保険代理店の営業活動を支援する「ソリシター」とは?
保険商品は保険会社が企画開発しますが、販売の大半は保険代理店が行っています。その代理店向けの営業担当者を「ソリシター」と呼びますが、ソリシターは保険会社に所属して代理店の販売活動や業務全般を支援する仕事をしています。担当する保険代理店の数は平均で一人当たり40社前後と言われており、売上目標を代理店と共有しながら自社製品のシェア拡大を進めています。
保険代理店には様々な形態があり、事業規模や人員リソースはバラバラですので、その特性に応じた支援をしていく必要があります。
保険代理店の形態として、以下のような例が挙げられます。
- 保険販売を専業とするプロ代理店
- 自動車ディーラー
- メーカー
- 不動産会社
このように保険以外の事業をメインとする代理店も存在するわけですが、ソリシターはそういった代理店に対して、情報提供や商品の理解、周辺の事務手続きについて丁寧に周知しなければなりません。一方で長年お付き合いのあるプロ代理店には、彼らを上回る知識量、提案力が求められます。つまり、商品の知識だけではなく、代理店ごとに異なる経営レベルを引き上げるような「コンサルティング」的な要素も含まれる仕事といえるのです。
また、多くの担当代理店の中から収益性を見抜き、適切なタイミングでフォローする力も求められます。他にも、円滑なコミュニケーション能力、機動性の高さも必要でしょう。販売を推進しながらも、金融商品特有の法令や規制に慎重に対応する心構えも重要です。このように、ソリシターには多くの能力が求められるのです。
ソリシターが行う保険代理店の支援業務にはどのようなものがある?
では、もう少し具体的にソリシターの業務をみていきましょう。前述したように、ソリシターの仕事内容は多岐にわたります。たとえば「自社製品のシェア拡大」に直結する業務としては以下のものが挙げられます。
- 営業施策の案内
- 営業キャンペーンの進捗状況確認
- 販売戦略の検討
また、保険金請求に関連する業務としては以下のようなものがあります。
- 事故対応における保険請求関連
小規模代理店では請求専門の担当者を設けることができないため、代理店内の事故処理のサポートも担うことになります。これらは突発的な対応であり、時期や頻度予測が難しいため業務圧迫の要因となってきます。
また、法令順守の推進として以下のような業務もあります。
- コンプライアンス施策の周知
- 監査証憑の取り付けを実施
さらに、その他にも「有力代理店との定例会における情報交換」や、「代理店と契約者間トラブルの沈静化」などの業務も担っています。事務面におけるフォロー業務も多く、「申込書類の手配」や「保険契約の計上」などがこれにあたります。これらは、キャンペーンの締め日や急ぎの契約締結の際にはスピード感をもった対応が必要となってきます。
くわえて、ソリシターの業務で特徴的なのは「代理店からの問い合わせ」の多さです。保険商品の約款や手続きの規程は日々改定されていきます。そうなると、商品の複雑性や事務の煩雑性から、代理店としても確認したい事項が増えていきます。特に多い確認事項として、事務手続き上のことや保険の引き受け、保険金支払いの可否基準などがあり、ソリシターの業務を圧迫する要因となっています。
顧客管理や見積もり作成などを行う「代理店システム」に関する問い合わせも、近年では増加傾向にあります。「代理店システム」はペーパーレスの推進や、事務負担軽減のために導入されたものですが、操作方法やシステムトラブルに関して代理店からの問い合わせが頻発しており、これらもソリシターの業務を増加させる原因となっています。
コロナ禍により代理店支援業務は難しい局面に
緊急事態宣言が発令された時期、多くの保険会社でも不要不急時を除いて在宅勤務となりました。ソリシターも代理店訪問については制限され、オンラインセミナーなどWEBツールを使った情報提供が活動の中心となったようです。また、事務業務を支える内勤の営業事務担当者も在宅勤務となって連携がとりづらくなったため、ソリシター自ら事務処理を行うケースも増えたといいます。
従来とは異なる業務が増えた一方で、ソリシターにとっては訪問業務がなくなったことで時間が確保され、効率的にフォローをすることが可能になりました。しかし、フォローを増やせば上手くいくという単純な話でもありません。保険代理店によるリモート業務への反発もありましたし、フォロー活動の質の良しあしなど、課題も散見されたようです。
これまでのソリシターと代理店は、日々の対面業務によって情報共有を行い信頼関係がつくられていきました。その信頼のもと、自社商品の販売が推進されるサイクルがつくられていたのです。
それがコロナ禍によって、リモートでも業績を伸ばす代理店と、リモート化によって業績が低迷してしまう代理店の二極化が進んでいきました。単に「対面を重ねれば成果が出る」わけではないことが露呈したのです。
コロナ禍は、会社としても「すべての代理店訪問が本当に必要なのか?」ということを考え直す機会になったようです。
代理店支援業務を業務委託する動きが増えつつある
そんな局面を迎えているソリシター業務ですが、今後は「代理店と関わる時間や距離を超えた新たな支援」を模索する必要が出てきました。これは前述したコロナ禍の影響だけではなく、次のような背景があります。
- 各保険会社が経営の効率化に伴い、人数の削減を進めている
- 人数の削減が進むと、1人あたりの担当代理店数が増えて業務量が増加する
- 人員不足の問題は、代理店も抱えている
- 代理店は、経営者の高齢化に伴って継承者問題も抱えている
こういった、代理店の経営体制・営業体制の変化を踏まえながらも、本来の自社製品の推進に注力したいところです。そのために昨今、代理店支援業務に関しても業務委託のスキームが構築されつつあります。これまで保険会社をはじめとする金融業界では、コンプライアンス上の観点から業務委託が難しいとされていました。しかし、規制や監査に対応した体制づくりをする企業も増え、導入しやすい環境になってきています。
業務委託をするにあたっては、「どの業務を切り離すか」はよく検討すべきですが、ポイントとしては業務を圧迫している「量」に着目するべきでしょう。
多数の代理店からの問い合わせ対応や代理店点検業務、資材発送などの "量が伴う業務"を外部に委託するだけでも、大幅な業務削減が可能になります。負担が軽減されればフォローの精度もあがり、代理店とのコミュニケーションも最適化が図れるようになるのではないでしょうか。
ソリシターの業務においては、コロナ禍を機に本来の目的である「自社シェア拡大の活動」に注力できるよう、体制を構築しなおす時期がやってきていることは間違いありません。
パーソルビジネスプロセスデザインは、代理店支援業務をサポートします
わたしたちパーソルビジネスプロセスデザインでも、保険会社向け代理店サポートサービスを提供しています。
これまで保険会社の代理店営業担当者が行っていた、代理店の支援や問い合わせ対応、事務対応を代行させていただきます。
他にも、保険会社の様々なバックオフィス業務を多数お引き受けしています。また、パーソルグループならではの豊富な人材供給力で、代理店営業経験者などの人材によるサービスをご提供しております。
サポート業務ももちろん大切ですが、量が多く仕組み化された業務については外部に委託されることをお勧めいたします。リソースの負担が軽くなる分、社員の皆さまはコア業務に専念していただき、全社的なプロフィットに貢献していただければと考えています。詳しい内容につきましてはサービスページ・サービス資料をご覧くださいませ。