本当に経理業務は自動化できるのか
「経理業務の自動化」は、近年のトレンドにもなりつつあります。ただ、「よく耳にするけれども、それって本当に可能なの?」「大企業やITや強い会社しかできないんじゃないの?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
「経理業務の自動化」は効果的に取り入れることで、様々な企業において力を発揮します。まずは、自動化できる経理業務について解説しましょう。
主な経理業務
一般的な経理部門は、次のような業務に多くの時間を割いているのではないでしょうか。
- 経費精算
- 請求書・支払通知書の作成
- 売掛や買掛金の記録および管理
- 現金や預金、有価証券の記録および管理
- 資産の記録および管理
- 給与計算や年末調整への対応
- 決算対応
- 税務申告書作成
以上のような経理の業務は、どれも正確に遂行する必要がありミスが許されないものです。また、前倒しで行うことは難しいうえに期日も決まっているので、スピードが求められる業務ともいえます。さらに、「ようやく終わったと思ったらまた次がきた」というように、何度も反復して作業する必要もあります。
例えば、経費精算や各種仕訳の起票は日々発生する作業であり、一日のほとんどをここに費やしているという方もいるのではないでしょうか。また、このような日次業務に加えて月次締め業務、期末は決算業務がやってきます。決算期など、特定の期間は残業が多くなってしまう場合もあるでしょう。
これらの業務を正確にこなさなくてはいけない経理部門の負担は、非常に大きいものなのです。
経理業務は、機械が得意な業務でもある
先にあげたような「ミスなく正確にこなさなくてはいけない」とか「期日までに作業するスピードを要する」「数値の入力など反復作業が多い」といった経理業務の特徴ですが、これらは『機械が得意な作業』ともいえます。
機械は、クリエイティブな業務よりも型が決まった作業を得意としています。一度定型を設定すれば正確にこなしてくれますし、決まった作業の速度を高めていくのも得意としています。
機械に委ねることで、人の手が空くだけでなく、従来よりも速く完了する可能性もあるでしょう。経理は『自動化』と非常に相性が良い業務なのです。
経理業務を自動化させる「RPA」とは
経理業務を自動化する例として『RPA』というキーワードを耳にしたことはないでしょうか。『RPA』とは、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略称です。
つまり、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンや、AIおよび機械学習等を含む「認知技術」を活用して、代替する取り組み全般を指します。
なぜRPAが注目されるのか
なぜRPAが注目されるかというと、様々な側面があるといえるでしょう。たとえば将来的に、日本は労働者不足に陥ることが見込まれています。限られた人手で事業を存続させることはこれまで以上に難しくなっていきます。
また、近年は『VUCA』の時代とも言われています。VUCA(ブーカ)とは「Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)」の頭文字で、社会やビジネスにとって未来の予測が難しくなる状況のことです。どんなことが起きるかわからないなか、私達は事業を存続させる必要がありますから、バックオフィス部門の体制も強固にしておかなければならないわけです。
人手不足や未来予測が難しい変化の時代。そんな背景からRPAが注目されています。単に「便利な仕組み」として民間においてのみ注目されているわけではありません。日本社会全体が抱える問題に対抗するための取り組みでもあり、活発に導入が進められているのです。
その背景と市場規模について、総務省が出している文書からの抜粋をご紹介しましょう。
「日本の生産労働人口が減少局面にあるなか、労働力を維持しつつ国際競争力を強化するためには労働力の有効活用や生産性を向上させるための方策が必要です。近年の働き方改革の動きの中でも、人手不足を補いながら生産効率を上げるためのさまざまな施策が講じられてきています。」
「従来よりも少ない人数で生産力を高めるための手段として、現在、RPA(ロボットによる業務自動化:Robotics Process Automation)が注目を集めています。2017年の調査によると、国内では14.1%の企業が導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入を検討中でした。市場規模は2017年度が31億円、2021年度には100億円規模になると予測されています」
※引用:総務省「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」
近年は、コロナ禍の影響もあって「人手を要さない体制」が注目されるようになった経緯がありますが、コロナ禍に関係なく『自動化』については考えなくてはなりません。将来的には「いつでも予測不能な状況に立たされる可能性がある」ということを意識しておかなくてはいけないのです。
経理業務で自動化できるものと、その導入例
では、具体的にどのような経理業務が自動化できるのでしょうか。いくつか紹介していきます。
『仕訳』の自動入力
人事部が担当している給与関係、営業部担当の売上関係、仕入部担当の仕入関係など、各部門が地道に伝票を起こして経理がチェックするという流れをとっている企業は多いです。
経理は全社のデータを取りまとめるポジションですが、部門によって独自のデータ管理を行っており、経理への連携が難しくなっているケースもよく耳にします。
こういった状況を自動化することで、各部門に点在するデータをスムーズにまとめることが可能です。各データに対するルールを設定しておくことで、自動で仕訳が入力され、人手を介さずにミスなく会計システムに流しこむことができるのです。
『入金消込』の自動化
入金消込は必要な工程ですが、手動でやるのはかなり地道で時間のかかる作業です。
一般的には営業部門などが取引先とやりとりし、取引先が入金してきたものを経理が消込します。この際、請求書やデータなどと照合する作業が発生しますが、「営業部門から連絡がきていなかった」「先方が速く入金してきたため照合データがなかった」など、うまく消込が行えないケースもあるでしょう。
また、振込手数料が引かれていて金額が合致しなかったり、振込名と取引先の名前が一致していなかったりして、確認作業が煩雑になってしまうこともよくあるものです。
最近の入金消込ツールでは、金額の誤差などの自動判断もかなり進んでいます。イレギュラーな振込を記録しておいて、次回以降に対応してくれるといったものもあります。
『経費精算』の自動化
『経費精算システム』の導入を検討されたことがある企業も多いのではないでしょうか。従来の経費精算は、社員が伝票を起票して経理に提出し、経理担当者がダブルチェックもしくはトリプルチェックしてシステム上で処理し、ようやく決済されるといった流れでした。
最近のシステムは、社員の金融機関や電子マネー情報と連携できるものが主流になっています。社員が経費を使用した時に自動でデータ化されますので、あとは該当のデータを選択して科目を選んで申請するだけで経理へと提出されます。
データと紐づけされているのでミスが少なく、経理の確認作業も楽になる場合が非常に多いです。経理部門だけでなく会社全体の業務効率化に繋がるといえるでしょう。
経理業務の自動化はどこまで進むのか
経理業務は自動化と相性が良い、ということを解説してきました。それでは、今後は経理業務のほとんどが機械に取って代わられるのでしょうか?
先に挙げたように、機械が得意なのは定型業務です。イレギュラーな対応や頭を使う対応には向きません。自社の経理業務の中で、毎回細かな修正が必要になっているものがあれば、それについては機械に任せるのは難しいでしょう。
大部分を自動化したうえで、人の手で修正を加えていくということは可能かもしれません。いずれにしても、自動化して効率化が図れるのかどうかは自社の実際の業務で確認しながら進めたいところです。
また、経理は他部署や他社との『連携部門』としての意味合いも強くあります。仕訳や書類作成の作業は機械にお任せしたとしても、人とのやりとりが発生するため、少なからず人の介在は必要になります。「業務オペレーター」としての機能までは機械に任せることが難しいのです。
以上のように課題も残る経理業務の自動化ですが、既存業務のあり方そのものを見直すことで、導入できる範囲が広がる可能性はあるでしょう。「人がやるからこうしていた」「人が確保できていたので、今までのやり方に準拠していた」といった部分は少なからずあるはずです。
人手不足が深刻視される将来、いかに効率的かつ正確に業務を遂行していくかが重要になってきますので、マンパワーで行っていた今までの業務のやり方を変えてしまう、廃止してしまうといったことを早々に検討してみる必要があります。
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