導入前の課題
遅くまで残業をしており、『新しいこと』が考えられない
日本最大手の移動体通信事業者であるNTTドコモ様。『NTTがドコモを完全子会社化』『NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアが経営統合』など、変化の激しい時代に合わせてグループ全体でも再編をしながら競争力を高めていらっしゃいます。それに伴い、NTTドコモ様では“採用活動”にも大きな動きがあったようです。
採用担当課長の室住様は2年前に人事部に異動してきた際、着任して1ヶ月ほどですぐに焦りを感じていたといいます。当時を振り返って次のように語ってくださいました。「会社が大きく変化していたこともありましたが、そもそも平時の業務の量が膨らみすぎていたんです。繁忙期に限った話ではなく、“常に遅くまで残業が続いている”という状況になっていました」
効率を意識しつつも毎日フル稼働で仕事をする、という働き方になっていた人事部の皆様。しかし、室住様は「まず、この状態を改善しなければ未来に向けて『新しいことを考える時間』も取れない」と感じたようです。
目の前に立ちはだかる膨大な業務に危機感を抱かれていたわけですが、改めてどのような業務があるのか伺ってみると、採用担当の恒元様は「一部ですが」と前置きをしながらも下記を挙げてくださいました。
- インターンシップの企画、設計、運営
- 「内定者懇親会」「社員対話会」といったイベントの企画、運営
- イベント時の審査員の依頼や、マネージャーへの講演依頼などの社内調整
- 先輩社員として採用に協力いただく社員=「協力社員」への依頼や調整
- 出身大学向けの活動をする社員=「リクルータ」500名との各種調整
- 各種イベントの予約フローの設計
- 学生情報のデータベース、「ATS(採用管理システム)」周りのページ設計
- 社内外のセミナー開催
- 他社が開催する「合同説明会イベント」への参加と、準備
一部とはいえ、これだけの業務を抱えていらっしゃったわけですが、NTTドコモ様の場合には関わる学生の数もかなりの大人数になります。例として「インターンシップ」に関連する人数をお伺いすると、恒元様は次のように回答くださいました。
「インターンシップだと、夏のビジネス創造インターンシップが『1ターム30名参加』で9タームですので、270名が参加しています。それに加えて『ドコモハッカソン』というサービス開発のインターンも30名が同時並行していますので、夏のインターンだけで300名ですね」
その300名の枠に対し、学生からの応募は数千人にも及ぶわけです。このように、付随する業務がいくつもあることで恒常的に残業が発生していたドコモ様ですが、加えて“大きな難点”もありました。2020年からのコロナ禍です。
室住様は、顔をしかめながら「私が人事部に着任する少し前にコロナ禍になったのですが、それによって“そもそもの働きかた”が大きく変わってしまったわけです」と口にされました。人事部の皆様も出社できず、完全リモートで仕事をしなければならない状況。強制的に働き方を変えなければならない事態のまま、今までやってきたオフラインイベントも全てオンラインへと移行しなければならなくなったのです。
「『オンラインになったらラクだよね』という簡単な話ではないんです。オフラインと同等、それ以上のコンテンツだったり、体感を経て学生に満足を得ていただかなければいけません。そのために、運営側としては前例がない中でオンラインで実施できる最大の準備をする必要があります。通信が途切れないための準備や学生同士のコミュニケーションをスムーズに取ってもらうための工夫、有事の際の早急な対応といった当日の運営も細心の注意を払わないといけなくなりました」と室住様は力強く語ります。
実際、多くの企業でもオンライン化は進みましたが、通常の業務ですら「コミュニケーションが不足している」と囁かれたり、「意思疎通が難しい」と耳にしたりすることも増えていきました。NTTドコモ様でもその危惧は同じで、コンテンツの見直しも含めてどうしても『考える時間』が必要になっていたのです。
そうして室住様は、「現状を変えなきゃいけない。そのためにも『人の力が必要』だ」と強く思うようになっていったのでした。
取り組み内容
『変わらなければいけない』という思いで、業務の棚卸しを実施
「人の力が必要だ」と動き出した室住様は、業務委託や派遣など様々なサービスを検討していきます。人事部に異動する以前にもパーソルグループの派遣スタッフとは一緒に仕事をしていたようで、「業務内容や仕事の進め方も含めて気に入っていたので、パーソルグループも候補として挙げていました」と明かしてくださいました。
一方、他の部署では別の派遣会社を活用していたこともあり、複数の企業を挙げて比較検討を進めていったようです。しかし、『派遣スタッフの活用』については慎重になっていました。その理由については、次のように語られます。
「派遣スタッフさんだと、『採用のことは全然分かりません』という方もいるわけです。その方に最初から教えるのも大変ですから、もともと業務に詳しい方に来ていただくほうが良いだろうと」
そうして『業務委託』で検討をされたようですが、「特にパーソルグループの提案が響いた」と言います。「パーソルグループの営業の方がすごいなと思いましたね。『こういうのどうですか?』と提案された内容が、『あ、それ! それです!』みたいなツボを押さえた感じで」そう語る室住様に詳しく伺うと、具体的には「単に業務を進めていくだけではなく、パーソルグループの持つ人材ノウハウを活かした『業務改善力』や『提案力』をご提供する」といったところが響いたようでした。
そうして、パーソルビジネスプロセスデザインが担当させていただくことに決定。室住様が7月に人事部に着任、8月に「まずい」と感じて動き出し、10月にはもう「お願いします」と依頼をされるスピード感で進んでいったのです。
ただ、取り組むにあたっての難しさもあったようで、室住様はこう振り返ります。「まず私たちの業務内容を知りたい、と言われましたが1つ1つの業務に対してどれくらいの稼働が発生しているか、削れるタスクはないのか、効率化できる箇所はないかといった『業務の棚卸し』が全くできていなかったんです」
そこで、まずは技術系の採用業務だけでも『見える化』をしていこうと動いていったようです。「『どんな業務があるのか』を全部洗い出して、そのうえで『この部分の業務をやってもらいたい』と提示して進めていきました」
この点についてはそう簡単ではなかったようで、苦しい胸の内も語ってくださいました。「おそらく担当者の皆が思ったのは、『自分でやったほうが早いんじゃない?』ということですよね。やっぱり人に教えるとか伝えるって時間もかかりますし、最初はマニュアルも無いので。でも、そう言っていたらいつまでも変わらないよね、と」
『変えなければいけない』という強い気持ちで業務の洗い出しに向き合っていただいたことで、採用業務のノウハウを持つパーソルビジネスプロセスデザインとしてもスムーズに立ち上げ、業務を担当することができるようになったのです。
導入の効果
稼働が減り、イベントの質も上がり、参加した学生の満足度も向上
ATS(採用管理システム)周りの運用はパーソルビジネスプロセスデザインが担当し、「選考結果の格納」や「学生の参加日程調整」について対応を進めていきました。こういった対応について恒元様は「すごく稼働が減りました」と笑顔を見せつつ、次のように振り返ってくださいました。
「3月前後の本選考の時期は特に遅くまで仕事をしているような状況でしたけど、最近はパーソルビジネスプロセスデザインさんに細かい業務をやっていただけて、通常の時期と同じぐらいの残業時間で帰宅できるようになりました」
また、『インターンシップ』や『社員対話会』などのイベント時にも、事前の学生への連絡や配信の案内、学生へのお礼のメールやアンケートなど、前後の対応もパーソルビジネスプロセスデザインが担当。すると、「ブラッシュアップができるようになった」ようです。
「イベントの直前は準備ですごく忙しかったんですが、準備をやっていただけるようになったので、イベントの内容を直前までブラッシュアップできるようになったんです」と恒元様。
さらに、以前はイベントを運営するだけで手いっぱいでしたが、イベントの合間にも振り返りの時間を創出できるようになったようです。「今も9タームあるんですけど、タームが終わった後も振り返りをして、次のタームをブラッシュアップしていける時間が取れます。タームごとに品質が高くなってきているな、というのは感じています」と恒元様は続けてくださいました。
また、学生への対応についてパーソルビジネスプロセスデザインは、単に受け答えをするだけでなく誠意を持って接していきました。たとえば、面談が体調不良で受けられない人が出てきた際には、空き日程を探して面談を入れ直すなど、代替案の提案も欠かさなかったのです。
こうした対応について、「学生さんにもすごく寄り添っていただいていて、イベントに参加した学生の満足度も非常に高くて助かっています。何かあればすぐに相談してくれるし、スムーズにやってくださって」と恒元様はコメントくださいました。
同様に室住様は、こう口にします。「本当なら学生への対応は社員がしなくてはいけないんですけども、それをしなくてもいいレベルですね。事務的ではなくてプラスアルファの対応をしてくださって。ひと言でいえば、安心感があって素晴らしいです」
また、今回は技術系の採用から進めていきましたが、後に事務系の採用まで広げていくと反響があったようで、「事務系の採用担当者からは『もっと早くお願いしておけば良かった』という感想が出てきましたね。もう手放せないですよ」と室住様も笑顔を見せてくださいました。
当初、単に業務をするだけでなくて「提案もしてもらえる」という点に魅力を感じてくださっていたNTTドコモ様。実際にパーソルビジネスプロセスデザインからの『提案』としては、“面接官のスキルアップ”を希望されていたようなので『面接官トレーニング』のサービスを提案させていただきました。
このトレーニングに関しては研修会社にも相談したようですが、準備に3ヶ月ぐらい掛かってしまうと言われていたようです。しかし、パーソルビジネスプロセスデザインからは1ヶ月で実施できると提案し、採用。「早くて、しかも質も良くて。今年もまた利用させていただけたら、と思っています」と、ご満足いただけたようです。
最後に、“今後の展望”について室住様は次のように語られました。「新しいことを社員が企画するために時間を作りたかったわけですが、その新しいことを企画するという部分にもパーソルビジネスプロセスデザインさんも入ってもらおうかなと思っているんです。1人でも多くの客観的な意見が必要ですからね」
さらに、「パーソルさんって大きな会社ですから、人材市場についての情報も当然あると思います。我々が今後、採用をやっていくなかでは“世の中の情勢的なもの”も考えないといけませんから、そういった面からもサポートいただきたいと思っています」と期待を寄せてくださいました。
お客様プロフィール
株式会社NTTドコモ
NTTドコモ様は、携帯電話・移動体通信サービスを提供する事業体としては日本最大の規模を誇る企業です。電波を利用した移動体通信サービスを主に手がけており、携帯電話・携帯データ通信事業で過半数の加入者を有しています。また、全国に無線基地局網を構築しており、免許を所有する周波数帯の電波を用いて、無線による公衆通話・通信サービスを提供されています。2020年9月、NTTグループ全体の成長を目指す観点から、統括持株会社であるNTTが完全子会社化をしたり、あらゆる「あなた」と一緒に新たな世界を実現したいという想いを込めて、新ブランドスローガン「あなたと世界を変えていく。」を発表し、NTTコミュニケーションズとNTTコムウェアをグループに加え、新しいドコモグループとして、新たな世界の実現に向けての挑戦を進めていたり、組織として常に変化を繰り返しながら成長を続けていらっしゃいます。
本社所在地 | 東京都千代田区永田町二丁目11番1号 山王パークタワー |
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設立 | 1991年(平成3年)8月14日 |
代表者 | 代表取締役社長 井伊 基之 |
従業員数 | 8,847人(2022年3月31日現在) |
担当者コメント
NTTドコモ様の採用チームは少数精鋭で運営をされています。応募学生だけでなく、採用活動に協力的な社員の方や全国の支社人事の方との連携など、本当に幅広い業務を実施されています。
煩雑になりがちなイベント開催時の学生対応などの業務をパーソルビジネスプロセスデザインが請け負うことで、「新しい施策検討」のお時間を確保できたという言葉を頂き、大変嬉しく思っています。
組織統合などにより、更に対応する学生数も増える見込みですが、引き続き「安心」して業務を任せていただけるよう、“ドコモ社員の一人として”、日々丁寧な対応、更なるご提案ができるようにしていきたいと思っています。
※掲載内容は取材当時の情報です。