消し込みとは?
消し込みとは、入出金情報と請求情報をチェックして、問題がなければ会計帳簿に記載されている売掛金や買掛金を削除する業務のことです。
消し込みには、主に「入金消し込み」と「支払い消し込み」の2つがあります。
入金消し込み:取引先から入金された際に、請求書の請求金額と照らし合わせて、問題がなければ売掛金として記載している内容を消す
支払い消し込み:取引先に支払った際に、請求書の請求金額と照らし合わせて、問題がなければ買掛金として記載している内容を消す
消し込み業務を行わないと、未回収の発生や振り込まれた金額が合っているかを確認できずに二重請求してしまい、取引先との関係が悪化するおそれがあります。
消し込み業務の一連の流れ
消し込み業務の一連の流れ
消し込み業務の一連の流れを紹介します。
たとえば、取引先から50万円分の発注を受けた場合、帳簿では以下のような仕訳となります。
借方:売掛金 50万円 | 貸方:売り上げ 50万円 |
その後、売掛金である50万円が取引先より支払われたタイミングで、帳簿では以下のような仕訳となります。
借方:普通預金 50万円 | 貸方:売掛金 50万円 |
以上で、消し込み業務の一連の流れが完了です。
消し込み業務で注意すべき6つのパターン
消し込み業務を行う際に注意すべき内容は数多くあります。なかでも特に注意すべきパターンは以下の6つです。
パターン(1)取引先からの入金金額が誤っている
パターン(2)取引先によって入金方法や入金日が違う
パターン(3)取引先の名前が似ている
パターン(4)予定日にもかかわらず入金されていない
パターン(5)1社で複数の取引がある
パターン(6)請求名義と違う名義で振り込まれた
順番に解説します。
パターン(1)取引先からの入金金額が誤っている
パターン(1)取引先からの入金金額が誤っている
消し込み業務では、取引先から入金された際に請求書に記載されている請求金額と合っているかを確認します。
たまに入金金額が誤っている可能性があるので、取引先のミスであれば直ちに連絡しましょう。
パターン(2)取引先によって入金方法や入金日が違う
パターン(2)取引先によって入金方法や入金日が違う
取引先が増えてくると、取引先によって入金方法や入金日が違うことも少なくありません。そのような場合には、取引先に合わせて自分たちが柔軟に対応する必要があります。
ほかの取引先と間違えないように、しっかり管理しましょう。
パターン(3)取引先の名前が似ている
パターン(3)取引先の名前が似ている
取引先が増えると、名前が似ている取引先が出てくるケースも珍しくありません。特に口座振込の場合には名義がカタカナで表示されるので、非常に間違いやすく、注意が必要になります。
取引先を間違えないようにするためにも、請求金額や入金方法・入金日などを必ず確認しましょう。
パターン(4)予定日にもかかわらず入金されていない
パターン(4)予定日にもかかわらず入金されていない
予定日にもかかわらず入金されていないケースもあります。そのようなときには、最初に請求書の日付が誤っていないかを確認しましょう。
その後、取引先に連絡します。よくあるパターンとして、請求書を紛失したり入金日の予定を勘違いしていたりすることがほとんどです。
たまに経営状態の悪化に伴い支払えなくなったというケースもあるので、注意が必要です。
パターン(5)1社で複数の取引がある
パターン(5)1社で複数の取引がある
自社でさまざまな商品やサービスを提供している場合、1社だけで複数の取引が発生する可能性があります。
そのような場合には、請求書につき1回ずつ入金してもらうか一括でまとめて入金してもらうかの2通りがあるため、取引先の意見を反映させたうえで決めましょう。
パターン(6)請求名義と違う名義で振り込まれた
パターン(6)請求名義と違う名義で振り込まれた
取引先によっては、請求名義と実際の振り込み名義が異なるパターンも少なくありません。その結果、消し込み業務のミスが発生する要因になりかねないので、注意が必要です。
ミスが起こらないようにするためにも、取引段階で必ずチェックしておきましょう。
消し込み業務における深刻な3つの問題
消し込み業務における深刻な3つの問題
消し込み業務における深刻な問題は以下の3つです。
問題(1)ミスが許されない
問題(2)属人化しやすい
問題(3)定型化するのが難しい
ひとつずつ解説します。
問題(1)ミスが許されない
問題(1)ミスが許されない
消し込み業務は、ミスしてしまうと未払いが発生する要因となったり、二重請求によって取引先との関係が悪化したりする可能性があります。
ミスが許されない業務のため、請求していた金額と取引先から入金された金額をひとつずつチェックして、異なる場合には連絡して再度手続きを行ってもらいます。
ダブルチェック制度を採用している企業も少なくありません。
時間がかかるだけでなく、経理担当者へのプレッシャーも非常に大きい業務のため、負担に感じている経理担当者も多いはずです。
問題(2)属人化しやすい
問題(2)属人化しやすい
属人化しやすいのも消し込み業務における深刻な問題となっています。属人化とは、ある業務に対して特定の担当者しか把握していない状態のことです。
消し込み業務は正確さと速さの両方が求められるため、必然的に経験豊富なベテランの経理担当者が行うケースが多くあります。
その結果、属人化してしまい、取引が増えるにつれて消し込み業務が行える経理担当者の負担が大きくなります。
最終的には消し込み業務を行える経理担当者が休職や退職した際に誰も引き継げず、消し込み業務そのものがストップしてしまうリスクがあるのです。
※属人化についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
経理業務が属人化しやすい原因とは?解消する方法を分かりやすく解説
問題(3)定型化するのが難しい
問題(3)定型化するのが難しい
取引先によって支払い期日が翌月末の場合もあれば、翌月の10日となっている場合もあり、決済手段もさまざまです。
取引先の状況に応じて臨機応変に対応しなければならないので、定型化するのが難しいのも消し込み業務における問題といえます。
消し込み業務においてアウトソーシングを活用するメリット
経理業務のなかでも負担が大きい消し込み業務ですが、アウトソーシングを活用することが可能です。
消し込み業務においてアウトソーシングを活用するメリットは以下の5つです。
メリット(1)人材不足を解消できる
メリット(2)属人化の防止につながる
メリット(3)業務クオリティが向上する
メリット(4)業務の効率化が期待できる
メリット(5)コストを削減できる
順番に解説します。
メリット(1)人材不足を解消できる
メリット(1)人材不足を解消できる
最近は少子高齢化による労働人口の減少によって、消し込み業務を行える経理担当者を確保できずに頭を悩ませている企業も少なくありません。
アウトソーシングを活用することで、消し込み業務を委託できるので、人材不足の解消につながります。
メリット(2)属人化の防止につながる
メリット(2)属人化の防止につながる
消し込み業務は正確さと速さの両方が求められているため、多くの企業において経験豊富なベテランの経理担当者が行っています。そのため、属人化しやすい業務でもあります。
属人化によってさまざまな弊害が生じるので、属人化から脱却したいと考える企業がほとんどです。
アウトソーシングを活用することで、依頼時に業務を可視化します。その後も業務内容を変更するたびに可視化していくので、属人化の防止につながります。
メリット(3)業務クオリティが向上する
メリット(3)業務クオリティが向上する
企業によっては人手不足が深刻な問題となっており、スキルや知識が乏しい新入社員に消し込み業務を担当させているケースもあります。そのため、ミスが発生しないか不安に感じている経営者も少なくありません。
アウトソーシングでは、専門的な知識とノウハウを兼ね備えた経理業務に精通しているプロが業務を担当してくれるため、業務クオリティが向上します。
メリット(4)業務の効率化が期待できる
メリット(4)業務の効率化が期待できる
アウトソーシングを活用することで消し込み業務を委託できるため、経理担当者はこれまでのリソースをコア業務に充てることが可能で、業務の効率化が期待できます。
メリット(5)コストを削減できる
メリット(5)コストを削減できる
リソースが逼迫している状態にもかかわらず、消し込み業務を自社だけで完結させようとすると、新たに人材を雇用する必要があります。
しかし、少子高齢化による労働人口の影響もあり、人材を確保するためにはある程度のコストがかかります。また、採用した後も育成しなければいけません。
アウトソーシングを活用することで費用がかかりますが、経理業務におけるプロが消し込み業務を担当してくれるので、トータル的に考えるとコストの削減につながります。
消し込み業務においてアウトソーシングを活用するデメリット
消し込み業務においてアウトソーシングを活用することは、メリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットは以下の2つです。
デメリット(1)社内にノウハウが蓄積されない
デメリット(2)対応するまで時間がかかる
ひとつずつ解説します。
デメリット(1)社内にノウハウが蓄積されない
デメリット(1)社内にノウハウが蓄積されない
アウトソーシングを活用することで、社内にノウハウが蓄積されなくなるので、継続的に依頼し続ける必要があります。
最初から中長期的な目線でアウトソーシングを活用するのであれば、問題ありません。
しかし、最終的に自社で消し込み業務を完結させたいと考えているのであれば、アウトソーシングを活用しながら同時進行で少しずつ内製化できる体制を整えておくことが重要です。アウトソーシングに業務を任せきりにしないようにしましょう。
デメリット(2)対応するまで時間がかかる
デメリット(2)対応するまで時間がかかる
緊急で対応しなければならないイレギュラーな事態が起こった際に、社内で行っている場合にはすぐに対応できます。
しかし、アウトソーシングを活用している場合には情報共有後に対応してもらうため、時間がかかります。
また、契約範囲内に含まれていなければイレギュラーな事態が起こったとしても対応してもらえないので、注意が必要です。
アウトソーシング会社を選ぶ際には、以下の内容についても確認しておきましょう。
- イレギュラーな事態が起こった際にどれくらいの時間で対応してくれるか
- 情報の連携はどのような方法で行われるか
消し込み業務のアウトソーシングならパーソルビジネスプロセスデザイン
この記事では、消し込み業務の基礎知識や深刻な問題・アウトソーシングを活用するメリット・デメリットなどについて解説しました。
消し込み業務はミスが許されなかったり属人化しやすかったりするなど、さまざまな問題を抱えています。
しかし、アウトソーシングを活用することでそのような問題を解決して人材不足を解消したり、業務クオリティを向上させたりすることが可能です。
消し込み業務における経理担当者の負担を少しでも軽減したいのであれば、アウトソーシングの活用を検討してみましょう。
「どのアウトソーシング会社に依頼すれば良いのかわからない」のであれば、パーソルビジネスプロセスデザインにお任せください。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、経理業務アウトソーシングを提供しており、消し込み業務をはじめとするさまざまな経理業務を委託できます。
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