企業の収益基盤が安定します。さらにロイヤルティ(忠誠心)の高いファンを醸成すると、SNSを通じた口コミ効果も期待できるようになります。このように、カスタマーサポートは企業の『収益基盤の安定化』と『優良顧客の維持』に貢献しているのです。
「新規顧客の獲得は既存顧客の維持より5倍のコストがかかる」といわれる『1:5の法則』をご存知でしょうか。既存顧客に商品やサービスを購入し続けてもらうことは、新規顧客開拓よりもコストをかけずに収益を安定させる効果があるのです。企業と顧客に信頼関係ができると、より高価な商品や別の商品の販売促進が可能になるからです。
また、『LTV』と略される「顧客生涯価値(Life Time Value)」を高めるうえでも有効です。LTVは、顧客との持続的な関係を重視したリレーションシップ・マーケティングから考え出されました。特定の期間における市場シェアを獲得するのではなく、顧客ひとりが一生を通じて企業から購入し続ける「顧客シェア」を重視するコンセプトです。
企業と商品やサービスは、ロイヤルティの高い顧客によって支えられています。営業活動のように直接利益に関与するわけでは有りませんが、カスタマーサポートは企業の持続的な経営のためにはなくてはならない機能といえるのです。
カスタマーサポートを外注するメリット
それでは、カスタマーサポートを外注するケースについて考えてみましょう。そもそもカスタマーサポート部門の設置には、以下の3つの形態があります。
- ・内製化する
- ・内製化して一部を外注する
- ・すべてをアウトソーシングする
内製化する場合
カスタマーサポートを完全に内製化しようとすると、初期投資として通信機器や顧客管理のためのアプリケーションなど、設備投資が必要になります。さらにオペレーターの採用や育成などの人材コストも考慮しなければなりません。運用時には、クレーム対応などストレスが多い業務のため、勤務状況の管理や離職を抑える対策も求められるでしょう。
社内にカスタマーサポート部門を設置すると、人員の採用や教育に時間がかかるため、急激に問い合わせが増加したときなどは対応が難です。サポート品質を維持するための人材教育にもコストがかかってしまいます。
そこで、内製化の課題を解決する方法としてアウトソーシングが有効になります。
内製化して一部を外注する場合
内製化して一部を外注する場合は、社内に外部からのオペレーターを常駐させる方法と、窓口の一部を外部の企業に設ける方法があります。問い合わせ数が多い場合はオペレーターの負荷が軽減され、特に常駐スタッフを配置した場合は緊急時の対応に便利ですが、社内と社外のスタッフを統合して管理する煩雑さが生じます。
すべてをアウトソーシングする場合
すべてをアウトソーシングする場合はどうでしょうか。以下のようなメリットが考えられます。
- ・設備投資や人件費のコスト削減
- ・業務のスリム化と戦略的な業務へのシフト
- ・サポート品質の向上
設備や人材の初期投資が不要であることは大きなメリットといえるでしょう。「戦略的な業務へのシフト」というのは、顧客の生の声や全体の傾向を把握したうえで、商品やサービスの改善の提案に生かしていくことが考えられます。顧客のニーズを探ることで、新しい商品開発のヒントを得ることも可能になるでしょう。
カスタマーサポートを外注するデメリット
カスタマーサポートをアウトソーシングするデメリットとしては、まず「自社の企業理念や社風を反映させることが難しい」という点があるかもしれません。
カスタマーサポートの代行企業は、複数の企業の顧客対応を並行しています。顧客対応の品質のレベルを維持するとともに、効率化するためにマニュアルで標準化していきます。しかし、マニュアル化は顧客対応が定型的になるというデメリットを併せ持っています。企業の独自性や社風を反映させようとすると少し難しくなるでしょう。
情報漏えいに対するリスクもデメリットの1つです。カスタマーサポート業務の外注を請け負う多くの企業では、個人情報の保護を徹底しています。しかし、在宅勤務など多様な働き方が浸透して、ますますセキュリティが重視される昨今、情報漏えいのリスクには細心の注意が必要になります。
完全に業務を切り分けてアウトソーシングした場合、顧客の実態を把握しにくくなることもデメリットといえるかもしれません。顧客とすべてのフェーズで接しているわけではないため、情報共有にタイムラグが生じることもあるでしょう。そうなると、報告されたデータから顧客の動向を読み取らなければならなくなるため、クレームや要望の切実さを実感しにくくなるデメリットなどが考えられます。
カスタマーサポート代行の選び方
カスタマーサポート代行会社を選ぶときには、前述した通りまずは「セキュリティ対策が徹底していること」をチェックします。
オペレーターへのセキュリティ教育はもちろん、入退室管理における認証、機密事項に関するアクセス権限の設定など、リスクマネジメントを徹底している企業を選ぶことが前提でしょう。情報漏えいによって企業が被る損害は多大なものになります。セキュリティ対策は最優先すべき最低条件といえます。
続いて「どのようなサポートに強いアウトソーサーか」を確認するとよいでしょう。
電話応答に優れたオペレーターが必ずしもチャットやメールの応答に優れているとは限りません。顧客層にもよりますが、電話対応を優先するのか、テキストの対応を優先するのか、もしくは両方に優れた人員を配置するのかという視点から検討します。また、IT業界、金融業界など業界に特化したサポートを提供する代行会社もあります。
アウトソーシングによって付加価値を求めているのであれば、その企業の「導入事例」が参考になります。
守秘義務の関係から公開していない場合もありますが、実際の社名は分からなかったとしても、どのような取り組みに注力しているのか情報を収集してみましょう。自社に近い成功事例のある企業を選ぶことがポイントといえるかもしれません。
「料金プラン」も重要です。コスト面の費用対効果は十分に検討すべきですが、安ければ安いほどいいというわけでもありません。カスタマーサポートの品質を高めようとすると、どうしても費用がかかります。ですから、理想的な品質と現実とを吟味したうえで最適化していくことが必要です。
顧客満足度調査やクレームの数などによって目標を指標化し、定量的と定性的の両方の側面から効果を検証しながらアウトソーシングを進めていくのがよいでしょう。
選定後のフォローアップと改善活動
カスタマーサポート代行会社の選定後、フォローアップと改善活動を実施することは非常に重要です。以下にその具体的な手順とポイントを紹介します。
まず、担当者との定期的なミーティングや報告書の受け取りを行います。代行会社の担当者とのコミュニケーションを保つことで、業務の進捗状況や課題について把握することができます。定期的な報告書の受け取りによって、業務の成果や品質を確認し、必要な改善点を洗い出すことができます。
また、顧客からのフィードバックや苦情を受けた場合は、迅速に対応し解決策を提供しなければなりません。代行会社と連携して、顧客満足度の向上や改善点の修正に取り組み、フィードバックを共有し、問題解決やサービスの質向上につなげることが重要となります。
さらに、KPIやSLA(サービスレベル契約)のモニタリングと評価を行います。目標とする業績指標や品質基準に基づき、定期的な評価を行うことで、代行会社のパフォーマンスを評価し改善点を把握します。必要に応じてSLAの再評価やKPIの見直しを行い、より良い成果を得るための方向性を確認します。
定期的なパフォーマンスレビューを実施し、代行会社とのパートナーシップを構築・強化することで、双方の目標や期待を明確にし、持続的な成果を得るために協力して取り組むことが重要です。パフォーマンスレビューを通じて、業務の改善点や追加の要件を共有し、成果を最大化するためのアクションプランを策定します。
持続的な改善活動を行うためには、定期的なフィードバックや意見交換の場を設けたほうがいいでしょう。代行会社との関係を強化するために、相互の学びやベストプラクティスの共有を促進することが重要となります。プロセスの改善や効率化のためのアイデアを共有し、業務の品質や効果を向上させるための取り組みを継続的に行うことで、品質向上へとつながっていきます。
以上のようなフォローアップと改善活動を通じて、カスタマーサポート代行会社とのパートナーシップを強化し、顧客満足度の向上や業績の拡大を実現することができます。定期的なコミュニケーションや評価、改善活動によって、顧客へより効果的なカスタマーサポートを提供し続けることが重要です。
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