事務作業を自動化して業務効率を上げる!メリットと具体的な方法

事務作業を自動化して業務効率を上げる!メリットと具体的な方法

事務職はどの業種においても欠かせない職種の一つです。書類の作成や処理、データ入力、ファイリングなど多岐にわたる細やかな業務を行うポジションであり、正確性やスピードが求められます。

ビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む中で、事務作業に代表される定型業務の自動化が推進されるようになりました。これに伴い、自社の業務を見直す企業も増えています。一方で、どのような手段で事務作業を自動化できるのかを把握できていない方も多いでしょう。

そこで今回は、事務作業を自動化する具体的な方法をご紹介すると共に、自動化におけるメリットを解説します。

目次

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    事務職の一般的な業務内容

    事務職は他部署ではたらく社員をサポートする役割を担っており、業務内容は多岐にわたります。商品やサービスを顧客に提案して自社の売上に貢献する営業職とは異なり、縁の下の力持ちとして他の社員が円滑に業務を行えるようにサポートする存在です。

    企業規模や業種によって若干の違いはありますが、事務職の主な業務内容は以下の通りです。


    書類作成、書類の処理や整理、データ入力、電話応対、来客応対、郵便物の発送など

    このように、事務作業の多くは日常的に行う定型業務です。デジタル技術を駆使して業務を行うビジネスのDX化が浸透する中、事務作業に代表される定型業務の自動化を検討する企業が増えています。

    定型業務の自動化が求められている

    2018年6月29日に「働き方改革関連法」が可決成立されて以来、労働時間の見直しや職場環境の整備などさまざまな取り組みが行われています。国家公務員を対象に内閣人事局によって実施された「令和3年働き方改革職員アンケート結果」では、全体の64.5%の人が「働き方改革が進んだ実感がある」と答えました。しかし、いまだに進んでいない部分も多く、その原因として「非効率・不要な業務が多い」と答えた人が45.3%でした。
    令和3年働き方改革職員アンケート結果

    この結果を受けて内閣人事局では、働き方改革を進める上で業務の効率化(特に定型業務の自動化)が効果的であるとしています。

    事務作業は事業を行う上で重要な業務の一つですが、従来の紙媒体を活用した進め方だと効率化は見込めません。また、人口の減少が懸念される中、労働人口不足も課題の一つです。このような状況下で、より効率的に業務を進めるためにも事務作業を含めた定型業務の自動化が求められます。

    事務作業を自動化する3つのメリット

    事務作業を自動化すると、さまざまなメリットが得られます。主なメリットは以下に挙げる3つです。それぞれのメリットについて解説します。

    作業の精度が向上する

    事務作業の内容は多岐にわたるため、手書き業務やFAXなど紙媒体をメインとするアナログ方式で行うと人為的ミスが起こる可能性があります。計算ミスや対応漏れなどが発生しても気づけなかった場合、大きなトラブルに発展することも考えられるでしょう。

    一方、事務作業の自動化により、人為的ミスを軽減することが可能です。成果物の品質も統一できるようになり、アナログ方式と比べて作業の精度が向上します。

    これまでのアナログ方式の進め方では、ミスを防ぐために二重チェックの必要がありました。しかし、自動化によってチェックにかかる時間や労力の削減も可能です。

    生産性が向上する

    事務作業を自動化すると、従来のアナログ方式よりも作業効率が上がります。例えば、定型作業を自動化するツールを使うことで、業務時間外の夜間や休日も作業を進めることが可能です。

    また、必要な情報を調べる際、アナログ方式だと膨大な資料の中から手作業で探す必要がありました。一方で事務作業を自動化すると迅速な情報収集が可能になり、これまで発生していた時間の削減にもつながります。

    アナログ方式で起こりがちだったケアレスミスもなくなるため、差し戻しによる生産性の低下が避けられる点もメリットといえるでしょう。

    コア業務に集中できる

    事務作業の自動化により、これまでかかっていた業務負担が大幅に軽減されます。その結果、事務作業に追われる社員の負担を減らすことが可能となり、本来注力したい業務に集中きる点もメリットの一つです。

    人材不足が続く中、どの企業においてもリソースの確保が課題となっています。事務作業を自動化することで各社員がコア業務に従事できれば、人材確保に関する労力やコストの軽減にもつながるでしょう。

    事務作業を自動化する際の2つの注意点

    業務効率を上げて人材不足の解消にもつながる事務作業の自動化ですが、注意点も把握しておく必要があります。より効果的な自動化を実現するために押さえておきたい2つの注意点を解説します。

    現場の声を聞かずに自動化を進めると、社員の離職につながる恐れがある

    事務作業の自動化は、上層部や情報システムにかかわる社員が中心となって進めるケースが一般的です。しかし、より効果的に自動化を進めるためには、事務作業に携わる現場の声を聞く必要があります。

    従来のアナログ方式に慣れ親しんだ社員にとって、突然の自動化は大きな負担となるでしょう。実際に作業を行う社員の意見を聞かずに自動化を進めてしまうと、あらたな環境に順応できず離職を考える社員が増える恐れがあります。

    自動化を進める際は現場ではたらく社員にヒアリングして、困っていることや課題を洗い出します。ヒアリングした内容をもとに解決策を考え、現場の理解を得てから自動化を進めることが大切です。

    セキュリティを強化しないと情報漏えいにつながる恐れがある

    事務作業を含む定型作業の自動化はIT技術を活用するケースが多く、セキュリティ面のリスクがあります。これまでアナログ方式で業務を行ってきた企業にとって、デジタル化に関するセキュリティ対策は簡単なものではなく、十分に対処できないまま自動化を進めてしまうことも考えられるでしょう。

    セキュリティを強化せずに自動化すると情報漏えいにつながる恐れがあるため、しっかりと対策を施す必要があります。定型業務の自動化に特化したツールを取り入れるのであれば、強固なセキュリティに対応したサービスを選ぶことが大切です。また、デジタルに苦手意識を持っている方は、アウトソーシングを活用してセキュリティリスクを回避しながら事務作業を自動化する方法が適しています。

    事務作業を自動化する方法

    事務作業を自動化する際は、主に「RPA」「Excelのマクロ」「AI」「アウトソーシング」のいずれかを活用するとよいでしょう。それぞれの方法と活用例について解説します。

    RPAを活用

    RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、ロボットを使った自動化を意味します。主にパソコンを使った業務の自動化に使われており、近年注目を集めている手段の一つです。

    例えば、文字列の判別やデータ入力、計算処理などの作業を、プログラミングで指示を出して自動化します。プログラミングによって、その後はクリックして指示を与えるだけで作業を進められるため、事務作業にかかる手間を大幅に削減することが可能です。また、時間を設定しておけば夜間や休日も作業を進められます。

    ただし、RPAには導入費用や開発者のスキルが必要になることが懸念点です。特に自社の業務に合わせて複雑なシステムを構築する開発型のRPAを活用する場合は、最低でも数十万円の費用が発生します。開発者には一定のスキルが求められ、開発できる社員だけが作業するようになると、属人化する可能性も考えられるでしょう。

    パーソルビジネスプロセスデザインでは現場で抱える業務課題に対し、デジタルツールを使って解決するスペシャリストを派遣するサービス「RPAアソシエイツ」を提供しています。RPA導入のノウハウがない、自動化を推進してくれる人材がいないなどのお悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

    RPAの活用例

    RPAの活用例として、受発注業務における書類の発行や顧客管理などが挙げられます。RPAが得意とする作業の一つが、システム上から抽出したデータを別の場所に転記することです。抽出した受注データを基幹システムに自動入力して、その情報をもとに発注書や請求書を自動的に作成できます。

    また、簡単な内容であれば基幹システムから取得したデータの集計やグラフ化ができるため、工夫次第で月次報告やプレゼンテーションに使う資料を作成する際にも役立つでしょう。

    アナログ方式の手法だと、転記する段階で人為的ミスが発生する可能性がありますが、RPAの活用によって正しい情報を抽出できるため、作業精度の向上が可能です。

    その他、お問い合わせ対応にもRPAが役立ちます。例えば、過去の内容を記録したデータ出力や対話内容の転機を自動的に行えるため、時間や手間を大幅に減らせます。電話・FAXとコンピューターをつなぐCTI(Computer Telephony Integration)を併用すると、通話ログやコール履歴の記録を案件別・オペレーター別に抽出できるため、必要な情報を検索する際も非常に便利です。

    Excelのマクロを活用

    Excelのマクロも、定型業務を自動化する際に役立つ手段です。マクロとは一定の操作を記録する機能を意味します。例えば、Excelのセルに数値を入力したり、定型句を入力したりする操作手順を記録しておくと、1クリックで再現することが可能です。

    Excelを使った事務作業は同じ操作を繰り返すことが多く、手間がかかります。マクロ機能を活用すると1クリックで作業を進められるため、所要時間を大幅に削減でき効率化につながります。

    ただし、マクロ機能を使うためにはExcelに関する知識とスキルが必要です。扱える社員が少ないと業務が属人化する恐れがあるでしょう。その他、作成者が退職・異動した場合、メンテナンスができなくなることも考えられます。

    Excelのマクロの活用例

    Excelのマクロは、売上を集計したり商品ごとにデータを分類したりする際に役立ちます。単純な四則演算に加えて表計算のような複雑な操作も記録でき、1クリックで必要なデータを集計することが可能です。

    また、インターネット上にある商品名や価格などの情報を取得する際にも、Excelのマクロが活躍します。記録したWebサイトを訪問し自動的に情報を収集するため、手作業でリサーチする場合と比べると時間や手間の削減につながるでしょう。

    集めた情報を商品ごとに分類する際も、マクロを活用するとスムーズです。無作為に集まった情報でも、マクロによって自動的に整理されます。例えば、一つのシートに混在するあらゆる商品のデータを、商品別のシートに自動で振り分けることも可能です。

    AIを活用

    定型業務の効率化が注目される中、AI-OCRを使うケースも増えています。AI-OCRとは、文字を読み取る「OCR(Optical Character Reader)」という技術とAIが組み合わさったシステムです。

    従来のOCRは紙媒体に記載された文字を認識し、デジタル化する技術として画期的な手法でしたが、誤認することもありました。しかし、AIが備わったAI-OCRは学習機能があるため、文字を補正しながら読み取ることが可能で、OCRと比較して精度が高くなっています。

    特に日本語は「ひらがな」「カタカナ」「漢字」「ローマ字」「数字」など複数の字体で構成されていますが、AI-OCRであれば高精度に文字を読み取れるため、正確性の確認作業を簡略化することが可能です。

    また、直近では「テキスト生成AI」が話題になっています。テキスト生成AIは、AIが持つ学習機能や自然言語処理技術を活用し、まるで人間と会話しているような自然なやり取りやテキスト生成ができるサービスです。サービスによっては無料で活用できるケースもあるため、ビジネスシーンにおいても浸透することが予想されます。

    ただし、学習したデータが古かったり偏見を含んだりする情報である場合、回答する内容も正確性に欠けてしまいます。また、送信された情報は学習データとして使うため、機密情報の取り扱いや全社員へのガバナンス統制が難しい点が課題です。自社の業務に特化したテキスト生成AI をオンプレミス環境で構築することも難易度が高く、状況によっては重大なミスが発生しかねません。

    AIの活用例

    AI-OCRは手書きの文字を読み取れるため、紙媒体で提出された履歴書や注文書、販売データなどをスキャンするだけでデータ化することが可能です。さらに、データ化された情報はRPAを活用してシステムに自動入力できます。

    従来は手入力する必要があり、人為的ミスが起こるケースも多く見られました。一方でAI-OCRを活用すると、書類が届いてからデータ化するまでの手間を削減できる他、ミスも回避できます。

    また、保存されているデータを検索する際も、AIを活用すると時間短縮することが可能です。紙媒体で保存する場合、内容ごとにファイリングする必要がありました。分類に関するルール決めや収納場所の確保など、管理に頭を抱えていた方も多いでしょう。AIを業務に取り入れることでこうした課題を解決でき、パソコン上で検索するだけで必要な情報が得られるようになります。

    アウトソーシングを活用

    事務作業を効率化する際、アウトソーシングの活用も役立ちます。外部の専門的なスキルを持った人材に定型業務を任せることで、自社社員のリソースを注力するべき業務にあてることが可能です。

    また、アウトソーシングを通して各部署や各拠点に散らばっている同様の定型業務を集約できます。特に事務作業の効率化を目指してRPAを活用する場合も、業務ボリュームがないとコスト面におけるメリットが得られません。一方でアウトソーシングにより業務が集約されれば業務ボリュームが出るため、RPAのメリットを最大化し、業務を効率化できます。

    アウトソーシングの活用例

    アウトソーシングを活用すると、部門や営業所ごとに分散していた管理業務を集約させることが可能です。管理業務が分散してしまうと、各所に担当者を配置しなければならず、それだけ人件費も嵩みます。アウトソーシングであれば繁忙期・閑散期に合わせて活用できるため、人件費を最適化できます。また、管理業務を集約させることで業務の効率化やはたらくスペースの有効活用が可能です。

    さらに、アウトソーシングであれば専門的なスキルを持ったスタッフが対応するため、イレギュラーな事態にも臨機応変に業務を遂行できます。単純作業に向いているRPAでは、作業中に起こったエラーに対し自社で速やかにカバーしきれないケースも起こり得ますが、アウトソーシングによる専門家のサポートを受けることで円滑な解決が可能です。

    その他、事務作業での活用例として、商品やサービス、顧客によって対応方法が異なる営業事務でもアウトソーシングが役立ちます。例えば、膨大な顧客データの管理やDMの配信などの定型業務を外注すると、これまで営業事務を担っていた人材をより注力するべき業務に配置できます。

    事務作業を効率化することで社員の負担を軽減する

    事務には部門ごとに定型業務があり、各所に担当者を配置している企業が多いでしょう。しかし、作業が分散するとコストがかかるばかりでなく、作業精度の違いや属人化が起こりがちです。事務作業を自動化することで、これらの課題を解決できます。また、RPAやマクロを活用して定型業務が自動化できれば社員の負担を軽減でき、コア業務にリソースを割くことが可能です。

    ただし、RPAの活用によって受発注業務における書類発行や顧客管理、マクロでの売上管理など自動化が進むと業務効率は上がりますが、業務ボリュームがないとコスト面でメリットを得られません。そこで、アウトソーシングによって各拠点に散らばった業務を集約し、業務ボリュームを出すことでRPAのメリットを最大化することが可能です。

    パーソルビジネスプロセスデザインでは、営業事務のアウトソーシングもお引き受けしており、多くのお客さまにご選択いただいています。その理由として、RPAやマクロ開発を担当する専門部署を設けている点が挙げられます。また、ツールによる事務作業の自動化だけでは果たせない、業務全体の課題の洗い出しから運用までサポートすることが可能です。事務作業のアウトソーシングサービスの活用をご検討の方は、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインにご相談ください。

    ▼営業事務のBPOサービス

    パーソルビジネスプロセスデザインのデジタル専門部隊がRPA開発に携わった事例もございます。詳しくは、以下のページをご覧ください。

    ▼アウトソーシング・BPOサービスの導入事例

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