ICDLとはどのような資格なのか
ICDLは世界標準として導入されている、デジタルスキルを証明する資格です。
『モジュール』と呼ばれる30以上の科目から構成され、それぞれのモジュールの試験に75%以上の得点で合格することで、その分野における一定レベルのスキルが証明されます。
国内でデジタルスキルを証明する資格として普及しているのは『ITパスポート』ですが、ITパスポートはあくまで日本国内を中心に認知されている資格です。ICDLは世界140ヵ国以上において実施されており、「国際的にデジタルスキルを証明できる資格」といえるでしょう。
英語学習に置き換えて考えると、国内のみで通じる「英検」と、全世界で受験されている「TOEIC」、という位置づけと捉えるとイメージしやすいかもしれません。
運営母体は『ICDL財団』という世界各地に活動拠点を持つ国際的な非営利組織で、特定のベンダーの影響を受けない独立した立ち位置の団体です。アジアにおいては『ICDL Asia(シンガポール)』が展開されており、シンガポール・タイ・マレーシア・中国・ブータンが国のプロジェクトとして大学や専門学校での資格取得を奨励しています。
ICDL | ITパスポート | |
---|---|---|
開催母体 | ICDL 財団 | 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) |
実施国 | 140ヵ国以上 | 1国(日本のみ) |
開始年度 | 1996年 | 2009年 |
延べ受験者数 | 約5,000万人 | 約140万人 |
実施言語 | 英語など40言語(日本語へ順次対応中) | 日本語 |
デジタルスキルとは
デジタルスキルとは、ICT技術を理解しICT技術を適切に活用できる能力のことを指します。経済産業省が公式サイト上で『全ての人が、役割に応じた相応のデジタルスキル・知識を習得することが必要』と記述している通り、現代ではどんな仕事においてもデジタルスキルは必須の能力となっています。
特にDX(デジタルトランスフォーメーション)化が世界中で推進されている昨今においては、デジタルスキルを備えた人材の確保や育成が、多くの企業にとっての大きな課題となっているのです。
デジタルスキルを高めることが必要な理由
現在、様々な環境の変化からデジタルスキルを高めることが必須となってきています。2つほど挙げて見てみましょう。
理由(1)技術革新によって産業構造が転換している
理由(1)技術革新によって産業構造が転換している
近年の技術革新、とりわけAI・機械学習の分野の発展は今後の産業構造に大きな変化を与え、人がこれまでアナログで手掛けていた業務の多くが消滅するとまでいわれています。
そういった環境下において、AI・機械に「奪われる」業務ではなく、そういったテクノロジーを支えるIT分野のスキルの取得は「これからの世界で必要とされる人材」になるうえで必要不可欠といえるでしょう。
理由(2)コロナ禍によってワークスタイルが変化している
理由(2)コロナ禍によってワークスタイルが変化している
技術革新による産業構造の転換や、それに伴って市場で求められるスキルが変化することは以前より言及されていましたが、その流れに拍車をかけたのがコロナ禍での半強制的なリモートワークの導入です。
ワークスタイルは変化し、これまでの業務効率が可視化されていきました。そうしたなかで、既存の枠組みにおいてもデジタルスキルを高め、小さな変化にも対応できるIT人材は市場価値が高くなってきているのです。
ICDLの資格を取得するメリット
デジタルスキルを高めることが必要な背景をみてきましたが、では具体的にICDLの資格を取得することでどのようなメリットがあるのか、3つを挙げながら解説してみましょう。
メリット(1)デジタル初心者でもスキルを高められる
メリット(1)デジタル初心者でもスキルを高められる
ICDLは”誰ひとり、取り残さない”を理念としたデジタルスキル認定ですので、身分・学歴・年齢・能力を問わず、全くの初心者でも学習できるようになっています。「パソコンに苦手意識はあるが、何かしら新しいスキルを学びたい」と感じている方こそ、ICDLの資格を取得するべきでしょう。
事実、ICDL試験の中には「コンピュータの電源の入れ方・切り方」「キーボードとマウス」の使い方から学習を始められるモジュールもあり、「キーボードやマウス、各種ソフトウエアやサービスなどの使い方を今まで自己学習のみで使ってきた人」も学習することができます。
このようにICDLは「非技術者」でも学ぶことができるように作られた試験だといえるのです。
ITパスポートは「技術者向け」の資格に該当します。仕事で毎日PCを触っている方や、ITを活用して何かのサービスを展開する予定の方などに大きな恩恵を与える資格です。自分の学びたいことやスキルレベルに応じて、適切な資格を選ぶようにしましょう。
メリット(2)モジュールが細分化されており、保有スキルを明確に可視化できる
メリット(2)モジュールが細分化されており、保有スキルを明確に可視化できる
ICDLは30以上のモジュールに分かれており、モジュールごとに合格することがスキルの証明とされます。ですから、どういったスキルを有しているのか自分からも他者からも客観的に判断することができるのです。
客観的な自己分析をすることで、追加で取得するスキルを検討するうえでも、就職活動をするうえでも、明確な指標として活用することができるでしょう。
また、多くのモジュールがあるため1つの資格を取得して終わりではなく「次のステップのモジュールを受講する」「興味がある分野のモジュールを受講する」など、ICDLを活用することで常に学び続けることができます。
メリット(3)国際的に通用する資格である
メリット(3)国際的に通用する資格である
ICDLは世界各国で同じ試験が実施される”世界標準”の資格であるため、国際的に通用するといえます。たとえば、欧州の一部の国においてはICDLの資格保有は就職試験を受けるための前提になっているほど重要な資格です。
世界的に通用する資格ですから、海外での就職活動や外資系企業への就職活動においても有利に働く可能性が考えられます。
仮にそういったキャリアを想定していなかったとしても、日本でも今後、ICDLの重要性が高まっていくことも十分に想定できるといえます。ICDL には22年の歴史があり、現在では世界100ヵ国以上で実施されています。これから先の国際社会において、世界中の企業を相手にビジネスを行う際には、ICDL資格を取ったうえで常に学び続けていくことが大切になるでしょう。
ICDLを学習・受験する方法
それでは続いて、ICDLを学習し受験する方法について見ていきましょう。ICDLを学習する方法は以下のいずれかです。なお、原則として『確認テスト』『試験』は一貫したサービスとして受けることができます。
方法(1)eBookで学習をする
方法(1)eBookで学習をする
試験の申し込みをした方限定で「eBook」の教材を無料で受け取ることができるため、家にいながら学ぶこともできます。通常は英語版のテキストが配布されますが、パーソルビジネスプロセスデザイン経由で申し込みをした場合は、当社が日本語で解説したテキストを配布予定です。(2023年1月現在)
eBookはモジュールごとに作成されており、試験で出題される範囲の内容を効率的に学習できるコンテンツです。参考書のような形式であるため、eBookで知識を学習して確認テストで演習を行うようにしましょう。
方法(2)申し込みの際に付属される確認テストで学習する
方法(2)申し込みの際に付属される確認テストで学習する
ICDLの試験では、申し込みをした方限定で確認テストを解くことができます。
確認テストでは受験するモジュールに合わせた問題が1回当たり60問程度出題され、確認テストは3回までシステムによる採点を行うことが可能です。確認テストの採点が完了すると、すぐに結果が表示されるため、忘れないうちに間違った問題の振り返りをすることもできます。
ICDLの試験概要
前述したような学習や演習を終えた後、実際の試験へと進んでいきます。試験は運営団体が定めた試験会場で受験することができます。現在は試験会場でしか受験ができませんが、今後は「インターネット上」で申し込みから試験まで完結できるよう準備が進む予定です。
45分の制限時間の中で40問程度の出題があり、75%以上の得点で合格になります。合否はその場で判定され、結果は紙の合格証ではなくデジタル合格証として受け取ることになります。
受験費用は1モジュール12,000円(税込)となり、事前学習用のebookと確認テスト3回分も付属します。不合格の場合、1回のみ再受験料7,700円(税込)で再受験もできます。
ICDLの試験概要 | |
---|---|
制限時間 | 45分 |
問題数 | 40問前後 |
合格ライン | 75%以上の得点 |
受験場所 | 運営団体が定めた試験会場 |
費用 | 1モジュール 税込12,000円 |
5種類の認定プログラム
ICDLには以下のように5種類の認定プログラムが存在します。
- ICDLワークフォース(ICDL Workforce)
- ICDLプロフェッショナル(ICDL Professional)
- ICDLインサイト(ICDL Insights)
- ICDLスチューデント(ICDL Digital Student)
- ICDLデジタルシチズン(ICDL Digital Citizen)
ここでは、各認定プログラムについての特徴について解説していきます。
7-1. ICDLワークフォース(ICDL Workforce)
7-1. ICDLワークフォース(ICDL Workforce)
企業における一般的な従業員向けの認定プログラムです。デバイスやITツールを業務に活用することができる能力を認定します。IT技術の習得を通じて、職場の生産性の向上や、競争力のある労働力の育成を目的としています。
ICDLワークフォースには、主に以下のようなモジュールが含まれています。
- コンピュータやアプリケーションなどの基礎知識
- 文書作成
- プレゼンテーション
- スプレッドシート
- サイバーセキュリティ
- 情報リテラシー
- リモートワーク
7-2. ICDLプロフェッショナル(ICDL Professional)
7-2. ICDLプロフェッショナル(ICDL Professional)
データを分析し活用することで専門的な業務を遂行する方向けの認定プログラムです。業務におけるビジネスアプリケーションの活用方法やIT技術の基礎を学びます。ITの活用により、チームメンバーのマネジメントを行ったり、技術チームと協力したりすることのできる人材の育成を目的としています。
ICDLプロフェッショナルには、主に以下のようなモジュールが含まれています。
- プレゼンテーション(上級)
- 文書作成(上級)
- スプレッドシート(上級)
- 2D/3Dデザイン
- 画像編集
- デジタルマーケティング
- プロジェクトマネジメント
- 財務スプレッドシート
- データ分析
- コーディング
7-3. ICDLインサイト(ICDL Insights)
7-3. ICDLインサイト(ICDL Insights)
ITの専門家ではない、経営者や管理職向けの認定プログラムです。IT技術のトレンドや最新技術の概要を短期的に学習することで、社内外のIT技術者や専門家とスムーズな意見交換が行えるようになります。
様々な技術があふれかえる現代の中で、自分の組織運営にどういった技術を取り入れていけばいいのか、適切な選択ができるようにサポートすることを目的としています。
ICDLインサイトには、主に以下のようなモジュールが含まれています。
- クラウドコンピューティング
- IoT(モノのインターネット)
- AI(人工知能)
- ビッグデータ
- ブロックチェーン(※近日公開予定)
- インダストリー4.0(※近日公開予定)
7-4. ICDLスチューデント(ICDL Digital Student)
7-4. ICDLスチューデント(ICDL Digital Student)
主に小学校高学年~中学・高校生向けの認定プログラムです。教員側が担当する学生のニーズを満たしたり、必要なデジタルスキルを向上させたりできるように、学習するモジュールを柔軟に選択できることが特徴です。
この認定プログラムは多くの国の学校で採用されており、単位認定にも組み込まれているのが特徴です。また、大学の入学要件の一つにしている国もあります。
ICDLスチューデントには、主に以下のようなモジュールが含まれています。
- 書類作成
- プレゼンテーション
- マルチメディア(※近日公開予定)
- スプレッドシート
- データベース
- コーディング
- ロボット工学
- コンピュータやインターネットの基礎知識
- アプリケーションの基礎知識
- 情報リテラシー
7-5. ICDLデジタルシチズン(ICDL Digital Citizen)
7-5. ICDLデジタルシチズン(ICDL Digital Citizen)
コンピュータやインターネットの経験が全くない人向けの認定プログラムです。コンピュータや電子メール、インターネットなどを初めて使うための、基本的な知識について学習します。
ICDLの資格を取得するならパーソルビジネスプロセスデザインへ
わたしたちパーソルビジネスプロセスデザインは、ICDLの認定テストセンターとして指定されています。テストの実施を通して、現代で必要なデジタルのスキルレベルを上げるお手伝いをさせていただきます。
詳細についてはこちら(世界標準のデジタルスキル認定試験|ICDL)をご覧くださいませ。