ヘルプデスクとコールセンターの違いとは?目的・役割・業務内容の違いを徹底解説

ヘルプデスクとコールセンターの違いとは?目的・役割・業務内容の違いを徹底解説

ITツールの発展にともない、近年その活躍の場が拡大しているのが『ヘルプデスク』です。ヘルプデスクは、高度なITスキルが必要なだけでなく、自社製品に対する深い知識が要求される難易度の高い仕事といえるでしょう。

そんなヘルプデスクですが、「コールセンターと一体何が違うの?」という疑問を目にする機会も多くあります。

そこで本記事では、ヘルプデスクとコールセンターの違いについて詳しく解説します。それぞれの目的・役割・業務内容などを深掘りしていきますので、ヘルプデスクとコールセンターの違いを明確にしたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

目次

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    ヘルプデスクとコールセンターの違い<サービスの目的>

    ヘルプデスクとコールセンターの違いでまず取り上げるのは、“目的”です。ヘルプデスクとコールセンターでは、サービスの目的がそもそも異なっています。

    1-1. ヘルプデスクの目的

    ヘルプデスクは自社の製品やサービスに関する、社内外からの問い合わせに対応する機能です。

    ヘルプデスクの種類は大別すると2つで、自社内の社員からの問い合わせに対応する「社内ヘルプデスク」と、顧客など外部への対応を行う「社外ヘルプデスク」があります。

    コールセンターとの大きな目的の違いとしては、「社内からの問い合わせにも対応する」という点が挙げられるでしょう。

    コールセンターが社外の顧客に向けた対応を行うのに対し、ヘルプデスクは社内で発生したシステム上の課題も解決するという目的を持ち合わせています。そのため、自社製品・サービスに対する専門知識や、ITツールの活用に深く精通している必要があります。

    1-2. コールセンターの目的

    一方でコールセンターは、自社の製品やサービスに関する社外からの問い合わせに対応する機能です。
    コールセンターの業務形態には、顧客へ電話をかける「アウトバウンド」と、顧客からの問い合わせに対応する「インバウンド」があります。
    ヘルプデスクとの大きな違いとしては、「社外からの問い合わせのみに対応する」という点でしょう。

    コールセンターは基本的に、“顧客対応”を主な目的として設置されています。そのため、社内からの問い合わせに対応するケースはほとんどありません。

    一方で、システムなどの不具合について、「コールセンター側がヘルプデスクへ問い合わせを行う」というケースは日常的に発生しているものです。

    1-3. コールセンター以外の窓口との違い

    ヘルプデスクはコールセンター以外の他の窓口とも混同されやすいものです。具体的にどのような窓口と間違えられやすいのか、それぞれ違いを解説していきます。


    テクニカルサポート
    各種システムやハードウェアなど、ITソリューション全般のサポートを行うのがテクニカルサポートです。企業によっては、ヘルプデスクがテクニカルサポートの役割を担っているケースもあるものの、本来の目的は異なっています。

    ヘルプデスクは顧客からの幅広い問い合わせに対応しますが、テクニカルサポートはより専門性の高いIT知識を活用し、技術的な側面から顧客の課題解決を行います。

    その他にも、ヘルプデスクは社内外の問い合わせ対応を行いますが、テクニカルサポートは社外の顧客に対してのみ案内を実施します。また、問い合わせ内容によっては現地調査や修理などの対応をすることもあり、そういった点もヘルプデスクとは大きく異なっています。


    カスタマーサポート
    自社製品やサービスを利用している既存顧客からの問い合わせに対し、各種案内を行う窓口がカスタマーサポートです。

    問い合わせ内容はさまざまで、ヘルプデスクやテクニカルサポートが対応すべき専門的かつ技術的な内容も含まれます。そのため、回答が難しい内容については、ヘルプデスクやテクニカルサポートへの引き継ぎを実施するケースも多くあります。


    サービスデスク
    サービスデスクは、社内で発生した課題への対応や、その他情報発信などの幅広い業務を担う機能です。

    具体的な違いとしては、ヘルプデスクが顧客の課題解決に向けた案内を専門とするのに対し、サービスデスクはそれにプラスして、新商品の情報提供やFAQの公開、問題の根本的解決までも行います。


    社内SE
    ヘルプデスクと社内SEを混同している企業もありますが、こちらも本来は別の職種を指します。

    社内SEが各種システムの設計・運用・保守を担うのに対し、ヘルプデスクは既存のシステムで発生した問題に対してサポートをする窓口です。つまり、「ヘルプデスクは自らシステムの設計や保守などは行わない」という点で大きな違いがあります。

    また、社内SEは従業員などの内部から寄せられた問い合わせに対応しますが、ヘルプデスクは「社内外を問わない」という点も異なる部分のひとつです。

    ヘルプデスクとコールセンターの違い<求められる役割>

    次に、ヘルプデスクとコールセンターに求められる役割の違いを見ていきましょう。

    ヘルプデスクは、顧客の課題解決を主な役割としています。一方でコールセンターは、問い合わせ対応だけでなく、営業活動も合わせて行うという役割を持っています。

    ヘルプデスクは、システムや製品に関する顧客(または社内)からの問い合わせ全般に対応します。しかし、専門外である問い合わせ内容については、他部署へ引き継ぐのが一般的です。このことから、ヘルプデスクは自部署の管轄である問い合わせに対して「顧客の課題を解決する」という役割を持っているといえます。


    その一方で、コールセンターは幅広く顧客からの問い合わせに対応するという点はヘルプデスクと同じであるものの、テレアポやテレマーケティングなどを活用した、「営業活動」も役割として担っています

    コールセンターが行うテレアポなどの営業活動から新規契約に結び付くケースも珍しくないため、直接的な営業活動を実施しないヘルプデスクとは、役割が大きく異なるといえるでしょう。

    ヘルプデスクとコールセンターの違い<実際の業務>

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    ヘルプデスクとコールセンターの違いとしては、実際に行う“業務内容”も挙げられます。詳しく見ていきましょう。

    3-1. ヘルプデスクの業務内容

    前述したように、ヘルプデスクには「社内ヘルプデスク」と「社外ヘルプデスク」の2つがあります。それぞれの業務内容は以下のとおりです。

    社内ヘルプデスク
    自社の従業員から寄せられる、社内システムや製品・サービスに関する問い合わせに対応します。そのため、自社で利用しているシステムや製品における深い知識が必要です。社内のIT部門に設置されることが多いのも特徴のひとつです。

    ≪寄せられる問い合わせ例≫

    ・(社内で利用している)パソコンなどのハードウェアに関する質問

    ・各種システムのトラブルシューティング

    ・自社製品やサービスに関する質問など


    社外ヘルプデスク
    一般の顧客から寄せられる、システムや製品・サービスに関する問い合わせに対応します。製品の操作方法のレクチャーや故障相談など、自社製品やサービスを利用している顧客の課題解決が主な目的となります。

    ≪寄せられる問い合わせ例≫

    ・自社製品やサービスで発生したトラブルの相談

    ・自社製品やサービスに対するクレームへの対応

    ・自社製品やサービスに関する質問など

    3-2. コールセンターの業務内容

    こちらも前述した通り、コールセンターの業務には「インバウンド」と「アウトバウンド」があり、それぞれ業務内容がまったく異なります。


    インバウンド
    インバウンドとは、顧客からの入電に対応する業務のことです。顧客からの問い合わせ内容はさまざまで、「製品やサービスに関する質問」「料金の支払い状況の確認」「自社製品に対するクレーム」などが例として挙げられます。


    インバウンド業務では、通常はお客様への架電対応を行いません。しかし例外的に、クレームなどの二次対応が必要なケース、折り返しの連絡を顧客が希望している場合などは、架電対応をすることがあります。


    アウトバウンド
    アウトバウンドとは、企業から顧客に対して架電を行う業務のことです。自社製品やサービスの紹介、アンケートへの協力依頼、電話によるアポイントの獲得(テレアポ)などが業務例として挙げられます。


    挨拶から終話までの流れが「トークスクリプト」として作成されているため、簡単な内容の案内であれば、コールセンター経験が多くない方でも業務に臨むことができます。


    ヘルプデスクとコールセンターの違い<担当者のスキル>

    ヘルプデスクとコールセンターでは、担当者に求められるスキルにも違いがあります。詳しく見ていきましょう。

    4-1. ヘルプデスクの担当者に求められるスキル

    ヘルプデスクの担当者は、自社製品やサービスの知識だけでなく、その他ITツールやシステムに深く精通している必要があります。例えば、システムエラーなどのトラブルシューティングを実施する場合、システムの仕様を十分に把握していなければ、何が原因でトラブルが発生しているのか突き止められません。

    また、ヘルプデスクで取り扱う製品のなかには、英語などの外国語が使用されているケースもあるため、場合によっては高い語学力も要求されます。

    4-2. コールセンターの担当者に求められるスキル

    コールセンターの担当者は、自社製品やサービスにおける幅広い知識と、柔軟な対応ができるコミュニケーション能力が求められます。

    コールセンターには、ヘルプデスクとは比べ物にならないほど多くの要因で問い合わせが入ります。ですので、顧客がどこで悩んでいるのかを迅速に把握するためにも、製品やサービスにおける幅広い知識が必要となるのです。

    コミュニケーション能力については、ヘルプデスクの担当者にも求められる要素のひとつです。しかしコールセンターは、ヘルプデスクよりも対応する顧客の人数が多いため、それぞれの顧客にあった適切な対応が求められます。

    そういった意味からも、コールセンターの担当者には「どのような顧客にも対応できる高いコミュニケーション能力」が必要となるのです。

    ヘルプデスク/コールセンターを設置する際の注意点

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    続いて、ヘルプデスクやコールセンターを設置する際の注意点を3つ挙げて解説していきましょう。

    注意点(1)複数のチャネルを活用するべき

    電話やメール、チャットといった、顧客が問い合わせを行う際に利用できる手段のことを『チャネル』といいます。

    これまでヘルプデスクやコールセンターのチャネルとしては、電話による対応が主流となっていました。
    しかし近年では、スマートフォンの所有率やSNS利用者が急増したことにより、電話以外のチャネルを利用する動きが活発化しています。

    『コールセンター白書2022』によると、コールセンターにおける「今後導入予定のチャネル」を聞いたアンケートでは、チャットボット(47.1%)や有人によるチャット対応(34.5%)、ボイスボット(24.1%)など、音声案内を用いない“ノンボイス化”が進んでいることがわかりました。

    ※出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P96/回答数(n=87)


    AIの発達にともない、これまで有人で行われていた業務を自動対応できるようになりました。そのことから、今後さらに無人対応が可能なチャネルの活用が加速すると予想されています。

    複数のチャネルを活用した運用は、顧客自身が利用しやすい方法で問い合わせできるようになる一方で、「情報の更新が間に合っていない」「問い合わせページまでの動線が見つけにくい」など、チャネルごとの問題もそれぞれ発生します。

    顧客がより利用しやすいチャネルを導入するのはもちろん重要です。しかしそれ以上に、顧客の課題を解決できるクオリティまでレベルアップさせることが必要になるのです。

    ですから、チャネルを導入したら終わりではなく、常にアップデートを重ねるという点は意識しなければなりません。

    注意点(2)人材確保や育成の方法を考えていくべき

    ヘルプデスク・コールセンターともに、人材確保や育成の方法を明確化しておくことが必要です。

    というのも、コールセンターをはじめとする電話対応を行う業種は、常に人材不足に悩まされているケースが多いためです。また、高い離職率も相まって、人材育成も十分にできない環境があります。

    オペレーターが不足している状態だと顧客を長時間待たせることになります。そうなると、顧客満足度の低下につながってしまう可能性があります。また、不十分な教育が誤まった案内を引き起こす原因にもなるため、人材確保や育成は組織を健全に運営するうえで非常に重要です。


    そのため、ヘルプデスクやコールセンターを設置する際に、「どうしても人材確保ができない」「人材はいるが育成ノウハウがない」といった事態になる場合には、専門企業にアウトソーシングするのも方法のひとつだといえます。

    ただし、アウトソーシングをする場合でも、「自社に運営ノウハウが蓄積されない」「委託費用が発生する」「情報漏洩のリスクが高まる」など、さまざまなデメリットが存在する点には注意が必要です。

    注意点(3)応対品質にばらつきが出やすい

    ヘルプデスクやコールセンターを設置すると、初期の頃はオペレーターごとの応対品質にばらつきが出やすくなります。理由としては、運営ノウハウおよびナレッジが十分でないため、適切な業務フローの設計や教育ができないからです。

    応対品質のばらつきは顧客満足度の低下につながってしまいます。また、顧客満足度は企業イメージに直結しているため、ヘルプデスクやコールセンターの対応次第では、競合他社へ乗り換えられる恐れもあるため注意しなければなりません。

    応対品質を高い水準にするには、「ノウハウを活用した業務フローの改善」「マニュアルやFAQなどのナレッジを用いた研修の実施」が必要不可欠でしょう。


    自社でこれらの対応が難しいという場合には、一部または全部の業務をアウトソーシング企業に委託するか、コールセンターでの勤務経験がある人材を紹介してくれる人材派遣会社を利用しても良いかもしれません。

    コールセンターのアウトソーシングならパーソルビジネスプロセスデザインへ

    ヘルプデスクとコールセンターの違いで大きな点は、「社内からの問い合わせに対応するかどうか」です。

    ただ、コールセンター業務は、商品知識はもちろんのこと、コミュニケーション力や問題解決など、幅広い能力が求められます。そして、効率的なコールセンター運営のためにも、オペレーターの育成は必要不可欠といえるでしょう。


    前述したとおり、コールセンター業務を自社ですべて進めていくのが難しい場合には、アウトソーシングの活用も検討してみましょう。ベストな委託先に任せられれば、質の高いコールセンター業務を実施しながらも、自社のリソースをコア業務に集中させることが可能になります。

     


    また、もしコールセンターのアウトソーシング先をお探しであれば、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインにお任せ下さい。パーソルビジネスプロセスデザインのコールセンターでは、日々の問い合わせ傾向から公開FAQを作成・公開し、ユーザーの自己解決率を上昇させることで顧客満足度の向上を実現しています。


    さらに、パーソルグループならではの「人材ノウハウ」を通じて、豊富な研修をオペレーターに行い、高い応対品質を実現することが可能になっています。


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    インバウンドを中心とした様々なチャネルからの問合せ対応や電話受付業務を代行します。

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