属人化とは?原因やリスクを学んで業務標準化で属人化を解消する方法

属人化とは?原因やリスクを学んで業務標準化で属人化を解消する方法

皆さんの会社では、業務の属人化における長時間労働や離職時の損失に悩んでいないでしょうか。日経BPシステム運用ナレッジの調査報告によると、76%の企業が業務の属人化に悩んでいるといいます。

(参照:日経BPシステム運用ナレッジの調査報告

この記事では、属人化についての深掘りや、属人化の原因やリスク、さらに解決方法についても解説していきたいと思います。

目次

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    属人化とは?

    属人化とは、特定の従業員しか業務内容や業務フローが分からない状態を指します。属人化の対義語は「標準化」です。標準化とは、マニュアルを整備して誰でも業務に取り組める状態を指します。

    特定の従業員が休んだり退職したりするなどの場合に、属人化の問題は顕在化してきます。そういった際に大きな損失を被らないためにも、業務を標準化して人に依存しない仕組みを構築しておきましょう。標準化の方法については、後ほど詳しく書かせていただきます。

    属人化を避けたい業務

    まずは、特に属人化を避けたい業務ですが、「バックオフィス業務」「営業業務」「ヘルプデスク業務」「セキュリティ業務」などが挙げられます。それぞれ見ていきましょう。

    バックオフィス業務

    バックオフィス業務は、決算数字や人事考課などセンシティブな情報を取り扱うため、専任の担当者に任せきりになる傾向があります。さらに、売上拡大には直結しない部門のため、少人数の体制であることが多いです。そうすると、担当の従業員が病気や怪我などで休んでしまうと、途端に業務が停止してしまう恐れがあります。また、事業拡大に対応しきれない等の問題も出てきやすいものです。

    営業業務

    営業担当者は、売上目標を達成するために顧客対応に追われています。個人目標が与えられており、プレッシャーを抱えているため、情報共有にまで意識を向けられないことも多くあります。

    営業ノウハウが蓄積されなければ、担当者によって営業成績に大きな差が出てしまいます。そして、優秀な営業担当者が退職してしまうと売上が落ちてしまう恐れがあります。また、契約数や案件数が伸びない原因を解明できなくなるため、注意が必要です。

    ヘルプデスク業務

    ヘルプデスク業務は、顧客が抱える課題を解決するために幅広い知識が求められます。そうした専門性が高い業務のため、属人化されやすくなってしまいます。また、各顧客の対応状況が不透明になると、対応漏れや二重対応などの問題が発生してしまいます。そうなると顧客満足度の低下を招いてしまうため、ヘルプデスク業務が属人化しないように気をつけなければなりません。

    セキュリティ業務

    トラブルシューティング業務やセキュリティインシデント対応など、システム上の問題を解決する業務は「初回の対応」で被害の大きさが変わってきてしまいます。しかし、業務が属人化していると、対応が遅れてしまい被害が大きくなってしまう恐れがあります。
    被害を最小に抑えるためにも、対応業務を標準化させることを強く意識しましょう。

    属人化が起きる4つの原因

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    冒頭でご紹介した通り、組織運営で属人化に悩む企業は7割以上と非常に多いわけですが、ではなぜ属人化の状態が発生してしまうのでしょうか? 続いては、属人化が起きてしまう4つの原因について解説していきます。

    業務に追われている

    担当者が目標達成に向けて業務に集中しているとか、業務負担が高い状態が続いてしまうと属人化は起きやすくなります。ナレッジを共有する余裕がないことが原因の1つといえるでしょう。少人数の体制でやっている企業の場合、人員不足によって業務に追われやすくなるため属人化には特に注意しなければなりません。

    業務の専門性が高い

    業務の専門性が高く、知識やスキルの習得に時間がかかることも属人化の原因になります。専門の担当者の技術を継承していくことは容易ではありません。継承が難しいがゆえに、属人化が進んでしまいやすくなるのです。

    情報共有の仕組みがない

    属人化を解消しようとしても、そもそも情報共有の仕組みが構築されていなければ共有はできません。従業員が組織力強化に協力的であっても、情報共有システムなどが導入されていなければ余分な作業工数が増えてしまうのです。

    成果主義を採用している

    そもそも会社の体制として成果主義を採用している場合、各自が所有しているノウハウが社内競争の武器となってしまいがちです。「他の従業員より高く評価されたい」という気持ちが芽生えやすくなるため、ナレッジを共有するという文化が根付きにくくなるわけです。成果主義を採用している企業は、属人化が深刻な問題となりやすいため特に注意が必要です。

    属人化による8つのリスク

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    さまざまな原因で属人化が起きるわけですが、では属人化によって具体的にどのような問題が発生してしまうのでしょうか? 続いて、属人化による8つのリスクを紹介していきましょう。

    業務の一時停止が起きやすくなる

    属人化した状態で担当者が離席をしている場合や、他の業務に追われている場合、業務は一時停止となってしまいます。業務が滞ると納期に間に合わなくなるなど、様々な弊害が生じるので注意が必要です。

    また、営業やヘルプデスクなどの業務で顧客対応業務が属人化してしまうと、他の人が代理で対応できずに待たせるケースも出てきます。そうなると、顧客満足度の低下を招いてしまうことにもなるでしょう。

    サービス品質がバラバラになる

    営業部門で属人化が発生すると、担当者のスキルに差が出てしまうので、サービス品質にバラツキが生じることになります。サービス品質がバラバラになってしまうと、ユーザーに迷惑を掛けてしまい、「この間と対応が違う」といったクレームも発生しやすくなってしまいます。

    組織のボトムアップが図れない

    属人化が進んでしまうと、個人だけの問題ではなく組織全体の力が弱まってしまうことにもなります。ただ、各担当者のスキルにバラつきがあったとしてもノウハウを共有することができれば組織全体のボトムアップが図ることは可能なのです。
    組織力を上げて売上拡大を狙うためにも、属人化の問題は解決しなければなりません。

    従業員の正当な評価ができない

    業務品質や業務の進め方が標準化されていなければ、「適切な方法で作業を進めてもらえているか」という判断がつきにくくなります。その結果、従業員の正当な評価ができなくなってしまいます。
    正当な評価ができなければ、不信感を抱く従業員がいてもおかしくありません。社内の人間関係にもネガティブな影響が出てきてしまうため、注意が必要です。

    休職や退職によって大きな損失が出る

    優秀な従業員が休職または退職してしまった場合、日頃からノウハウを共有しておかなければ大きな損失が出てしまいます。また、引き継ぎ業務も困難になってしまうため、非常に慌ただしくなってしまうことでしょう。

    普段からノウハウを共有していれば、休職や退職の際に引き継ぎ業務で慌てずに済むのです。

    社内でフォローし合えない

    特定の従業員しか対応できない業務があると、目の前の相手が忙しそうだったとしてもフォローすることができません。業務の属人化が深刻化していくと、社内の至るところでそのような状況が発生し、社内連携が取りにくくなってしまいます。そうして風通しが悪い職場になる恐れがあることも気を付けなければならないでしょう。

    従業員の不正行為に気づけない

    業務が属人化してしまうと、上司や管理者でも「適切な方法で業務が行われているのか」が確認できなくなってしまいます。また、業務を再確認したときにミスに気付いたとしても隠蔽されてしまうなど、従業員の不正行為に気づけなくなってしまうものです。

    長時間労働をさせてしまう

    日本経済団体連合会の労働時間等実態調査※では、長時間労働に繋がる職場慣行として「業務の属人化(27.3%)」が挙げられています。この調査結果からも分かるように、属人化は明らかに長時間労働につながってしまうのです。

    過酷な労働条件では従業員は定着しません。さらに、働き方改革の法改正で長時間労働は法律違反に該当し、懲役(6ヵ月以下)や罰金(30万円以下)が科せられるため、注意が必要です。

    (参照:日本経済団体連合会「2017年労働時間等実態調査集計結果

    属人化を解消する、業務標準化の4つのステップ

    以上のように業務の属人化はリスクが多いですから、『業務標準化』によって解消していきましょう。続いて、属人化を解消するための『業務標準化』の方法について、順番にご紹介してまいります。

    ステップ(1)業務棚卸しを行う

    まずは業務の属人化を把握するために、業務棚卸しを行いましょう。業務棚卸しを行うことで、特定の個人に依存している業務が判明するかもしれません。また、業務のやり方が各従業員で異なることが判明する可能性もあります。属人化を可視化することが、属人化を解消する第1歩目となるのです。

    ステップ(2)ワークフローを作成する

    全ての業務を洗い出したら、業務の流れを図式化した「ワークフロー」を作成しましょう。誰が見ても分かるような、シンプルなワークフローを作成しておくことが大切です。ワークフローを作成することで業務の複雑さを知ることになり、簡略化していく足掛かりにもなっていくのです。

    ステップ(3)マニュアルを作成する

    誰が担当しても業務の品質が一定に保てるように、マニュアルを作成していきましょう。特定の従業員が不在だったとしても、「マニュアルを読めば対応できる」状態にしておくと安心です。
    注意点として、最初から完璧なマニュアルを目指す必要はありません。実際の担当者にも指摘してもらいながら、ブラッシュアップしていけばよいのです。

    ステップ(4)ナレッジを共有する

    各従業員が持つ知識(ナレッジ)は、組織全体で共有することで組織の強化が図れます。近年では、ナレッジを共有するためのシステムが続々と登場しています。ナレッジ共有システムを導入して仕組みを構築しておけば、各従業員も協力してナレッジを共有してくれるようになるはずです。

    属人化を解消するなら、パーソルビジネスプロセスデザインへ

    7割以上の企業が属人化の問題を抱えており、属人化の問題を放置しておくと様々な支障が出てくることがおわかりいただけたかと思います。経営のリスクマネジメントのためにも、業務標準化を進めて属人化を解消していきましょう。

    もし「自分たちだけでは属人化の解消が難しそうだ」「どこか属人化の解消を手伝ってくれる企業はないか」とお考えの場合、パーソルワークスデザインにお声がけください。

    たとえばヘルプデスク業務の属人化解消であれば、国際認定されたナレッジマネジメント手法であるKCS(Knowledge Centered Service)も有効です。

    KCSでは、オペレーターそれぞれが保有している問い合わせ対応の経験や情報をセンター全体で有効活用するため、業務の標準化を実現することができます。

    パーソルワークスデザインではKCS運用の支援をしています。詳細につきましては関連サービス「コンサルティング支援サービス」をご確認のうえ、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

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