【全16種類】福利厚生の種類とは?導入のメリットと注意点を解説

【全16種類】福利厚生の種類とは?導入のメリットと注意点を解説

働き方改革の推進に伴い、従業員の満足度やワークライフバランスの充実などが重要視されています。その対策として、改めて注目されているのが福利厚生です。

福利厚生と一括りにしても、住宅手当や児童手当のように金銭で支給されるものもあれば、従業員がはたらきやすい環境を整えるためのサービスなどさまざまあります。より効果的に福利厚生を取り入れるには、種類ごとに概要を把握することが大切です。

そこで今回は、福利厚生の種類や導入のメリット、注意点について解説します。

目次

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    福利厚生とは

    福利厚生とは、給与・賞与といった基本的な労働条件とは別に、企業が従業員やその家族に提供する報酬、サービスを指します。例えば、健康保険や雇用保険、労災保険などは福利厚生の一つです。

    ここでは、福利厚生の対象者と目的について解説します。

    福利厚生の対象者

    福利厚生は、正社員のみに提供されるのではなく、契約社員やパート、アルバイトなどの非正規雇用労働者も対象となります。2020年4月1日に「パートタイム・有期雇用労働法」に改正されたことを機に、福利厚生の対象が正社員やパートタイム労働者だけでなく、アルバイトや契約社員などの企業ではたらく全員に拡大しました。

    パートタイム・有期雇用労働法では、正社員と非正規雇用労働者が均等のとれた待遇ではたらけるように、不合理な待遇差を制限しています。勤務形態の違いを理由に福利厚生の内容に差がある場合は、法令違反に該当します。

    福利厚生の目的

    福利厚生の大きな目的は、従業員とその家族が健康面・経済面ともに安定した暮らしを営み、安心してはたらける環境を提供することです。

    また、企業にとっては福利厚生を充実させることにより、応募者数の増加や離職防止という狙いもあります。そのため、福利厚生は労使関係を安定させる上で重要な制度といえるでしょう。

    福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2分類がある

    福利厚生の種類

    福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つに分けられます。

    法定福利厚生とは、法律で定められた福利厚生のことです。具体的には以下の6種類が挙げられます。

    • 健康保険
    • 雇用保険
    • 厚生年金保険
    • 労災保険
    • 介護保険
    • 子ども・子育て拠出金

    一方で、法定外福利厚生とは、企業が独自で提供できる福利厚生のことです。法定外福利厚生は、提供することが法律で定められていないため、義務ではありません。しかし、法定外福利厚生の充実は、競合他社との差別化や対外的なイメージアップにつながります。

    法定外福利厚生の種類は企業によって異なりますが、例として以下のようなサービスが挙げられます。

    • 健康・医療(人間ドック、運動施設の整備など)
    • 住宅(住宅手当、引越し費用補助など)
    • 職場環境(テレワークの導入、フレックスタイム制度の導入など)
    • 慶弔・災害(結婚祝い金、傷病見舞金など)
    • 育児・介護(育児休暇、介護休暇など)
    • 交通関連(通勤手当、ガソリン代補助など)
    • 休暇(リフレッシュ休暇、誕生日休暇など)
    • 財産形成(確定給付企業年金、財形貯蓄制度など)
    • 文化・体育・レクリエーション(社員旅行の費用補助、社内イベントの開催など)
    • その他(資格取得補助、海外研修制度など)

    【全6種類】 法定福利厚生の種類と内容一覧

    ここでは、法定福利厚生の種類と内容について詳しく解説します。

    1.健康保険

    健康保険とは、病気やケガ、死亡、出産などに備えて、医療給付や手当金などを支給して生活を安定させることを目的とした保険制度のことです。対象の企業は、従業員と月々一定額の健康保険料を折半して健康保険組合に納めます。従業員の病気やケガの際に必要となる費用の一部を健康保険組合が給付してくれるという仕組みです。

    健康保険は、社員数が101人以上の企業が対象であり、以下の条件をすべて満たした人の加入が義務付けられています。

    • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
    • 2ヶ月を超える雇用期間が見込まれる
    • 月額賃金が8.8万円以上である
    • 学生ではない

    また、健康保険料は、「毎年4?6月の給与の平均額×健康保険料率」にて算出されます。この場合の給与とは、残業代や通勤手当などを含めた金額です。なお、健康保険料率は健康保険組合によって異なります。

    2.雇用保険

    雇用保険とは、従業員が失業したり、雇用の継続が困難となったりした際に、その人の暮らしや雇用が安定するために必要な費用を給付する保険のことです。ほかにも、職業訓練を受けたり、子どもの養育のために休業したりする際にも給付されます。雇用保険は、失業後の再就職や育児、介護など一時的に収入が減少する人に対して支援します。

    規模を問わず、労働者が1人以上在籍している企業は、雇用保険に加入させなければなりません。なお、雇用保険の加入対象者は、以下の条件を満たす従業員です。

    • 31日以上の雇用が見込まれる人
    • 1週間の所定労働時間が20時間以上

    また、雇用保険料は、原則として給与額に雇用保険料率を掛けて算出します。雇用保険料率は年度ごとに変わる可能性があるので注意が必要です。2024年度は、労働者が負担する雇用保険料率は0.6%、事業者が負担する雇用保険料率は0.95%となっています(※1)。ただし、雇用保険料率は業種によって異なるため、自社の雇用保険料率を確認することが必要です。

    (※1)出典:厚労省「令和6年度の雇用保険料について

    3.厚生年金保険

    厚生年金保険は、加入した従業員が老齢・障害・死亡などによる稼働所得を補填し、高齢者や障害者、遺族の生活を保障する年金制度のことを指します。厚生年金は、法人事業所や常時5人以上の従業員が在籍している個人事業所であれば加入させなければなりません(※2)。なお、以下の条件を満たす従業員の加入が義務付けられています。

    • 70歳未満である
    • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
    • 月額賃金が8.8万円以上である
    • 学生でない

    厚生年金保険料は、給与額に18.3%を掛けて算出します(※3)。また、企業と会社が折半して負担するため、給与明細に記載される保険料の倍額が実際の納付額です。

    (※2)出典:日本年金機構「適用事業者と被保険者

    (※3)出典:日本年金機構「厚生年金保険料額表

    4.労災保険

    労災保険とは、業務によりケガや病気・死亡した際に、従業員もしくはその遺族のために金銭を給付する保険のことです。健康保険も同様に病気やケガによる金銭的な負担を支える制度ですが、労災保険は業務中もしくは通勤中に発生した災害に限られる点が異なります。

    雇用形態を問わず一人でも在籍している企業の従業員は、労災保険に加入しなければなりません。労災保険料の負担率は業種によって異なりますが、企業がすべて負担する必要があります。

    5.介護保険

    介護保険は、高齢化社会において介護に関する負担を社会全体で支えるために設けられた保険です。介護保険に加入している人は、介護が必要となったときにかかる費用の原則1割の負担で介護サービスを利用できます。

    介護保険は、企業ではたらいている40歳以上の人が対象です。なお、介護保険は一定の条件を満たした40~64歳までは第2号被保険者、65歳以上の人は第1号被保険者と2つに分類されます(※4)。

    第2号被保険者が介護サービスを受けられる条件は、心身の加齢によって起因する疾病が原因で、要介護認定をされた人です。一方で、第1号被保険者は原因を問わずに要介護認定をされた人が介護サービスを受けられます。

    介護保険料率は2024年3月から1.6%に改定されており、企業と従業員で折半して支払います。

    (※4)出典:厚労省「介護保険制度について

    6.子ども・子育て拠出金

    子ども・子育て拠出金は、子育て支援を目的として企業が納める税金です。全額を企業が負担し、厚生年金と合わせて徴収されます。子どもの有無に関係なく、厚生年金に加入している全従業員が対象です。

    以前は、拠出金率が毎年度引き上げられていました。しかし、2020年4月に0.36%と改定されて以来据え置かれており、2024年度も変わっていません(※5)。

    (※5)出典:日本年金機構「子ども・子育て拠出金率が改定されました

    【全10種類】法定外福利厚生の種類と内容一覧

    【全10種類】法定外福利厚生の種類と内容一覧

    ここでは、法定外福利厚生の種類と具体例、従業員一人あたりの導入費用の目安について解説します。

    1.健康・医療

    健康・医療の福利厚生は、従業員やその家族の健康増進、ヘルスケアサポートに関連するサービスの提供や費用を補助するのが目的です。具体例としては以下の項目が挙げられます。

    • 健康診断・人間ドックの費用補助
    • スポーツジムに関する費用補助
    • カウンセリングの実施
    • 医務室の設置
    • 運動施設の整備
    • スポーツレクリエーションの開催
    • 運動インセンティブの付与

    健康・医療関連の福利厚生にかかる1ヶ月の従業員一人あたりの費用目安は約3,000~5,000円です(※6)。

    従業員の健康は、企業の業績や生産性に直結します。健康・医療に関する福利厚生の充実により、従業員の生産性が上がるほか、中長期的に見ると健康的な従業員が増えることで、医療費軽減も期待できるでしょう。

    2.住宅

    住宅の福利厚生は、従業員の暮らしにおいて、大きな負担となる住居にかかる費用をサポートするのが目的です。具体例には、以下の項目が挙げられます。

    • 住宅手当
    • 引越し費用補助
    • 住宅ローン整備
    • 社宅・社員寮の整備

    住宅に関する福利厚生にかかる1ヶ月の従業員一人あたりの費用目安は約12,000円です(※7)。住宅関連の費用は、毎月継続的に発生するため、企業からの補助があれば従業員の負担を大きく軽減できます。その結果、従業員の満足度が向上し、離職防止につながるでしょう。

    3.職場環境

    従業員が快適にはたらける職場環境の整備を目的とした福利厚生です。具体例には以下の項目が挙げられます。

    • テレワークの導入
    • フレックスタイム制度の導入
    • デバイスの支給
    • 休息スペースの整備
    • カフェテリアの設置

    働き方改革の推進により、テレワークやフレックスタイム制度など多様なはたらき方が注目されるようになりました。職場環境に関する福利厚生が充実することで、育児や介護などさまざまな事情を抱えた従業員も安心してはたらけます。その結果、従業員の満足度向上や生産性向上に期待できるでしょう。

    なお、福利厚生の導入費用目安は、整備する項目によって異なります。

    4.慶弔・災害

    慶弔・災害に関する福利厚生では、従業員やその家族に慶事や不幸があった際に現金を支給するケースが一般的です。具体例には以下の項目が挙げられます。

    • 結婚祝い金
    • 出産祝い金
    • 傷病見舞金
    • 死亡弔慰金
    • 災害見舞金

    慶弔・災害関連の福利厚生は、日常的に発生するものではありません。しかし、万が一のために整備されていると、従業員に安心感を与えます。1ヶ月の従業員一人あたりにかかる費用目安は約500円です(※8)。

    5.育児・介護

    育児や介護を行う従業員をサポートすることを目的とした福利厚生です。具体例には以下の項目が挙げられます。

    • 育児休暇
    • 産前・産後休業
    • 介護休暇
    • 看護休暇
    • 入園・就学費用補助
    • 病児保育補助
    • 介護費用補助
    • 短時間勤務制度
    • 託児所の設置

    ワークライフバランスの実現にあたり、育児や介護をしながらはたらける職場の整備は欠かせません。育児休暇や介護休暇のように法律で定められた法定休暇だけでなく、企業が独自の福利厚生を導入することで、従業員の離職防止につながります。

    1ヶ月にかかる従業員一人あたりの費用目安は、導入する制度によってさまざまです。例えば、休暇のみであれば月額数十円程度に収まるでしょう。費用補助も導入する場合は、月額500円程度が目安です(※9)。

    6.交通関連

    通勤に関するサポートを目的とした福利厚生です。具体例には以下の項目が挙げられます。

    • 通勤手当
    • ガソリン代補助
    • 駐車場代補助

    交通関連の福利厚生が充実していると、遠方に暮らす従業員も安心して通勤しやすくなります。通勤手当やガソリン代補助の支給は、企業から離れた場所に住んでいる従業員にとって必要です。

    なお、交通関連の導入費用は、通勤の距離で決められていたり、公共交通機関を利用した場合のみ費用が発生したりするなど、企業によって異なります。

    7.法定外休暇

    法定外福利厚生では、年次有給休暇や介護休暇などの法律で定められた法定休暇以外に、企業が独自に休暇を設けるケースがあります。具体例には以下の項目が挙げられます。

    • リフレッシュ休暇
    • アニバーサリー休暇
    • 誕生日休暇
    • ボランティア休暇
    • 慶弔休暇

    適度な休暇は、従業員のモチベーションを上げる上で重要です。また、休暇制度が充実している企業は対外的な印象もよく、採用力の強化につながるでしょう。

    なお、休暇制度の導入にかかる費用は、給与が発生するか否かによって異なります。

    8.財産形成

    従業員の老後資金の準備や投資活動の促進など、財産形成をサポートする福利厚生です。具体例には、以下の項目が挙げられます。

    • 確定給付企業年金
    • 財形貯蓄制度
    • 社内預金制度
    • 株式累積投資制度
      従業員持ち株制度

    財産形成は、従業員が安定して生活を営む上で重要な取り組みです。また、財産形成によって金銭的な不安を取り除くことで、業務に集中しやすくなり生産性向上も期待できるでしょう。なお、一般的な費用目安としては、従業員一人あたり月額1,000~1,500円程度です(※10)。

    9.文化・体育・レクリエーション

    従業員同士のコミュニケーションの活性化やストレス解消を目的とした福利厚生です。具体的には、以下の項目が挙げられます。

    • 社員旅行の費用補助
    • サークル活動費用補助
    • 保養施設の利用補助
    • レジャー施設の利用補助
    • 宿泊施設の割引補助
    • 社内懇親会の費用補助
    • 運動会の開催
    • 社内イベントの開催

    従業員間でスムーズに意思疎通を図るには、互いを知るための時間が必要です。福利厚生の活用により、従業員間の交流が深まれば、強固な協力体制が築きやすくなります。

    なお、文化・体育・レクリエーションにかかる1ヶ月の費用目安は、従業員一人あたり2,000円程度です(※11)。

    (※6-11)出典:経団連「第64回 福利厚生調査結果報告(P7)

    10.その他

    法定外福利厚生は、企業が自由に設けられる制度であり、独自性の高いサポートを取り入れるケースも多く見られます。具体的には以下のような項目が挙げられます。

    • 資格取得補助
    • 海外研修制度
    • 図書購入費補助
    • ショッピング費用補助
    • 保険サービス提供
    • 定年退職後の保養施設整備
    • 定年退職後の医療保障

    このうち、資格取得や海外研修、図書購入費などは自己啓発に関する福利厚生制度に該当します。そのほかにも、ショッピング費用補助や保険サービス提供などは従業員の生活をサポートする福利厚生です。また、定年退職後の保養施設整備や医療保障など、退職後のサポートを提供している企業もあります。

    福利厚生の市場規模

    一般社団法人日本経済団体連合会が2020年12月18日に発表した「2019年度福利厚生調査結果報告」では、2019年度の福利厚生費の従業員一人あたりの一ヶ月平均は108,517円と記載されています。このうち、法定福利厚生費が全体の77.8%を占めており、84,392円となりました。同報告によると、法定福利厚生費は1981年以降上昇傾向にある一方で、法定外福利厚生費用は減りつつあります。

    法定外福利厚生は企業が独自に設けられる点が魅力ですが、多くのサービスの中から何を選べばよいかわからないという方も多いでしょう。また、自社で運用することが難しい点も法定外福利厚生が減少している理由と考えられます。

    しかし、福利厚生の充実は、従業員の満足度向上において重要なポイントです。減少傾向にある法定外福利厚生制度がしっかりと備わっていると、採用力の強化にもつながるでしょう。

    【労使関係別】福利厚生を活用するメリット

    ここでは、福利厚生を活用するメリットについて、労使関係別に解説します。

    従業員が福利厚生を活用するメリット

    福利厚生の充実は、従業員にとって大きなメリットをもたらします。主なメリットは以下の3点です。

    経済面で豊かになる

    福利厚生制度には、金銭的なサポートを目的とした項目が多くあります。例えば、住宅手当や通勤手当、資格取得にかかる費用補助、介護費用補助などが挙げられます。これらは本給に加えて支給されるため、手取り額が増えることで経済面が豊かになる点が大きなメリットです。

    また、財産形成に関する福利厚生が充実していれば、将来的な金銭の不安を軽減できます。

    健康の維持・増進ができる

    心身ともに健康の維持や増進ができる点も、従業員が得られるメリットの一つです。

    少子高齢化が進む中で、企業の定年退職の年齢も従来の60歳から引き上げるケースが増えています。従業員が長くはたらくためには、健康であることが欠かせません。また、健康状態が悪いと、人為的ミスや作業効率の低下が懸念されるでしょう。

    健康診断や人間ドック、病気・ケガの予防を目的としたサービスなどの福利厚生が充実することで、従業員はより集中して業務に取り組みやすくなります。

    はたらきがいが向上する

    福利厚生の充実は、従業員のモチベーションやはたらきがいを向上させる上でも重要なポイントとなります。

    例えば、フレックスタイム制度やテレワークを導入することで、ライフスタイルを問わず誰もが力を発揮できる職場環境の整備が可能です。また、スキルアップを望む従業員にとっては、研修制度や自己啓発のサポートが役立つでしょう。

    このように、多様化する従業員のライフスタイルや目標に寄り添った福利厚生が充実すると、職場への信頼も厚くなります。

    企業が福利厚生を活用するメリット

    福利厚生は、従業員だけでなく企業にとってもメリットがあります。主なメリットは以下の3点です。

    採用・定着率が向上する

    福利厚生が充実している企業は、従業員にとって仕事と生活のバランスを取りやすく、かつ業務に集中しやすいため業績向上が期待できます。その結果、従業員の職場に対する満足度が上がり、定着率も向上するでしょう。

    また、求職者にとっても福利厚生が充実しているかは職場選びのポイントとなります。特に、独自性が高く魅力的な福利厚生を提供している企業は、求職者の興味を引きやすく人材と出会うきっかけとしても効果的です。

    生産性が向上する

    福利厚生を活用すると、従業員の健康管理やモチベーションの向上を図りやすくなります。従業員が心身に不調をきたした状態では作業効率が低下してしまう可能性があるでしょう。一方で、従業員の健康状態が良好であれば、ミスや対応忘れなどが減りスムーズに業務を遂行できます。

    また、福利厚生の充実により社内の雰囲気がよくなることで、コミュニケーションが活性化し、円滑な情報共有が可能です。その結果、判断や問題解決のスピードも上がり、さらに生産性が向上します。

    企業イメージの向上につながる

    福利厚生が充実すると、従業員や求職者からの評価が上がり、企業イメージの向上につながります。企業イメージとは、従業員だけでなく顧客や株主、取引先などがその企業に対して抱く印象です。ブランドイメージとも呼ばれ、人材定着や採用促進、他者との差別化を図る上で重要なポイントとなります。また、企業イメージが上がると消費者から選ばれる企業になりやすく、収益拡大にも寄与するでしょう。

    【従業員側・企業側別】福利厚生を活用する際の注意点

    福利厚生を活用する際は、注意点を抑えることが肝要です。ここでは、従業員側・企業側それぞれの注意点を解説します。

    従業員側の注意点

    福利厚生の活用に関する従業員側の注意点は以下の2つです。

    制度の認知度が低く利用方法がわからない場合がある

    従業員によっては、福利厚生制度が設けられていることを把握していないケースがあります。また、制度自体は認識していながら、利用方法がわからずためらう方も多いでしょう。

    2020年7月に独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」によると、財政貯蓄や社内預金、社員食堂など利用率の高い制度もありますが、一方で住宅関連の融資制度や法定を上回る育児休業制度、ボランティア休暇制度などの利用率は1桁台です。

    福利厚生制度は、従業員にとって得られるメリットが大きく、モチベーションの向上につながるため、誰もが利用できるように認知度を上げる必要があります。

    利用手続きが煩雑で利用を諦めてしまう場合がある

    福利厚生制度の利用に伴い、複数枚の申請書を作成する必要があったり、多くの添付書類が求められたりするケースがあります。制度自体に魅力があったとしても、利用手続きが煩雑だと面倒に感じる方もいるでしょう。

    福利厚生の利用率を上げるためには、できるだけシンプルな流れで活用できるように手続き方法を見直すことが大切です。

    企業側の注意点

    福利厚生の活用に関する企業側の注意点は以下の4つです。

    導入した福利厚生を認知してもらう必要がある

    福利厚生を導入しても、従業員が把握できていなければ名目ばかりの制度となってしまいます。多くの従業員が福利厚生を利用できるように、導入後は認知してもらうことが大切です。

    例えば、社内報や社内SNSなどは、福利厚生を広く周知するのに役立ちます。また、定期的に説明会を開くと、より具体的な内容を認知してもらいやすいでしょう。このように、福利厚生を広める機会を多く設けることで、従業員の認知度が上がりやすくなります。

    従業員からの追加要望に対応する

    福利厚生の利用率を上げるには、制度導入後のブラッシュアップも重要です。従業員によっては、福利厚生の内容や利用について不満を抱えていることがあります。

    例えば、文化・体育・レクリエーションに関する福利厚生は、趣味やライフスタイルに左右されやすく、メリットを感じない従業員も見られるでしょう。また、住宅手当や通勤手当などは、申請できる従業員が限られるため不公平感を与える可能性があります。

    こうした不満や不公平感を解消するには、福利厚生の運用中も従業員からの要望を考慮した上で改善が必要です。

    導入にコストがかかる

    福利厚生を導入するにあたって、コストがかかる点は避けられません。例えば、法定福利厚生の一つである健康保険は、従業員の所得に比例して企業が支払う費用も増えます。

    法定外福利厚生は任意で提供できますが、従業員の満足度や企業イメージの向上を図るには制度の充実が求められるでしょう。福利厚生の内容によっては、企業側に大きな費用負担がかかるケースもあるので、十分に検討した上で導入する必要があります。

    導入・管理の負担がかかる

    福利厚生を活用するデメリットとして、導入や管理にかかる負担も挙げられます。あらたな制度を円滑に運用するには、費用だけでなく事務周りを管理する従業員が必要です。人事労務における通常業務を遂行しながら、別途福利厚生に関する手間が増えれば、本来注力すべき業務の妨げになりかねません。

    こうした福利厚生の導入・管理の負担を軽減させる上で役立つのが、人事・労務BPOです。専門知識やスキルを持った外部の業者に任せることで、従業員の手間が省けるだけでなく、より充実した福利厚生を提供できるようになります。

    福利厚生の導入・管理の手間を軽減したい際はパーソルビジネスプロセスデザインへご相談ください

    福利厚生は、従業員の満足度や企業イメージ向上につながる重要な制度です。しかし、大きく分けると法定福利厚生と法定外福利厚生の2パターンがあり、それぞれに多くの種類があります。特に、法定外福利厚生は企業が独自に設けられるため、どのような制度を用意するべきか悩む方も多いでしょう。また、導入後の管理にかかる負担が課題となっている企業もあります。

    福利厚生の導入や管理の手間を軽減させるには、人事・労務BPOサービスの活用がおすすめです。パーソルビジネスプロセスデザインでは、他分野での豊富な運用実績があり最適な提案を行います。福利厚生の運用開始後も、品質向上に向けたマネジメントを行うため、継続的な改善が可能です。

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