4月に集中する学生支援の業務で、声が枯れるほど疲弊
※: 本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、取材時の情報に基づいています。
「不言実行 あてになる人間」を建学の精神として掲げる中部大学様。7学部(2023年4月より理工学部が加わり、8学部)を有する総合大学であり、学部学生数は約10,000人もいらっしゃいます。そんな中部大学様の学生支援課では、その名のとおり学生を支援するさまざまな業務を行っていました。
最寄りの神領駅から大学までバスが出ているため、その定期券の販売。学生が駐車場や自転車を使う際の利用登録。学生証の更新対応やロッカーの登録など、学生生活に付随する幅広いサポートを導入当時は窓口による対面ですべて行っていました。
当然ながら、それらサービスの利用者数も非常に多く、小川様は次のように説明くださいました。「バスの定期券は半年で5000枚は売れるので、5000人が窓口に来ます。駐車場は年間で2500件ぐらい、それからロッカー登録も500人。それら全部が4月に集中していました」
中部大学
学生教育部 学生支援課
課長
小川 英雄 様
年度初めである4月には利用登録をする学生が窓口に押し寄せ、朝の9時から窓口が閉まる夕方の18時まで、長蛇の列が途切れることはなかったようです。その時の様子を廣田様はこう振り返ります。
「大勢の学生さんが並んでいるなか、『山田さん、バスの定期券ができましたよ!』『田中さん、新しい学生証ができました!』って名前を呼ぶんですけど、人が多すぎて全然分からないんですよ。だからとにかく声を張り上げていて、みんな声が枯れていた感じです。すごく疲弊してましたね」
学生教育部 学生支援課
課長
廣田 悦士 様
そんな状況で夕方18時に窓口を閉めると、ようやく他の仕事ができるようになっていた職員の皆様。その「他の仕事」の1つに、日本学生支援機構の奨学金業務がありました。しかし、日本学生支援機構の奨学金業務もまた“膨大”な業務でした。対象者は全学生のうち4割、およそ4000人もの学生が該当していたのです。
とにかく煩雑な奨学金の業務。「外部に委託はできないだろう」
学生支援課での奨学金の担当者は2名でした。ただ、奨学金の業務も他の業務をしながらの「兼務」だったと言います。当時の苦労を廣田様は次のように振り返ります。
「年度初めの4月になると、担当の2名に加えて担当外の学生支援課員8名に一緒に受付をやってもらっていました。ただ、担当外の方がやるのは年に1回なので、窓口対応のために勉強会を開いて教えていました。それでも伝えきれない部分もあって、やりながら覚えていくしかなかったですね」
書類の提出受付の際にも確認する事項が多く、見落としなどで、フォローに追われる状況。また、ゆっくり説明するため時間が掛かってしまうことも多々あったと言います。さらに、担当外のスタッフにサポートしてもらっても分からないことがあれば専任の担当者に聞きに来るため、何度となく業務が止まってしまうことも。
「“学生サービス”として考えると、『これは良い状態ではないよな』というのは、ずっと感じているところではありました」と廣田様も苦しい表情を浮かべていました。
そして小川様も同様に、「長机と椅子があって、8人座っても後ろに長い列ができていたんです。こちらとしても余裕をもって締め切り日を設定してはいたんですが、やはり学生は皆さん同じで『締め切り間近』に集中してしまうんですよね」と説明を続けました。
問い合わせの電話もかかってくるわけですが、出られないことも多く“折り返しの対応”が積みあがっていく事態になります。日中は立ちっぱなしで窓口対応に追われ、終わってからようやく電話をかけるような状況。そうなると「すぐに対応してもらえない」ということで、学生も迷惑を被ってしまう状態に陥っていたのです。
さらに、「1件あたりの対応時間が読めない」という事情もありました。業務が煩雑なこともありますが、奨学金の場合は学生によっても様々な事情を抱えています。そのため、話を聞いて対応を検討するのに時間を取られてしまい、場合によっては半日から丸1日かかるものもあったと言います。
時間がかかってしまう理由の一つとして、廣田様は『学生のお金を借りることに対する意識』があるといいます。「日本学生支援機構の奨学金って、申請者本人が保護者ではなく学生さん自身なんです。学生ですから、お金を借りることに対する意識はどうしても低い。だから我々としても、お金を借りることへの自覚を高めてもらうため、丁寧な說明が必要になるわけです」
さらに、その学生に対峙する職員側のレベルにも課題はあったようで、小川様は次のように言います。「日本学生支援機構の奨学金はかなり複雑なんです。成績要件はあるし、年収要件もあるし、種類についても“給付”や“無利息”や“有利子”など豊富にあって。それらを学生から質問された時に、奨学金担当外の学生支援課の職員だけで対応しようとすると難しい。その業務のプロフェッショナルにならないといけませんから。人に業務が付く形になって、業務の担当変更や異動が難しくなり組織の硬直化にもつながっていました。」
このような難しい対応が2015年まで続いていたようですが、そもそも「外部委託をする」という考えはなかったようで、廣田様はこう語ります。「外に出せるっていう感覚がなかったんですよ。個人情報もありますし、誰かに渡して業務をやってもらうという発想がそもそもなかった」
業務委託への不安は払拭。ただ、マニュアル通りにはいかず
ある時、同じように問題意識を持っていた上司の方が、他大学へ視察に行きました。そこで『外部に委託して上手くやっている様子』を目の当たりにしたのだといいます。そうして、「外部に委託しよう」という機運が高まっていきました。
「学生支援課は最も学生の情報を取り扱っている部署ですから、自分たちでやらずに他に任せるのはどうしても心配があります。ただ、他大学で上手くいっている導入事例があると、やはり安心しますよね」と廣田様は言います。
その“他大学での導入事例”というのが、まさにパーソルテンプスタッフの仕事でした。また、中部大学様ではいくつかの部署でパーソルテンプスタッフの派遣スタッフが活躍していたこともあり、パーソルテンプスタッフにお声がけいただくことになったのです。
「複数の部署で派遣スタッフさんに来ていただいてましたが、評判がすごく良かったというのもあります。あとは実際に相談させていただいた際、営業担当の方が迅速かつ、きめ細やかな対応をしてくださって。それで、徐々に業務委託への不安も払拭されていきました」
廣田様はそう言いますが、一方で導入に際しては“大学ならでは”の難しい側面もありました。それは、中部大学の『独自のルール』や『風土』に関わるものです。
小川様はこう言います。「それぞれの土地に文化があるように、我々の大学にも文化があるわけです。その文化のなかで柔軟に対応していただく必要があったので、そういった感覚的なものを引き継ぐのは難しかったんじゃないかと思います。それぞれの組織が積み上げてきたものからくる判断というのがありますから」
そして廣田様も、「学生への関わり方というのが『じゃあ、このマニュアル通りにお願いします』と簡単に伝えられるようなものじゃないんです。『学生サービス』というのは教育も含んでいると思っていて、単に事務処理をするわけではありません。その辺りを伝えるのは難しかったですね」と語ります。
当初はどうしても切り分けがうまくできず、現場も困惑してしまうところがありました。「業務委託はここからここまで」と明確に線を引くことができなかったわけです。そこで、『実際にやりながら、徐々に覚えていく』という形で進めていったのです。
運用に入れば多くのメリット!特に大きいのは『ノウハウ活用』
そうして2016年から委託を開始して、2017年辺りから安定的に運用できる形になっていきました。現在はどのようになっているのか、小川様にお伺いしてみると次のような回答をいただきました。
「パーソルテンプスタッフさんは固定のメンバーでずっとやってきてくださっているので、どんどんプロフェッショナルになっています。だから、非常にスムーズに対応できています」
くわえて、職員の皆様の“負担”についてもこう言及します。「職員の心理的負担はかなり減りましたね。今は、安心してお任せしています。」
そして、廣田様は次のような変化を感じてくださいました。「何らかの課題があっても、それを相談しながら改善して、より良くしていっていただけるという、この一連の流れがすごくいいなと思っています。」
具体的な「課題を相談しながら改善した」例として、コロナ禍における『奨学金の説明会』の運営がありました。
感染が拡大するなか、これまで対面でやっていた説明会が難しい状況になってしまいました。『リモートでの開催』も検討されましたが、パーソルテンプスタッフからは「好きなタイミングで説明会の内容を確認できるよう、動画でやりましょう」という提案をしたのです。
音声の無いシンプルな動画ではありましたが、制作して実際に展開していきました。すると、多くの学生に視聴してもらえ、親御さんも一緒に確認していただくことができ、提出される書類の精度が向上するという成果も出たのです。
「動画も“作って終わり”で一方的に伝えるのではなくて、反応をみてブラッシュアップしてくださったりもしています」と、廣田様は満足そうに語ってくださいました。
さらに、従来は“兼任”として窓口業務をやっていましたが、日本学生支援機構の奨学金専門の窓口を設けたことで学生にとってもメリットがあるといいます。「単純に、学生が相談しやすくなりましたね。分かりやすく『日本学生支援機構 奨学金窓口』と書いてありますので、ここに聞けばいいんだってすぐ分かるじゃないですか。安心して相談できますし、大きなメリットですよね」
さらに廣田様は、「多くのメリットがあるなかでも、1番大きなメリット」としてパーソルテンプスタッフが持つ『ノウハウ』を挙げてくださいました。「他の大学さんでも奨学金の窓口を担当されていらっしゃいますので、パーソルテンプスタッフさんを通じて「この場合、他の大学ではどうやってますか?」と様々なノウハウを聞いたりできるんです。いろいろな大学のノウハウを聞いて、それを活用できるというのは非常に大きいですね」
パーソルテンプスタッフでは既に全国30大学での窓口対応実績があるため(2022年11月現在)、それらのノウハウを有効に活用いただいているようです。他にも、「レポートを出してもらえるので、あとで分析ができるのも非常に大きい」「申請者一人一人にきめ細かいサポートができるようになった」といった点をメリットとして実感していただけたようです。
最後に廣田様は、「お仕事を任せやすくて非常に信頼しています。その分、誰かが異動してしまっても上手くいくだろうかという不安が出てきましたので、長期的な視野で誰が担当しても安定するよう、今後も今以上に体制を固めてもらえればと思います」と、未来を見据えて期待を寄せてくださいました。
担当者コメント
パーソルテンプスタッフ株式会社
第二BPO事業本部 中部BPOサービス部 中部運用三課
プロジェクトマネージャー(PM)
福本 征司
今では学生の3人に1人が奨学金制度を活用していることを知りました。奨学金の申請には守らなければならないルールがあるのですが、学生が理解するにはとても難しいため、深い知識を持った担当者がわかりやすく伝える必要性があります。今後も多くのアイデアを出させていただきながら、ご期待に応えられるように頑張っていきたいです。中部大学様の実績や価値を他大学にも広げていきたいと思います。
パーソルテンプスタッフ株式会社
第二BPO事業本部 中部BPOサービス部 中部運用三課
プロジェクトリーダー(PL)
鈴木 洋貴
もともと別の大学様でも業務スタッフとして勤務していましたので、“大学ならでは”の感覚を持ち合わせていたのが良かったと思います。大学によって多少の色の違いがありますので、そこをすぐに理解して合わせにいく感じですね。弊社では大学で働いている人も多いので、その点は大きなアドバンテージになっていると思います。
パーソルテンプスタッフのBPOは、今後も皆さまの業務改善や生産性UPをサポートしてまいります。お困りごとやご相談があれば、お気軽に電話やフォームからご連絡くださいませ。