月またぎや年度またぎの経費精算とは?
月またぎや年度またぎの経費精算とは?
月またぎの経費精算とは、当月に発生した経費を翌月に精算する行為のことです。「そもそも月またぎの経費精算はできるのだろうか?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、民法166条によると債権などの消滅時効において、以下のように記載されています。
“債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年間行使しないとき。”
※引用:e-Gov法令検索「民法」
これは、従業員が立て替えた経費は債権に該当するので、5年間は経費の支払いを申請できるという意味になります。つまり、月またぎの経費精算は可能です。
ただし、通常の会計処理とは異なるため注意が必要で、経理担当者の負担が大きくなります。また、月だけでなく年度をまたいだ経費精算もできますが、仕訳が済んでしまっているため、決算や税務報告の修正が必要となります。
その結果、投資家や取引先からは「財務状況を正しく申告できない企業」と思われてしまい、信用低下を招く恐れがあります。
そのような事態を防ぐためにも、多くの企業では月またぎの経費精算を改善するための施策を実行しているのです。
月またぎの経費精算が発生する主な要因
月またぎの経費精算が発生する主な要因
月またぎの経費精算を改善するためには、まずはその要因を知る必要があります。主な要因としては、以下の4つが挙げられます。
- 要因(1)従業員が申請を忘れている
- 要因(2)利用期間が月をまたいでしまう
- 要因(3)経費精算の仕組みやルールを理解していない
- 要因(4)申請するまで手間がかかる
それぞれ解説します。
要因(1)従業員が経費精算申請を忘れている
要因(1)従業員が経費精算申請を忘れている
従業員が領収書を手元に持ったまま、経費精算の申請を忘れてしまい、月またぎとなるケースは珍しくありません。とくに繁忙期は自分の業務に追われて精算は後回しにされてしまうなど、経費精算のタイミングをのがす可能性が高くなります。
要因(2)利用期間が月をまたいでしまう
要因(2)利用期間が月をまたいでしまう
従業員によっては、6月30〜7月3日といった月末月初にかけての出張を命じられることもあります。
そのような場合には、出張から帰ってきてから交通費や宿泊費など、出張費用の精算を行わなければなりません。利用期間が月をまたぐことで、必然的に経費精算も月をまたぐことになるのです。
月をまたいだ往復の切符の購入を仕訳する場合、それぞれ勘定科目が変わります。
先払いの場合の勘定項目は「前払い」、後払いの場合の勘定項目は「未払い」として仕訳を行う必要があるので注意が必要です。
要因(3)経費精算の仕組みやルールを理解していない
要因(3)経費精算の仕組みやルールを理解していない
経費精算について、それぞれの企業でなにかしらのルールがあるはずです。しかし、そのルールが徹底されず、手続き方法などを理解していない従業員も多いのではないでしょうか。
とくに新入社員や、経費精算をする機会がほとんどない人はそのような傾向が強く、経費精算のタイミングや方法が分からず、月またぎが発生してしまうのです。
要因(4)申請するまで手間がかかる
要因(4)申請するまで手間がかかる
経費精算の申請書類を作成するにあたって、記入項目が多かったりルールが複雑だったりすると、「申請するのが面倒」だと思われてしまいます。
その結果、領収書が手元にあってもすぐに処理せず、月またぎが発生する原因となるのです。
経費精算を期限まで行うべき3つの理由
経費精算を期限まで行うべき3つの理由
経費精算を期限までに行うべき理由は、以下の3つです。
- 理由(1)決算処理がスムーズとなる
- 理由(2)未精算によるトラブルを防げる
- 理由(3)無駄な経費がないかをチェックできる
順番に解説します。
理由(1)決算処理がスムーズとなる
理由(1)決算処理がスムーズとなる
経理部門では毎年、損益計算書や貸借対照表などを作成して財務状況をまとめる決算処理を行う必要があります。
決算処理は外部に報告する必要があり、遅れることは絶対に許されません。月またぎの経費精算が発生すると、決算処理に間に合わせるためにスケジュールを調整しなければいけないので、経理担当者の負担が大きくなります。
逆に経費精算を期限までに行うことで、決算処理がスムーズとなり、業務効率化にもつながるのです。
理由(2)未精算によるトラブルを防げる
理由(2)未精算によるトラブルを防げる
たとえ未精算のまま次期を迎えたとしても、民法166条によって経費が発生してから5年間は、従業員に経費を支払う義務があります。ただし、未精算によりトラブルが起こるケースは珍しくありません。
トラブルによって企業全体の士気が下がる恐れもあるため、なるべく経費精算は期限までに行うことが大切なのです。
理由(3)無駄な経費がないかをチェックできる
理由(3)無駄な経費がないかをチェックできる
経費は会社にとって大きな負担にもなり得ます。そのため、ほとんどの経営者は経費を少しでも抑えたいと考えるはずです。
期限までに経費精算を行うことで、なにに対してどれくらいの金額がかかったのかを管理しやすくなります。
その結果、無駄なコストがないかを定期的に把握できるようになり、課題とした経費の無駄遣いの改善が実現するのです。
月またぎの経費精算を抑えるための対策
月またぎの経費精算を抑えるための対策
月またぎの経費精算を抑えたいのであれば、以下で紹介する3つの対策を講じてみましょう。
- 対策(1)経費精算の期限を明確にする
- 対策(2)ツールやシステムを導入する
- 対策(3)社内全体に呼びかける
それぞれ解説します。
対策(1)経費精算の期限を明確にする
対策(1)経費精算の期限を明確にする
経費精算の期限を決めていたとしても、明確には定めていないという企業も多いはずです。
経費精算の期限を明確にすることで、従業員の意識が変わり、月またぎの経費精算を減らせるようになります。
それでも改善されないようであれば、なにかしらの罰則を設けてみるのもおすすめです。
ただし、出張で利用期間が月をまたいでしまったり、緊急で経費が発生したりするなど、どうしても月またぎが発生してしまう場合には柔軟に対応しましょう。
対策(2)ツールやシステムを導入する
対策(2)ツールやシステムを導入する
経費精算の申請手続きに時間や手間がかかるという理由で、後回しにしている従業員もいるはずです。
そんなときには、経費精算におけるツールやシステムを導入してみましょう。それにより、経費精算の申請手続きがスムーズになり、すぐに経費精算を行う人の割合が増えるはずです。
ただし、ツールやシステムの操作方法を理解していないと時間短縮にならないので、誰でも使えるように小口現金申請フローや経費精算マニュアルなどを準備しておきましょう。
対策(3)社内全体に呼びかける
対策(3)社内全体に呼びかける
ルールや明確な期限を設けても、経費精算の申請を忘れてしまうという従業員は一定数いるはずです。
そんなときには、社内全体に経費精算漏れがないか、呼びかけてみましょう。定期的に呼びかけることで、「期限内に経費精算を申請するのが当たり前」という認識が広がるようになります。
それでも改善されない場合には、経費精算の申請を忘れる従業員の上司に直接相談してみるのもおすすめです。
企業全体で月またぎの経費精算をなるべく行わないように意識することが重要です。
経費精算の業務負担を軽減したいならパーソルビジネスプロセスデザイン
経費精算の業務負担を軽減したいならパーソルビジネスプロセスデザイン
この記事では、月またぎや年度またぎによる経費精算の基礎知識や、発生する主な要因・抑えるための対策などについて解説しました。
月またぎの経費精算が発生する主な要因として、従業員が申請を忘れていたり、申請するまで手間がかかったりすることが挙げられます。決算後の修正は、経理担当者の負担が大きく、投資家や取引先からの信用低下につながる恐れがあります。
そのような事態を防ぎたいのであれば、経費精算の期限を明確にしたり、ツールやシステムを導入したりすることを検討してみましょう。
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