コールセンターの代行会社、委託先の選び方と外注時に注意すべきこと

コールセンターの代行会社、委託先の選び方と外注時に注意すべきこと

営業活動やマーケティングの機能としてコールセンターは重要です。しかし、企業内に設置しようとすると、設備投資や人材の採用と教育などの課題があります。ただ、業務範囲が明確な場合はコールセンターの代行会社に委託すると便利です。では、コールセンターの代行会社を選ぶときには、どのような業務を外注できるのでしょうか。メリットやデメリット、選定のポイントなどを解説してまいります。

目次

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    コールセンターの業務は外注できるのか

    コールセンターの業務を外注することは可能ですが、事前に「何を、どこまで外注するのか」について明確にする必要があります。外注する際の前提として「代行」「業務委託」「アウトソーシング」について、それぞれのニュアンスを明確にしていきましょう。

    「代行」とは

    「代行」とは、個人もしくは法人に代わって行うことです。代行する業務の内容やルールを明確に定めて、企業の社員に代わって任務を遂行していきます。コールセンターの業務でいえば、不在時に電話を受ける電話代行、新規開拓の営業代行などがあります。ただし、代行企業によって請け負う業務範囲は異なってきます。

     「業務委託」とは

    「業務委託」は、主に社内で対応できない業務を、量および質の面から外部に委託することです。民法の定めによる請負契約や委任契約を締結し、契約書を交わして委託する業務になります。委託先の企業は、目標未達や成果物がなかった場合にペナルティが課されることもあります。

    「アウトソーシング」とは

    「アウトソーシング」は、代行と業務委託を包含しながら、さらに付加価値を提供する広義の外注スタイルとして使われる言葉です。コールセンターの電話対応の品質を向上し、顧客満足度を高めたり、カスタマーサクセスを実現したり、企業の競争力を高める戦略的な目的が含まれています。

    顧客の満足度の変化は調査によって測定できますが、代行や業務委託の委託範囲を明確にすることは困難です。アウトソーシングを提供する企業の多くは、プロフェッショナルとして委託された業務に付加価値を与えることを売りにしています。

    以上のように明確な区別があるわけではありませんが、代行会社に依頼する際には、社内で運用できない煩雑な業務を外部に「代行」「業務委託」するのか、競争力を高めるために戦略的に「アウトソーシング」するのかを明確にしておくと、成果に対しての齟齬が少ないかもしれません。

    コールセンターの代行会社は何をするのか

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    コールセンターには、インバウンド業務とアウトバウンド業務の2つがあります。この2つの側面から代行業務のメニューを挙げてみましょう。

    インバウンド業務は、見込み客や顧客からの電話を受ける処理で、代行可能な業務には主に以下のメニューがあります

    • 不在時の電話対応
    • 問い合わせと相談窓口
    • 注文や予約の申し込み受付
    • 資料請求の受付
    • キャンペーンの事務局 など

    基本的にインバウンド業務の代行では、電話を受けて必要な情報を聞き出すまでの業務です。イレギュラーな質問や詳細に関しては、企業内の担当者につないだり、担当者からコールバックしたり、回答できる社員に引き継ぎます。

    アウトバウンド業務に関しては、以下のような代行業務メニューが存在します。

    • 新規顧客開拓の営業代行
    • テレアポ
    • インサイドセールス代行
    • 市場調査 など

    セールスとマーケティングは混同されやすい業務ですが、厳密には異なります。セールスは、売上増加と新しく開拓した顧客の件数を目的とした活動です。マーケティングは、新規参入する市場の可能性や、顧客のニーズがあるかどうかを調査および分析します。

    また、営業代行を提供する企業のサービスには、成果報酬型のテレアポ代行サービスもあります。これは、アポイントの獲得や資料送付の許諾などが成果として定められるものです。一方でマーケティング代行は、電話を使ったヒアリングやアンケート調査が主な業務です。

    コールセンターの代行会社を利用するメリット

    インバウンド業務を代行会社に委託したときのメリットは、主に社内の負荷軽減効率化です。従業員数が少ない小規模の企業では、繁忙時の電話応対を代行会社に任せることで、営業機会の損失を防ぐことができます。常に通話中でつながらないコールセンターは、見込み客や顧客の不満を募らせることになり、顧客重視を標榜する企業として適切な対応とはいえません。

    また、コスト削減のメリットもあります。社内にコールセンターを開設する場合、電話回線や機器の確保、人材採用など初期費用の投資は避けられません。アルバイトや派遣社員を採用することも考えられますが、それでも運用コストは発生し続けてしまいます。代行会社を使うことによって、繁忙度合によって人員を増員してもらうなど、最適化することが可能です。

    アウトバウンド業務の代行では、高度な専門性を必要としない人海戦術による営業活動”が効果的です。新規開拓営業のファーストコンタクトだけを代行して、社内の営業マンは確度の高い見込み客に注力できることもメリットといえるでしょう。

    テレアポが得意ではない新卒採用の営業パーソンも少なくありません。ですから、人材育成には手間や時間がかかります。また、見込み客の営業リストにしたがって網羅的に架電する場合、キーマンとコンタクトできるまで数回の架電が必要になることもあります。

    コールセンターに営業代行を外注することによって、社内の優秀な営業パーソンは「新卒採用者の教育に注力してクロージングの確度を高めていく」など、より戦略的な活動に集中できるのです。

    市場調査をアウトバウンド業務で行う場合は、セールスとは異なり電話先の企業との対話から潜在ニーズを引き出すスキルが求められます。これは、専門のテレマーケティング代行会社に委託することである程度の成果を得られるはずです。

    コールセンターの代行会社を利用するデメリット

    コールセンターの代行会社の利用にはデメリットもあります。最も注意しなければならないリスクは情報漏えいです。また、代行会社の対応次第によっては顧客との関係を悪化させ、企業全体の評価やブランド価値を低下させてしまうこともあるでしょう。たとえば重要なクレームに対応や情報共有が遅れた場合、SNSなどによってオペレーターに対する不満が拡散されてしまうケースが考えられます。企業名で業務を代行している以上、顧客側からは社員として認識されていることを代行会社は理解しなければなりません。

    内部漏えいに関しても注意すべきです。オペレーター教育を徹底していない企業に外注すると、顧客とのトラブルが沈静化した後に「こんなトラブルがあった」と個人のオペレーターからトラブルが拡散されてしまう場合もあります。

    また、コスト面におけるデメリットも検討すべき課題といえるでしょう。アウトバウンドコールの代行企業によっては、成果を重視するとオプションサービスの追加が必要になることがあります。オプションを積み重ねるとコストが膨らみ外注のメリットが失われてしまい、「内製化したほうがコストを抑えられた」などという結果になってしまいかねません。

    インバウンドのコールセンターでは、委託当初は受電件数が見込めません。従量課金制の代行会社に委託して、予想以上に電話による問い合わせが多かったときには、大幅に予算を上回ってしまいます。逆に月額固定性の会社に依頼して電話が少なかったときにも「採算が合わない」という問題が生じてしまいます。

    代行会社によってサービスのレベルが異なることもデメリットのひとつでしょう。コストを理由に別会社に切り替えたとき、これまでの顧客対応の品質維持が困難になってしまう場合があることも考慮しなければなりません。

    コールセンターの代行会社をどう選ぶべきか

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    コールセンター代行会社の選定には、サービス内容や費用を検討する前に、まず自社の『顧客対応の目的』を見直すことが重要です。コールセンターの機能を整理したうえで、代行する業務内容と範囲を明確にします。そのうえで最もマッチした代行会社に外注するとよいでしょう。

    総合的な代行サービスを展開する大規模の代行会社がある一方で、インバウンドやアウトバウンドの業務に特化した代行会社もあります。問い合わせの電話に対する社内の負荷を軽減させるのか、見込み客のテレアポを獲得するのか、新規ビジネスの可能性を調査するのかによって、代行会社を選択する基準が変わってきます。

    銀行・証券・保険といった金融業界や、通信業界、旅行業界に特化したコールセンター代行会社のサービスもあります。業界特化型の代行会社は業界の特性や専門知識を理解しているため、インバウンドやアウトバウンドともに成果が得られやすくなるはずです。

    また、顧客の個人情報を扱うのであれば、プライバシーマーク取得は前提条件です。そのうえで堅牢なセキュリティを徹底している会社に外注しなければならないでしょう。安価な費用に注目して代行会社を決めてしまうと、結果として問題発生時のリスクが大きくなってしまうものです。

    戦略的”なアウトソーシングも選択肢のひとつです。煩雑な業務の負荷軽減のために業務の一部を代行や委託で補うのではなく、コールセンターの代行会社を継続して活用して、長期的な価値を高めていくことも意義があるといえます。

    コールセンターを外注する際のポイント

    コールセンターを外注する際には、以下の注意点に留意することが重要です。

    外注先の調査

    外注する前に自社のビジネスニーズと外注先のサービス内容が適合しているか確認しましょう。ターゲットとなる顧客層やボリューム、カスタマーサポートの要件を考慮して、外注先がこれらのニーズに適切に対応できるのか、得意領域としているのかを判断します。
    また、その外注先が自社のサービスや業界などの実績があるのかを調べておくことも重要です。外注先の過去の実績・事例から自社で導入した際の想定効果や算出や、外注先の過去実績からより良い提案をいただけることもあります。

    外注先の評価

    まず、経験と実績の評価を知ることが重要です。代行委託先の業界経験や関連プロジェクトの実績を確認しましょう。特に同様の業種や規模の企業との実績があるかを重視し、信頼性を見極めることが重要です。

    次に、品質管理とトレーニングの体制です。代行委託先がどのような品質管理体制を持っているかを確認し、品質保証サービスを提供できるかを評価しましょう。また、対応オペレーターのトレーニングプログラムやスキル向上の取り組みを行っているのかなども重要なポイントとなります。

    さらに、システムと技術への対応力も評価ポイントです。代行委託先が最新のテクノロジーや効率的なシステムを備えているかどうかを確認しましょう。例えば、自社のCRMシステムやデータベースとの連携や、顧客データのセキュアな取り扱いが可能かなどを評価します。

    このように、委託先の評価方法としては経験と実績、品質管理とトレーニング、システムと技術への対応力の3つの要素が重要であり、これらを総合的に評価し、自社のニーズと一致する委託先を選ぶ必要があります。

    運用開始後のコミュニケーション

    コールセンターの運用を円滑に進め、効果的なサービス提供を確保するために重要な要素となります。
    以下のようなポイントがきちんと網羅できているのかを確認しましょう。

    (1)定期的な報告

    運用開始後は、定期的な報告とレビューのタイミングを設けることが重要です。これによりサービス品質や業績の監視が可能になります。報告書やKPIの共有、定例ミーティングや運営会議など、一定の周期で情報を共有し、状況を把握しましょう。

    (2)問題解決と改善計画の策定

    問題が発生した場合、迅速かつ適切に対応する必要があります。運用開始後のコミュニケーションでは、問題を共有し、原因究明と解決策の策定に取り組みましょう。また、改善計画を立て、定期的に実施と評価を行うことで、サービスの品質向上を図ることができます。

    (3)責任とコミュニケーションの明確化

    各関係者の責任範囲と役割を明確化することが重要です。コミュニケーションの円滑化のため、各担当者の連絡先や役割を明示し、問題解決や情報共有をスムーズに行えるようにします。また、コミュニケーションチャネルを定め、必要な情報を迅速に伝達できる体制を整えましょう。

    コールセンターを外注する際には、これらの注意点を押さえて選定することが重要です。しっかりと調査や比較を行い、自社に最適な外注先を選ぶことで、効果的なカスタマーサポートを顧客に対して提供し続けることができます。

    コールセンター契約前に考慮するべきポイント

    コールセンターを契約する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

    コスト面

    コールセンター契約はコスト面でも重要な要素です。提供されるサービスの価格体系や料金プランを詳細に吟味し、予算に適合するかどうかを確認しましょう。受電件数などによって従量課金が発生する場合には、繁忙期の件数も想定し、年間で予算がどれだかかかる見込みなのかについても検討が必要になります。
    提示される見積だけで判断するのではなく、想定できる追加分や将来的な拡張についても視野に入れ検討を進めましょう。

    サービスレベルアグリーメント

    コールセンター契約においては、サービスレベルアグリーメント(SLA)が重要な役割を果たします。サービス品質や応答時間、回答率など、契約の範囲や要件を明確にし、必要がある場合には契約先との合意に基づいたSLAを策定しましょう。万が一の際には、契約に基づいたサービスの提供を求めることができます。

    インフラストラクチャと技術サポート 

    コールセンターのスムーズな運営には、堅牢なインフラストラクチャと迅速な技術サポートが不可欠です。契約先のITインフラストラクチャの信頼性や冗長性、バックアップシステムの有無を確認しましょう。また、トラブルが発生した場合の技術サポートや対応時間についても評価し、適切な選択を行いましょう。

    以上のポイントを考慮し、コールセンター契約の際には細心の注意を払いましょう。契約内容の明確化と合意形成には時間をかけ、契約書の細部を確認した上で取り組むことが重要です。また、他社のコールセンターとの比較や市場調査も行い、最適な契約先を選ぶことが成功への鍵となります。

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