就職氷河期世代の「良さ」と「強み」を引きだした 『独自の就労支援モデル』

神奈川県

業種
自治体・官公庁
導入部署・部門
産業労働局労働部 雇用労政課

Before

・就職活動に必要なノウハウが不足している
・就職活動への自信を失い不安を抱えている
・特定の業種や職種に興味・関心が集中している

After

・就職活動に必要な基本的なスキル・心構えが身につく
・「伴走型支援」で「良さ」「強み」を引き出し自信がつく
・企業訪問を実施し、業種・職種の選択肢が広がる

目次

    合同就職面接会の入口で立ち尽くす人、1社だけ訪問して退場する人……

    ※本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、取材時の情報に基づいています。

    神奈川県では2020年度に就職氷河期世代を対象とした合同就職面接会の『かながわ正社員就職フェア』を開催しました。そこで、他の世代を対象とした合同就職面接会と比べて、来場者の行動に大きな違いがあることに気づいたそうです。

    その点について神奈川県の永井様はこう説明します。「来場して企業の面接ブースに直行するのではなく、会場に来たもののどうしてよいか分からないと会場入口で立ち尽くしている方が少なくなかったり、企業の面接ブースよりもキャリアカウンセリングなどの相談ブースへの訪問を希望する方が多かったりする傾向が見られました」

    神奈川県
    産業労働局労働部 雇用労政課
    雇用対策グループ
    永井 華子様

    永井 華子様

    行動の違いはこれだけではなく、参加者アンケート調査で『訪問企業数』を聞いたところ、1社という回答が最も多く、目的のブース以外は訪問せずに退場するなどの傾向がありました。

    このようなことから、就職氷河期世代の方の中には、次のような傾向がある方が少なくないと考えたそうです。

    • 就職活動に必要なノウハウが不足しているのではないか
    • 今までの就職活動のご経験から自信を失っているのではないか
    • 就職活動そのものに不安を抱えているのではないか
    • 特定の業種や職種に興味・関心が集中してしまっているのではないか

    “企業とのマッチング”に加えて「伴走型支援」が必要、と考えた

    企業とのマッチングを図る合同就職面接会に加え、他に何が必要なのか。

    「それぞれが抱える課題の解決につながる、就職活動の基本的なスキルや心構えなどを身に付ける場を提供する必要がある」と永井様は考えました。

    そこで、それらを身に付けることができる実習型プログラムを提供しながら、就職氷河期世代の一人ひとりの課題に寄り添う「伴走型支援」を実施して正社員就職を目指す『かながわジョブテラス』を企画したそうです

    『かながわジョブテラス』は、講義と実習を組み合わせたプログラムであり、一期あたりの定員は20人で、期間は約2ヶ月間。平日の毎日午前10時から午後4時半まで受講します。

    具体的な内容としては、約2ヶ月間にわたっての講義やグループワーク、企業訪問などを通じて、必要な基本的なスキル・心構えを身に付けてもらうプログラムであり、また、一人ひとりに専任のキャリアカウンセラーを配置して、就職から定着支援まで寄り添いながら支援を実施します。

    面接会の集客+就労支援の強みを持ちより寄り、2社で共同運営

    『かながわ正社員就職フェア』と『かながわジョブテラス』を実施していくにあたっては、公募型プロポーザル方式での事業者選定が行われました。

    そこで動いたのが、株式会社学情(以下、学情)です。学情は、もともと自社の事業でも合同就職面接会を開催しており、求職者の集客についてはノウハウがありました。

    学情の添田様は当時を振り返って次のように語ります。「実習や研修などを行う就労支援については、単独で行うにはリソースもノウハウも少なかったため、いろいろな形で一緒に事業を展開していたパーソルテンプスタッフにご相談して、『かながわジョブテラス』の主にキャリアカウンセリング業務を担当していただくパートナーになっていただきました」

    株式会社学情
    パブリックサービス事業部 副部長
    添田 健吾様

    添田 健吾様

    実際、パーソルテンプスタッフには就労支援についての実績やノウハウが豊富にあります。そして、実習訓練型の研修を実施して、修了した方々を企業とマッチングするのも得意分野です。集客や広報に強みを持っている学情と組むことで、より成果を出せると考えてパートナーを快諾しました。

    その結果について永井様は「提出された企画提案書の中から、審査委員の方が最も高い評価をつけて採択されたのが、皆さまのスキームでした」とおっしゃってくださいました。

    自信がなかった参加者が、みるみる変化していった実習

    パーソルテンプスタッフは『かながわジョブテラス』カウンセラーとして、約2ヶ月・40日間のプログラムを遂行しました。

    実習型プログラムの研修では、基本的には講師のファシリテートで進めます。また、グループワークでのディスカッションのほか、受講者に発表などもしていただきました。そうすることで本人が気付いていない「良さ」や「強み」を一緒に見つけていくことができるのが、このプログラムの特徴でもありました。

    就職氷河期世代の皆さまは企業で体系的な研修を受けたことが少ない方もおり、「話し合いながら進めていく」という経験も多くはないので、グループワークは非常に効果的なものになりました。

    平日は毎日開講することで受講者の変化がよく分かり、きめ細やかなフォローを徹底することができました。プログラムのフォローはもちろん、受講者一人ひとりに合わせた丁寧なカウンセリングも行い、様々な課題を抱えた受講者に寄り添っていきました。

    最初は「自信がない」と話していた人でも、約2ヶ月・40日間研修を積み重ねていくことで、まわりの人との関わりやカウンセラーからのフィードバックによって気づきを得て、自信をつけることができるようになりました。

    また合同就職面接会に向けて「かながわジョブテラス」の受講者には、いろいろな業種や職種に目を向けていただくために、企業訪問なども実施しました。すると事務職を希望されている受講者が、介護施設に実際に企業訪問し、働いている方の生き生きとした姿を見たことで、介護職が選択肢の一つに加わったということもありました。

    「希望する企業からの内定」により、受講者の高い満足度を実現

    約2ヶ月の「かながわジョブテラス」を実施した後、合同就職面接会「かながわ正社員就職フェア」を開催していますが、「かながわジョブテラス」とどのように連携しているのでしょうか。

    合同就職面接会には、「かながわジョブテラス」受講者はもちろん、多くの求職者が来場します。就職氷河期世代にどのような求人が必要なのかについては、パーソルテンプスタッフと学情で週1回のミーティングや情報共有を重ねており、学情が就職氷河期世代を積極的に採用する企業を開拓し集めています。

    企業開拓や集客を担当された学情の添田様によりますと「就職氷河期世代を採用したいと考える企業が、思っていたよりも多く集まってくださいました。合同就職面接会の3つの会場で延べ100社近くの企業にブース出展していただきました」とのことです。面接会の企業開拓や集客に定評がある学情だからこそ、研修制度などがしっかりしているなど、参加者が安心して就職できる企業を中心に、コロナ禍であっても、多くの企業に出展していただくことができたようです。

    一方で『かながわジョブテラス』には、どのような効果があったのでしょうか。永井様に伺いました。

    「多くの受講者が、希望する企業から内定をいただけるなど高い効果もあり、受講者の満足度も非常に高いものでした。これは、長期に継続するプログラムの中で、パーソルテンプスタッフの知識豊富なキャリアカウンセラーの方々が、受講者に寄り添って、それぞれの方の良さや強みを引き出してくださったおかげです。短期の講座ではなかなか難しい『かながわジョブテラス』ならではの効果だと思っています」

    「かながわジョブテラス」の様子
    「かながわジョブテラス」の様子

    ともにパートナーとしてタッグを組んだ学情の添田様は、この事業についてこう語ってくださいました。「パーソルテンプスタッフがいなかったらここまで効果のある事業を実施することが難しかったので、一緒に取り組んだことで本当に勉強になりました。この事業は当社にとっても新しいチャレンジです。手応えがある一方、課題も感じていますので、もっと頑張っていきたいですね。」

    最後に、神奈川県の永井様は、こう締めくくってくださいました。

    「皆さまと一緒に創り上げているこの事業が盛り上がることで、ひとりでも多くの就職氷河期世代の方が、能力を生かして活躍できる企業へ就職できることにつながっていくと考えています」

    担当者コメント

    パーソルテンプスタッフ株式会社
    第二BPO事業本部 東日本第二公共サービス部 第二公共運用二課 プロジェクトマネージャー
    山口 康之

    神奈川県様、学情様と頻繁にやりとりをさせていただいて、三位一体の関係性ができていることが、事業がスムーズに進んでいった大きな要因だと思います。今後もこの関係性を継続して、弊社が掲げる『顧客志向の追求』を実現していきたいですね。

    山口 康之

    パーソルテンプスタッフ株式会社
    第二BPO事業本部 東日本第二公共サービス部 第二公共運用二課 プロジェクトリーダー
    茶木 敏之

    学情様と一緒に取り組ませていただいて、参加者の集客や求人案件の確保をご対応いただいているからこそ、私たちは「かながわジョブテラス」の事業に安心して集中できています。引き続き実習や研修、カウンセリングに注力して、よりよい成果を出せるようにしたいです。

    茶木 敏之

    パーソルテンプスタッフのBPOは、今後も皆さまの業務改善や生産性UPをサポートしてまいります。お困りごとやご相談があれば、お気軽に電話やフォームからご連絡くださいませ。

    本記事のPDF資料

    神奈川県様へのBPO導入事例を、PDF資料として配布しています。(個人情報の入力は不要です)

    事例の資料はこちら [0.8MB]

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