導入前の課題
面接を担当する社員が増加する一方、『惹きつけ』も課題に
SMBCグループの総合情報サービス企業として、シンクタンク・コンサルティング・ITソリューションの3つの機能を有する日本総合研究所様。
中でもHRマネジメント部の皆さまはSMBCグループ各社のシステムインテグレーションを担う組織の部門人事のような位置づけだといいます。しかし、「部門人事」とはいっても3チーム60名弱の大所帯。採用や育成などに注力していることが、組織体系からも伺えました。
実際、キャリア採用の目標も前年より2倍近い数字が掲げられていたようですが、達成するためにはいくつか課題があったとのことで、HRマネジメント部の次長である小林様は次のようにご説明くださいました。
「社内でキャリア採用の面接を担当する社員が増えてきまして、『初めてです』といった人もいました。ですので、『どういう流れで面接をすべきか』『どういった所作をすべきか』といった点も含めてしっかりとレクチャーできるような研修が欲しいな、と考えていたんです」
それまでは固定の社員が面接を担当していたようですが、「部長だけでやっていたら間に合わないので次長もやりましょう」「チーム長もやりましょう」というように、次々と新しく面接官を担当しなければいけない状況になり、そのためのトレーニングが必要になったというわけです。
また、もう1つの課題として小林様は『応諾率』を挙げました。応諾率とは、内定を出してから応諾してもらえる割合を示したものです。
「さまざまなエージェントから『応諾率がやや低い』と指摘されていました。ですから、面接の中で『見極め』をするだけでなく、『惹きつけ』もできるようにしたい、ということも課題としてありました。とは言っても、これまでやったことがないので、どのようにトレーニングの内容を設計すればよいのか当初は悩んでいました」と小林様は言います。
そうして模索しながらも『面接官トレーニング』のサービスを探していたようですが、同じSMBCグループの企業からパーソルビジネスプロセスデザインを紹介されたのだと言います。
「面接官トレーニングに強みを持たれているとのことだったので、『じゃあ、まずは実際にお願いしてみよう』と。それで、やりながら自社向けにブラッシュアップしてもらおう、という感じで始めていきました」と小林様は当時の考えを語ってくださいました。
取り組み内容
2年連続で面接官トレーニングを実施。カスタマイズにも対応
2022年7月、パーソルビジネスプロセスデザインによる面接官トレーニングを実施することが決まりましたが、対象者が非常に多いため5回に分けて実施することに。HRマネジメント部の部長代理である植松様は、当時のことを次のように振り返ります。
「任意での受講にしていたのですが、手を挙げたのは約100名でした。その数からも、やはり社内でも強いニーズがあったのだなというのは感じましたね」
トレーニングの内容はあらかじめパッケージングされたものをそのまま提供するのではなく、まずは『課題』のところからパーソルビジネスデザインと一緒に話し合いながら作り込んでいきました。
「当社の環境も踏まえて、『どこに課題があるのだろう』といった課題の整理や言語化みたいなところから入っていただいたので助かりました。その課題を踏まえたプログラムを提案していただきましたので、安心感や納得感もありましたね」と植松様。
さらに続けて、提案したプログラムの内容についても述べてくださいました。「一般的な項目でも、当社の背景を踏まえたものにしていただきました。また、候補者のペルソナを設定して、その方を『どう口説くのか』といったワークもあるのですが、そのペルソナから一緒に考えていただきましたね」
他にも、全5回のトレーニング内容は全く同じものにはしませんでした。毎回アンケートを実施し、そのフィードバックに基づいてブラッシュアップをしていったのです。
その様子について植松様はこう振り返ります。「ワークの時間について、『ここは当社の社員は得意だからすぐにできた』とか『ここはもう少しじっくり対話したかった』といったことがアンケートで分かったら、その内容をフィードバックしました。すると、それに応じて細かいカスタマイズもしていただいたんです」
そうして2022年度の面接官トレーニングを終えましたが、翌2023年にも面接官にアサインされる人員が増加することもあり、再び面接官トレーニングをご依頼いただくことになったのです。
「面接官のアサイン時期が異なるので集合研修は難しかったんです。なので、本人たちが受けたいタイミングで受けられるようeラーニング形式にして、動画もチャプターで分けて、好きな時に必要な部分だけを見られるようにできないかと相談しました」と植松様。
パーソルビジネスデザインとしても初めての試みではありましたが、「どうしたらできるか」を考えながら、実現させていったのでした。
導入の効果
9割以上の高い満足度。エージェントからの評価も上々
2022年に集合研修を実施し、2023年にはeラーニングの形で提供した面接官トレーニングでしたが、まずはアンケート結果について植松様が解説してくださいました。
「アンケートを実施してトレーニングの満足度や理解度、お役立ち度などを数値化していきましたが、すべて9割以上という高い評価となりました」
また、当初から課題だった『応諾率がやや低い』『惹きつけをしたい』という点についても、アンケート結果から意識の変化がうかがえたようです。
「『応募者との関係づくり』や『質問への回答』でいかに惹きつけるか、といった多くの気づきがあったようで、アンケートのコメントを見ても反応が非常に多かったですね」と植松様は笑顔を見せました。
具体的には、カリキュラムの中で「どういうところが印象に残りましたか」といった質問項目に対して、『自社の魅力訴求』という部分への回答が非常に多かったのだと言います。
また、実際の『応諾率』の数値は「実施する前と比べると向上しています」とのことですが、「単純に因果関係があるとは言えませんけどもね」と植松様は補足されました。
同様の補足として小林様も、「研修の成果をどう測るかは課題としてあるのですが、総論として求職者の方からも好感触になってエージェントからの評価も高まりましたので、当然ながら一定の効果は出ていると思っております」と付け加えてくださいました。
2年連続でパーソルビジネスプロセスデザインが面接官トレーニングを担当させていただきましたが、植松様は「右も左も分からない状態から伴走していただき、大変感謝しています」と述べてくださいました。
また、2年間の取り組みについて小林様は「当社向けにカスタマイズしていただきましたし、提供いただいた動画コンテンツは今後も恒久的に活用したいと思っています」と笑顔を見せました。
続けて、今後の展開についても「面接官トレーニングの“発展編”も検討していますし、今後もさらに質を高めるために新しい施策も一緒にやっていきたいなと考えています」と期待を寄せてくださいました。
お客様プロフィール
株式会社日本総合研究所
東京都品川区に本社を置く日本総合研究所様は、三井住友フィナンシャルグループに属する総合情報サービス企業です。シンクタンク・コンサルティング・ITソリューションの3つの機能を有しており、「新たな顧客価値の共創」を基本理念として、課題の発見や問題解決のための具体的な提案およびその実行支援を行っていらっしゃいます。1969年に住友銀行から分離独立した起源を持ち、略称として『日本総研』『JRI』と呼ばれています。
会社名 | 株式会社日本総合研究所 |
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本社所在地 | 東京都品川区東五反田2丁目18番1号 大崎フォレストビルディング |
設立 | 1969年2月20日 |
代表者 | 代表取締役社長 谷崎 勝教 |
従業員数 | 3,258名(2024年3月現在) |
担当者コメント
採用数の増加に伴い、面接官を初めて担当される方も増加する中で、面接官トレーニングやキャリア採用特有の課題であるアサインのタイミングのバラつきに対して、オンデマンド型の研修を実施いたしました。
単に研修を実施することが大事なのではなく、対話をしながら準備段階・本番でブラッシュアップしていくことが大切であり、それが皆さまによって良い研修になると考えております。日本総合研究所様のさらなる採用力強化のため、尽力してまいります。
※掲載内容は取材当時の情報です。