導入前の課題
膨らむ「コスト」と応募者からの「クレーム」で、委託業者を再変更
クロネコヤマトでおなじみの物流企業であるヤマト運輸様。事業の拡大を続けていた2017年、ある悩みを抱えていました。当時、全国でも3,800程度の営業所を抱えていましたが、アルバイトやパートの採用はすべて各営業所長に任せていたのです。
そのことにより“大きな課題が2つあった”と人材採用チームマネージャーの小坂様は言います。「地域ごとの媒体社さまにそれぞれ求人広告を直接発注するものですから、ロゴの不適切な使用や表現方法などのリスクがありました。それともう1つは、コストの問題ですね」
全国の各営業所が個別に発注をすることで、大きなコストのロスも発生していたのです。そこでヤマト運輸様は採用におけるこれらの課題を解決すべく、複数の企業の中から選定しパーソルビジネスプロセスデザインに採用業務を依頼してくださいました。
依頼いただいたことで採用活動は集約化でき、非常に効率化が図られていきました。小坂様も「その年によって必要採用人数は違いますし市場感も違うのですが、採用コストは数億円単位で変わったと認識しています」と振り返りました。
しかし、1年もすると新たな課題が浮上します。当時、働き方改革などを背景に大規模な採用活動を展開する必要に迫られたのです。
そのためにも「採用媒体も有している企業のほうが良いのでは」と考えたヤマト運輸様は、パーソルビジネスプロセスデザインから他の企業へとリプレイスを実施します。その企業は、採用代行サービスだけでなく採用媒体も自社で有していたからです。
しかし、2年が経過すると再び課題が出てきました。小坂様は次のように語ります。「依頼していた企業様は、媒体には強いのですが、一方で“カスタマイズしてオペレーションする”とか、“応募者対応をきめ細かくやっていただく”とか、そういったところがあまり得意ではなかったんです」
実際に、面接中の対応不備や面接不履行などが起き、応募者からのクレームも少なからず発生していたようです。
そんななか、ヤマト運輸様では『Oneヤマト』というコンセプトを掲げ、顧客を起点とした組織として“グループ内の8社が1つになる新しい体制”を2021年4月からスタートさせることが決まっていました。そして、その『顧客起点』を実現するためにも、採用代行のパートナーとして再びパーソルビジネスプロセスデザインが選ばれることになったのです。
取り組み内容
フラットな媒体社への交渉と、「グループ連携」での柔軟な対応
なぜ再びパーソルビジネスプロセスデザインが選ばれることになったのかというと、理由はいくつかありました。例えば、ブランドの向上やオウンドメディアの成長により以前ほどは採用媒体に頼らなくてもよくなったことや、一度業務を経験していて勝手を知っていることなどが挙げられます。
また、パーソルビジネスプロセスデザイン側も2018年に競合他社へ切り替えられてしまったことを受け、「何が足りなかったのか」としっかり振り返り、弱点を克服するための動きを続けていました。
具体的には、「採用媒体を持っていないからこそ、媒体社への交渉力をつけよう」と考え、フラットに“より安い商品で、より効果的な商品”を探せるようになっていました。また、競合他社とは異なり『グループとしての対応』ができるようにもなっていたのです。
この『グループ対応』という点について、小坂様は次のように語ってくださいました。「各営業所の担当者に対してもきめ細かい対応をしてくださいますし、応募者に対しても佐世保のコールセンターで対応してくださいますし、それらが『HITO-Manager』というシステムで全て一元化されているのは非常に良いですね」
※HITO-Manager……パーソルプロセス&テクノロジー社の採用管理システム
実は、きめ細かい対応を実現するためにパーソルビジネスプロセスデザインは体制も整え直していました。ヤマト運輸様専用の企画チームを作り、個別かつ柔軟に対応できるようにしていたのです。
実際、地域ごとに担当者を置き「この地域では、この媒体が最も効果が高い」といったアドバイスも実施していきました。一方で媒体社への交渉も行って掲載費用を抑えながら、ヤマト運輸様に対しては採用活動のアドバイスを実施し応募単価を下げる取り組みを行っていったのです。
さらに、同じパーソルグループのパーソル総合研究所がカリキュラムを作り、「面接官トレーニング」も実施。この点について小坂様は、「地方に行くほど採用専任の社員がいないので、面接の教育も受けたことがない人がかなり多かったですから大変助かりました」と口にしてくださいました。
地方といえば、面接では『オンライン面接』も必須となっていました。そこでパーソルビジネスプロセスデザインは、オンライン面接ツールについてもヤマト運輸様と一緒に検討しながら導入のお手伝いをさせていただきました。
導入の効果
属人化を解消。応募単価も全体平均で22%改善。クレームも減少
パーソルビジネスプロセスデザインが再び採用代行を実施するようになったことについて小坂様に感想を求めると、次のように口を開かれました。
「カスタマイズしてオペレーションするとか、応募者対応をきめ細かくやっていただくとか、我々の要望をいつも聞いていただいてありがとうございます、と。これに尽きると思いますね」
実は、ヤマト運輸様は“顧客起点”を掲げていらっしゃるだけあって、「お客様のために」という思いが強く、採用業務に対するご要望も多岐にわたっていたのです。そのご要望にお応えするパーソルビジネスプロセスデザインの対応について、続けてこう評価してくださいました。
「特に採用市場が厳しいエリアからは様々な要望が出ると思うのですが、それに対して『できません』ではなくて『それは難しいですが、こんなやり方があります』と前向きに回答いただいている点は、非常にありがたいです」
以前から危惧されていたコスト面についても、媒体社への交渉も行って掲載費用を抑えながらも的確な広告を出すことが可能になり、応募単価を2022年度上半期対比、2023年度の上半期の応募単価も全体平均で22%改善させることができるようになりました。
また、「面接中の対応」や「面接不履行」などによる応募者からのクレームについても、「大幅に減らしていただいた」と笑顔を見せました。
応募者への対応について、「とりわけ印象的なのがコールセンター」だと小坂様は口にされました。「佐世保のコールセンターにお邪魔したのですが、皆さまのプロフェッショナルなマインドは『すごいな』と感心しました。米国のコールセンター品質の認証を取られているということで『さすがだな』と思うことばかりでしたね」
佐世保では採用に関しての応募者からの問い合わせを受けていますが、採用以外の一般のお客様のお問い合わせを受けてしまうこともありました。しかし、そんなお問い合わせでも、すぐにクローズできるような環境を整えていったのです。
その点についても小坂様は「何で対応できるのか不思議だったのですが、業務が確実に標準化されていましたね。それが、我々の複雑な組織の仕事を受けていただける秘訣なのだろうなと感じました」と称賛してくださいました。
他社へのリプレイスを経験しながらも、ヤマト運輸様へのニーズに柔軟に対応してきたパーソルビジネスプロセスデザインですが、これで満足しているわけではありません。応募者の働き方へのニーズも多様化し、ヤマト運輸様の採用ニーズも多様化していきます。そういった変化に対応するためにも、自らが進化しなければならないと考えています。
小坂様も、「この大きな組織に粘り強く対応していただいたのは、非常に感謝しています。今後も引き続き、PDCAを回し続けていただきたいですね」と熱い期待を口にしてくださいました。
お客様プロフィール
ヤマト運輸株式会社
1976年に宅急便事業を開始し、1個口から個別集配・全国配送するという宅配便のシステムを作り上げたのがヤマト運輸様。宅配便業界においては圧倒的なシェアを誇っています。拠点を細分化し、地域密着型を実践しているのがヤマト運輸様の特徴で、「クロネコ」のシンボルマークをかかげるトラックで宅急便集配のためにセールスドライバーが全国各地を駆け巡っています。ヤマトグループは2024年4月、新しい中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を始動し、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を経営テーマとして掲げ、経済価値、環境価値、社会価値をかけあわせることで、社会と企業双方の持続可能性を高めていくことを目指しています。
本社所在地 | 東京都中央区銀座2-16-10 |
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設立 | 2005年3月31日 |
代表者 | 代表取締役社長 長尾 裕 |
従業員数 | 184,119名(2023年3月31日時点) |
担当者コメント
2021年に導入いただいてから今まで、ずっと思い続けたこと。それは「日本の物流インフラであるヤマト運輸様を支える、採用インフラを目指す」ことです。この一心で当社は、採用活動における母集団形成・選考フローの集約・データの見える化による課題形成をサポートしてきました。これからも本社人事や全国の支社人事の方と連携しながら日々丁寧な対応、更なるご支援ができるように努めてまいります。
※掲載内容は取材当時の情報です。