RPAは賢いソフト
「ロボットによる業務の自動化」というと、オートメーション化された工場のラインをイメージされる方も多いと思いますが、RPAはパソコンで使う「ソフト」です。ですから残念ながらSF映画のような人型ロボットも、変幻自在に動く長いアームも登場しません。
RPAが目指すのは、ホワイトカラーの業務の効率化&自動化。RPAを実装しても、見た目は現状とほとんど変わらないと思いますが、使うと使わないとでは、雲泥の差があると言われています。
RPAは「仮想知的労働者」とも言われる
RPAは「デジタルレイバー(Digital Labor)」、日本語にすると「仮想知的労働者」とも言われます。
事務処理の中には「あえて人がやらなくてもいい」ものが結構あるものです。そういった「ロボット向き」の仕事を洗い出し、仮想知的労働者にやってもらうというのが、RPAの基本的スタンスです。なんといってもロボットですから、いくら長時間働いても、迅速かつ正確で、疲れ知らず。常に一定のクオリティーを発揮しながらRPAと従来の自動処理システムの違い
RPAが登場する以前から、業務の自動化は行われていますが、RPAとの大きな違いは、ソフトウェアの仕組みにあります。従来の自動化は、複雑なコードを用いたプログラムで処理しています。もちろん、そのプログラムは、知識を持つプログマラーでなければ構築することはできません。でも、RPAは違います。もっと直感的な方式で、業務手順を短時間で作ることができるのです。
どのくらい簡単なのかというと、専門知識を持たない人でも、数週間程度のトレーニングを受ければ自動化処理ができるようになると言われています。といってもそれなりに難しいとは思いますが、プログラム構築に比べれば、自動化の仕組みを作るハードルが、ぐっと低くなっていることだけは確かでしょう。
RPAは定型業務が得意
RPAは「一度手順を覚えれば誰でもできる仕事」が得意です。例えば、「AというファイルからBというファイルにコピペして保存する」とか、「定型文をメールで送信し、リストに送信済みのチェックを入れる」といったような、いくつか工程はあるもの、ひとつひとつはシンプルで簡単な操作の組み合わせが得意です。
RPAを使うにはトレーニングが必要
RPAにバリバリ仕事をしてもらうには、まずは「手順を覚えてもらう」ところから始まります。それは新人に仕事を教えることによく似ていて、AをやったらBをやる。その次にはCをやる…というように、順を追ってトレーニングしていきます。
相手はロボットですから、一度覚えたことは忘れません。しかも忠実に言われたことをやってくれるのです。
RPAはコスト削減に有効
仕事は速くて正確無比。文句も言わず、疲れも休みもせずに、淡々と言われたことをこなしていく。RPAはロボットですから当たり前といえば当たり前なのですが、こんなに仕事をしても、ボーナスも有給休暇もいらなければ、教育する時間もコストもかかりません。導入コストはかかりますが、運用費用はさほどかからないので、いったん発生すると削れない人件費と比較した場合、コストパフォーマンスがとても良い。ここもRPAの特徴の1つです。
RPA×AIで高度な業務も
「ロボット」と聞くとすぐに浮かんでくるのが「AI(人工知能)」というキーワードだと思いますが、RPAとAI、何がどう違うの? という素朴な疑問を持たれている方も多いと思います。
AIは「Artificial Intelligence」の略で、「人工知能」と言われていますが、その大きな特徴は「自己学習能力」を持っているところです。経験を重ねれば重ねるほど、人工知能自体が成長を遂げ、データベースの蓄積をもとに、自律的に物事を考え判断していく、それがAIです。
一方、RPAは「業務の効率化UPのために作られたツール」です。人が作ったプログラムであり、プログラム自体に自己学習機能が備わっているわけではありません。しかし、AIの技術とタッグを組むことで、複雑な業務にも対応できるようになるところにも注目が集まっています。
実はRPAには3段階(Class1~3)あり、言われたことだけ忠実にこなす→できるところは自分で考えて動く→とても高度なところまで自分で考え、判断して動くとClassが上がるほど高度な技術になっていきます。Class2以上はAIの存在が重要になっていきますが、私たちが今、注目していきたいRPAは、あくまでも「Class1」。定型作業、いわゆる単純作業を自動化するツールという位置付けです。
RPAは人の仕事を奪うものなのか?
RPAの良いところばかり見ていくと、いつかロボットに自分の仕事を奪われてしまうのではないか? と、不安に思う人が出てきても不思議はありません。
でも、大丈夫! 「人にしかできない仕事」は、ものすごくたくさんあります!
細やかな対応、人の気持ちを考えたご提案、イレギュラーな事案への応対…。
いずれも「人の判断」が必要なもので、ロボットにはできない仕事です。
餅は餅屋じゃありませんが、ロボットにもできる仕事はロボットに任せることにより、本来人にしかできない仕事に集中できるようになる。やるべきことに集中できれば、業務そのものの質も上がる。質が上がればお客さまが喜ぶ。お客さまに喜んでいただければ、さらにやりがいを感じながら楽しく仕事に取り組める――
RPAはそんな「プラススパイラル」を描くための、良い原動力になるのではないでしょうか?
いかがでしたか? RPAのベースイメージ、なんとなくつかめたでしょうか?
次回は「RPAを導入検討の実際」に迫ります! お楽しみに。