CPHとは
「CPH」とは、「Call Per Hour」の略称で「コールセンターのオペレーターひとりが1時間当たりに対応したコール数」を指す指標です。
オペレーター個々の能力から、コールセンター全体の評価にもつながる重要な指標です。
そのため、コールセンターの生産性に問題がある場合に分析される指標でもあります。
便利な指標ですが、活用するにはCPHを構成する業務や、指標として読み解く際の注意点を理解しておかなくてはなりません。
CPHとしてカウントされる3つの業務
CPHは電話対応だけでなく、オペレーターが行う3つの業務をまとめて1コールとしてカウントします。
CPHとしてカウントされる業務は、以下の業務です。
【CPHとしてカウントされる3つの業務】
- ・顧客からの電話を受ける
- ・電話による顧客対応
- ・対応後の処理作業
CPHから分かること
CPHはコールセンターのオペレーター個々の能力だけでなく、コールセンター全体を測る指標でもあります。
CPHを分析すると、以下のことがわかります。
【CPHの分析からわかること】
- ・オペレーターの能力と評価
- ・コールセンター全体の生産性
CPHの数値が低下している場合、コールセンターの電話がつながりにくくなります。
問い合わせにたどり着けない状態は、お客様のストレスを招き顧客満足度の低下を引き起こします。
CPHの低下は、コールセンターに改善点があるサインといえます。
CPHを確認する際の注意点
CPHはコールセンターにある問題点がわかる指標ですが、ただ数値を見るだけでは改善につながりません。
CPHを確認する際は、以下2つの注意点に気を付けながら確認しましょう。
単純に数字だけを見て判断しない
先ほども解説しましたが、CPHは電話の受け答えだけでなく、その後の処理も関係します。
CPHが示す数値だけでは、何が問題なのかまではわかりません。
CPHの低下を確認したとしても、やみくもにオペレーターの努力目標を設置したり、指導を行ったりするのは避けましょう。
やみくもに改善策をとっても、的外れな改善はかえってCPHの低下を招きます。
CPHの低下を確認したときは、まずは原因を探ることが大切です。
CPHは必ず分析する
CPHが低い場合は、何が原因で数値が低下しているのかを必ず分析しましょう。
CPHが低下する原因としては、主に下記3つがあげられます。
【CPHの低下を招く原因】
- ・オペレーターの数が適切でない
- ・電話対応が長い
- ・後処理のシステムが使いにくい
原因により、適切な改善策はそれぞれ違います。
原因がどこにあるのか、どうやったら改善できるのかを理解するためにも、CPHの分析は必ず行いましょう。
分析を行ったうえで、適切な改善策を実行してください。
CPHの3つの改善方法
CPHの改善方法は、主に3つです。
改善策はそれぞれ内容が違いますが、CPHを分析し、その結果から適切な改善策を選択・実行する点は変わりません。
それぞれの改善策と対応する原因を押さえておきましょう。
システムや環境面の改善
CPHはオペレーターの能力に問題がなくても、後処理するシステムやコールセンターの環境が悪ければ低下します。
CPHの低下が確認できた場合は、システムや環境面で不備はないか確認しましょう。
確認するポイントとしては、以下のポイントがあげられます。
【システム・環境面での改善ポイント】
- ・問い合わせ処理システムが使いやすいか
- ・顧客管理が適切か
- ・FAQなどのナレッジ整理が行われているか
問い合わせの後処理を行うシステムは、使いづらいとその分時間がかかります。
どんなにオペレーターが対応時間を減らしても、後処理に時間がかかるようでは意味がありません。
CPHを分析し、システム処理に時間がかかっていることが分かった場合は、システムの見直しを行いましょう。
このほか、問い合わせの際に活用する顧客情報や、問い合わせの回答に使用するFAQやマニュアルが整理されていないと、問い合わせ対応に時間がかかってしまいます。
これもシステムと同様、オペレーターの実力が高くても対応しきれない原因です。
このような原因に心当たりがある場合は、すぐにシステムや環境面の整備に取りかかりましょう。
ATTの改善
「ATT」とは「Average Talk Time」の略称で、「オペレーターが電話対応1件当たりにかかる平均通話時間」の指標です。
オペレーターが電話を受けてから切るまでの時間をはかります。
ATTが長い場合、問い合わせ対応に何かしらの問題があり、その結果ATTやCPHが長くなっていることが分かります。
このとき、お客様対応に問題がある場合はATTを短くするための対策を行い、それ以外の要素が関係している場合は、先ほどのシステム面や環境面での改善に取り組んでいきます。
ATTの改善方法としては、以下の方法があげられます。
【ATTの短縮方法】
- ・マニュアルや対応チャートを用意する
- ・ATT短縮のための努力目標を設定する
ATTはCPHとは微妙に違いますが、原因が複数ある点は同じです。
CPHの低下にお客様対応が関わっている場合は、ATTの分析と改善を行いましょう。
スタッフの研修も検討しよう
CPHはオペレーターの問い合わせ対応能力が不十分な場合にも低下がみられます。
オペレーターの対応がスムーズにいかない場合や、システム操作に慣れていない場合は、改善のための研修を行いましょう。
オペレーター研修はATTの短縮にも役立ちます。
ATTに問題がある場合は、先ほど解説した改善方法と一緒に研修でも対策するとより効果的です。
CPHやATTの改善に役立つ研修内容として、以下のような内容があげられます。
【CPH改善に役立つ研修】
- ・お客様対応のロールプレイング研修
- ・システム操作の研修
- ・タイピング研修
オペレーターの研修を行う場合、能力の低いオペレーターのみに研修を行うのではなく、コールセンターに所属しているオペレーター全員で行いましょう。
オペレーター全員で研修を行うことで、コールセンター全体の能力を平均化できます。
研修はオペレーター個々に注目した内容ではなく、コールセンター全体をみて不足している内容を行うようにしてください。
CPH効率化をサポートする委託サービス
CPHの効率化は、CPHが低下している原因を割り出す所からはじめなくてはなりません。
そのため、企業によっては取り組みが難しい場合もあります。
そこで、CPHの効率化に役立つ委託サービスをご紹介します。
カスタマーセンター委託サービス
カスタマーセンター委託サービスは、メール・電話・チャットをはじめとしたお客様の問い合わせ窓口を委託するサービスです。
カスタマーセンターの委託サービスの中には、お客様の問い合わせ対応だけでなく、そこから得られた問い合わせ傾向を分析し、サービス向上に役立つコンテンツの作成を行うタイプがあります。
このタイプの委託サービスを活用すれば、お客様の自己解決率の向上が期待できます。
さらに、委託サービスのオペレーターはマナー研修などを通して委託業務にあたっているスタッフが多いため、品質の高い対応による顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
コールセンターの外部委託を検討している方や、今よりも高水準の対応をするためのサポートが欲しい方は、ぜひカスタマーセンター委託サービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか?
お客様センター・窓口委託サービス
製品やサービスのお客様センターと、その内容の分析を委託したい場合はお客様センター窓口委託サービスがおすすめです。
窓口委託サービスの中には、お客様から寄せられた質問や相談の対応だけでなく、その内容を分析・フィードバックを行うタイプがあります。
先ほど開設したカスタマーセンター委託サービス同様、窓口対応の委託で得た情報から品質向上・製品やサービスの改善に役立つでしょう。
「高品質の問い合わせ窓口を用意したい」「お客様の声を分析し、製品やサービスの品質向上に活かしたい」と考えている方は、お客様センターや窓口の委託サービスをご活用ください。
応対品質改善作業の委託サービス
「自社のコールセンターの品質を向上したい」「コールセンターの不足している部分を知りたい」などの場合は、応対品質改善作業を委託するサービスが有効です。
このサービスでは、以下の方法でオペレーターやコールセンターの能力を可視化します。
【オペレーターやコールセンターの品質を可視化するサービス内容の例】
- ・実際の対応のモニタリング
- ・ミステリーコールによる応対品質チェック
- ・対応履歴や入力内容の正確性チェック
実際のオペレーターの能力を可視化・分析することで、より具体的な改善案が分かるようになります。
サービスの内容次第では、改善案の実行までを委託できるサービスもあり、プロの目と手腕による応対品質改善が可能です。
コールセンターの能力を向上させるための分析と改善を行いたい方は、応対品質改善作業の委託サービスを活用しましょう。
スタッフ教育の委託サービス
このほか、コールセンターのオペレーターの研修を委託する教育・研修委託サービスもあります。
CPHの低下にオペレーターの能力不足が関係していた場合に役立つサービスで、研修を通してオペレーターの実力を向上させます。
教育・研修委託サービスでは、定期的な研修を行うことが多いようです。
具体的なサービスの内容の一例をあげます。
ヘルプデスク研修 | ヘルプデスクの仕事内容・心構え・トラブルシューティングの際の思考方法を学ぶ研修で、問題発生から解決までを分析できる力が身につきます。 |
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話し方・マナー研修 | お客様と円滑にコミュニケーションをとるために必要な技術を学ぶ研修です。オペレーターとして適切な発声法・敬語・ビジネスマナー・クレーム対応など幅広い知識が身につきます。 |
ロールプレイング研修 | 会話形式の実践的な研修です。会話の進め方・敬語の応対方法・ユーザーニーズをくみ取る力が身につきます。 |
オペレーターやコールセンターに不足している能力ごとに、必要な研修を選べるのが大きな魅力です。
オペレーターやコールセンターの能力向上に研修を検討されている方は、ぜひスタッフ教育の委託サービスをご活用ください。
まとめ
CPHは、オペレーターひとりが1時間当たりに受診したコール数を指す指標です。
オペレーターの能力が分かる指標であると同時に、コールセンター全体の生産性を示す指標でもあります。
CPHは複数の時間から得られているため、数字を見ただけでは改善点は判明しません。
CPHの内容を分析し、その上で原因と改善点を求める必要があります。
原因の中にはオペレーターだけでは改善できない原因もあるため、コールセンター全体で原因を探すことが大切です。
CPHを低下させる原因が判明したら、原因にあわせた改善策を実行しましょう。
CPHの分析と改善は、専門の業者に委託することも可能です。
「パーソルビジネスプロセスデザイン」では、コールセンター業務の外部委託・CPH改善をはじめとしたコールセンターの機能向上・オペレーターの研修など、さまざまなサービスを行っています。
CPHの低下でお悩みの方は、パーソルビジネスプロセスデザインまでご相談ください。