経理代行とは?
そもそも経理代行とは、企業における経理業務の一部、または全部を代行するサービスのことを指します。経理代行に依頼できる業務としては、次のようなものが挙げられます。
- 記帳
- 給与計算
- 年末調整
- 決算書の作成、申告
- 支払い、請求管理
経理業務には社会的に共通したルールがあり定型化しやすいため、外部に委託しても円滑に遂行されやすいという特徴があります。経理代行を活用すれば日常的に発生する煩雑な経理業務の負担がなくなり、自社の経営に関わるコア業務に集中できるようになるはずです。
また、経理に関する知識や経験の豊富な専門家に依頼することで、「正確かつ迅速な処理が実現する」「自社で経理担当者を採用する必要がないためコスト削減につながる」といったメリットもあるでしょう。
経理を代行してもらう際の料金相場は?
では、経理代行にはどれくらいの料金がかかるのでしょうか。業務ごとの料金相場を紹介しましょう。
2-1. 記帳代行の料金相場
記帳代行では、請求支払いや経費精算、固定資産の登録などそれぞれの取引について、根拠資料をもとに複式簿記により仕訳を行い、会計帳簿を作成する業務を依頼できます。
記帳代行の料金は1仕訳あたりの単価で設定されている場合が多く、1仕訳あたり50円〜100円が相場となります。取引の少ない小規模な事業者であれば毎月数千円程度の料金ですが、大企業になると数万円単位の料金がかかります。
自社の月間仕訳数に基づいて、おおよその料金を把握しておくとよいでしょう。
仕訳数 | 月額料金相場 |
---|---|
〜100仕訳 | 10,000円程度 |
101〜200仕訳 | 15,000円程度 |
201〜300仕訳 | 20,000円程度 |
301〜400仕訳 | 25,000円程度 |
401仕訳〜 | 30,000円程度〜 |
2-2. 給与計算代行の料金相場
給与計算代行では、従業員一人ひとりの出退勤データを精査し、残業時間や保険料等を計算する業務を依頼できます。また、毎月の給与から源泉徴収した所得税を年末に精算する年末調整もオプションで依頼できるケースが多くあります。
給与計算代行は従業員1人あたり1,000円〜2,000円、年末調整代行は500円〜2,000円が相場となります。代行業者によって基本料金や初期設定費用がかかったり、オプションの範囲が異なったりするため、詳細をよく確かめるようにしましょう。
単純な給与計算のみを依頼する場合、従業員数ごとの料金相場は以下のとおりです。
従業員数 | 月額料金相場 |
---|---|
10人 | 15,000円〜20,000円 |
50人 | 40,000円〜60,000円 |
100人 | 80,000円〜100,000円 |
500人※ | 年間300万円〜 |
1,000人※ | 年間500万円〜 |
※数百人規模になると対応できる代行業者が限られ、事前の相談が必須となります。
2-3. 決算代行の料金相場
経理代行では、日々の経理業務の集大成ともいえる決算書の作成や法人税の申告も依頼できます。
決算代行を依頼する際の料金は5万円〜20万円が相場とされています。決算代行には、決算書の作成業務と、そこで確定した結果をもとに納税額を計算する申告業務に分けられます。どこまでを依頼するかによっても料金は変わってきますので、よく確認しましょう。
また、会計士などの専門家に依頼する場合は15万円〜25万円となり、あわせて法定調書や賠償資産申告書などの対応も依頼するとさらに10万円〜20万円程度が上乗せされるのが一般的です。
代行会社に依頼する際の注意点
経理代行を依頼するなら、できるだけコストを抑えたいと考えている方も多いのではないでしょうか。続いては、費用対効果を最大限に高めるために気をつけておきたい、3つの注意点をご紹介します。
注意点(1)依頼する範囲を見極める
経理代行には、経理に関わるさまざまな業務を依頼することができます。多くの経理代行会社では、複数の業務をまとめて依頼すると料金が割引になるため、社内でアウトソースが効果的な業務がないか一度見直してみるとよいでしょう。
また、一つの業務内においても、一部は代行業者に依頼し一部は社内に残すとなると、かえって業務効率が悪くなってしまう場合もあります。依頼する範囲を見極め、経理代行のメリットを最大限に生かせるように工夫しましょう。
注意点(2)提出する資料の状態に配慮する
経理代行を依頼する際には、提出する資料の状態によっても料金が変わってくる場合があります。領収証や請求書控え、出納帳や勤怠実績といった資料が整理されていないと「資料の振り分け」から行う必要が出てくるため、代行にかかる料金が上がってしまうのです。
代行のコストを抑えるためには、提出する資料は月ごとや項目ごとにファイリングし、すぐに参照できる状態にしておくなどの配慮をすることが重要です。
注意点(3)依頼時期に注意する
年末調整や決算申告などの期限がある業務は、依頼するタイミングが遅くなると代行業者にも大きな負荷がかかるため、特急料金が加算されてしまいます。
そのため、年末調整や決算申告を依頼する場合は時期に余裕をもって早めに依頼することを心がけ、コストを最小限に抑える工夫をしましょう。
経理代行はどこに依頼する?
経理代行の依頼先には、税理士事務所、会計士事務所、アウトソーシング会社の3種類があります。それぞれの特徴やメリットを把握したうえで、自社に適切な依頼先を選びましょう。
4-1. 税理士事務所
税理士事務所では、記帳代行をはじめ、支払い・請求管理や給与計算、決算申告までワンストップで対応しています。税のプロである税理士に依頼することで、正確性・信頼性の高い業務が期待できるだけでなく、経営や節税に対してのアドバイスも得られるでしょう。
また、顧問契約を結べばサービス内容や理念まで理解したきめ細やかなサポートが受けられるため、比較的小規模な企業や個人事業主に適しています。
税理士事務所と経理アウトソーシング業者との違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご参照ください。
※「税理士に経理代行を依頼できる?専門会社との違いや代行サービスのメリット・デメリットを解説」
4-2. 会計士事務所
会計士事務所には、税理士事務所と同様に経理業務の全般をワンストップで依頼できます。
対応範囲については税理士事務所と大きな差はありませんが、大企業や上場企業といったより規模の大きな企業の会計業務を取り扱うことができます。特に「IPOを目指したい」「M&Aも検討している」といった戦略を立てている企業は、会計監査も可能な会計士事務所に依頼するとよいでしょう。
4-3. アウトソーシング会社
アウトソーシング会社とは、経理代行を専門に行う会社のことです。記帳代行はもちろん、給与計算から年末調整、支払い請求管理、決算申告まで幅広い業務に対応しています。
士業事務所に比べ、代行料金が安いことが最大の特徴だといえるでしょう。また、さまざまな企業の経理を代行してきた豊富な経験と知識があるため、膨大な量でも迅速で正確な処理が期待できるはずです。
低コストで幅広い業務への柔軟な対応が可能なため、従業員数の多い企業や繁忙期だけ利用したい企業にも適しています。
経理代行サービスを選定する際のポイント
経理代行サービスを利用するなら、自社にとっての効果を最大化するために最適なサービスを選定する必要があります。依頼先を選ぶ際にチェックしておきたいポイントを以下に紹介します。
5-1. 質の高いサービスが提供されているか
まずは、質の高いサービスが提供されていることが重要です。作業のスピードや正確さはもちろん、事情に合わせて柔軟に対応してくれるか、連絡がつきやすいかといったサポート体制も重要なポイントです。
経理代行を依頼できる業者は数多くありますが、サービスの品質については実際に契約をしてみなければわからない場合がほとんどです。依頼先を選定する際には、サービスの提供実績、口コミやレビューなども確認しておくとよいでしょう。
5-2. 費用対効果は見合っているか
経理代行の依頼先を選ぶ際は、自社の現状をしっかり洗い出し、アウトソースによってどれだけコストを削減できるかという視点で検討することが重要です。業務ごとにコストを算出して、依頼すべき範囲を見極めましょう。
同じ業務内容であっても代行業者によって作業範囲が異なり、希望の作業がオプション扱いとなるなど予想外に料金がかさむ場合もあります。公開されている料金表だけで判断するのではなく、いくつかの会社に相談して見積もりを出してもらうとよいでしょう。
5-3. セキュリティ対策はされているか
経理代行を依頼する際には、「自社の機密情報」や「個人情報」を含む資料を提出することになります。少なからずセキュリティ面のリスクを抱えることになるため、セキュリティ対策がしっかり整っている代行業者を選ぶことが重要です。
依頼先を選定する際には、具体的にどのような情報セキュリティ対策がされているか、機密保持契約を締結できるか、担当者が適切な知識をもっているか、などもあわせて確認しておくとよいでしょう。
経理業務をアウトソーシングするメリットについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご参照ください。
※「経理アウトソーシングとは?」対応業務やメリット・デメリットなど徹底解説」
経理代行サービスならパーソルビジネスプロセスデザインへ
経理代行を利用することで、自社の業績を伸ばすためのコア業務に集中できるようになる、コストの削減につながるといったメリットがあります。
代行の依頼先はもちろん、依頼する業務の範囲や時期によっても経理代行にかかる料金が変わってくるため、自社にとっての費用対効果を最大限に高められるよう最適な選択をしましょう。
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