就労証明書とは
就労証明書は、従業員が勤務していることを公的に証明するための書類です。在職証明書や在籍証明書、就業証明書とも呼ばれます。就労証明書には従業員の就労先や就労日数、就労時間が詳細に記載されており、従業員からの申請を受けて人事部が作成するものです。
保育園・学童の入所に必要な「就労証明書」
保育園や学童への入所申請には、保護者の就労情報を証明する必要があります。ここでいう「保護者」とは、従業員のことです。フルタイム勤務や時短勤務であっても、就業している従業員は家庭で保育できない時間帯があります。したがって企業は従業員が働いていることを証明し、従業員は証明書を用いて保育サービスを利用します。就労証明書を作成・発行することは、従業員とその家族のよりよい保育環境を整えるうえで必須のプロセスといえるでしょう。
就労証明書の作成対応は、どの部署がおこなう?
就労証明書の作成は、主に人事や労務関連の部署が行います。主な理由としては従業員の雇用状況や勤務時間など、労働に関する詳細な情報が必要とされるためです。これらの情報は一般的に人事や労務部門が管理しています。企業によっては人事と総務が人事総務部のように統一されており、兼務で対応に当たっていることも。部署名や部署の位置づけは企業ごとにさまざまですので、就労証明書の作成・発行・管理に携わる担当者さまはこのままご覧ください。本記事では「人事部」と称して解説します。
就労証明書を提出するタイミング
保育園や学童に入園する際、就労証明書の提出タイミングは一般的に前年の11月頃です。なお継続利用の場合は毎年1月頃に必要とされます。その他、転居を伴う転勤や転職など、はたらき方が変わった場合なども申請タイミングに該当します。詳細は従業員が居住している自治体ごとに指定されているため、適切な確認が必要です。
人事・労務の繁忙期は11月~1月
11月から1月にかけて、従業員から人事部に対して就労証明書作成の依頼が集中します。この期間には年末調整や社会保険の手続きなども発生し、人事部の負荷は増大。また、企業によっては人事評価と賞与計算、来期の採用計画や内定者フォローなどの対応も重なり、業務の効率化が重要視されています。こうした繁忙期のみ、業務の外注や人材派遣サービスを利用した増員を行う企業も多いでしょう。ただし、増員者に対して『業務教育をおこなうこと』が人事担当者の負担を増やす可能性も忘れてはいけません。
手書きによるアナログ対応が必要
自治体によっては、データ入力ではなく手書きで就労証明書の作成が必要になります。当社調べによると、大手企業では繁忙期に一日100件を超える発行申請があり、書類一件あたりの作成所要時間は約50分でした。つまり、20営業日であれば一ヶ月に約1,670時間を処理に費やします。手書きのため、記載ミスがあれば再作成が必要に…。現在の構成人数にもよりますが、他にもコア業務を抱える中で、時間を人数で割った際に頭を抱える部門責任者も多くいらっしゃるかと思います。
自治体ごとに様式が異なる
就労証明書は従業員が居住している自治体ごとに、設問やレイアウトなど”様式”が異なっています。例えば、ある自治体では勤務時間や勤務形態の詳細を記載するための欄があり、別の自治体では勤続年数や所得額を記載するための欄が設けられていることも。こうした事情から人事部は証明書作成のテンプレートを用意できず、業務工数の圧縮が難しくなっています。
不定期での対応発生も
就労証明書の作成依頼は、不定期に生じることがあります。従業員が転居した場合や子どもが保育園に途中から入園する場合など、予期せぬタイミングで就労証明書の作成が求められることがあるためです。中途採用した従業員からの申請も起こり得ます。特に従業員数の多い企業では『毎月、何件の申請が届くか』予測できません。しかしながら自治体の提出期限に合わせるため、従業員からの申請を受け取り次第、速やかに対応する必要があります。
業務量が読めないことで、人事部へ専任者を置きづらい・無期正社員を増やしづらいと悩む部門責任者も少なくありません。このような責任者の悩みは得てして部門の属人化、担当者の疲弊を招くため、まずは就労証明書の対応フローを明確に把握しておく必要があります。次の章にて詳しく見ていきましょう。
就労証明書を提出するまでの流れ(企業と従業員の対応)
就労証明書を自治体に提出するまでの流れを説明します。すでにご存じの方は、次の章へ進めてください。従業員と人事部が連携して対応するため、従業員へのアナウンスや人事部門のマニュアル整備の参考になれば幸いです。それでは流れを確認していきましょう。
1.自治体から就労証明書を取得(従業員)
保育園や学童施設への入園申請に際し、最初に従業員が自らの居住する自治体から就労証明書の書類を取得します。先述の通り自治体ごとに様式が異なるため、居住している自治体のHPを確認しましょう。提出期限に遅れると保育サービスを利用できないため、HPからの確認で不安があるときは自治体の窓口へ念のため直接確認することを推奨します。
2.勤務先に就労証明書の作成を依頼(従業員)
従業員が自治体から就労証明書を所得したら、所属の企業へ記載を依頼します。書類の提出方法は自治体の定める様式と企業ごとのルールによってさまざまで、データ提出・紙の郵送、出社して社内便で送る場合もあります。所属企業の人事部が対応することもあれば、関連会社が一括して業務を担っていることもあるため、提出先の事前確認は必須です。また、従業員に書類が返送されるまでの所要日数も企業ごとに異なるため、余裕を持って早めに企業へ依頼しましょう。
3.人事システムを参照し、書類を作成(人事部)
従業員から書類を受け取ったら、人事部が作成業務に入ります。様式ごとに必須や任意の記入項目が異なるため、人事システムを参照しながら正確な記入が求められます。必須項目に対して複数の人事システムを参照しなければならない可能性があり、企業によっては工数が増えることも。特に初めて本対応を行う人事担当者は混乱しがちなため、所属企業において『どの人事システムに、何の従業員情報が入っているか』は一覧化しておくと工数削減やミス防止につながります。
なお従業員の住所更新漏れが原因で、書類の作成を中断して従業員へ差し戻すことも。システムへの登録情報は最新化しておくよう、日ごろから従業員へアナウンスしておきましょう。
4.従業員に書類を返送(人事部)
書類の作成が完了したら、人事部から従業員へ書類を返送します。返送方法は、郵送、社内便、直接手渡し、データ返送など企業によってさまざまです。すべての従業員が余裕を持ったスケジュールで作成を依頼することはなく、至急の対応依頼となることもあります。また、人事部側の記載ミスで自治体の提出期限が迫ってくることも考えられるでしょう。大量の申請が一時期に集中することも想定して、着実に実行できる返送スケジュールを立てることが望ましいです。
5.自治体に就労証明書を提出(従業員)
人事部から書類が自宅へ郵送されます。書類を受け取り次第、従業員から自治体へ就労証明書を提出しましょう。原本の郵送が必須な自治体もあるため、自治体への到着を期限と考えて提出する必要があります。発送から自治体への到着までの所要時間を見誤り、申請が受理されないとなっては困りますので、提出タイミングには特に注意が必要です。速達の利用をすべきか、念のため自治体の窓口に確認しておくこともおすすめです。
以上が就労証明書を提出するまでの流れとなります。こうした対応をはじめておこなう従業員も多いため、提出期限に間に合わないトラブルも起こりがちです。よって次の章では、従業員と企業ごとに留意したい対応事項をまとめました。繰り返しの案内も含まれますが、対応ガイドラインとして押さえておきましょう。
【従業員編】就労証明書の準備~提出で留意したいポイント
まず従業員が就労証明書の準備から提出で留意したいポイントの解説です。大きく以下の4つが挙げられます。
- 居住している自治体・保育所ごとにフォーマットが異なる
- 共働きなら二人分を用意する必要がある
- 祖父母の申請も必要な場合がある
- 提出期限を確認し、余裕をもって対応依頼する
従業員個人の留意点ですが、人事部としては適切にアナウンスしておきたいところです。それぞれについて解説していきます。
居住している自治体・保育所ごとにフォーマットが異なる
就労証明書の作成においては、居住している自治体や保育所ごとに要求されるフォーマットが異なります。地域や施設によって、提出を求められる書類の詳細や形式が独自の規定を持っているため、正しいフォーマットの確認が必須です。特定の保育所では、標準フォーマットに追加情報を記入する書類が別途必要になることがあるため、保育所のルールも事前に確認しておくようアナウンスできると、人事部の対応としては丁寧です。繰り返しになりますが、就労証明書の提出が必要になった際には、従業員が住む自治体や子どもを預ける保育所の規定を事前に把握し、適切な書式で速やかに準備することが重要です。
共働きなら二人分を用意する必要がある
従業員が共働きであれば、二人分の就労証明書が必要です。保護者双方の就労状況を評価基準の一つとして保育施設が用いるため、両親それぞれの雇用状況を明確にする必要があります。つまり、二人の親がそれぞれ自身の勤め先から発行された就労証明書を用意して提出することが求められます。企業としては保護者双方のいずれかが就業していれば一人分の対応案内となりますが、重要なのは従業員が仕事と家庭を両立できるようサポートすることです。共働きのケースも想定したアナウンスを従業員に行うことができれば、より安全に従業員が保育サービスを利用できるでしょう。
祖父母の書類も必要な場合がある
祖父母が児童の保護者である場合、祖父母の就労証明が必要になります。また、自治体によっては『就労している祖父母と同居している場合』に、祖父母の就労証明書の提出を求められることも。祖父母の年齢も「60歳未満」「65歳未満」など、自治体によって定義が異なるため、利用したい保育サービスと自治体からの詳細案内は必ず確認しましょう。
提出期限を確認し、余裕をもって対応依頼する
保育園や学童に申請する際に求められる就労証明書は、その提出期限を確実に確認し、余裕をもって人事部に対応を依頼することが極めて重要です。提出期限を過ぎてしまうと、たとえわずかな遅れでも申請が受け付けられず、希望する保育園や学童への入所が遅れる、あるいは最悪の場合は受け入れを断られてしまう可能性があります。保育サービスを利用できない事態を避けるため、従業員に対しては提出期限の把握と早めの証明書発行依頼をアナウンスしましょう。従業員ははじめて親になり、本対応に不慣れなことも多分に予想されますので、丁寧かつ明確な案内が求められます。
【人事部編】就労証明書の作成で留意したいポイント
従業員への案内とは別に、人事部として留意したいポイントも大きく4つ挙げられます。
- 人事システムの登録情報が最新であるか
- 一ヶ月の最低勤務時間を超えているか
- 押印の要否と種類
- 適切な人員配置・体制構築
対応の遅れは従業員の活躍機会を損なうリスクが伴いますので、徹底して効率よく業務を遂行しましょう。それぞれについて解説していきます。
人事システムの登録情報が最新であるか
人事システムの登録情報は常に最新の状態に保つことが重要です。当然のことながら、最新の情報をもとに正確な就労証明書を作成する必要があるためです。たとえば住所や扶養家族情報などは、従業員に最新化をお願いする項目です。一方で従業員の入退職や産育休、勤怠履歴などは人事部で管理します。不正確な情報が人事システムに記載されたまま放置された場合、誤情報は就労証明書の作成に影響を及ぼします。誤った情報で保育サービス利用申請のトラブルを招かないよう、従業員へのアナウンスと人事システムの保守運用を徹底しましょう。
一ヶ月の最低勤務時間を超えているか
就労証明書の作成にあたっては、一ヶ月の最低勤務時間の確認が欠かせません。保育園や学童を利用するためには、保護者(従業員)が一定以上の勤務時間を有している必要があるためです。固定就労や変則就労など、従業員のはたらき方によって保育所側の採点が変わるため、事実に即して適切に勤務時間を計算しましょう。
なお従業員が産休・育休中の場合は、休業前の就労実績を記入する必要があります。この際「就労実績」「産前産後休業の取得」「育児休業の取得」の期間が連続しており、切れ目がない状態が基本となります。従業員が月途中で産休を取得するなどして労働時間の計算にイレギュラーが生じる場合は、自治体によって方針が異なるため適宜確認が必要です。
押印の要否と種類
就労証明書作成時の押印の有無や種類についても、提出先の自治体によって異なります。ただ、昨今では「押印不要化」とする自治体が増えており、事業者の事務的な負担が減りつつあるでしょう。
就労証明書は、就労事由により保育の必要性の認定を受けようとする保護者が上記添付書類として提出するものであり、法令上押印を必要としているものではないところ、各市区町村の判断で押印を求めているものである。押印不要化に当たっては、認定に係る事務を実際に行っている各市区町村の実態把握(押印を必要とする理由等の精査を含む)をした上で、方向性を示すこととしたい。
最新情報は従業員が居住している自治体のHPを確認することが望ましいです。こども家庭庁のWebサイトから押印必須の市町村一覧が確認できるので、併せてご参考ください。
出典:子ども家庭庁「就労証明書における押印を必須としている市町村一覧(令和5年10月1日時点)」
適切な人員配置・体制構築
部門責任者にとっては耳の痛い話かもしれませんが、就労証明書の作成には、やはり適切な人員配置と体制構築が必要です。特に従業員の多い企業の場合、毎月の作業量が読めず、繁忙期は人事部社員の残業が増えていることも多いかと思います。人事部の人員不足で既存社員に負荷をかけ続けた結果、経験豊富な社員が疲弊して休職・退職するケースもよく見られます。ぜひ人事現場の声に耳を傾けて、現在の人員で本当に問題がないか確認してください。現状を客観的に判断するためには、作業量や作業プロセス、所要時間を割り出すことも重要といえます。
待望の電子化?2024年4月から書類様式が全国統一に(こども家庭庁)
こども家庭庁は就労証明書の標準的な様式を提示し、これを2024年4月の入園から適用するよう各自治体へ依頼しました。
出典:こども家庭庁育成局保育政策課「就労証明書の標準的な様式について(周知)」
申請書の様式が全国統一となった際、こども家庭庁とデジタル庁が連携して、マイナンバー制度を利用したオンライン申請(電子化)も計画されていました。しかし、結論として電子化は2023年10月に一時見送りとなっています。
標準的な様式を使うことで良いのか?申請フローに変更は発生したのか?など、細かく解説していきます。
※本記事は2024年5月時点の情報です
2024年度は引き続き従業員から自治体へ書類提出
標準的な様式を打ち出した当初、こども家庭庁としては企業から自治体へ就労証明書をオンライン提出する構想でした。しかし、2024年度は従前の通り「従業員が自ら自治体へ提出する」フローのままとなっています。理由として、就労証明書と保育サービスへの入所申し込みを別々に行うことで想定される事務手続きのミスや管理負担などが挙げられています。
質問:企業等事業者による直接提出方式の検討を止めた理由を教えて欲しい。
回答:就労証明書と入所申込を別々に行う事により、紐付に必要な情報の連絡 /入力ミスや、企業等事業者が提出先市区町村を誤ること等が発生し、就労証明書が正しく提出されないことに伴う申請者への不利益が生じることが想定されるほか、紐付事務及び片方のみ提出された場合の管理負担が市区町村側に新たに生じるなど、企業等事業者が直接市区町村に提出することにより、メリット以上のデメリットが見込まれるため検討を取りやめたところです。
将来的にはマイナンバー制度を利用したオンライン申請が実装され、事務手続きや管理・連携も整備されることを期待しましょう。
標準的な様式を利用していない自治体もある
2024年4月の入園分から標準的な様式を利用するよう、こども家庭庁から各自治体へ要請されました。要請を受けて標準的な様式を適用した自治体もありますが、独自の様式を採用し続けている自治体もある実情です。独自様式を活用している自治体のなかでも、今後の活用予定について『令和6年度(5月以降)入所分から活用予定』『活用するか検討中』『活用する予定はない』など、準備状況や姿勢がさまざまです。詳細は以下から一覧できますので、各自治体の動向をチェックしたい場合はご確認ください。
出典:
こども家庭庁「令和5年5月に提示した標準的な様式を、令和6年4月入所分から活用している自治体(令和5年10月1日時点)」
こども家庭庁「令和5年5月に提示した標準的な様式を、令和6年4月入所分から活用していない自治体(令和5年10月1日時点)」
人事部や従業員の負担を減らすために、標準的な様式が今後統一されることを願うばかりです。従業員が混乱して保育サービスの利用に支障をきたさないよう、標準的な様式の存在と、実際には自治体HPから確認するようアナウンスすることが重要でしょう。
【2024年最新】就労証明書発行で人事部に求められる対応
2024年以降、就労証明書の取扱いは大きく変わる可能性があります。世の中の変化に対応できるよう、以下の要点について備えておきましょう。
- 【半期ごと】こども家庭庁からの発信を確認
- 従業員への周知(ガイドライン)
- 標準的な様式への対応準備
- 最優先は「自治体の独自様式」
それぞれについて解説していきます。
【半期ごと】こども家庭庁からの発信を確認
就労証明書の電子化は一部見送りとなりましたが、各自治体の準備が整い次第、電子化が実行される可能性があります。また、2024年5月時点では標準的な様式の採用を、こども家庭庁から各自治体へ要請する格好。つまり、要請から号令(指示)に変わることも考えられます。よって、こども家庭庁からの発信内容は人事部や従業員にも大きく影響するでしょう。人事担当者は最低でも半期ごとにこども家庭庁からの発信を確認しましょう。
こども家庭庁:https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/
従業員への周知(ガイドライン)
従業員への周知は早めに行いましょう。従業員は申請対応に不慣れなことが多いため、従業員に対して「早めの対応」を呼びかけることが重要です。人事部には春と秋に申請が集まりやすく、特に11月末を提出期限とする内容が多いです。以下のように毎年のアナウンス時期を決めている企業もみられます。
- 新規利用:9月下旬~10月上旬に従業員へアナウンス
- 継続利用:11月中旬~12月上旬に従業員へアナウンス
こども家庭庁からの発信内容が変わった際は、変更内容を明記のうえ、最新版のガイドラインを作成する必要があるでしょう。従業員が意図せずに自治体への提出期限が迫ることのないよう、ガイドラインの更新と早めの周知が人事部に求められます。
標準的な様式への対応準備
2024年4月入所分から、標準的な様式を採用している自治体もあり、今後も増えていくでしょう。よって、標準的な様式を用いて作業に取り掛かる頻度が自然と高まります。就労証明書作成の標準化が期待できるため、標準的な様式へ対応するためのフロー・マニュアル整備に取り掛かることは有意義といえます。
ただし、標準的な様式そのものにも修正が入る可能性があります。「様式を一度ダウンロードしたから」と確認を怠らないよう、注意が必要です。
最優先は「自治体の独自様式」
繰り返しになりますが、標準的な様式を採用していない自治体も存在します。従業員から書類の作成依頼を受けた際は、かならず自治体の独自様式であるか確認しましょう。また、従業員が異なる様式を誤って取得する可能性もあるため、ことさらに注意が必要です。
人事システムの統合・刷新を検討
複数の人事システムを参照しながら、就労証明書の作成を行っている人事部もいるでしょう。属人的な運用は作業遅延やミスを生みやすいです。少ない人員でより的確に業務をおこなううえで、人事システムの統合・刷新を検討することが必要になるかもしれません。移行期間やシステム選定基準、コストと効果のバランスを考えながら、人事部には多角的な検討が求められています。
参考:証明書発行は業務単体で委託できる(BPO)
証明書発行業務は、その業務単体で外部企業への委託が可能です。特に従業員数の多い企業を中心に、BPO化が進んでいます(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)。BPOとは、企業活動における業務プロセスを一括して専門業者に委託する手法です。増員者に対して業務習得の教育を専門業者へお任せでき、社内リソースの解放と効率化を図るための有効な手段のひとつといえます。特に就労証明書の発行を含む人事関連業務では、繁忙期に社内リソースが大きく圧迫されるため、本来注力したいコア業務への影響が懸念されます。このような背景から、就労証明書をはじめとした証明書発行業務をBPO化して効率的な人事部門運営を目指す企業が増えているのです。次の章では、実際に証明書発行業務をBPO化した企業の実例をご紹介します。
【実例】証明書発行の業務全般をBPO化した事例(大手銀行)
大手銀行K社の人事部が証明書発行の業務全般をBPO化した事例です。
導入前 |
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導入後 |
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K社では、年間13,000件を超える証明書発行業務が発生していました。このうち9割が就労証明書の作成対応であり、発行までの納期は2週間以内。直近の数年間は業務を外部委託していたものの、受託会社のパフォーマンスは満足のいくものではありませんでした。この折、同社の人事システムを新しく切り替える話が浮上します。新システムで現在の業務を再現できるのか。就業規則や人事制度にマッチした対応が出来ているのか。このような不安を解消するため、パーソルビジネスプロセスデザインへ業務整理の相談が入りました。
当社が業務の現状把握をおこない、当時の受託会社は人事労務の制度変更やシステム変更への情報感度、またデジタル施策があまり強くないことが判明。さらにK社が業務委託で本来求めたいことが以下のようにわかりました。
- 人事領域の専門的知識を持ち、恒常的に改善提案をしてもらえる関係性
- 人事システムを新しく変えるのに伴い証明書発行業務のペーパーレス化
- 業務遂行だけでなく業務改善をスピーディーに行える体制
- 現業務の効率化、コストの最適化
K社から人事労務領域の専門性を評価いただき、パーソルビジネスプロセスデザインが当時の受託会社から業務を引き継ぐ格好で2023年4月から受託運用を開始。人事担当者さまに安心いただけるよう、週次の定例会で受付件数に対する完了状況や、納期内に完遂するリカバリー計画など、定量的な報告を続けました。パフォーマンスは日次で可視化し、スケジュールも精緻に組むことで、繁忙期にも対応できる『受託運用のスキーム最適化』をK社とともに進めています。
新しい人事システムへの導入対応とあわせて、業務の自動化にも着手。パーソルグループの各社と協力して『就労証明書の自動化ツール』を開発しました。BPOと自動化でK社人事部が戦略的な業務に集中できるよう今後も支援を続けます。詳細はこちらの記事をご覧ください。
▼アウトソーシング・BPOサービスの導入事例 パフォーマンスの可視化と運用計画の共有で実感できた『証明書発行業務』における業務委託のバリュー
銀行/K社人事部
就労証明書のアウトソーシングはパーソルビジネスプロセスデザインへご相談ください
本記事では就労証明書の基本的な取り扱いから、人事部に求められる今後の対応まで解説しました。就労証明書は従業員とその家族を守るための必須プロセスであり、証明書発行は従業員が仕事と家庭を両立しながら組織で長く活躍することにつながる業務です。しかしながら就労証明書の作成にかかる工数は膨大であり、限られた人員で対応を続けることに難しさを感じられる方も多いでしょう。パーソルビジネスプロセスデザインでは、証明書発行の業務単体での受託運用が可能です。また、その他にも人事部門の運営に係るさまざまな業務委託の相談をお受けしております。
人事部門の運営を効率化・最適化して、従業員がコア業務に注力できる環境をともに作りましょう。『証明書発行のアウトソーシング』サービスの詳細は、以下の資料をご確認ください。
資料のなかに問い合わせ先もございますので、お気軽にご相談くださいませ。
>>パーソルビジネスプロセスデザインの証明書発行業務アウトソーシング
証明書発行を含め、より広範な『人事BPO』サービスも提供しております。詳細は以下の資料やページからご確認ください。業務委託を具体で検討する前段階として、部門業務の整理や相談先としてもご利用いただけます。
▼人事BPOのサービス資料パーソルビジネスプロセスデザインの人事BPOサービスでは、専門知識を持つスタッフが業務効率をサポートします。
人事BPOサービスは、コンサルティング(生産性向上、業務見直し)から、業務設計、DX化、オペレーションまで対応し、戦略的人事の実現を支援します。