スキャニングとは?
そもそも「スキャニング」とは、紙の書類や画像を電子データ化することです。ビジネスにおいては、契約書や請求書、経費精算書などの書類をデータ化して、保管・管理する必要がありますが、その際に活用されています。
デジタルデータ化することで、複数人での共有や編集作業をスムーズに行えます。また、スキャンした書類をテキストデータ化することで、文書検索の高速化や、AIによる分析などの「データ活用」が可能になります。
そのため、スキャニングの方法や機器の種類について正しい知識を身につけ、効率的かつ正確なスキャニングを行うことは非常に重要になってくるのです。
スキャニングが必要になった背景
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現代において、スキャニングは重要な役割を果たしています。
企業や組織にとって、紙媒体の書類を電子データに変換することは、業務プロセスの効率化や情報共有の円滑化、データ分析やAI活用など、DXを実現するための基礎的な作業のひとつといえるからです。
例えば、紙媒体の契約書をスキャニングし、電子データに変換することで、オンライン上で簡単に共有・閲覧・編集が可能になり、契約プロセスを大幅に短縮することができます。また、スキャンしたデータをAIによる解析や自然言語処理にかけることで、ビジネスにおいて有益な情報を抽出することも可能でしょう。
このように、スキャニングはDXにおいて欠かせない作業であり、業務効率化や情報活用の面で大きな効果をもたらすのです。
スキャナーの種類
スキャニングをする際に必要なものが『スキャナー』です。しかし、一口にスキャナーといっても下記のようにさまざまな種類があります。
・フラットベッドスキャナー
・ADFスキャナー
・ドキュメントスキャナー
それぞれの特徴や用途を理解し、自分の業務に適したスキャナーを選ぶことが重要ですので、解説していきましょう。
3-1. フラットベッドスキャナー
3-1. フラットベッドスキャナー
フラットベッドスキャナーは、平面上に置いた原稿をスキャンするタイプのスキャナーです。特徴としては、高解像度での読み取りが可能であること、多様な原稿に対応できること、また、光学式であるために光学的な歪みが生じず、高精度な読み取りができることが挙げられます。
その他のメリットとしては、原稿をガラス面に置いて読み取るため、曲がっているものや厚みがある書類も簡単に読み取れることです。一方で、1度に1枚しかスキャンできず、大量の書類を読み取る場合には時間がかかるため、一定の作業時間が必要になることがデメリットとして挙げられます。
3-2. ADFスキャナー
3-2. ADFスキャナー
ADFスキャナーの「ADF」は、Automatic Document Feederの略で、「自動原稿送り機能」を持つスキャナーのことです。複合機などで使われることが多く、原稿を自動で送り込むことができるため、大量の書類を効率的にスキャンできます。
メリットは、手作業でスキャンする手間が省けるため効率的な業務を実現できる点や、大量の書類を一度にスキャンできるため時間を節約できる点です。
デメリットは、原稿が自動で送り込まれるため、厚みのある書類や曲がっている書類、または濡れている書類などの特殊な原稿には対応しきれません。また、画質がフラットベッドスキャナーに比べて劣ってしまうことも挙げられます。
3-3. ドキュメントスキャナー
3-3. ドキュメントスキャナー
ドキュメントスキャナーは、「シートフィードスキャナ」とも呼ばれ、大量の書類を高速でスキャンするための専用スキャナーです。特徴としては、高速で大量の書類を処理できること、両面スキャンが可能であることが挙げられます。
メリットとしては、両面スキャンが可能であるため、大量の書類を短時間でスキャンできることです。それにより、業務効率が向上し時間の節約になる点が挙げられます。
デメリットは、フラットベッドスキャナーやADFスキャナーと比較すると、解像度や色の再現性が劣る場合があることや機器自体が高価であることです。
書類をスキャニングする方法
それでは実際に書類をスキャンする方法について見ていきましょう。書類をスキャニングする方法としては、下記のように複数の選択肢があります。
・オフィス複合機
・スキャナー専用機
・コンビニのスキャナー
・スキャン代行サービスに依頼する
それぞれ利用する環境や目的に応じた方法がありますので、確認していきましょう。
方法(1)オフィス複合機
方法(1)オフィス複合機
まず、オフィス複合機のスキャニング方法については、機種によって異なる場合がありますが一般的に以下の手順で行います。
- 複合機の電源を入れます
- スキャンしたい書類を複合機の原稿台に乗せます
- スキャンの種類(カラー、白黒など)や解像度、ファイル形式などを設定します
- スキャンの方法を選択します。一般的には、複合機の操作パネルからスキャンを開始する方法や、PCから操作する方法があります
- スキャンが完了したら、スキャンしたデータの保存場所を指定します
また、一部のオフィス複合機には前述した通り自動原稿送り機能(ADF)が搭載されており、多数の書類を一度にスキャンすることができます。
この場合は、ADFに書類をセットして、スキャンの種類やファイル形式を設定し、スキャンの方法を選択するだけで、自動的に書類を送り込んでスキャンすることになります。
方法(2)スキャナー専用機
方法(2)スキャナー専用機
スキャナー専用機でも、基本的なスキャンの流れは複合機と同じです。ただし、スキャナー専用機には複合機にはない特徴があります。
たとえば「シートフィードスキャナ」は、大量の書類や名刺などを同じサイズで一度にスキャン可能です。また、「スタンドスキャナ」は、上からカメラで撮影するようにスキャンし、厚みのある書籍や非接触が推奨されるものをスキャンすることができます。
さらに、「ハンディスキャナ」は手に持ってスキャンをすることができ、コンパクトで収納しやすく、持ち運びも可能という特徴があります。
方法(3)コンビニのスキャナー
方法(3)コンビニのスキャナー
コンビニのマルチコピー機でもスキャンが可能です。コンビニでのスキャンは、基本的には以下の手順で行います。
- コピー機やスキャナーが設置された端末を探し、使用料金を支払います
- スキャンする書類を台にのせ、操作パネルに表示された指示に従ってスキャンの設定を行います。設定には、ファイル形式や解像度、カラー・モノクロなどが含まれます
- スキャンを開始すると、書類が自動的に送り出され、スキャンされたデータがデジタルデータとして生成されます
- スキャンが完了すると、生成されたデータをUSBメモリやクラウドストレージなどに保存することができます
ただし、コンビニの場合には原稿の置き忘れなど情報漏洩に細心の注意を払う必要があります。特に業務上で必要となるスキャンでは機密情報が含まれる場合もあるため、社内で「スキャンに関するルール」を策定して対策を考えることが求められるでしょう。
なお、コンビニによってはスキャン機能が設置されていない場合や、使用料金や設定方法に差異がある場合がありますので、利用前には事前に確認しておくことをおすすめします。
方法(4)スキャン代行サービスに依頼する
方法(4)スキャン代行サービスに依頼する
スキャン代行業者は、スキャンからOCRを利用したデジタル化まで一括して代行してくれます。大量の文書を処理したい場合や、ホチキスで留められた文書や冊子などをスキャンしたい場合には、自社で処理するよりも効率的でしょう。
電子化した文書ファイルを有効に活用するためには、「文書管理システム」に登録しやすい形式で保存する必要があります。そうなると、スキャン作業だけでなく関連する作業が多岐にわたりますが、「スキャン代行サービス」を活用することでこれらの業務もまとめて依頼できますので便利です。
書類をスキャニングする際の注意点
書類のスキャニング方法を見てきましたが、書類をスキャニングする際にはいくつかの注意点があります。特に、以下の点には注意しなければなりません。
・USBメモリは使わない
・会社が定めた情報セキュリティポリシーに従う
・共有先に注意が必要
それぞれ確認していきましょう。
注意点(1)USBメモリは使わない
注意点(1)USBメモリは使わない
USBメモリは、どうしても紛失や盗難のリスクがあります。スキャニングした書類には機密情報や個人情報が含まれる場合があるため、万が一USBメモリが紛失や盗難に遭った場合、情報漏洩のリスクが高まってしまうでしょう。
また、外部のPCでUSBメモリを使用した場合、そのPCがウイルスに感染しているとUSBメモリを介して持ち帰った自社のPCにまで感染してしまう可能性があります。
そのため、USBメモリは使用せず、ネットワークを通じて書類を共有するなど、より安全な方法を利用することが望ましいでしょう。
注意点(2)会社が定めた情報セキュリティポリシーに従う
注意点(2)会社が定めた情報セキュリティポリシーに従う
会社が定めた情報セキュリティポリシーに沿った方法でスキャニングを行うことが重要です。許可されていない方法でスキャニングを行うと、情報漏洩のリスクを招くことになってしまいます。例えば、個人の所有するスキャナーやコピー機を使うことは、会社が定めたセキュリティ基準に反している可能性があるでしょう。
許可されたスキャニング方法で実施することで、情報漏洩リスクを減らすだけでなく、情報管理や保管に関するルールやガイドラインを遵守することもできます。
スキャニングに関するルールが不明な場合は、上司や情報セキュリティ担当者に相談するようにしましょう。許可されたスキャニング方法で実施することで、情報漏洩のリスクを低減し、会社としての情報セキュリティ対策を強化することができるのです。
注意点(3)共有先を慎重に選ぶ
注意点(3)共有先を慎重に選ぶ
文書の共有先には、情報漏えいや権限の問題など、さまざまなリスクが存在します。そのため、共有先を選ぶ際には、適切な権限管理や暗号化、ログの取得などのセキュリティ対策が必要になります。
また、共有先には、社内のみならず、外部のパートナーや顧客なども含まれます。こうした場合には、契約書やNDA(機密保持契約書)などの取り決めが必要となります。
共有先を選ぶ際には、情報漏えいのリスクを最小限に抑えるためにも、会社からの指示やセキュリティ規程に基づいて、慎重かつ適切な判断を行うことが重要です。
スキャニングした書類をテキストデータ化する方法
スキャニングした書類をテキストデータに変換する方法は、OCR(Optical Character Recognition)という技術を利用します。OCRは、スキャナーで読み取った書類や画像データから文字を認識し、それをテキストデータに変換する技術です。
OCRを利用するためには、専用のOCRソフトウェアが必要です。一般的に、OCRソフトウェアはスキャナーに付属している場合が多く、市販のソフトウェアも種類が豊富にあります。
OCRによってテキストデータに変換された文書は、編集が容易になります。しかし、OCRによる認識精度には限界があり、特に手書きの文字は正しく認識できない場合があります。そのため、OCRによって変換されたテキストデータは、必ずしも100%正確ではないことに注意しなければなりません。
スキャニングしたテキストデータの活用方法
スキャニングしたテキストデータの活用方法
スキャニングしたテキストデータは、さまざまな方法で活用できます。
例えば、OCR技術を使用してテキストデータを抽出し、データベースや文書管理システムに保存することができるため、検索性や参照性が高まり、作業効率の向上が期待できるでしょう。
また、テキストデータを機械学習や自然言語処理のアルゴリズムに適用することも可能です。例えば、顧客からのアンケート結果や問い合わせ内容を分析し、ビジネス上の傾向や改善すべき点を把握することができます。これにより、企業の意思決定やビジネス戦略の改善に役立てることもできるでしょう。
スキャニングを含めたアウトソーシングならパーソルワークスデザインへ
紙の書類を扱う業界では、スキャニングは必須です。企業や組織にとって、紙媒体の書類を電子データに変換することは、非常に多くの意味を持つことになります。特に、業務が煩雑になっている昨今において、DXを実現するための基礎的な作業のひとつともいえるでしょう。
紙の書類を多く扱う業界といえば、『保険業界』が挙げられます。保険の業務においては、契約書や申請書など多くの書類が扱われ、業務が煩雑になっているものです。保険サービスも多様化しており、保険代理店では「業務が逼迫している」との声をよく耳にします。
私たちパーソルワークスデザインでは、保険代理店業務のアウトソーシングサービスを展開しています。これまで保険会社の代理店営業担当者様が行っていた、代理店の支援や問い合わせ対応、事務対応を代行させていただきます。
具体的には、「新契約」「保全」「保険金」「代理店明細」「役所照会」など、保険会社のバックオフィス業務をお引き受けするだけでなく、パーソルグループならではの豊富な人材供給力で、“代理店営業経験者”などの人材がサービスをご提供しています。
サービスの種類としても、「リモートソリシターサービス」「代理店点検サービス」「代理店資材発送サービス」「ヘルプデスクサービス」など、お客様のニーズに合わせた多様なサービスをご用意しています。
スキャニングの対応に限らず、保険代理店業務についてお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談くださいませ。