AHTとは?データで分かる効率的なコールセンター改善策を4つ紹介

AHTとは?データで分かる効率的なコールセンター改善策を4つ紹介

コールセンターが効率的に動いているか・顧客満足度を維持しているかをはかる指針に、AHTがあります。

AHTは長すぎても短すぎてもコールセンターに問題があることを指す数値で、ただ数値を算出すればいいものでもなく、細かい分析が必要です。

分析によってAHTの原因が分かっても、適切な改善策を取れなければ意味がありません。
細かい分析だけでなく、原因を改善する対策も重要です。
便利な指標ですが、使いこなすにはAHTを理解する必要があります。

そこで、AHTの算出方法や注意点をまとめつつ、AHTを適切な値にするための4つの改善策を解説します。
改善策にあわせて、AHTの改善に役立つ「パーソルビジネスプロセスデザイン」のサービスもあわせてまとめました。
改善策とともにサービスの利用もご検討ください。

目次

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    AHTとは

    AHT」とは「Average Handling Time」の略で、「オペレーターが顧客からの問い合わせを処理する平均時間」を示す指標です。
    数値が短ければ短いほど、一定の時間内に、より多くの電話に対応できていることが分かります。
    このことから、コールセンターに所属するオペレーターや、コールセンター全体のサービスレベルをはかるのに活用されています

    AHTの計算方法

    aht_body01.png

    AHTは実際に電話対応を行った時間である「ATT」と、電話対応後の結果入力や手続きを処理する時間である「ACW」合計時間で求められます。

    AHT = ATT + ACW

    ATTは「平均通話時間」を指す指標で、オペレーターが問い合わせを受けてから電話での対応が完了するまでの時間を示しています。

    ACWは「平均後処理時間」を指す指標で、電話対応が終わった後に行う後処理や手続きにかかる時間を示す指標です。

    この2つの指標を合算して、実際の対応にかかる時間であるAHTを求めます。
    ATTやACWが長ければ、当然AHTも長くなります。
    AHTが不適切な値である場合は、原因がどの数値にあるのかを確かめましょう。

    AHTから分かること

    AHTは一目でコールセンターの生産性やオペレーターの技術力がわかる指標です。
    指標をもとに分析できれば、より多くのことがわかるようになります。
    AHTからわかることと、AHTが長い場合に考えられる原因について解説します。

    AHTには適切値がある

    一般的に、AHTの値は短い方がよいとされています。
    ただし、「AHTの値が短い」という理由だけで、お客様対応を評価することはできません。

    AHTには適切値があるのです。
    AHTが短いと、一見たくさんのお客様の対応ができているように見えるでしょう。
    しかし、AHTを短くすることだけに気を取られて極端に短縮した対応をすると、お客様に不適切な対応になりがちです。
    「生産性は向上しているが、顧客満足度は低下している」という状態になる可能性があります。

    かといって、AHTが長い場合は、お客様の対応やその処理に時間がかかりすぎていることになります。
    お客様を長い時間待たせることや、対応のたらい回しも、顧客満足度を低下させる要因です。

    顧客満足度を維持しつつ、コールセンターやオペレーターの生産性を確保するには、AHTを適切な値で維持する必要があります

    AHTを分析するには、AHTを構成しているATTやACWに注目しなくてはなりません。
    そのうえで判明した原因を改善すれば、AHTを適切な値にすることが可能です。

    AHTが長くなる3つの原因

    AHTには適切な値がありますが、実際はどうしても長くなりがちです。
    AHTが長くなる原因としては、以下の3点が考えられます。

    【AHTが長くなる原因】

    • ・問い合わせの回答が分かりにくい
    • ・オペレーターが対応する業務が多い
    • ・オペレーターの技術不足

    原因を見ると分かりますが、それぞれ内容が違います。
    原因の中にはオペレーターだけでなくコールセンターの環境が関係している場合もあるため、AHTの改善にはコールセンター全体で取り組まなくてはなりません。
    AHTを適切な長さにするには、原因を解明してその内容にあわせた改善策をコールセンター全体で行うことが大切です。

    AHTを適切な値にする4つの改善策

    AHTを適切な値にするためには、4つの改善策が考えられます。
    原因にあわせた改善策と、活用できるコールセンターサービスをご紹介します。

    スタッフ用の回答マニュアルを用意する

    aht_body02.png (4107)

    AHTを構成する要素の一つである「ATT」が長い場合、オペレーター用の回答マニュアルを用意しておくとAHTを適切な長さに短縮できます。
    オペレーター用回答マニュアルとして活用できる資料は、以下のような資料があげられます。

    【オペレーター用回答マニュアルとして活用できる資料】

    • ・オペレーター用FAQ 
    • ・回答テンプレート 
    • ・ 回答マニュアル
    • ・お客様の会話内容から適切なサービスを導くためのテンプレート

    お客様からの問い合わせ内容を収集すると、共通点が見えてくることもあります。
    この場合は、よくあるお問い合わせや回答内容をまとめたFAQを用意しておくと、オペレーターの対応時間を短縮できます。

    お客様の問い合わせを受けたときの対応や、よくある受け答えをテンプレートにまとめておくのも有効です。
    今まで問い合わせのあった内容や、クレーム対応などをマニュアルとしてまとめておくのもいいでしょう。

    このように、お客様との受け答えや回答をあらかじめまとめておけば、対応に困ってATTが伸びるのを予防できます。
    FAQ・マニュアル・テンプレートは積極的に活用しましょう

    ATTの短縮に役立つのが、お客様センターや窓口の委託サービスです。
    このサービスでは、お客様センターなどの委託だけでなく、お客様の声を収集・調査・分析し、応対改善のアドバイスを行うタイプがあります。

    実際のお客様の声をもとに改善策を実行するため、ATT短縮のための効率的な提案が可能です。
    ATTの短縮だけでなく、お客様からの要望や情報をまとめるサポートにもなります。

    コールセンターやオペレーターの対応力の強化や、顧客情報管理の手助けを必要とされている方は、お客様センターや窓口の委託サービスを利用しましょう。

    セルフサービスコンテンツの充実

    問い合わせ件数が多い場合や、お客様からの問い合わせが多い場合は、セルフサービスのコンテンツを充実させるとAHTを改善できます。
    よくある質問や商品・サービスに関係する情報をまとめたコンテンツを「ナレッジ」と呼びますが、このナレッジはAHTを短縮するのに有効な手段です。

    ナレッジがあれば、コールセンターに電話やチャットをする前に、お客様自身が情報を調べて確認できます。
    いちいち連絡する手間が省けるため、顧客満足度の向上が期待できます
    お客様側で解決できる問題がコールセンターにいかない分、コールセンターの効率性を引き上げる効果も期待できます
    このような効果を生み出すセルフサービスコンテンツの例としては、以下のコンテンツがあげられます。

    【AHT短縮に役立つセルフサービスコンテンツ】

    • ・お客様用FAQ
    • ・ナレッジをまとめたナレッジベース
    • ・ヘルプ記事やコラム

    これらのコンテンツを作成するには、お客様から得た質問を分析しなくてはなりません。
    委託サービスの中には、このセルフサービスコンテンツ作成の委託サービスがあります。

    この委託サービスは公開FAQをはじめとしたナレッジベースを作成します。
    ナレッジベースでお客様の自己解決率を上昇させつつ、今までお客様対応にかかっていたコストを別の業務に回すことが可能です。

    コールセンターの委託サービスの中には、業務委託だけでなくナレッジベースの作成や管理の委託を引き受けているものもあります。
    このタイプであれば、コールセンターに関わる業務で発生していたコストを別業務に振り分けられます。

    効率的にAHTを短縮したい方や、お客様から得た情報の分析を検討されている方は、セルフサービスコンテンツ作成委託サービスや、コールセンターの委託サービスを活用しましょう。

    業務フローの見直し

    ACWが長い場合は、業務フローの見直しが有効です。
    スタッフの作業を実際に観察し、後処理作業などの中に無駄な部分やシステム面で改善できる部分がないか探します。
    改善点を発見・修正すればAHTの短縮ができます。

    具体的には、以下の方法があります。

    【ACWが長い場合の改善策】

    • ・AIによる音声認識
    • ・オペレーターの電話とコンピューターを統合するツールの活用

    AIによる音声認識で通話内容の書き起こしや録音ができれば、記録間違いや抜けを防止できるため、ACWの短縮が期待できます。
    通話中に必要な情報にすぐアクセスできるよう、オペレーターの電話とコンピューターを統合できるシステムを導入するのも効果的です。
    これにあわせてオペレーターに効率的な対応ができるよう研修や指導を行えば、AHTを短縮できます。

    また、ACWの改善策として、応対品質改善業務の委託サービスも有効です。
    このサービスでは、実際にオペレーターがお客様対応している様子をモニタリングしたり、ミステリーコールで実際の対応を確認したりできます。
    対応履歴の正確性や入力文章のチェックも行うタイプであれば、ACWが長い原因を突き止めるのに役立ちます。

    ACWが長い理由を調べたい場合や、ACWだけでなく応対品質の改善も考えている場合は、応対品質改善業務の委託サービスを活用しましょう。

    スタッフのトレーニングを行う

    AHTはオペレーターの能力も深く関係しています。
    そのため、AHTが長い原因がオペレーターの技術不足だった場合は、オペレーターの研修やトレーニングが必要です。
    オペレーターごとに能力は違うため、個々にあわせた研修やトレーニングを行う必要があります。

    具体的には、原因にあわせて以下のトレーニングを行います。

    【オペレーターの能力を鍛えるトレーニング】

    • ・お客様対応のロールプレイング
    • ・録音音声を使った研修、分析
    • ・タイピングやシステムの研修

    オペレーターのトレーニングは、コールセンター全体で定期的に行わなくてはならない改善策です
    能力の低いオペレーターばかり参加させるのではなく、コールセンター全体で能力の向上を目指しましょう。

    オペレーターの能力不足でAHTが伸びている場合は、スタッフ教育の委託サービスが有効です。

    この委託サービスでは、オペレーターに必要な研修やトレーニングを提供します。
    ヘルプデスクとしての心構えやビジネスマナーなど基本的な内容から、センター運営に役立つ研修など、研修内容や種類は委託サービスにより異なります。
    細かい違いはありますが、定期的な研修やトレーニングを通してオペレーターやスタッフの実力を向上させるのが主なサービス内容です。

    オペレーターの能力を向上させてAHTの短縮を目指したい方や、AHTの短縮とあわせてオペレーターの能力向上を検討している方は、「スタッフ教育の委託サービスの利用を検討しましょう。

    まとめ


    「AHT」は顧客とオペレーターが通話している平均時間を示す「ATT」と、顧客対応後の後処理にかかった平均時間である「ACW」を合算して求める指標です。
    ひとりのお客様にかかった処理時間を示しており、オペレーターの能力やコールセンターの生産性を判断できます。

    短い方がいいとされる指標ですが、短すぎると今度は顧客満足度を低下させてしまうため、適切な値の維持が求められます。
    AHTが長くなる場合、オペレーターの能力やコールセンターの環境・設備に改善点がある可能性が高いです。

    AHTが長くなる原因はオペレーターやコールセンターごとに違うため、原因にあわせた改善策が必要です。
    オペレーター用の回答マニュアル・業務フローの見直し・オペレーターの研修やトレーニングなど、適切な改善策を行っていきましょう。

    「パーソルビジネスプロセスデザイン」では、AHTを改善するための各種サービスを行っています。
    AHTに関するお悩みがある方は、「パーソルビジネスプロセスデザイン」までお問い合わせください。

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