業務委託費の計上項目はどれ?気になる仕訳の方法や代表的な業務の相場を解説

業務委託費の計上項目はどれ?気になる仕訳の方法や代表的な業務の相場を解説

業務委託費とは、自社の業務を外部委託する際に発生する費用のことです。

自社の業務を行う中で外部委託したいと考えている方も多くいるでしょう。しかし、担当者によっては「業務委託費がいくらかかるのか」「仕訳方法をどうしたらいいのか」などで悩むことも。

本記事では、業務委託費の相場や仕訳方法を解説しています。業務委託費の定義から解説しているため、網羅的に知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

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    業務委託費とは?

    業務委託費とは?

    業務委託費とは、自社の業務を外部委託する際に発生する費用のことです。業務委託費の支払い方法は、大きく分けて以下の3つがあります

    • 成果報酬型:業務の成果に応じて報酬が変動
    • 固定報酬型:毎月定額の報酬を支払う
    • 複合報酬型:固定報酬と成果報酬の組み合わせ

    それぞれの特徴を理解すると、最適な費用設計が可能になります。


    成果報酬型

    成果報酬型とは、委託した業務の成果に応じて報酬を支払う形式です。たとえば営業を外部委託した場合、獲得した顧客数や売上高に応じて報酬を支払います。

    成果報酬型の特徴は、成果の大きさによって報酬額が変動することです。成果にあわせて報酬も大きくなるため、受託者のモチベーションにつながるでしょう。

    一方で、成果報酬型は明確な成果指標を設定できない業務や、成果が出るまでに時間がかかる業務には不向きです。


    固定報酬型

    固定報酬型は一定の報酬を業務委託先に支払う形態です。業務の成果に関わらず報酬額の変動がないため、システム保守などの継続的な業務やデザイン発注などを委託する場合に適しています。

    また、固定報酬型は予算計画が立てやすく、経費管理のしやすさがメリットとして挙げられます。毎月の支出が一定なため、年間の委託費用を正確に見積もることも可能です。

    ただ、業務範囲が曖昧だと、想定外の作業が発生した際に追加費用が必要となります。委託する業務範囲と内容を明確に定義しましょう。


    複合報酬型

    複合報酬型は成果報酬と固定報酬の特徴をあわせた報酬形態です。複合報酬型の場合は、以下のような2パターンが存在します。

    1. 固定報酬を基本にして、追加で成果に応じた変動報酬を組み合わせる
    2. 成果報酬を高くする代わりに、固定報酬を相場より低く設定する

    固定報酬と成果報酬のどちらをメインにするかは各企業で異なりますが、両者のバランスを柔軟に調整できる点が魅力です。


    業務委託費と類似している費用との違い

    業務委託費と類似している費用との違い

    実は、業務委託費と類似した名称の費用も複数存在します。業務委託費と類似している費用は以下のとおりです。

    • 人件費
    • 外注費

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    人件費と業務委託費の違い

    人件費と業務委託費の違い
    項目 人件費 業務委託費
    概要 自社の従業員に支払う費用 外部の個人や法人に支払う費用
    契約形態 雇用契約 業務委託契約
    支払い対象 自社従業員 外部の個人または法人

    人件費とは、会社で雇用している従業員に対して支払う給与や賞与などを含む費用の総称です。これらの費用は雇用契約にもとづいて発生します。

    一方、業務委託費は外部の専門家や企業と結ぶ業務委託契約にもとづいて発生する費用です。

    それぞれの費用は、支払う企業と結んでいる契約形態によって異なります。


    外注費と業務委託費の違い

    外注費と業務委託費の違い
    項目 外注費 業務委託費
    概要 外部の企業または個人に依頼する際に発生する費用全般 業務委託契約を結んで外部の個人や法人に支払う費用(外注費の中の一つ)

    外注費とは、自社で実施する業務を外部に依頼する際に支払う費用の総称です。

    業務を外部に依頼する際に発生する費用全般を指す広い概念であり、業務委託費もその中に含まれています。


    業務委託費として計上できる費用

    業務委託費として計上できる費用

    一般的に、業務委託の費用として計上ができる業務の一部を紹介します。

    業務委託費として計上できる業務例
    カテゴリー 委託内容
    コンサルティング関連
    • 経営戦略策定
    • マーケティング戦略
    バックオフィス関連
    • 経理代行
    • 人事労務管理
    • 総務業務代行
    企画制作関連
    • 広告制作
    • イベント企画
    ウェブ関連
    • サイト制作・運用
    • SEO
    弁護士費用
    • 契約書作成
    • 法務相談
    税理士顧問費用
    • 税務申告
    • 会計相談

    コンサルティング関連として、経営やマーケティングに関しての戦略を外部に助言してもらう場合、一般的には、業務委託費として計上可能です。

    バックオフィス関連や企画制作関連なども、原則は、外部に委託すると費用として計上できます。

    このように意外と業務委託費用として計上できる項目が多いため、決算のタイミングなどで今一度確認する機会を設けるとよいでしょう。


    業務委託費の仕訳例を紹介

    業務委託費の仕訳例を紹介

    続いて、業務委託費の仕訳例を3つ紹介します。

    • Webサイト制作
    • 顧問弁護士
    • コンサルタント

    それぞれの業務内容によって仕訳の方法が異なります。正しく理解していない場合、仕訳の際に誤りが発生し、トラブルに発展するおそれがあるため、適切に仕訳ができるよう事前に理解しておきましょう。

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    Webサイト制作の場合

    Webサイト制作の場合、所得税法第204条第1項の項目に該当するため、委託先が個人事業主の場合は委託者側の源泉徴収の支払い義務が発生します。なお、委託先が法人の場合は源泉徴収が不要です。

    所得税法第204条第1項

    居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。

    引用: 所得税法|e-GOV法令検索


    業務委託費50万円で、ウェブサイト制作を外部に委託した際の仕訳例は以下の通りです。

    借方 金額 貸方 金額
    業務委託費 500,000円 現金 448,950円
    預り金 51,050円

    顧問弁護士の場合

    弁護士や税理士などは受託者によって源泉徴収の有無が異なります。

    個人の税理士や弁護士には源泉徴収が必要ですが、内国法人にあたる弁護士や税理士の法人には源泉徴収が不要です。

    下記は個人の弁護士に外部委託を依頼して、50万円の報酬を支払った際の仕訳例です。

    借方 金額 貸方 金額
    業務委託費 500,000円 現金 448,950円
    預り金 51,050円

    コンサルタントの場合

    外部委託したコンサルタントから事業に関連する内容を助言してもらう場合、個人事業主の場合は源泉徴収が必要です。

    とくに、経営コンサルタントは企業診断員としての業務が含まれます。企業診断員の業務は所得税法施行令第204条第1項に該当するため、委託者は源泉徴収を収めなければなりません。なお、法人の場合、源泉徴収は不要です。

    下記は経営コンサルタントに外部委託を依頼して、50万円の報酬を支払った際の仕訳例です。

    借方 金額 貸方 金額
    業務委託費 500,000円 現金 448,950円
    預り金 51,050円

    業務内容による業務委託費の相場例

    業務内容による業務委託費の相場例

    続いて、業務内容による業務委託費の相場例を紹介します。

    • コンサルティング関連
    • バックオフィス関連
    • 企画制作関連
    • Web関連

    業種ごとの相場を把握しておくことで、予算の見積もりや適正価格の判断がしやすくなります。


    コンサルティング関連

    コンサルティング業務の委託費は、コンサルタントの経歴や実績、そして対応する業務の専門性や難易度によって相場が異なります。

    成果報酬型の場合では、売上の増加分や経費削減額に対して一定の割合(数%?10%程度)を報酬として支払う形態が一般的です。1億円の売上増加を達成した場合、5%の成果報酬であれば500万円の報酬が発生します。

    一方で、顧問契約を結ぶ場合は、月に数回の訪問出社やコンサルティングにより月額20?50万円程度の固定報酬ほどになります。

    報酬形態によっても相場が異なるため、契約前に擦りあわせておく必要があるでしょう。


    バックオフィス関連

    バックオフィス業務の委託費は、以下の要素によって金額が変動します。

    • 業務内容
    • 業務量
    • 緊急性や納期
    • 委託先の規模

    従量課金制を採用している委託先では、業務ごとに単価が決められているため必要な分だけ委託が可能です。固定報酬などで一定の報酬で委託できる企業もあります。

    自社のバックオフィス業務を外部委託したい場合は、委託業者へ事前に業務内容などを共有し、見積もり後に検討するのがおすすめです。


    企画制作関連

    企画制作関連の業務委託費は、制作の規模や複雑さによって変動します。

    たとえば、デザイナーに制作を依頼する場合、単純なチラシやポスターなどであれば相場は数万円から10万円程度です。

    一方で、会社のロゴなどの複雑なデザインの場合は20万円から50万円程度まで費用が必要になります。

    有名なクリエイターやコピーライターに依頼する場合や、全国規模のキャンペーン企画などでは、数百万円の費用がかかることも考えられます。

    企画制作の委託は価格だけでなく、過去の実績や制作の質、対応の柔軟性なども含めて総合的に判断するのがおすすめです。


    Web関連

    Webサイトやアプリケーション開発の業務委託費は、規模や機能によって相場が異なります。

    サイトの規模感 制作するページ数 サイトの例 相場
    小規模なWebサイト 10ページ以内
    • 会社案内
    30万円~
    中規模なWebサイト 30ページほど
    • 企業のオウンドメディア
    • コーポレートサイト
    60万円~
    大規模なWebサイト 60ページ以上
    • ECサイト
    • ポータルタイト
    300万円~

    Web関連の業務委託費は、以下のような複数の要素によって構成されています。

    • サイト規模(ページ数やコンテンツ量)
    • 実装する機能
    • デザインのオリジナリティ
    • セキュリティレベル
    • 保守・運用のサポート範囲

    予算と期待する成果のバランスを考慮しながら、自社にとって最適なWeb関連の業務委託先を選ぶことが重要です。


    【図解あり】業務委託費の見積もりの算出方法

    【図解あり】業務委託費の見積もりの算出方法

    業務委託費の見積もりは、適切なパートナー企業選定の重要な判断材料となります。

    今回は、パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社の見積もり手順を例に8STEPで解説します。

    業務委託費の見積もり手順例
    ステップ 概要
    1.ご要望のヒアリング
    • ご依頼背景や業務内容などヒアリング
    2.業務の現状把握・分析
    • 業務構築の専?部隊による調査で、業務内容を客観的に把握し分析
    • 委託に向けて業務を最適な形で設計
    3.運用体制のご提案
    • 業務調査・設計をもとに、貴社の要件に最適な運?体制をご提案
    4.見積もり提出
    • 明確な費用内訳と根拠の提示
    5.受託決定
    • 双方の認識違いがないよう確認
    6.契約の手順
    • 業務内容、納品物、支払い条件などの明確化
    7.運用準備
    • 運?開始にあたって移?スケジュールを計画
    • 貴社や委託中の他社から業務を引き継ぎ、弊社内の業務研修を実施
    8.運用開始
    • 運?開始後は品質向上に努めてマネジメントを実施、改善提案・伴走支援を継続

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    業務委託費を計上する際の注意点

    業務委託費を計上する際の注意点

    最後に、業務委託費を計上する際の注意点を3つ紹介します。

    • 源泉徴収が必要なケースがある
    • 業務委託費の消費税は委託先に支払う
    • 業務委託の費用は正しく仕訳する

    業務委託費の計上は適切に処理しなければ、想定外のトラブルに発展するおそれがあります。トラブルなく進めるためにも、本記事に記載している注意点を確認しましょう。


    源泉徴収が必要なケースがある

    業務委託先が個人事業主であり、所得税法第204条に該当する業務の場合は源泉徴収が必要です。

    所得税法第204条第1項では、以下のようなケースで源泉徴収の必要があると定義しています。

    所得税法第204条第1項

    一 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金

    二 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

    三 社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)の規定により支払われる診療報酬(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第三十六条の九第二項(流行初期医療確保措置)の規定により都道府県知事から同項に規定する流行初期医療確保措置に係る事務を委託された同項に規定する支払基金から支払われる同条第一項に規定する流行初期医療の確保に要する費用を含む。)

    四 職業野球の選手、職業拳闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

    五 映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む。)又は企画の報酬又は料金その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金(これらのうち不特定多数の者から受けるものを除く。)

    六 キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金

    七 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金で政令で定めるもの

    八 広告宣伝のための賞金又は馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの

    引用: 所得税法|e-GOV法令検索


    手続きを怠ると、後々の税務調査で指摘を受けてしまう可能性があるため、業務内容が源泉徴収の対象か事前に確認しましょう。


    業務委託費の消費税は委託先に支払う

    業務委託費には原則として消費税が含まれています。業務委託で発生した費用と消費税は必ず支払いましょう。委託先に支払わないと税務上の問題が生じるためです。

    委託先が課税事業者の場合、受け取った消費税は国に納付する義務があります。

    消費税は、価格の一部として最終的に消費者の方が負担したものを、事業者の方に納付していただく仕組みです。

    引用: 国税庁|インボイス制度について


    意図的に消費税を差し引いて支払うと委託先の納税義務を妨げる行為にあたり、税務調査の対象となるリスクがあります。

    消費税の取り扱いに不明点がある場合は、事前に顧問税理士や税務署に確認すると、後々のトラブルを避けられます。


    業務委託の費用は正しく仕訳する

    業務委託の費用は正しく仕訳しましょう。業務委託費などをまとめて「外注費」として一括計上してしまうと、実際に何にいくら使ったのかが不明確になります。

    以下のように業務内容に応じて適切な科目で仕訳することで、費用の用途が明確になります。

    業務内容 仕訳科目例
    配送業務の委託 運送費
    システム開発委託 業務委託費
    清掃・警備の委託 管理費

    正確な仕訳を習慣づけることで、業務委託費の適正な管理が可能になります。


    業務委託費について詳しく知りたい方は専門家へ相談しよう

    業務委託費について詳しく知りたい方は専門家へ相談しよう

    業務委託費とは、企業が自社で実施する業務を外部に委託する際に発生する費用のことで以下の3種類があります。

    • 成果報酬型
    • 固定報酬型
    • 複合報酬型

    今後、業務委託を活用する際には、本記事の内容を参考にぜひ検討してみてください。

    さらに委託したい業務に関する委託費について詳しく知りたい方は、パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社にご相談ください。豊富なノウハウと経験をもとに、お客様の課題を解決する最適な提案をいたします。


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