導入前の課題
コロナ禍で多忙のなか、『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』の開始で現場は大混乱
令和3年11月下旬『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』を実施するということが国から発表されました。
『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』は、新型コロナウイルス感染症が長期化するなか、さまざまな困難に直面した方々が速やかに生活の支援を受けられるよう、住民税非課税世帯等に対して配られる給付金です。
小平市役所の生活支援課の皆様は、日々の業務として、生活保護受給者や生活困窮者への対応を行っていましたが、コロナ禍により生活にお困りの方が増え、業務が増加していました。畠中様は当時を次のように振り返りました。
「もともと多忙な部署でしたが、コロナ禍で『収入が減って困っています』という方や職を失った方、今後の生活に不安を持つようになった方などからのご相談が増え、とにかく忙しかったんです」
国から『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』が発表されると、メディアを通してそのことを知った市民の方から「もらえるんですか?」「いつですか?」といった問い合わせが入り、その対応にも追われてしまった生活支援課の皆様。さらに多忙を極めていくことになったのです。
その時の様子について石橋様は次のように言います。「生活支援課の人員は50人弱ぐらいで、3~4人に一台ぐらいずつ電話の子機があるんですが、誰かが電話を取ってない時間はないんです。常にすべての電話機がフル稼働している状態で」
松本様も「私は『ケースワーカー』と呼ばれる生活保護受給者の支援担当なんですが、こちらでも電話を置いたら常に鳴るような状況でしたね」と続けて語りました。
そして畠中様も「毎日が『混乱』という感じでした。確定していない情報が錯綜していて、私たちもどのような事業なのかわからない中、生活に困っている方からは『早く給付してほしい』という問い合わせが何件も来るような状況でしたから」と話すように、現場が混沌としている中、国からの説明会が開催されました。
そこでは、“臨時特別給付金”についての説明だけでなく「実施に伴って『臨時特別給付金』の配布に掛かる費用がどの程度なのか、提示してほしい」という依頼もあったと言います。
しかし、説明会では事業の概要しか提示されていない状況であったため、畠中様は「金額をどうやって見積もればいいんだろう、と悩みました。ただ、金額を積算しないことには補助金が出ません。事業の詳細が分からなければ、必要な職員数も対象者数も、作成する申請書などの枚数も何も見込めないので、当時は困りましたね……」と振り返ります。
結果として、現状の生活支援課の人員体制では対応ができないため「極力外部委託を活用しよう」ということで検討を進めていき、結果、パーソルビジネスプロセスデザインに委託することとなったのです。
取り組み内容
3万世帯を対象に、書類の発送や電話受付まで一括で対応
今回の『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』は、「申請書類の作成・発送」だけでなく、「対象者の抽出」、「申請書の審査」や「振り込みに関する通知の送付」、「申請状況の管理」、「電話での問い合わせ対応」など多くの業務が発生するという特性がありました。
小平市としては調整業務が発生しないよう、委託が可能な業務を一括で請け負える事業者を希望しており、パーソルビジネスプロセスデザインは対応が可能であったため、小平市のニーズに合致しました。畠中様は次のように話してくださいました。
「『ここはできるけれど、ここはできません』といった会社さんが多かったんです。『一括で全部できます』と言い、市の要望を踏まえた業務フローの提案まで短期間でしていただけた企業は、ほかにありませんでした。」
そして12月下旬には予算が通り、令和4年1月には小平市役所様でも、生活支援課を中心とした職員8名で実施する体制を整えることもできたようです。契約を締結し2月上旬にはデータのやり取りを進めていきましたが、すんなりとはいかないことも出てきました。石橋様は次のように語ります。
「国から示される給付対象者の条件も二転三転していまして、それに伴ってデータ抽出の検証が遅れてしまいパーソルビジネスプロセスデザインにはご負担をお掛けしましたね。申請書を発送する時期も、発送後もまだバタバタしていました」
全国的に実施される事業であったため、国からの通知に対して全国の自治体職員から質問や指摘があり、それによって修正が掛かることもしばしばあったのです。そうした混乱のなか、畠中様としては不安を募らせていらっしゃったようです。
「市民への通知の内容や時期について、各自治体も悩んでいたと思います。いつをもって事業の内容が決定するのかわからない状態でしたが、ずっと待っていては、生活に困っている方に対してご案内もできませんし、給付金の支給も遅れてしまいかねません。ですから、どう判断して進めていけば良いか、というところも相談させてもらいました」
パーソルビジネスプロセスデザインでは、他の業務でもさまざまな自治体と契約をしている実績があるため、「どの自治体がどういった動きをしている」といった情報が集まりやすかったのです。
この点に関して長谷川様は、次のように語ってくださいました。「進め方や進めるうえでのスケジュール感などをご相談させてもらった際も、全国での事業実績を元にして提案していただきました」
そうして、『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』の対象者である市民の皆様に書類が発送されました。小平市の人口は20万人ほどですが、世帯で見ると9万世帯ほど。そのうち対象は、3万世帯ほどの見込みとなりました。
導入の効果
1ヵ月で2倍近くに増える入電もカバー。さらに業務改善の提案も実施
3万世帯に『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』の書類が発送される前から、コールセンターを準備していましたが、開設当初から入電数は右肩上がりに増加していきました。書類を発送した2月は4,848件の入電だったものが、翌3月には8,486件と倍近くに増加したのです。
件数だけでなく、問い合わせ内容も単純なものばかりではありません。イレギュラーケースも多く、行政に対する不満のような苦情が入ってきたり、対応が長時間、中には長期間にわたるような問い合わせも多くありました。しかし、そういった場合でもパーソルビジネスプロセスデザインは的確に対応し、確認が必要なものは迅速に対応して解決へと繋げていきました。
そういった動きについて畠中様は、「どんな問合せにも本当にきちんと真摯に対応してくださいました。難しい問い合わせも多いので、一度コールセンターの責任者の方に聞いてみたんですけど、『私たちはどんなお問い合わせにも対応できるように準備してますから大丈夫ですよ』って言われて、感動しました」と口にします。さらに続けて、「常に相手に寄り添った丁寧な対応をされていて、本当に頭が下がります。非常に助かりました」と称賛してくださいました。
そして、対応を進めているさなか『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』は翌年にも延長されることになり、さらに別の給付金も立ち上がることが決定しました。
長谷川様が、その時のことを次のように振り返ります。「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金は『令和3年度の住民税非課税の方に給付金が出ます』というものでしたが、その途中で『次の年度で該当する方も対象になります』という“延長”がありました。そして、さらに電気料金等の高騰で生活に困る方への支援として『電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金』という給付金も始まりましたので、そのまま連続して対応いただきました」
パーソルビジネスプロセスデザインとしてもノウハウがある程度たまっていたこともあり、柔軟かつ迅速な対応のみならず業務改善の提案も実施することができたのです。
畠中様は「担当者の皆様や、コールセンターもそのまま引き継いで担当してくださったので、慣れた方に対応いただけ、滞りなく展開できたのは良かったです。断られたらどうしようかと思ってドキドキしましたけども」と笑顔を見せました。
さらに続けて、パーソルビジネスプロセスデザインの対応について「給付金の詳細が示されるまでは市の体制もなかなか決められず、最初は業務の多さに日々目の回るような忙しさでした。しかし市の負担がなるべく少なくなるよう業務フローを提案していただき、他の自治体状況の情報提供などもしていただいたので、とても心強くて本当にありがたかったですね。申請書類や案内パンフレットの作成、審査事項の整理、コールセンターの準備や開設など多岐にわたる業務を短期間で進めていただいたおかげで、迅速に、必要な方に給付金をお届けすることができました。」とお褒めくださいました。
また、石橋様も「スケジュールを組んでいただくところやタスクの割り振りなど、実績に基づくスピード感と精度はパーソルワビジネスプロセスデザインの強みなのかなと感じました。逐一説明しなくても、温度感に応じて柔軟に対応いただきありがたかったですね」と称賛くださいました。
最後に付随する話として、当該業務の調整をほぼオンライン会議で進めていったことについて「今回を機にオンラインでの業務のやり方を知り、非常に参考になりました。これまで委託事業者などとの会議は対面が主でしたので、生活支援課のオンライン業務のアップデートにつながりましたね」と小平市役所の皆様が嬉しそうに口にしているのが、とても印象的でした。
お客様プロフィール
小平市役所
小平市は東京都の多摩地域北部に位置する市であり、「小平」という地名のとおり起伏があまりない地域です。7つの大学をはじめ、多くの専門学校や私立高校などを有し、『学園都市』としても知られています。若者や学生が多いため、人口構成も20代の比率が高い一方、緑が豊かで落ち着いた雰囲気の地域です。
本社所在地 | 東京都小平市小川町2丁目1333 |
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設立 | 昭和37年 |
代表者 | 小林 洋子 市長 |
従業員数 | 924名(2022年4月1日現在) |
担当者コメント
前任担当者から引継ぎをし、サービスレベルの維持に努めました。
給付金業務は市民の皆様の生活に直結することから、迅速、丁寧、臨機応変な対応を心掛け業務を行わせていただきました。
小平市のご担当者からも、お褒めのお言葉や貴重なご意見もいただくことができ、大変うれしく思います。
今後もお客様に寄り添い、より良いサービスを提供していけるように尽力してまいります。
※掲載内容は取材当時の情報です。