オンライン試験とは
オンライン試験とは、受験者のパソコンやタブレットなどをインターネットにつなげて受験する方法です。インターネット接続さえあれば場所を問わず試験を実施できるため、主催者は受験会場を確保する必要がありません。
オンライン試験では、問題と解答画面をWebブラウザに表示させ、受験者は選択や文字入力で解答します。紙を使った試験の場合、解答用紙を回収して採点するため、合否通知まで時間がかかります。
一方で、オンライン試験では採点に手間がかからず、即時通知ができることや、受験者にとっても試験を受けるための交通費や宿泊費を抑えられるため、地方からでも受験できる点が大きなメリットといえるでしょう。
最近では、資格試験や大学受験、就職試験など、さまざまなテストにオンライン形式が採用されています。特に、コロナ禍ではひとつの会場に大勢が集まる受験方法は控えられ、自宅からでも受験できるオンライン試験へのニーズが高まりました。
主催者と受験者の双方にとって利便性の高いオンライン試験ですが、会場試験と比べ試験の監視が難しく、カンニングや替え玉受験など不正行為が起きやすい点が課題です。具体的にどのような不正行為が行われやすいのか、次に詳しく解説します。
オンライン試験における不正行為
オンライン試験における不正行為について、4点を挙げて解説します。
2-1. カンニングペーパーを見る
2-1. カンニングペーパーを見る
カンニングペーパーを事前に作成し、パソコンのそばや筆箱の中に入れて、テスト中にカンニングする受験者がいます。なかには、手のひらに解答を書いて、チラチラと見ながらカンニングするケースもあります。
これは、主催者がWebカメラを通して監視するシステムがうまく機能していなかったり、そもそも監視システムなしでオンライン試験を実施したりする場合に起こりうるリスクです。受験者の倫理観だけに任せてしまっては、不正が横行してテストの評判が落ちる恐れもあるため、早急な対応が必要でしょう。
2-2. インターネットで検索する
2-2. インターネットで検索する
受験者がパソコンでオンライン試験を受験するとき、手元のスマートフォンで検索してカンニングするケースがあります。また、受験しているパソコンのWebブラウザで別タブを開き、検索するケースもあるでしょう。
さらに、パソコン画面をマルチディスプレイで拡張し、テスト画面外のディスプレイでインターネット検索する方法も見られます。この場合、テスト画面の操作性や環境を制限するなどの対策が必要になります。
2-3. 周りの人に教えてもらう
2-3. 周りの人に教えてもらう
自宅で受験する場合、わからない問題を周りの人に聞くカンニング行為も考えられます。就職試験や資格試験をオンラインで実施する際、受験者らが集まり、相談しながら解答するケースです。
通常は受験中、周りの人との会話は禁止されています。このようなカンニング行為を防止するため、受験者の環境を監視できるようなシステムが必要といえるでしょう。
2-4. なりすまし受験をする
2-4. なりすまし受験をする
なりすまし受験とは、受験する人物のふりをしてテストを受ける不正行為で、「替え玉受験」とも呼ばれています。なりすまし受験は、試験会場で行う紙を使ったテストでも起こりやすい不正行為です。
オンライン試験では本人確認をWebカメラで実施する必要があり、試験会場よりも確認が難しい傾向にあります。
また、パソコンのテスト画面を別の場所にいる人物と共有し、イヤホン越しに音声で受験者に解答を教えるという不正行為が発覚したケースもありました。この場合、Webカメラの前で監視されているのは本人でも、実質的には別の人物が受験したことになるわけです。
以上のように、オンライン試験ではさまざまな方法でカンニングなどの不正行為が行われているのが実情です。
オンライン試験のカンニング対策
オンライン試験のカンニング対策
それでは続いて、オンライン試験のカンニング対策を5点挙げながら解説します。
対策(1)Webカメラで監督員が監視する
対策(1)Webカメラで監督員が監視する
受験者のパソコンに設置または内蔵されたWebカメラを用いて、監督員がリアルタイムで試験を監視する方法です。不自然な目線や、試験中の移動・離席など、受験者の行動を細かにモニタリングします。画角の広いWebカメラであれば、パソコンの周りに置かれている物も観察できるはずです。
もし怪しい行動が発見された場合、音声やチャットを通してその場で注意し、必要であれば試験を強制的に終了させることも可能です。
受験者数が多い場合、その分監督員を増加する必要がありますが、リアルタイムで監視する体制があれば、厳格性を保ちながら試験を開催することもできるでしょう。
対策(2)AIで不正を検出する
対策(2)AIで不正を検出する
今やさまざまなAI(人工知能)が開発されていて、オンライン試験のカンニング防止ツールとして活用されています。
たとえば、“物体検知ができるAI”を使い、受験者がテストを受ける環境を検出すれば、カンニングペーパーや同じ部屋にいる人物の存在を確認できます。また、“パソコン画面を認識するAI”を導入すると、パソコンの別タブで解答を検索するカンニング行為を検出できるのがメリットです。
受験者に対しては、“目線を検知するAI”で不自然な動きを発見できるようになります。問題が表示されている画面以外に、何かを頻繁に見ているような素振りがあれば、注意喚起やテストの強制終了が可能です。
AIを利用する最大のメリットは、不正行為を自動検出できる点だといえるでしょう。テストを頻繁に実施していて監督員の確保が難しい場合でも、厳正な試験を開催することができます。
以上のように、オンライン試験のカンニング防止ができるAIは数多くありますので、必要に応じて導入を検討する必要があります。
対策(3)録画して試験後に確認する
対策(3)録画して試験後に確認する
監督員が受験者数に対し不足していて、リアルタイムでの監視が難しい場合などは、試験の様子を録画しておくと効果的です。試験終了後、録画した映像を監督員やAIが確認し、不正行為の有無を検出することができます。あわせて録音をすることで、周りの人との会話を確認することも可能でしょう。
録画や録音をしている場合、複数の監督員と映像を共有し協議できるのがメリットです。何度も再生できるので、受験者の視線の方向や顔の傾きなど慎重な判断ができるはずです。
対策(4)端末の使用を制限する
対策(4)端末の使用を制限する
受験するパソコンなどデバイスの使用を制限すると、オンライン試験のカンニング防止に役立ちます。
たとえば、パソコンなどのWebブラウザを使用してオンライン試験を実施する場合、テスト画面以外のタブに移動できない機能を設定すると、カンニング防止に利用できます。また、コピーペーストをできなくして操作性を制限することで、試験問題や解答の流出防止が可能になります。
さらに、オンライン試験専用アプリを開発し、インストールしてアプリ受験する方法もあります。アプリからマイクやカメラへのアクセス許可を得ることで、監視体制を構築できます。この場合、Webブラウザを使用しないため、検索によるカンニングを防止できるでしょう。
対策(5)顔認証で本人か確認する
対策(5)顔認証で本人か確認する
なりすまし受験を防ぐために、Webカメラを用いて顔認証で本人確認を実施します。受験を申し込みする際、本人確認ができる写真つきの書類を提出してもらい、当日の映像と照合する方法です。
監督員による確認だけでなく、AIによる自動解析でも本人確認はできます。その場合、事前に提出された身分証明書とオンライン上の人物をAIが判定し、本人確認をします。
今やオンライン試験を実施するうえで『替え玉受験』は深刻な問題です。以上のような、人やAIによる本人確認を徹底することは必須といえるでしょう。
オンライン試験でカンニング対策を講じる際のポイント
オンライン試験でカンニング対策を講じる際のポイント
カンニング対策について説明してきましたが、続いてオンライン試験でカンニング対策を講じる際のポイントについて2つほど挙げて解説します。
ポイント(1)監視システムがあることを事前に伝える
ポイント(1)監視システムがあることを事前に伝える
何らかの監視システムを構築したら、受験者に事前に伝えることが重要です。「試験中は誰かに見られている」と心理的抑制を与えることで、不正行為の防止につながります。
「監督員がカメラで監視しています」「AIが不正行為を検知します」「試験中は録画・録音しています」と、受験案内の資料など受験者の目のとまる所に記載しておくことや、「不正行為が発覚すれば、結果通知後でも合格が取り消され、今後受験できなくなります」などの警告をすると、抑止につながるでしょう。
Webカメラなどを使って監視システムを構築し、受験者に監督員の目を意識させれば、実際の試験会場に近い環境を作り出すことができます。カンニングや替え玉受験といった大胆な不正行為にもつながりにくくなりますので、必ず事前に知らせましょう。
ポイント(2)アウトソーシングする
ポイント(2)アウトソーシングする
オンライン試験でカンニングを防止するには、専用のシステムやノウハウが必要です。ただ、自社で専用システムを開発してオンライン試験を運営しようとしても、手間やコストがかかり実現が難しいでしょう。
厳格性を担保したオンライン試験の開催には、アウトソーシングの利用が効果的です。専用システムやノウハウを保有するプロに依頼できますので、試験を厳正に実施することが可能になります。
アウトソーシング事業者に委託すると、監視方法を試験の内容や規模などに合わせて選べる点がメリットといえます。厳格性をどのレベルで保つべきかを検討でき、AIや監督員のどちらか、または両方を選択できます。高い厳格性を希望するなら、AIによる監視と監督員による有人チェックの両方が必要でしょう。
また、アウトソーシング事業者側で必要な人員を確保しますので、リソース不足を心配する必要がありません。オンライン試験は紙の試験に比べて開催しやすく、規模を拡大しやすいのが特徴です。
しかし、団体受験など大人数が受験する機会が続くと、本人確認や有人監視に多くのリソースが必要となります。また、監視基準を統一するための教育も重要でしょう。
アウトソーシング事業者に依頼することで、人材の採用や研修も任せることができます。従業員は関連業務から手離れでき、受験者の増加に向けた施策など『コア業務』に専念できるようになるでしょう。
オンライン試験のカンニングにお困りならパーソルビジネスプロセスデザインへ
オンライン試験のカンニング行為を防止するには、Webカメラを使った監督員によるリアルタイム監視や、AIによる不正行為の自動検出などが効果的です。必要な対策を講じて受験生に周知すれば、カンニングを事前防止できるでしょう。
しかし、専用のシステムやノウハウの構築を自社で全て行うのは現実的ではありません。そこでノウハウのあるアウトソーシング事業者に依頼すれば、要望に合わせた対策を立てられるでしょう。
パーソルビジネスプロセスデザインは、「資格検定アウトソーシング」サービスをご提供しています。システム開発や試験の運営、試験後の処理など幅広い業務をお任せいただけます。
インターネット経由のオンライン試験をご希望の場合、監督員だけでなくシステムによる不正検知で監視体制の構築が可能です。厳格性を保ちながら試験開催ができるよう、カンニングなど不正行為の防止対策をご提案させていただきます。
パーソルビジネスプロセスデザインの監視体制は、監督員を確認する全体統括者を配置しているのが特徴です。監督員の品質を担保できるため、安心して受験できる環境が整います。さらに、ご要望に応じて監督員の人数を調整することも可能です。必要な厳格性のレベルとコストのバランスをご相談いただけるため、人件費を必要最低限に抑えられます。
また、「オンライン試験だけでなく紙の試験も並行して開催したい」というお客様には、紙ベースの試験の運用も承っています。全国各地に試験会場のネットワークがございますので、会場探しから当日の運用代行までお気軽にご相談くださいませ。