大学の教務課で起きていた、“特有の問題”とは
※: 本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、2021年11月取材時の情報に基づいています。
追手門(おうてもん)学院大学は、大阪府茨木市に複数のキャンパスを有する私立大学です。
大学の運営というのは、原則として学生に教育サービスを提供する「教員」と、教員のサポートや運営事務を担う「大学職員」で構成されています。そして、「大学職員」の仕事は、学生支援や就職・キャリア支援、人事や財務から広報まで、さまざまな事務担当部署があります。
近年、多くの大学事務局が効率化を進めており、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の導入が始まっています。しかし、そのなかでも「教務課」は、委託化しにくい部署だと考えられてきました。
その理由として、授業の履修登録の手続き、シラバス(授業計画書)や時間割の作成、証明書の発行など、学生や教員にかかわることも多いため、大学職員に確認しなければならない業務が多く難しいということです。
追手門学院大学の教務課で課長を務める山本様も、その難しさについて「時期によって業務内容が異なるにもかかわらず、業務がばらばらに存在しているのではなく、相互に関連しています。加えて、教務課としての共通業務と学部ごとの業務があり、非常に複雑な構造となっています」と語られていました。
そういった複雑な構造のなかで、「職員の人事異動や派遣スタッフの入れ替わりがあると業務遂行が不安定だった」とも仰っていましたが、具体的にどう不安定だったのかを伺うと、山本様は次のようにお話しされました。
「以前は、教務課の職員が派遣スタッフに仕事の指示や指導をしていました。しかし人事異動などで職員が代わると、前任者とは指示方法や指導の内容が微妙に異なることがあり、業務遂行に差異が出てくることもありました」
それに加え、派遣スタッフが入れ替わることでスタッフ教育を最初からやり直す必要があり、それも職員の負担になっていたようです。
「企画・提案」の業務に集中することが難しい
さらに大学の教務課は、「入力業務」や「学生対応」などの日々の幅広い業務にかかる時間が長いという問題もありました。山本様は、「教務課として重要な『企画・提案』の業務に集中することが難しい」と表情を曇らせます。
さらに、課長代理である福田様も同様に、次のように仰いました。「この数年、学内においても働き方改革や2020年のコロナ禍もあって、今後の大学運営を考えるなか、職員の役割や業務の見直しが進められていたという背景があります。その結果、職員の役割に占める『企画・提案』の重みがこれまでよりも大きくなってきました」
限られた人員や時間の中で、教務課としても「企画・提案」の業務割合を増やす必要があったというのです。そこで、派遣サービスを提供していたパーソルテンプスタッフからBPOの提案を行い、受託が決定。
パーソルテンプスタッフでは、複数の大学の申込・審査・処理が発生する奨学金に関する業務をすでに受託していました。ただ、“教務課”から受託している案件は少なかったため、業務構築はすべてゼロから行ないました。具体的には教務課の業務を次のように精査したのです。
・職員の対応が必要な業務か/不要な業務か
・BPOの導入が可能な業務か/不可能な業務か
そのうえで、業務を切り分けて手順を変更し、BPO化への現実的な提案を行っていきました。この動きについて山本様からは「結果をもとに、パーソルテンプスタッフがBPO導入に関する現実的な提案をしてくれたことが、大きなポイントでしたね」というコメントを頂戴しました。
“完璧に近い”業務マニュアルで、速やかな対応が実現
では、大学の教務課にBPOを導入することで、どのような効果があったのか。山本様に伺ってみると、次のように具体例を挙げて語ってくださいました。
「『教務システム登録業務』のBPO導入は成功でした。今ではパーソルテンプスタッフさんの管理により、スケジュールに則った進捗で、業務がスピーディに行われるようになりました。また、業務マニュアル作成によって、職員の人事異動などがあっても、速やかに対応できるようになりました」
パーソルテンプスタッフが作成する『業務マニュアル』に関しては、福田様も次のように言及されました。「パーソルテンプスタッフさんは、以前は口頭で伝達していたことも含めて、完璧に近い業務マニュアルを作成してくれます。ですから委託した業務に関して、『抜け漏れがなくなった』という効果がありましたね」
また、パーソルテンプスタッフからは『業務の中でも一部分だけをBPO化することが可能』と提案をさせていただきました。その点について福田様は「シラバスの校正(一次チェック)も、誤字脱字の確認など、内容の判断を伴わない部分のみをBPO化することで、業務のスリム化が実現しました」と満足いただきました。
シラバスについては、教員のシラバス提出窓口を一括したことで各学部の進渉を管理表で確認できるようになり、「学部間での進捗状況を意識して作業できるようになった」とのことでした。
また、学部ごとにチェック項目や基準も異なっていましたが、BPOの導入を機に統一されました。「必要な情報や記載の仕方を一律チェックすることで、学生に開示した時点での差異をなくすことができました」と福田様も笑顔を見せてくださいました。
「予想以上に委託できる業務が多いことに気がつきました」
以前は、新人スタッフ教育から始める必要があり、それも職員の負担になっていたということでしたが、BPOを導入したことでどう変わったのでしょうか。山本様は「均質化と負担の軽減につながりました」と語りますが、均質化について具体的にお伺いしてみると、次のような回答をいただきました。
「パーソルテンプスタッフさんからBPOのチームが組成され、業務内容の把握からマニュアル化まで安心してお任せできました。またマニュアルに基づく新人スタッフ教育をしっかりとしてくれるので、学生対応を含めて、業務遂行が均質化されています」
業務遂行が均質化されたことで、教務課の負担は最小限に収まったようです。また、BPOを導入した後でも、何か問題が生じた際にはすぐ、改善策を含めた提案を行うことで潜在的な問題にも対応していきました。
このことについて人事課の課長代理である山城様は、次のように述べてくださいました。「人事課では、パーソルテンプスタッフさんとの定例会議を行っています。いつもお話していて、業務の提案など真剣に考えていただけていることに感謝しています。今後もよきパートナーとしてお付き合い願えたらと思います」
現在は、証明書関係業務、教務システム登録業務、シラバスの校正(内容の判断を伴わないもの)業務などへのBPO導入が始まっており、この3年ほどは毎年のように業務範囲を拡大しています。取り扱う業務内容も多岐にわたっていますが、マニュアルの充実・スタッフ育成に力を入れることで、滞りなく運営できています。
2つのキャンパスの教務課には計8人のスタッフが就業し、スタッフも大学のカリキュラムやシステムに関する業務に関われるようになり、より責任感を持って業務遂行に当たるようになってきました。こうした動きについて福田様は「パーソルテンプスタッフさんのおかげで、予想以上に委託できる業務が多いことに気がつきました」と語ってくださいました。
そして最後に、「今後は委託できる業務をもっと増やして、本業である『企画・提案』業務にさらに力を注ぎ、あたらしい教育を追求していきたいですね」と笑顔を見せてくださいました。
担当者コメント
パーソルテンプスタッフ株式会社
第二BPO事業本部
西日本第二BPOサービス部
西日本BPO運用一課 プロジェクトマネージャー
玉井 稔樹
追手門学院大学様にとって最善のBPO導入を追求していくことが、当社の役割だと考えております。そのためには誠実な仕事を続けていくことが重要ですね。今後も長く“信頼関係”を続けていくなかで、相談しあえる関係でいたいと願っております。
パーソルテンプスタッフのBPOは、今後も皆さまの業務改善や生産性UPをサポートしてまいります。お困りごとやご相談があれば、お気軽に電話やフォームからご連絡くださいませ。