プロフィットセンターとは?コストセンターとの違いや転換方法を解説

プロフィットセンターとは?コストセンターとの違いや転換方法を解説

企業[の組織は、営業部や製造部などの利益を直接生み出す「直接部門」と、総務部や経理部、人事部など直接部門をサポートする役割の「間接部門」から成り立っています。そして、直接部門のことをプロフィットセンター、間接部門をコストセンターと呼ぶのが一般的です。

昨今、生産性向上への意識が高まるなかで、直接利益を生み出していないコストセンターからも利益を生み 出せないか、と考える企業が増えています。そうして注目されているのが『コストセンターのプロフィットセンター化』です。


本記事では、プロフィットセンターやコストセンターの基本的な意味を押さえながら、両者の違いや、コストセンターをプロフィットセンターに転換する方法について解説していきます。

目次

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    プロフィットセンターとは?

    プロフィットセンターとは、企業組織の中で業務を通じて「利益の最大化を目的とする部門」を指します。

    そもそも「プロフィット(profit)」とは、“利益”を意味する英語です。プロフィットセンターでは、その部門が上げた収益と費用が集計され、収益から費用を引いた“利益”を最大化していく責任を負います。


    企業組織は一般に「営業・販売部門」、「研究・開発・製造部門」、「総務・人事・経理部門」などのように業務内容によって各部門に分けられています。その中では、直接的に利益を生み出す営業・販売部門が、プロフィットセンターに相当します。

    一方で、企業によっては製造部門やマーケティング部門、経営戦略部門などをプロフィットセンターとして位置付けるところもあります。

    コストセンターとは?

    コストセンターは、業務や職務に関連する「コストを管理する部門」です。プロフィットセンターが製品やサービスを販売して利益を追求する部門であるのに対し、コストセンターは売上や利益に直接関与しません。


    コストセンターでは、その部門に掛かるコストのみが集計されます。そのため、コストセンターの目的は、業務の効率化などによって、コストをできるだけ削減することにあります。

    プロフィットセンターとコストセンターの違い

    プロフィットセンターは顧客ニーズに応じて売上を増やし、企業の利益を改善していく責任を負っています。一方、コストセンターは企業のコストを管理することで、企業全体の財政的な健全性を維持する責任を負っています。


    定義上においては明確な違いのあるプロフィットセンターとコストセンターですが、企業によってプロフィットセンターとコストセンターの分類は異なります。それは、プロフィットセンターとコストセンターの位置づけが企業の経営戦略や部門の方針と密接に関連するからです。

    プロフィットセンターとコストセンター、位置づけが異なると目的も変わる

    マーケティング部門を例に考えてみましょう。マーケティングは製品やサービスが売れる仕組みを作り出す部門です。

    また、市場のニーズを把握し、顧客のニーズに合った製品やサービスを創造してターゲット層にリーチしますので、企業の利益追求に責任を持つ部門であることから、「プロフィットセンター」と考えることができます。その反面、部門単体では利益を創出しないため、「コストセンター」として位置づけることもできるのです。

    マーケティング部門をプロフィットセンターとして位置付けた場合の目的は、「利益の最大化」です。「利益の最大化」を達成できたかどうか、マーケティング施策の成果を数値として出すことで評価されます。


    そのため、マーケティング部門は営業・販売部門との連携を強化し、個々のマーケティング施策が収益にどれほど貢献しているかを指標によって数値化する方向に進むでしょう。

    一方、マーケティング部門をコストセンターとして位置付けた場合の目的は、「コスト削減」です。具体的にはマーケティングにおける各工程での無駄の見直しや、広告費の抑制などの施策が中心となります。

    このように「プロフィットセンター」または「コストセンター」と位置づけることによって、同じ部門であっても目的や方針が変わることを押さえておきましょう。

    プロフィットセンター化が求められる背景

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    従来、企業内のコールセンターやIT、経理、物流などの各部門は、売上に直接関係しない「コストセンター」と考えられていました。しかし、近年ではそうした部門の『プロフィットセンター化』が求められています。

    その背景には、少子高齢化による国内市場の縮小や、グローバル化による国際競争力強化の要請の中、企業が生き残っていくためには企業組織全体で利益を追求しなければならない、という意識があります。


    企業が利益を増やすためには、利益を増やすかコストを削減するしかありません。これまで日本企業は、製造や流通などさまざまな局面でコスト削減を実行してきました。しかし、コスト削減は短期的には成果が上がるものの、長期的に見ると品質の低下や従業員のモチベーションの低下など、多くの弊害が起こってしまうのです。


    やはり、企業にとって重要なのは、コスト削減とともに付加価値を高めて「利益の増加を目指すこと」です。新製品の開発やマーケティング、営業努力だけでなく、直接利益に関与しない部門であっても利益を生み出す意識や責任を持つことが求められるようになっているのです。

    プロフィットセンター化のメリット

    コストセンターをプロフィットセンター化することで企業が得られるメリットは、次の3点にまとめることができます。

    (1)収益性の改善

    (2)競争力の向上

    (3)顧客満足度の向上

    それぞれ詳しく説明していきましょう。

    メリット(1)収益性の改善

    コストセンターをプロフィットセンター化することで、従業員は将来の利益の最大化を目指すようになります。コストセンターとして行っていた他部門のサポート業務も、プロフィットセンターとして「社内の利益を最大化する業務」と位置づけることを通して、生産性の向上や収益性の観点から取り組むようになります。

    例えば、ある会社が部門ごとにプロフィットセンター化するという方針を出したとします。

    製造部門は生産効率を上げることを目標にし、物流部門は配送品質の向上などによって顧客のリピート率を改善することを目標にしました。目標が明確化したことで、従業員は所属部門の収益性を意識し、より高い収益を生むために自己啓発や効率化などの取り組みを積極的に行います。

    製造部であれば、生産ラインの改良など効率化を図るためのアイデアを出し合い、物流部門であれば、顧客とのコミュニケーションによって最適な時間に配達できるようにするなど、部門ごとに収益性について意識化されるようになります。その結果、企業全体の収益性の改善につながっていくのです。

    メリット(2)競争力の向上

    コストセンターがプロフィットセンター化することで、従業員は自身が担当する業務についての知識やスキルを磨くことが求められます。その結果、部門全体の競争力の向上が期待できるでしょう。また、部門の競争力が向上することで、企業全体の競争力も向上する効果があります。


    例として、製造部門の中でも製造に直接関与しないためにコストセンターとみなされている「アフターサービス部門」を考えてみましょう。

    アフターサービス部門は、「壊れてから直す」という従来型の事後対応ではなく、「壊れる前に顧客状況を把握しながら適切なメンテナンスを提供する」という計画を立案したとします。

    この計画を実施するためには、自部門だけでなく、顧客と直接交渉する営業部門や顧客の利用状況を分析するデータ部門、または顧客からの問い合わせを受け付けるコールセンターなど、さまざまな部門と連携しなくてはなりません。

    しかし、この計画が実現できれば、顧客がこのメーカーを信頼してリピート購入する可能性は格段に高まるはずです。その結果、このアフターサービス部門だけでなく、企業全体として競争力を持つことができるでしょう。

    メリット(3)顧客満足度の向上

    他部門のサポートが中心だったコストセンターがプロフィットセンターに移行することで、従業員は業務の先にお金を払ってくれる「顧客」がいることを意識するようになります。競合や代替サービスが数多くある中で、市場競争力を維持するために、「自分が価格に見合った価値を提供できているかどうか」を考えるようになり、スキルアップや知識の獲得に努力するでしょう。

    特にコールセンター部門など、顧客と直接対応する部門のプロフィットセンター化は、顧客満足度の向上につながりやすいものです。

    コストセンターをプロフィットセンターに転換させるには

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    では、どうすればコストセンターを「利益を生み出すプロフィットセンター」に転換できるのでしょうか。コストセンターをプロフィットセンター化するには、次の4ステップが必要になります。

    ステップ(1)目標を設定する

    企業全体の事業戦略から逆算して、「何のためにその部門をプロフィットセンター化するのか」を明確にします。そして、どのような業務を担当するのか、プロフィットセンター化して何を達成するのかを決定していきます。

    ステップ(2)責任を明確化する

    プロフィットセンター化することにより、「従業員の目的」も「業務内容」もこれまでのコストセンターとは大きく変わります。そのため、業務に携わる従業員が、どのような業務に責任を持つのかどのような指標で評価されるのかを明確化していきます。

    ステップ(3)適切な人材を配置する

    プロフィットセンター化することで、従業員は新しい業務に対応しなければなりません。そのため、新しい業務に適した人材を配置して、スキルアップの機会を提供していく必要があります。

    ステップ(4)部門連携を強化する

    コストセンターがプロフィットセンターになって収益化に取り組んでいくためには、多くの場合、他部門との連携が必要となってきます。

    ですから、部門間の連携を強化するためにも目標を共有し、社内ポータルなどを通じてコミュニケーションを円滑にすることが求められるでしょう。そのためには、プロジェクト管理ツールを導入するなどして、情報共有やプロジェクト進行の見える化を行うことが効果的です。

    経理部門をプロフィットセンターへ転換させるためのポイント

    経理部門をコストセンターと位置づけたままにしていると、コスト削減に焦点が向けられてしまい、将来的な売上につながる「業績管理」「予算管理」「決算業務」などのコア業務に集中することができません。

    そこで、続いては「経理部門をプロフィットセンターへと転換させるための3つのポイント」を紹介していきます。

    ポイント(1)プロフィットセンター化に向けて従業員の意識改革を行う

    企業全体の事業戦略を理解することで、コストセンターからプロフィットセンター化への意識変革が容易になります。そのためにも、事業戦略を理解するような場を設けるようにしましょう。

    また、事業全体の収支をより深く理解するためにも、「ファイナンシャルリテラシー」を高める機会を用意しても良いでしょう。


    ポイント(2)ITツールを導入する

    プロフィットセンター化に伴い、経理部門は自部門の活動について費用対効果を評価するようになります。そのためにも、ITツールや経理システムを導入しましょう。そうすることで、ノンコア業務の省力化を図ることができるようになります。


    ポイント(3)アウトソーシングを検討する

    ノンコア業務を「アウトソーシング」することでコア業務に集中する、という方法も効果的です。まずは経理部の業務をコア業務・ノンコア業務に仕分けし、ノンコア業務をアウトソーシングした場合の費用対効果を検証してみましょう。

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    プロフィットセンターを目指して経理部門の利益を最大化するには、伝票作成やデータ入力、請求書発行などの仕事をアウトソーシングすることで、コア業務に集中し、新しいビジネスアイデアや収益拡大の機会を発見することができます。

    ノンコア業務はアウトソーシングによって省力化して、経理部門をプロフィットセンター化できるよう推進していきましょう。

    私たちパーソルビジネスプロセスデザインでは、経理業務のアウトソーシングサービスを提供しています。


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